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1日目

第26話 告白

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「にしても、陛下がここで食事たぁ
 珍しいな。
 んで、お前さん少年少女達は?」

「僕たちは、
 今日シオン兄に助けてもらったんだ。
 それで、国王様が今日はここで兵士宿舎
 食って寝ろって」

 そんな雑談をしながら
 少年少女らと、
 本来就寝時間の筈の兵士達は
 ニマニマしながら、
 シオンとクロエを見守っていた。

 ハッ!
 と、あることに気付くクロエは、
 シオンの顔色を伺う。
 茹でタコである。

「そ、某はまた余計な事を……」

 シオンに迷惑を掛け、
 再び評価が下がると思ったクロエは、
 いそいそと、シオンから離れようとする。

 が、離れられない。
 肩にシオンの手が回っていた。

「ご、ご主人?」

「すまん。
 もう少しこのままでいてくれ」

 これに対し、クロエも赤面した。
 二人して茹でタコだ。
 
「そ、某でよければ……」

「ヒュー♪ ヒュー♪
 見せつけてくれるねぇ」

 そこに、国王が真剣な眼差しで、
 シオンの肩を叩く。

「シオン……、少し話がある……」

「兄貴……もう少し空気を読んでくれよ」

 周囲からも「あぁ~あ」と声があがる。

「えぇい、五月蝿い。
 お前ら兵士達はもう寝ろ!
 明日あすは、
 赤サソリ盗賊団の捕縛があるのだ」

 兵士達は頭に「?」を浮かべている。

「陛下、
 確かに赤サソリ盗賊団は
 悪質で手配度も高いですが、
 今は竜種撃退の方が最優先かと」

 一人の兵士が国王に意見する。
 周囲の兵士達からも、
 「んだんだ」、
 「ボケちまったか?」など、
 とても失礼な言葉が飛び交っている。

 シオンの単独竜種撃退は
 まだ、伝えていなかった。

「竜種なら、シオンが退けしりぞたわ」

「………………はぁ!?」

「えぇ!? シオンさん単独で?
 マジすか!? パネェ……」

「やべぇ、竜種見たかった」

「バッカ野郎本来なら、
 死んでたかも知れねぇんだ。
 ここは、シオンさんに感謝だろ」

「そ、そうだな……」

「けど、俺竜種撃退のメンツに入ったって
 呑み仲間に自慢しちまった。
 見てない戦闘をどう話しゃいい?」

「あぁ……俺もだ」

「俺も家族に……」

 兵士達が意気消沈してしまった。

「解ったなら、さっさと寝ておけ」

「なぁ、クロエ?
 兵士の皆さんが可哀想だから、
 今度ドラゴンに戻ってやれねぇか?」

「そうしてやりたいんじゃが、
 いかんせん、魔素が足りん。
 [変化]は大量の魔素を使うでな。
 しかも、今日は2度も使ってしまった。
 回復には2年は要するじゃろ」

「そんなに掛かるのか……。
 クロエは2年も
 ドラゴンに戻れなくていいのか?」

「某はご主人の側に居られれば、
 姿形など気にはせん」

「可愛いなぁ」

-魔素か……、
-分けられるモノなら分けてやりてぇが。

スキル➡アクティブ➡譲渡
[魔素供給]神話級ゴッズ
任意の魔素を譲渡する
〈供給率〉
口移:1000% 接触:10% 非接触:1%
10000000Exp
(他の下位修得の為、合計11111100Exp消費)

残量:29045428Exp

-供給率悪ッ!!
-口移しだけ異常にたけぇ……。
-同性だと悲惨だな……、
-うっぷ……兄貴を想像しちまった。
-クロエの為のスキルだ。
-クロエの事を考えよ……。
-クロエのステータスはと……。

 クロエに集中し、
 ステータスが全体非表示で開示される。

/(一般)/戦闘/(所持)/(魔法)/(技能)/(耐性)/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前:クロエ
経験値随時レベル消費型
経験値:233986220二億Exp
NEXT:282780二十万Exp

レベル:342
HP:61470/61470
MP:980/40980

筋力:19124
耐久:20490
技量:13660
魔力:6830
幸運:8196

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-一回2万消費するのか……。
-俺の残魔素は……。
-4014090四百万……。
-ここは、40万の接触か?
-それとも、のちの事を考えて
-4000のく、口移しか……。


「あの~、シオンさん?」

 悩んでいると、
 兵士の一人が声を掛けてきた。

「ん? どした?」

「今……そのお嬢さんとの会話が
 少し聴こえたのですが……。
 その、ドラゴンなんですか?」

われもそれが聞きたかった」

「あぁ、そうだぜ。
 クロエは件のくだんドラゴンで
 俺の嫁だ」

「そうか、やはりドラゴンで……嫁?」

「ご、ごごごごごご主人!?
 い、いいいいい今、
 そ、そそそそそ某の事を
 よ、よよよよよ嫁と!?」

わりぃ、
 クロエの承諾を受けてなかったな。
 あんな説教染みた事言っといて、
 これじゃ人の事言えねぇな。
 クロエ、さっきの〈行動〉鼓動の確認単〈発言〉 生き物 には
 俺は心が救われた。
 兄貴ですら、俺が生き物か解らないと
 言ったら黙っちまったのにな」

 勿論、国王が黙ってしまったのは、
 クロエのドラゴン発言なのだが、
 真剣に話したシオンにとっては、
 最悪のタイミングだったのだ。

「だから、クロエ……、
 こんな俺だけど結婚して貰えないか?」

 それは、
 シオンからクロエに贈る告白だプロポーズった。



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(2016/12/18 修正)
ステータス開示も[最適]任せに変更しました。
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