上 下
16 / 29
第2部 原作へ愛をこめて

第2話 物語

しおりを挟む
神はちゃんと仕事をしたらしく気がついたら無事やたらと煌びやかな装飾の部屋にいてた。……つかメアリーと同室かよ。

「ね、ねぇ(名前)さん……」

「なに……ん?如月違うメアリー、今喋った?」

「え、うん。喋ったよ」

か、括弧が夢主特有の白抜き括弧じゃなくなっているッ……!!!つまりもうこの世界には新しい夢主が存在してるってことだ。最高に会いたくねーーーーー!!!!!

「あの……(名前)さん」

そういやさっきメアリーに話しかけられてたんだった。

「あ、ごめん。なんだっけ?」

「えっと……///」

「話しかけといてうじうじするのやめてもらっていいですか」

メアリーは何か言うのが恥ずかしいらしく黙って顔を赤く染めた。なんなの。私は君と違って忙しいんですから早くして欲しかった。

「……あの、(名前)さん、人の考えが読めるんだよね?」

「うん」

も、もし読まれちゃったらどうしよう……///私が(名前)さんのこと好きなのがバレちゃう……///

……いや読むまでもなく全部口に出てますが。私のモノローグっぽく出てるが上の文は全部如月……じゃなくてメアリーのセリフである。こんなことある?

「あー……別に、お前の思考読むために導入した能力じゃないから」

もちろん困惑したが私は少しだけ慈しみに満ちているので指摘せず黙っておいてあげることにした。

「ほ、ほんと!?」

メアリーは心底安心した、というような顔をしている。

……巨乳と百合は好きだがこいつとだけはマジ勘弁だと思った。(理由とか……お持ちじゃないんですか?)(えっそんなん関係ないっしょ)



不意に部屋の扉が叩かれた。

「(名前)様、メアリー様、学校のお時間でございます」

「あ、はーい」

えー学校のお時間?物語そろそろはじまっちゃうのか……いや別に嫌じゃないけどさ

「よし行こうそれ行こうやれ行こう」

「ま、待って!」

部屋を出ようとした私の袖をメアリーが掴んだ。こいついっつも引き止めてんな。

「なに?」

「あ、あのね……(名前)さんのこと、(名前)ちゃんって、呼んでもいいかな」

「え、最高にどうでもいい。勝手に呼べば」

てかそんなにもたもたしてたら学校遅れちゃうんだが 私はやたらとトロいきさ……ちがうメアリーを連れてやっとのことで部屋を出た。

はい学校到着。オッスお願いしまーす。学校の名前は花道学園が原作での正式名称だったがセイントローズ学院に変わっていた。原作のファンタジーパロではサトーくんは学校に通っていなかったのでオリジナルの設定だ。

セイントローズ学院の制服は、女子はネクタイもしくはリボンを胸元に着けて、コルセット付きスカートに短めの上着を羽織る、と言った感じだ。まるで学園モノのエロゲの制服みたいだぁ……(直喩)

かわいーからいいけど、これどっかで見た事あるなと思ってたら某ファンタジー系乙ゲー原作漫画の制服丸パクリじゃん。訴えられたら負けそう(小並感)

……とにかく新夢主の動向を探りたいので周囲を見回してみる。

あっいた。青魔少女の世界ではきさら……違うメアリーだ。なんか文字数稼ぎみたいで嫌だな。

青魔少女の世界ではメアリーみたいな髪色の者が普通らしく、黒髪ポニーテールの新夢主はすぐに見つけられた。

原作キャラはいなかった。妙だな……

「……はじめまして、神崎さん」

『……誰?』

あ、ちゃんと白抜き括弧になっている……。

振り向いた神崎は警戒するような目で私を見た。うわ態度わるわる~。やたらと重い過去持ってそう(偏見)

「昨日転校してきたんだよね、私たち昨日お家の事情で休んでたの。挨拶が遅れてごめんなさい。

私は(名前)=ワルコ。こっちはメアリー=ルイスだよ」

『私、神崎刀裏。よろしく』

無愛想にお返事をした神崎に申し訳程度の笑みを返して私は席に戻った。

「……(名前)ちゃん、かっこいい……///」

「眼科とか言った方がいいと思うんですけど(正論)」

恋をすると、相手が何をしていても素敵に見える……確かあばたもえくぼ、というやつだったか。メアリーは今まさにそんな感じであった。

こいつチョロすぎるだろ……やめたら夢主。(もうやめてる)こんなんに惚れられたってちっとも嬉しくないし。メアリーがサトーくんなら良かったのに。

横にデレデレのメアリーを侍らせながらの私が机に頬杖をつくと、いつの間にか神崎の周りに原作キャラたちが集まっているのが見えた。

青魔少女の世界での原作キャラたちも多分前作みたいにジェネリックなんだろう。だから私のことを知らないはず。

それでも私は嫉妬のあまり神崎にガン飛ばしかけたが良い子なので我慢した。




刀裏side

?「よお刀裏ちゃん!」





『……なんなんですか、貴方』





1人の男子生徒が私のそばに寄ってくる。声でかいし。





新「俺、佐藤新!君と仲良くしたくって……昨日あんまり話せなかったからさ!」





風「いけませんね佐藤。そんなに大きい声で話しかけては……女は花。女性と接する時はもっと優しく……」





京「この俺と同じクラスになれたことを一生の宝にしろ!」





え、何このイケメンは←





ユ「ごめん刀裏さん、いきなり声掛けて。びっくりしたよね」





そう言ってきてくれた女の子に私は首を横に振った。




『いえ、大丈夫です』





えっこの子可愛い私の妹にしたi←





葉「残念だったな、ユイは俺の妹だ」





新「うわっお前いつからそこに居たんだよ!?」





ユ「うん、兄さん……」





葉「俺は葉月聡司。そしてこいつが妹の」






ユ「ユイです。よろしくお願いします」





……まあ、ユイちゃんに免じてさっきビビらされたのは許してあげよう。





風「僕は風見和樹です。よければ放課後デートにでも……」





『いや無理です』





一同「「「「「即答」」」」」




私こういう馴れ馴れしいひと嫌いなんだよねー、ユイちゃんみたいに可愛い子とかだったらよかったんだけど。


私は持っていた鉛筆を主人公補正の力でへし折った。

「あのさぁ……(憤怒)」

「(名前)ちゃんっ!?」

神崎め。イキリクール夢主(笑)の分際でサトーくんたちの優しさを無下にしやがって。イキりたいお年頃なんだろうな、わかる。じゃあ、死のうか。(無慈悲)
しおりを挟む

処理中です...