27 / 58
1日目
第26話 告白
しおりを挟む
「にしても、陛下がここで食事たぁ
珍しいな。
んで、お前さん達は?」
「僕たちは、
今日シオン兄に助けてもらったんだ。
それで、国王様が今日はここで
食って寝ろって」
そんな雑談をしながら
少年少女らと、
本来就寝時間の筈の兵士達は
ニマニマしながら、
シオンとクロエを見守っていた。
ハッ!
と、あることに気付くクロエは、
シオンの顔色を伺う。
茹でタコである。
「そ、某はまた余計な事を……」
シオンに迷惑を掛け、
再び評価が下がると思ったクロエは、
いそいそと、シオンから離れようとする。
が、離れられない。
肩にシオンの手が回っていた。
「ご、ご主人?」
「すまん。
もう少しこのままでいてくれ」
これに対し、クロエも赤面した。
二人して茹でタコだ。
「そ、某でよければ……」
「ヒュー♪ ヒュー♪
見せつけてくれるねぇ」
そこに、国王が真剣な眼差しで、
シオンの肩を叩く。
「シオン……、少し話がある……」
「兄貴……もう少し空気を読んでくれよ」
周囲からも「あぁ~あ」と声があがる。
「えぇい、五月蝿い。
お前らはもう寝ろ!
明日は、
赤サソリ盗賊団の捕縛があるのだ」
兵士達は頭に「?」を浮かべている。
「陛下、
確かに赤サソリ盗賊団は
悪質で手配度も高いですが、
今は竜種撃退の方が最優先かと」
一人の兵士が国王に意見する。
周囲の兵士達からも、
「んだんだ」、
「ボケちまったか?」など、
とても失礼な言葉が飛び交っている。
シオンの単独竜種撃退は
まだ、伝えていなかった。
「竜種なら、シオンが退けたわ」
「………………はぁ!?」
「えぇ!? シオンさん単独で?
マジすか!? パネェ……」
「やべぇ、竜種見たかった」
「バッカ野郎本来なら、
死んでたかも知れねぇんだ。
ここは、シオンさんに感謝だろ」
「そ、そうだな……」
「けど、俺竜種撃退のメンツに入ったって
呑み仲間に自慢しちまった。
見てない戦闘をどう話しゃいい?」
「あぁ……俺もだ」
「俺も家族に……」
兵士達が意気消沈してしまった。
「解ったなら、さっさと寝ておけ」
「なぁ、クロエ?
兵士の皆さんが可哀想だから、
今度ドラゴンに戻ってやれねぇか?」
「そうしてやりたいんじゃが、
いかんせん、魔素が足りん。
[変化]は大量の魔素を使うでな。
しかも、今日は2度も使ってしまった。
回復には2年は要するじゃろ」
「そんなに掛かるのか……。
クロエは2年も
ドラゴンに戻れなくていいのか?」
「某はご主人の側に居られれば、
姿形など気にはせん」
「可愛いなぁ」
-魔素か……、
-分けられるモノなら分けてやりてぇが。
スキル➡アクティブ➡譲渡
[魔素供給]神話級
任意の魔素を譲渡する
〈供給率〉
口移:1000% 接触:10% 非接触:1%
10000000Exp
(他の下位修得の為、合計11111100Exp消費)
残量:29045428Exp
-供給率悪ッ!!
-口移しだけ異常に高ぇ……。
-同性だと悲惨だな……、
-うっぷ……兄貴を想像しちまった。
-クロエの為のスキルだ。
-クロエの事を考えよ……。
-クロエのステータスはと……。
クロエに集中し、
ステータスが全体非表示で開示される。
/(一般)/戦闘/(所持)/(魔法)/(技能)/(耐性)/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前:クロエ
経験値随時レベル消費型
経験値:233986220Exp
NEXT:282780Exp
レベル:342
HP:61470/61470
MP:980/40980
筋力:19124
耐久:20490
技量:13660
魔力:6830
幸運:8196
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-一回2万消費するのか……。
-俺の残魔素は……。
-4014090……。
-ここは、40万の接触か?
