目覚めたら全裸な俺は全裸な王子と一緒にゴブリンに強襲された砦を逃亡するクエストを与えられた!

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屋敷の上階にこそ危険フラグが一杯

俺は誰にとっても普通?

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 ユージンは階段ルート内どころか、きっと、いや確実に屋敷のゴブリンオークの殆どを殲滅した気がする。
 そんな彼が目指すのは、階下の直ぐ出られそうなエントランスドアではなく、五階建ての建物の最上階のその上、屋上とも呼べる所だ。

 俺がそんな事を提案してしまったばっかりに。

 思い返せば、ユージンは俺の提案に対してどんなに彼の部下が反対を唱えようと、絶対に俺の肩を持っていなかったか?

 俺は一緒に階段を上る男の横顔を見つめ、彼は本気で俺一筋なのだろうかと初めてちゃんと考えていた。
 俺は凄く幸せだった。
 親には愛の結晶として大事にされ、欲しいものは何でも与えられて、俺はこれ以上を望むべくもないほど幸せだった。
 それがいつからか、心の中に空しさ、も湧いていたのだ。

 いや、憧れと渇望かな。
 両親のように愛し愛される相手が欲しい、そんな欲望だ。

 しかし旅を始めて、俺が出会った出会いはゴブリンオークなどの戦闘しかなく、助けても俺の姿に逃げ出す人々ばかりだった。
 ドラグーン王国でも、客人として手厚く歓迎はされているが、尻の座りが悪いというか居心地の悪い生活でもある。
 ちらちら俺を見る癖に、誰も俺に話しかけようとしないのだ。
 俺はユージンの整った横顔を見つめながら、女々しい質問をぶつけていた。

「ドラグーン王国では俺の外見はあんまり好かれていないじゃない?俺の外見ってあんまり良くないのかな?俺は三か月前まで親とだけの生活だったからさ。普通とかそういうのよくわかんない、から。ってぎゃあ!」

 綺麗な顔もここまで変顔が出来るのか!
 顔を皺だらけにして目をかっと見開いたユージンが俺を見返してきて、俺の心臓が止まるかと思うぐらいに驚いた。

「何を言っているの!君は可愛い!色とりどりの飴細工のようだと、いやいや、この上なく高価な宝玉のようだと、俺は君に何度言った!君はそれは完全スルーか?俺こそ君の勘定に入っていない?」

「いや、だって、ドラグーン王国ではお前以外は誰も俺に話しかけないじゃない。君の部下だって、俺が何を言っても反対ばっかりで。ユージンが俺を庇ってくれるのは嬉しいよ?でもさ、友人なら、おかしい所はおかしいって教えて欲しいんだ。だって、俺は友人を作るために家を出たのだもの。って、きゃあ!」

 俺はユージンに抱きしめられていた。

「かわいい!ああ!可愛い!俺は間違っていなかった!」

「ど、どうしたんだよ!」

 ユージンは素晴らしい笑顔でワハハと笑った。
 世界を手に入れたも同じ、という顔だ。

「俺の目の前でヴォラクに好意を見せた奴は殺す。今日ほどこんな我儘がきく王子で良かったと思ったことはない!友達が欲しかった?そんな甘々な君は、行く先々の好意にほだされて、今頃は大穴の穴ぼこにされていたはずだ。」

「俺の悩んで悩んだ寂しい三か月を返せ!このばか!」

 俺はユージンを突き飛ばし、階段を最上階まで一気に駆け上がっていた。
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