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1日目
第08話 魔鉱の剣
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「は……い……」
扉の向こうで不穏な会話がされていた。
勿論、丸聞こえだ。
ー「まぁ、殺されないみたいだから安心だな」
ー「ちょ、兄貴⁉
それは罰を受けろと?」
ー「自業自得だ、甘んじて受けろ。
娘達の裸体見られたんだろ?」
ー「そりゃまぁ…!?
あ……や……何いってんす!?」
グリフィン家の方で用意が整ったようだ。
「それでは、このような場からで、
申し訳ありません。
親父は寝室に寝かせています。
皆様には居間に……冒険者のシオン様は、
1度外にお願いできますか?」
ー「え!? 俺だけ外!?
罰って何? そんな大層な罰な!?」
「すまないが、我はこちらの代表だ。
この者の罰なのだが……」
騎士の鎧を身に纏った国王が割って入ってきた。
シオンは何だかんだで助け船だと思った。
が……。
「我にも興味がある。見物させて貰えぬか?」
「え!? ちょ、兄貴?
助け船じゃないんかい!」
「何故そんな必要がある?
シオンよ……お前は罪を犯したのだ。
罰は受ける物だろう?
ご婦人も仰られたのだ、
殺しはしないと……受けろ」
ー「この#シオン_Lv.1000__#に罰……
面白そうだ……ククク……」
「兄貴……今、面白そうって……」
「折角だ、兵士も皆で見学しようではないか」
「それでは、
入口が風呂場で大変申し訳ありませんが、
皆様で外にお願い致します」
「はいはい……わかりましたよ」
シオンは漸く諦めた。
国王とシオンは兵士を引き連れ、
外に向かった。
兵士達もシオンの凄さは判っている。
どんな罰になるのか楽しみなようだ。
外に向かう途中微かに笑い声が聴こえた。
外に出ると、一家待ち受けていた。
「アタシの娘達の
あられもない姿を視ちまったのは、
お前さんだね?」
かなり大きめの声で。
……隣家は聴こえたかも知れない。
「あー、はいはい。不可抗力ですが……」
「娘達の裸体だろ?」
「はい!……あ……」
思わず返答してしまった。
タートレーの後ろにいた少女の一人は、
顔が赤くなった。
もう一人は、何だかこっちを睨みながら、
ブツブツ言ってる。
タートレーはシオンの正面まで近付き、
「正直だねぇ……さて、
このままだと娘が殺人者になっちまうから、
軽~く罰を殺ろうと思ってたんだが、
聞く所によると、
お前さん達はドラゴン討伐に行くんだろ?」
「え……はい、討伐ではなく、撃退ですが……」
「同じ様なもんだよ。
要はドラゴンに挑むんだろ?
なら、このくらいでへばりゃせんよねっ!!」
会話が終るってところで、
タートレーは持っていたフライパンを
シオンの顔目掛けて、想いっきり振りかぶった。
『パッキャーーー~ン!』
村に金属音が響き渡る。
フライパンは持ち手の所でバッキリ折れ、
面の部分はシオンの顔型が
クッキリ見て取れる程だった。
突然の妻の行動に旦那は慌てた。
「いくら何でもやり過ぎだ!
殺さない約束だろ?
あぁ、
何と言って侘びたら良いのか……。
殺すなんて……」
まるで、神にでも祈るかのような慌てようだ。
そんな旦那の言動も気にせず、
シオンが口を挟む。
「手首痛めませんでした?」
「「「!?」」」
シオンは無傷だった。
グリフィン一家は眼を丸くしている。
当人であるタートレーも驚いて声が出ない。
ファルだけ『チッ』と舌打ちした。
「あの手首、大丈夫ですか?」
シオンが再度訪ねると
「あ……あぁ、大丈夫だ。
これでも元傭兵だからね。
それにしても、
ただならぬ覇気を感じて
大丈夫とは思ったが、
まさか、無傷とはねぇ……」
再び国王は会話に割って入ってきた。
「しかし、これだと罰にならんな……」
ー「おい? 味方じゃないのか? 今何つった?」
「ご婦人や、
コレを使ってもう一度お願いしたい」
国王は脇に刺していた剣を差し出した。
タートレーは受けとると、
「これは……魔鉱!?」
扉の向こうで不穏な会話がされていた。
勿論、丸聞こえだ。
ー「まぁ、殺されないみたいだから安心だな」
ー「ちょ、兄貴⁉
それは罰を受けろと?」
ー「自業自得だ、甘んじて受けろ。
娘達の裸体見られたんだろ?」
ー「そりゃまぁ…!?