-それとも、後の事を考えて
-4000のく、口移しか……。
「あの~、シオンさん?」
悩んでいると、
兵士の一人が声を掛けてきた。
「ん? どした?」
「今……そのお嬢さんとの会話が
少し聴こえたのですが……。
その娘、ドラゴンなんですか?」
「我もそれが聞きたかった」
「あぁ、そうだぜ。
クロエは件のドラゴンで
俺の嫁だ」
「そうか、やはりドラゴンで……嫁?」
「ご、ごごごごごご主人!?
い、いいいいい今、
そ、そそそそそ某の事を
よ、よよよよよ嫁と!?」
「悪ぃ、
クロエの承諾を受けてなかったな。
あんな説教染みた事言っといて、
これじゃ人の事言えねぇな。
クロエ、さっきの〈行動〉と単〈発言〉には
俺は心が救われた。
兄貴ですら、俺が生き物か解らないと
言ったら黙っちまったのにな」
勿論、国王が黙ってしまったのは、
クロエのドラゴン発言なのだが、
真剣に話したシオンにとっては、
最悪のタイミングだったのだ。
「だから、クロエ……、
こんな俺だけど結婚して貰えないか?」
それは、
シオンからクロエに贈る告白だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(2016/12/18 修正)
ステータス開示も[最適]任せに変更しました。
珍しいな。
んで、お前さん達は?」
「僕たちは、
今日シオン兄に助けてもらったんだ。
それで、国王様が今日はここで
食って寝ろって」
そんな雑談をしながら
少年少女らと、
本来就寝時間の筈の兵士達は
ニマニマしながら、
シオンとクロエを見守っていた。
ハッ!
と、あることに気付くクロエは、
シオンの顔色を伺う。
茹でタコである。
「そ、某はまた余計な事を……」
シオンに迷惑を掛け、
再び評価が下がると思ったクロエは、
いそいそと、シオンから離れようとする。
が、離れられない。
肩にシオンの手が回っていた。
「ご、ご主人?」
「すまん。
もう少しこのままでいてくれ」
これに対し、クロエも赤面した。
二人して茹でタコだ。
「そ、某でよければ……」
「ヒュー♪ ヒュー♪
見せつけてくれるねぇ」
そこに、国王が真剣な眼差しで、
シオンの肩を叩く。
「シオン……、少し話がある……」
「兄貴……もう少し空気を読んでくれよ」
周囲からも「あぁ~あ」と声があがる。
「えぇい、五月蝿い。
お前らはもう寝ろ!
明日は、
赤サソリ盗賊団の捕縛があるのだ」
兵士達は頭に「?」を浮かべている。
「陛下、
確かに赤サソリ盗賊団は
悪質で手配度も高いですが、
今は竜種撃退の方が最優先かと」
一人の兵士が国王に意見する。
周囲の兵士達からも、
「んだんだ」、
「ボケちまったか?」など、
とても失礼な言葉が飛び交っている。
シオンの単独竜種撃退は
まだ、伝えていなかった。
「竜種なら、シオンが退けたわ」
「………………はぁ!?」
「えぇ!? シオンさん単独で?
マジすか!? パネェ……」
「やべぇ、竜種見たかった」
「バッカ野郎本来なら、
死んでたかも知れねぇんだ。
ここは、シオンさんに感謝だろ」
「そ、そうだな……」
「けど、俺竜種撃退のメンツに入ったって
呑み仲間に自慢しちまった。
見てない戦闘をどう話しゃいい?」
「あぁ……俺もだ」
「俺も家族に……」
兵士達が意気消沈してしまった。
「解ったなら、さっさと寝ておけ」
「なぁ、クロエ?
