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取りあえず一歩前進するべき
さあ、お着換えだ!
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デ・エ・ト、それは、恋人達が出掛けるイベント!
私の頭の中では、天使達がパンパカパーンとラッパを騒々しく鳴らしまくっていた。
「行く!行きます!行かないでか!」
「ハハハ。じゃあ、十分後にここに集合。いいかな、あ、女の子は三十分は必要かな?」
「五分で充分よ!」
もたもたしてデートに出られなくなったら大変だ。
私はダンに敬礼をして見せると自分の部屋へと飛び込んだ。
リビングでは彼の心地よい笑い声が聞こえる。
「さあ、何を着る?」
クローゼットに向かったそこで、私の通信機器がメッセージを受け取った。
「なあにって、ジュリアンったら。」
なぜ私のクローゼットの中身を知っているのか知らないが、ダンが喜びそうな組み合わせ服の提案という神様からのお言葉にしか思えないメッセージだった。
私は明日からも兄に頼まれれば、いつでも兄の部屋の掃除をしてあげよう。
でも本当にこれでいいの、かな?
指定されたニットワンピースはニットだから体の線が出ると下にズボンを合わせたりしていたが、兄のメッセージには、合わせるものはレースのキャミワンピだけにしろ、とある。
私は瞬間悩んだが、兄の言う通りにした。
好きな男性の好みが何か悩むのならば、その親友男性からのアドバイスに従うべきだと思ったのだ。
足元をハーフブーツにすれば丸ごと足を出しているみたいでなくなり、それ程恥ずかしくない?かな。
次に化粧はどうするか?
時間は五分だ。
よって、パウダーをはたいて眉を描き、そして、リップだけを塗った。
いつもの外出用身だしなみでしか無いが、ちゃんと化粧というものをした事が無い私にはこれが精いっぱいでもある。
でも、初めてのデートなのである。
私は不安に駆られて鏡を覗き直せば、そこにはいつもの私しかいない。
「うーん。やっぱり、もう少し色が欲しい、気がする。」
買ったまま使った事もないアイシャドーケースを取り出し、怖々と色がついてるか分からないぐらいにほんの少しだけ、ちょっとだけと、ピンクとブラウンを瞼に塗った。
「だい、丈夫かな?化粧しているのを嫌って言わないかな?」
少し不安になった。
私が今までしっかりメイクをしようと考えなかったのは、ダンがナチュラル風のモデルや女優に好感を示している風であったからだ。
ばたん。
ドアの開閉の音!
ダンが部屋から出てきている!
私は彼を待たせてはいけないと、とにかく部屋から飛び出した。
ダンは、わあ、ダンは、紺色のワッフル素材の長袖シャツに濃い色のジーンズといつものようでいつもと違って見える格好をしていた。
普段一緒に買い物に行く時のジーンズはもっとダメージ受けているし、シャツは白のTシャツにその時々の着慣れたシャツを上に羽織るかそのままだものね!
「あ、俺は、変、だったかな?」
ごめんなさい。
声を失っていたのは変だからじゃ無いの!
あなたのVネックから鎖骨が見えて素敵だわと、私はあなたの鎖骨から喉仏を舐めるように、ええ、しっかり舐める想像をしながら見つめていました。
だってあなた、目尻に笑い皺を寄せて見下ろしてくれちゃっているけれど、私はあなたのその表情で腰が抜ける寸前なのよ!
「ダン、あなたはどうしてそんなに素敵なの?」
彼は途端に人形のような顔に固まり、その数秒後に腹を抱えて吹き出し、私の大好きな笑い声を部屋中に大きく立ててくれた。
私の頭の中では、天使達がパンパカパーンとラッパを騒々しく鳴らしまくっていた。
「行く!行きます!行かないでか!」
「ハハハ。じゃあ、十分後にここに集合。いいかな、あ、女の子は三十分は必要かな?」
「五分で充分よ!」
もたもたしてデートに出られなくなったら大変だ。
私はダンに敬礼をして見せると自分の部屋へと飛び込んだ。
リビングでは彼の心地よい笑い声が聞こえる。
「さあ、何を着る?」
クローゼットに向かったそこで、私の通信機器がメッセージを受け取った。
「なあにって、ジュリアンったら。」
なぜ私のクローゼットの中身を知っているのか知らないが、ダンが喜びそうな組み合わせ服の提案という神様からのお言葉にしか思えないメッセージだった。
私は明日からも兄に頼まれれば、いつでも兄の部屋の掃除をしてあげよう。
でも本当にこれでいいの、かな?
指定されたニットワンピースはニットだから体の線が出ると下にズボンを合わせたりしていたが、兄のメッセージには、合わせるものはレースのキャミワンピだけにしろ、とある。
私は瞬間悩んだが、兄の言う通りにした。
好きな男性の好みが何か悩むのならば、その親友男性からのアドバイスに従うべきだと思ったのだ。
足元をハーフブーツにすれば丸ごと足を出しているみたいでなくなり、それ程恥ずかしくない?かな。
次に化粧はどうするか?
時間は五分だ。
よって、パウダーをはたいて眉を描き、そして、リップだけを塗った。
いつもの外出用身だしなみでしか無いが、ちゃんと化粧というものをした事が無い私にはこれが精いっぱいでもある。
でも、初めてのデートなのである。
私は不安に駆られて鏡を覗き直せば、そこにはいつもの私しかいない。
「うーん。やっぱり、もう少し色が欲しい、気がする。」
買ったまま使った事もないアイシャドーケースを取り出し、怖々と色がついてるか分からないぐらいにほんの少しだけ、ちょっとだけと、ピンクとブラウンを瞼に塗った。
「だい、丈夫かな?化粧しているのを嫌って言わないかな?」
少し不安になった。
私が今までしっかりメイクをしようと考えなかったのは、ダンがナチュラル風のモデルや女優に好感を示している風であったからだ。
ばたん。
ドアの開閉の音!
ダンが部屋から出てきている!
私は彼を待たせてはいけないと、とにかく部屋から飛び出した。
ダンは、わあ、ダンは、紺色のワッフル素材の長袖シャツに濃い色のジーンズといつものようでいつもと違って見える格好をしていた。
普段一緒に買い物に行く時のジーンズはもっとダメージ受けているし、シャツは白のTシャツにその時々の着慣れたシャツを上に羽織るかそのままだものね!
「あ、俺は、変、だったかな?」
ごめんなさい。
声を失っていたのは変だからじゃ無いの!
あなたのVネックから鎖骨が見えて素敵だわと、私はあなたの鎖骨から喉仏を舐めるように、ええ、しっかり舐める想像をしながら見つめていました。
だってあなた、目尻に笑い皺を寄せて見下ろしてくれちゃっているけれど、私はあなたのその表情で腰が抜ける寸前なのよ!
「ダン、あなたはどうしてそんなに素敵なの?」
彼は途端に人形のような顔に固まり、その数秒後に腹を抱えて吹き出し、私の大好きな笑い声を部屋中に大きく立ててくれた。
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