あ……や……何いってんす!?」
グリフィン家の方で用意が整ったようだ。
「それでは、このような場からで、
申し訳ありません。
親父は寝室に寝かせています。
皆様には居間に……冒険者のシオン様は、
1度外にお願いできますか?」
ー「え!? 俺だけ外!?
罰って何? そんな大層な罰な!?」
「すまないが、我はこちらの代表だ。
この者の罰なのだが……」
騎士の鎧を身に纏った国王が割って入ってきた。
シオンは何だかんだで助け船だと思った。
が……。
「我にも興味がある。見物させて貰えぬか?」
「え!? ちょ、兄貴?
助け船じゃないんかい!」
「何故そんな必要がある?
シオンよ……お前は罪を犯したのだ。
罰は受ける物だろう?
ご婦人も仰られたのだ、
殺しはしないと……受けろ」
ー「この#シオン_Lv.1000__#に罰……
面白そうだ……ククク……」
「兄貴……今、面白そうって……」
「折角だ、兵士も皆で見学しようではないか」
「それでは、
入口が風呂場で大変申し訳ありませんが、
皆様で外にお願い致します」
「はいはい……わかりましたよ」
シオンは漸く諦めた。
国王とシオンは兵士を引き連れ、
外に向かった。
兵士達もシオンの凄さは判っている。
どんな罰になるのか楽しみなようだ。
外に向かう途中微かに笑い声が聴こえた。
外に出ると、一家待ち受けていた。
「アタシの娘達の
あられもない姿を視ちまったのは、
お前さんだね?」
かなり大きめの声で。
……隣家は聴こえたかも知れない。
「あー、はいはい。不可抗力ですが……」
「娘達の裸体だろ?」
「はい!……あ……」
思わず返答してしまった。
タートレーの後ろにいた少女の一人は、
顔が赤くなった。
もう一人は、何だかこっちを睨みながら、
ブツブツ言ってる。
タートレーはシオンの正面まで近付き、
「正直だねぇ……さて、
このままだと娘が殺人者になっちまうから、
軽~く罰を殺ろうと思ってたんだが、
聞く所によると、
お前さん達はドラゴン討伐に行くんだろ?」
「え……はい、討伐ではなく、撃退ですが……」
「同じ様なもんだよ。
要はドラゴンに挑むんだろ?
なら、このくらいでへばりゃせんよねっ!!」
会話が終るってところで、
タートレーは持っていたフライパンを
シオンの顔目掛けて、想いっきり振りかぶった。
『パッキャーーー~ン!』
村に金属音が響き渡る。
フライパンは持ち手の所でバッキリ折れ、
面の部分はシオンの顔型が
クッキリ見て取れる程だった。
突然の妻の行動に旦那は慌てた。
「いくら何でもやり過ぎだ!
殺さない約束だろ?
あぁ、
何と言って侘びたら良いのか……。
殺すなんて……」
まるで、神にでも祈るかのような慌てようだ。
そんな旦那の言動も気にせず、
シオンが口を挟む。
「手首痛めませんでした?」
「「「!?」」」
シオンは無傷だった。
グリフィン一家は眼を丸くしている。
当人であるタートレーも驚いて声が出ない。
ファルだけ『チッ』と舌打ちした。
「あの手首、大丈夫ですか?」
シオンが再度訪ねると
「あ……あぁ、大丈夫だ。
これでも元傭兵だからね。
それにしても、
ただならぬ覇気を感じて
大丈夫とは思ったが、
まさか、無傷とはねぇ……」
再び国王は会話に割って入ってきた。
「しかし、これだと罰にならんな……」
ー「おい? 味方じゃないのか? 今何つった?」
「ご婦人や、
コレを使ってもう一度お願いしたい」
国王は脇に刺していた剣を差し出した。
タートレーは受けとると、
「これは……魔鉱!?」
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