兵士の皆さんが可哀想だから、
今度ドラゴンに戻ってやれねぇか?」
「そうしてやりたいんじゃが、
いかんせん、魔素が足りん。
[変化]は大量の魔素を使うでな。
しかも、今日は2度も使ってしまった。
回復には2年は要するじゃろ」
「そんなに掛かるのか……。
クロエは2年も
ドラゴンに戻れなくていいのか?」
「某はご主人の側に居られれば、
姿形など気にはせん」
「可愛いなぁ」
-魔素か……、
-分けられるモノなら分けてやりてぇが。
スキル➡アクティブ➡譲渡
[魔素供給]神話級
任意の魔素を譲渡する
〈供給率〉
口移:1000% 接触:10% 非接触:1%
10000000Exp
(他の下位修得の為、合計11111100Exp消費)
残量:29045428Exp
-供給率悪ッ!!
-口移しだけ異常に高ぇ……。
-同性だと悲惨だな……、
-うっぷ……兄貴を想像しちまった。
-クロエの為のスキルだ。
-クロエの事を考えよ……。
-クロエのステータスはと……。
クロエに集中し、
ステータスが全体非表示で開示される。
/(一般)/戦闘/(所持)/(魔法)/(技能)/(耐性)/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
名前:クロエ
経験値随時レベル消費型
経験値:233986220Exp
NEXT:282780Exp
レベル:342
HP:61470/61470
MP:980/40980
筋力:19124
耐久:20490
技量:13660
魔力:6830
幸運:8196
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-一回2万消費するのか……。
-俺の残魔素は……。
-4014090……。
-ここは、40万の接触か?
-それとも、後の事を考えて
-4000のく、口移しか……。
「あの~、シオンさん?」
悩んでいると、
兵士の一人が声を掛けてきた。
「ん? どした?」
「今……そのお嬢さんとの会話が
少し聴こえたのですが……。
その娘、ドラゴンなんですか?」
「我もそれが聞きたかった」
「あぁ、そうだぜ。
クロエは件のドラゴンで
俺の嫁だ」
「そうか、やはりドラゴンで……嫁?」
「ご、ごごごごごご主人!?
い、いいいいい今、
そ、そそそそそ某の事を
よ、よよよよよ嫁と!?」
「悪ぃ、
クロエの承諾を受けてなかったな。
あんな説教染みた事言っといて、
これじゃ人の事言えねぇな。
クロエ、さっきの〈行動〉と単〈発言〉には
俺は心が救われた。
兄貴ですら、俺が生き物か解らないと
言ったら黙っちまったのにな」
勿論、国王が黙ってしまったのは、
クロエのドラゴン発言なのだが、
真剣に話したシオンにとっては、
最悪のタイミングだったのだ。
「だから、クロエ……、
こんな俺だけど結婚して貰えないか?」
それは、
シオンからクロエに贈る告白だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
(2016/12/18 修正)
ステータス開示も[最適]任せに変更しました。
0
お気に入りに追加
339
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
【魅了の令嬢】婚約者を簒奪された私。父も兄も激怒し徹底抗戦。我が家は連戦連敗。でも大逆転。王太子殿下は土下座いたしました。そして私は……。
川嶋マサヒロ
恋愛
「僕たちの婚約を破棄しよう」
愛しき婚約者は無情にも、予測していた言葉を口にした。
伯爵令嬢のバシュラール・ディアーヌは婚約破棄を宣告されてしまう。
「あの女のせいです」
兄は怒り――。
「それほどの話であったのか……」
――父は呆れた。
そして始まる貴族同士の駆け引き。
「ディアーヌの執務室だけど、引き払うように通達を出してくれ。彼女も今は、身の置き所がないだろうしね」
「我が家との取引を中止する? いつでも再開できるように、受け入れ体勢は維持するように」
「決闘か……、子供のころ以来だよ。ワクワクするなあ」
令嬢ディアーヌは、残酷な現実を覆せるのか?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる