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第1部 私の推しくんを返せ

第12話 原作

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萌亜璃side




どうして、どうしてみんな信じてくれないの?




あんな事が起こるまでは……みんな私に優しくしてくれたのに。




私が……私がいけなかったのかな?




みんなの優しさに甘えて……周りのこと考えてなかった。




だから、みんな私のこと信じてくれなかったのかな……




……多田野さんも、私のこと嫌いになったかな?




もしそうだったら嫌だな。




涙を堪えながら校舎の外に出てきた。




?「萌亜璃ちゃーん、ストップ!」




『……ッ!?』




……誰?




知らない男子生徒たちが私を取り囲む。




『だ、誰ですか!?』




男1「今までは囲い連中がいて手ェだせなかったけどよぉ」




男2「今のお前隙だらけなンだわ」




いきなり乱暴に腕を掴まれた。




『やめてっ!離してよっ!』




もがいても、男の力には敵わない。




そのまま乱暴にその場に押し倒される。




……誰か、助けて……!




…………多田野さん……ッ!!





……目が覚めたら、真っ白な空間だった。

ここはどこ?私は誰?……そう、天国だーーーーッ!!

……という実は学園長な、サトーくんの父親の劇場版での迷セリフを脳内で真似たりしていると、少し離れたところにぼんやりと人影が見えた。

「……誰?」

そう声をかけたところで気づく。声が悪子特有の刺々しい声じゃなくなってる。

……十数年間聞きなれた、(名前)……悪子成り代わる前の、私自身の声だ。

体を見下ろせば、花道学園の制服じゃなくていつもの服だし、手も、悪子特有のケバいダサい趣味悪いネイルした手じゃなくなってる。

……私、元に戻っ、てる?

「(名前)、聞こえるか?俺が見える?」

そう言いながら白い霧のむこうから現れたのは……サトーくん、だった。

「……サトーくん!?どうして!?」

サトーくんはさっきと打って変わって穏やかな表情でそこにいた。もうなんか駄作者が書いたクソカス夢小説に出てくるあんなジェネリックとは格がちがう神々しい男前たまらん(台無しにするな)

「(名前)に頼みがあるんだ」

「なに?私サトーくんの頼みならなんでも聞くよ!」

ああああせっかくサトーくんの前なのに今の自分最高にキモいくたばって欲しい。

そんなことを考えていたら、サトーくんの日焼けした逞しい手が私の手を取った。暖かい。心臓から発火しそう。燃え尽きるほどヒート。

「救って欲しいんだ……あの世界の俺たちを」

サトーくんがそう言うと同時に、サトーくんの後方に何人かの人影が見えた。

次第にそれは鮮明になって行った。葉月、ユイ、風見、京サマが姿を現す。みんな、私を優しげな表情で見つめていた。

「……それは(名前)にしかできないことなんだ。……俺たちを愛してくれている、(名前)だけができることなんだ」

サトーくんの言葉に、私はゆっくり頷いた。

「……大丈夫、私に任せて」

そう言うと、サトーくんは安心したようにふにゃりと笑った。守りたいこの笑顔。世界の宝

「……ありがとう」

私とサトーくんの手が離れる。名残惜しい気がしたけど、あえて追いかけない。



……私には、サトーくん……いや、原作キャラみんなが私にくれた愛の光がある。

やっぱり推しだけが世界を救うんだなって思った。(24時間テレビへの当てつけ)



救世主の名を受けてクソカス駄作者と戦う女(デビ〇マンの歌のリズムで歌おう!)と化した私はやっとのことで目を覚ました。

……というか階段下で倒れたままだし。誰も助けてくれんかったんかい。



萌亜璃side



『やだ……離して……』




必死で抵抗するけど、男子生徒たちは離してくれない。




制服のリボンを抜き取られる。




(そんな……私……もう終わりなの……?)




そう思った私が絶望しかけていた時、いきなり目の前の男子生徒がその場に倒れた。




男1「ウッ!?(バタッ)」




男3「ウグッ!?(バタッ)」




『えっ!?』




悪「退けコラ!!!うげ!!!台本書きだ!?!?!!」




意味不明なことを叫びながら折れた木の枝を振り回す多田野さんがいた。




……助けに来てくれたんだ……!!




ドギャッバギッ




男子生徒たちは次々と倒れていく




『多田野さんっ!って痛ぁーッ!?』




すごい形相の多田野さんが振り回す木の枝が、私の頭にも当たった。痛い……(泣)




悪「あっごめん如月。ついうっかり(テヘペロ)」




振り回していた木の枝を捨てながら倒れた男子生徒を踏んづけて、多田野さんが私のところへやって来た。




『ありがとう多田野さん……!(ギュッ)』




悪「いや別に、如月のためじゃ……きいいいいいいいい!!!!!!くっつくなメソメソすんな間抜けが!!!!!!」




怒った多田野さんは私を勢いよく引き剥がした。




『……それにしても、多田野さんなんだか雰囲気が変わったような……』




悪「ふっふふ……、そお?わかっちゃう?」




満面の笑みで答える多田野さんはそれ以上何も言わずに校舎の方へ戻って行く。




『ま、待ってよ多田野さんっ!一体どうするの?』




多田野さんは漆黒の髪を靡かせて振り向いた。






悪「この腐った世界を、ぶち壊します!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!(みちおが言いそうなことbot)」
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