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第三章・血斗
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Ⅵ
彼女は小高い丘の上、ほのかな明るさに染まる建物を遠くから見つめていた。
子供たちに食事をさせなければならない。彼女の本能と隣り合った母性がそう告げ、研ぎ澄まされた嗅覚が獲物の匂いを感じとった。
心が、静かな喜びと興奮で打ち震える。
だが気をつけなければならない。鋭い直感が、行く先に凶暴ななにかが潜んでいることを知らせてきたからだ。いまはおとなしくしているが、迂闊なことをすればたちまち牙を剥いてくるだろう。
狩りにはいつだって慎重さが要求される。
そして彼女は、慎重でいることが得意だった。
彼女は小高い丘の上、ほのかな明るさに染まる建物を遠くから見つめていた。
子供たちに食事をさせなければならない。彼女の本能と隣り合った母性がそう告げ、研ぎ澄まされた嗅覚が獲物の匂いを感じとった。
心が、静かな喜びと興奮で打ち震える。
だが気をつけなければならない。鋭い直感が、行く先に凶暴ななにかが潜んでいることを知らせてきたからだ。いまはおとなしくしているが、迂闊なことをすればたちまち牙を剥いてくるだろう。
狩りにはいつだって慎重さが要求される。
そして彼女は、慎重でいることが得意だった。
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