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妖魔山編
1807.戦闘を行う能力の高さと、寸分違わぬ魔の駆け引き
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ソフィ達が同じ『妖魔山』の中腹に居る『帝楽智』といった天狗族と戦っている頃、妖魔召士シギンと妖魔神の神斗は、あの薄暗い洞穴の中に封印されていた『煌阿』という妖魔の存在と相対していた。
その煌阿の存在を数十年前に知ったシギンは、この煌阿が自分の生きている間に『結界』を破り、このように外に出て来るだろうと予見して、単独で『妖魔山』に残り監視を続けていたが、どうやらその日がようやくこうして訪れてしまったようである。
当然、この『煌阿』が出て来るまで何も準備などせずに『監視』を行っていただけというわけではなく、組織の長の座を退いてから、ずっとこれまでと同様に『魔』の研鑽に努めて『魔』の疑問と答えを生み出し続ける日々を送ってきた。
すでに妖魔召士の長の座を退いた時より、魔力値は相当に上昇している。そして更には『理』を用いた『魔法』の数々も生み出し続けて、こうしていつでも煌阿と戦える状態にまで自身を鍛え上げた。
常にこうして煌阿と戦う事を頭の中でシミュレートをし続けてきたシギンだったが、どうやら現物はその脳内に描いた『煌阿』よりも、もう一段階も二段階も手強い『存在』だったようである。
想像通りに煌阿は『魔力値』や『戦力値』も並外れたモノを持ってはいたが、そちらよりも特質すべきは、煌阿が思っていた想定より遥かに『魔』の理解者である事に有った。
このシギンや煌阿のような戦闘の領域ともなれば、単純な『戦力値』や『魔力値』の高さなどは、あっさりと『魔』の技法を用いる事でいくらでも逆転が可能である。
その中で重要な事となってくるのは、如何に『魔』を用いた駆け引きで相手の読みの裏をかけるかにかかってくるのだが、この煌阿はシギンが仕掛けたいくつもの『魔』の技法の罠を単に潜り抜けるだけではなく、シギンにおかしいと思わせる事なく、辻褄をしっかりと合わせながらシギンの『魔』の技法を逆手にとって、罠に嵌ったと思わせてからどんでん返しを行い、見事にシギンの虚を衝く事に成功してみせた。
一連の流れを簡潔に説明すると、シギンの『魔』の技法である『蒙』によって、一度は『煌阿』の『魔力値』や『戦力値』といった戦闘能力の弱体化に成功する事となった。
しかしそれは本当であればあっさりと解除が行える程度の効力だったのだが、煌阿は安易にそこで解除を行わず、妖魔召士シギンという人間が、妖魔召士『卜部官兵衛』の血筋だと理解している事により、あえてシギンの『蒙』の効果による弱体化を受け入れて、その先に待ち受けているであろうシギンの『魔』の技法に備えて何をするかを見定めてから『蒙』の効力をそこでようやく解除を行い、基の『魔力値』に戻す事で、シギンの狙いである『魔力値』を自身の『魔力』を織り交ぜる事で生じた『術』や『技法』そのものを封じる『技法』そのものを『時空領域』に到達している『透過』によって、シギンの技法を打ち消して戦闘を行う前の本来の『魔力値』へと戻して見せたのである。
この一連の流れのポイントとなる部分は、最初のシギンの放った『蒙』を安易に解除せず、受け入れる煌阿の覚悟が並外れていた事が一つ目のポイントといえる。
何故なら、煌阿がいくら『蒙』をいつでも解除出来る程に『透過』領域が『時空干渉』に達していたのだとしても、シギンの『蒙』のような弱体化を行う『技法』そのものが一つだけではなく、更に別にも用意されていたとしたならば、煌阿は『蒙』を解除するタイミングを失い、別の『魔』の技法によってさらに細かく『魔力』を封じられてしまっていた可能性もある。
そうなれば、あっさりと解除が出来ていた筈の『蒙』による弱体化状態を返せず、シギンによる一方的な『魔』の技法の数々をその身に受ける事となり、何もかもが取り返しのつかないような後手後手に回されていき、最終的に『透過』そのものを扱う『魔力』までもが封じられていた可能性まであったのである。
