愛するあなたを失いたくないけれど、今のままでは辛すぎる

蔵前

文字の大きさ
上 下
45 / 87
落とし穴はどこにでもある

虜囚となってしまったのか

しおりを挟む
 目覚めた時には外は暗く、俺は半日以上は眠っていたようだ。
 そして眠っていたのは一階のソファではなく、アナルセックスをしながら階段を上らされた記憶ばかりのメイヤーの寝室である。

「俺を担いでここまでか?あいつはどれだけ力持ちなんだ。」

 起き上がろうと体を起こして、カチャンと金属音が鳴り、俺の右手首が引っ張られる感覚にびくっとした。
 手錠でベッドに拘束されていたが、右手首には包帯が巻かれていて、手錠の輪によって傷つかない配慮もしてある。

「ああ、あいつが犯罪者気質の真っ当なストーカーだって事を忘れていた。」

「直ぐに外しますよ。ようやくお目覚めでほっとしました。」

 俺が目覚めるや寝室に現れたメイヤーに驚かなくなっている自分も病んで来たなと思いながら、手錠を早く外すようにと通じるようにメイヤーを眇め見ながら右手首を動かした。
 なぜか軍服姿なのも俺の背筋を冷やしていて、絶対になぜ軍服を着ているのかを訪ねないようにと心の中でメモをした。
 彼はセックスにおいては類まれなぐらいに、色々すぎる妄想を抱いている節があるのだ。

「はい、はい。申し訳ありません。でも、最近の薬は素晴らしいですね。ちゃんと時間通りに目が覚める。」

「時間通り?」

「はい。俺は出勤してきましたから。あなたはお疲れですからね。明日はお休みできるように仕事の調整をしてきました。」

「君は!」

 俺は今日から家に帰れるのか?

「感謝はいいですよ。家に帰ればあなたが待っていると思えば、俺はいくらでも仕事を頑張れるってものです。」

 メイヤーは話が通じなさそうなぐらいにハイテンションだ。
 そんな状態の男に声を荒げて刺激しないようにと、俺は深呼吸をして自分を押さえてから口を開いた。

「どうやって俺に薬を盛ったんだ?あのパスタか?」

「いいえ。あなたは凄くお疲れでしたからね、点滴を入れました。その点滴に二時間ほど眠れる分の薬をね。どうですか?ぐっすり眠れて体が軽くなっているでしょう?」

 メイヤーは医者のように俺の首筋などを触って来て、俺は士官学校が看護士資格も授与される事に今さらに怒りが湧いた。
 確かに、医者のいないテラフォーミング途中の惑星で兵士に何かあったとしたら、そんな資格が無ければ互いに助け合われないけれどね、こんな風に資格を悪用する馬鹿がいるんだぞ、と。

「よくわかった。お気遣いありがとう。で、手錠を外してくれないのか?」

「あの。手錠を付けたあなたにムラムラ来ちゃって。このまま一回やってもいいですか?明日はお休みですから良いですよね。」

「ベッドに縛られるのは腕が痛くて楽しめそうもない。両手拘束にしてくれないか?俺は痛いのは嫌なんだ。」

 両手拘束でもベッドから動けるならば逃げる事が出来る。

「ああ、いいですね!まず、俺のものを差し込んでから、あなたのご希望通りにいたします。あなたがその気になってくれて俺は嬉しくて堪らないです!」

 メイヤーは俺の顔を掴んで横に向かせて無理矢理に口づけ、俺が抵抗する間もなく俺の下半身に手を伸ばして刺激を与えて来た。
 休息をとったからか俺の性器は直ぐに力を取りもどし、腫れて、いや、これは俺が尿意を感じているからだ。
 俺を後ろから抱きしめ続けるメイヤーが、俺の弱い耳の下や首筋を舐めて吸っているからではない。

「ま、待ってくれ!トイレにいかせてくれ。」

「漏らしてください。俺は全くかまいません。」

 俺は観念すると体から力を抜き、メイヤーに差し込まれる事を選んだ。

「早く挿入れてくれ。俺はトイレで出したいんだ。」

「ああ、素敵だ。あなたはトイレで出す。そんなあなたに突っ込んでいる俺。」

 どうしてこんなやつをダンと似ているなんて、俺は一瞬でも考えたのだろう。

「では力を、ああ、もう抜いていてくれましたか。」

 俺の後ろに威圧的なモノが押し付けられ、それはゆっくりと、俺に俺が穿たれてることを知らしめるようにずんずんと入って来た。
 何度もされていたからか、俺の身体は簡単にメイヤーを受けいれたが、それでも感覚がなくなるどころか回数を重ねるごと感覚が鋭くなって行くようだ。
 俺の両目からは涙が零れ、身体が受けた威圧感を逃すために息を吐いたが、情けない声も一緒に出てしまった。

「はああああん。」

「ああ、いい声だ。中は俺の為に熱くたぎっている。」

 メイヤーは俺の中で動き出し、ぎしっぎしっととベッドは軋んだ。
 俺の性器はパンパンに腫れて、このままでは小水を漏らすと歯ぎしりもした。

「ああ、そうだった。約束を破ってしまう所だった。」

 メイヤーは俺の右手首を拘束する手錠の端、ベッドに引っ掛けてある手錠をベッドから外した。
 そして外した輪っかを、約束通りだと俺の左手首に嵌めたのだ。

「じゃあ、次はトイレですね。」

「ははは。お前には憐憫の情が無いのか?」

「あなたへの愛情しかありません。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

家出したとある辺境夫人の話

あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』 これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。 ※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。 ※他サイトでも掲載します。

記憶がないなら私は……

しがと
恋愛
ずっと好きでようやく付き合えた彼が記憶を無くしてしまった。しかも私のことだけ。そして彼は以前好きだった女性に私の目の前で抱きついてしまう。もう諦めなければいけない、と彼のことを忘れる決意をしたが……。  *全4話

【完結】望んだのは、私ではなくあなたです

灰銀猫
恋愛
婚約者が中々決まらなかったジゼルは父親らに地味な者同士ちょうどいいと言われ、同じ境遇のフィルマンと学園入学前に婚約した。 それから3年。成長期を経たフィルマンは背が伸びて好青年に育ち人気者になり、順調だと思えた二人の関係が変わってしまった。フィルマンに思う相手が出来たのだ。 その令嬢は三年前に伯爵家に引き取られた庶子で、物怖じしない可憐な姿は多くの令息を虜にした。その後令嬢は第二王子と恋仲になり、王子は婚約者に解消を願い出て、二人は真実の愛と持て囃される。 この二人の騒動は政略で婚約を結んだ者たちに大きな動揺を与えた。多感な時期もあって婚約を考え直したいと思う者が続出したのだ。 フィルマンもまた一人になって考えたいと言い出し、婚約の解消を望んでいるのだと思ったジゼルは白紙を提案。フィルマンはそれに二もなく同意して二人の関係は呆気なく終わりを告げた。 それから2年。ジゼルは結婚を諦め、第三王子妃付きの文官となっていた。そんな中、仕事で隣国に行っていたフィルマンが帰って来て、復縁を申し出るが…… ご都合主義の創作物ですので、広いお心でお読みください。 他サイトでも掲載しています。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます

おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」 そう書き残してエアリーはいなくなった…… 緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。 そう思っていたのに。 エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて…… ※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

処理中です...