もちろんそうならないように、ある程度まで行けると判断を見極めていた煌阿だからこそ、シギンの『蒙』をわざと受け入れて、シギンに委細上手く行っていると勘違いをさせて、次々と『魔』の技法を展開させた流れではあったのだが、もしその煌阿の見極めの見当に一つでもズレが生じていたのならば、駆け引きは失敗に終わり、あっさりとシギンの『魔力』の一部が煌阿の体内に入り込み、戦闘局面全体が決まってしまっていただろう。
つまりこれは煌阿が十二分に『魔』の概念と、シギンの力量そのものを理解していたからこそ、行えた結果なのである。
そして二つ目のポイントとなるのだが、煌阿の『魔力コントロール』の精密性が、この一連のやり取りを成立させる事の出来る結果の全てを担っているといえた。
シギンの『蒙』に対して行われた煌阿の『透過』は、あくまで『魔力干渉領域』なのだが、これは当然にも煌阿が『時空干渉領域』を扱える分の『魔力』を節約したわけではなく、その『魔力干渉領域』分でしか『透過』が扱えない事にあった。
煌阿が受けても問題はないと判断した『蒙』ではあるが、そう思っていても実際に『蒙』の効力は恐ろしいものであり、あっさりと煌阿の『透過』が行える『魔力値』を『魔力干渉領域』分にまで弱体化してみせた。
いくら元々の煌阿の『魔力値』が相当に高いものであったとしても、シギンの『蒙』を解除出来るだろうという判断が少しでも見誤っていたならば、後からシギンが何をやろうとしているか理解が出来たとしても、その『透過』を行い『蒙』を解除出来なかった筈なのである。
思い出して欲しいのだが、この世界には『漏出』といった数値を的確に測る事の出来る『魔法』は存在をしていない。
つまり解除が行えるだろうと凡その見当が煌阿についていたとしても、魔力が僅か『1』分だけ足りないだけであっても『蒙』を解除出来なかった可能性があるのだ。
この時に『蒙』を解除出来なければ、全ての計画は水泡と帰し、その後のシギンの『魔力』の一部を体内へと送り込む『魔』の技法によって、煌阿は全ての『魔』の技法を封じられて、後はもうシギンのされるがままに消滅させられ得る事や、官兵衛の時のように、長年に渡って封じられる事を受け入れなければならない結果が待っていた事になる。
流石のシギンも煌阿がわざと『蒙』の弱体化を受けるとまでは想像が出来ず、結果的には見事に駆け引きに勝利をした煌阿だが、この煌阿の自身の膨大な魔力値をシギンのように、その魔力『1』に至るまで完全に、そして完璧に理解した上で、その『1』すらも違わずに見事に魔力をコントロール出来るという自信があるからこそ、シギンを騙しきれたといえる。
煌阿のシギンに対する『魔』の理解度を完璧に理解して信用していた事と、自身の『魔力値』を完全に把握した上で、何が起きても『透過』の『魔力干渉領域』を使う分の『魔力』は残るだろうという自分への信頼があったからこそ、この『魔』による戦闘の一連の駆け引きを成立させて、無事に最強の妖魔召士である『シギン』の『魔』の概念と『魔』の技法から逃れて、無事に何事もなく『魔力値』を元に戻せたのである。
……
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その煌阿の存在を数十年前に知ったシギンは、この煌阿が自分の生きている間に『結界』を破り、このように外に出て来るだろうと予見して、単独で『妖魔山』に残り監視を続けていたが、どうやらその日がようやくこうして訪れてしまったようである。
当然、この『煌阿』が出て来るまで何も準備などせずに『監視』を行っていただけというわけではなく、組織の長の座を退いてから、ずっとこれまでと同様に『魔』の研鑽に努めて『魔』の疑問と答えを生み出し続ける日々を送ってきた。
すでに妖魔召士の長の座を退いた時より、魔力値は相当に上昇している。そして更には『理』を用いた『魔法』の数々も生み出し続けて、こうしていつでも煌阿と戦える状態にまで自身を鍛え上げた。
常にこうして煌阿と戦う事を頭の中でシミュレートをし続けてきたシギンだったが、どうやら現物はその脳内に描いた『煌阿』よりも、もう一段階も二段階も手強い『存在』だったようである。
想像通りに煌阿は『魔力値』や『戦力値』も並外れたモノを持ってはいたが、そちらよりも特質すべきは、煌阿が思っていた想定より遥かに『魔』の理解者である事に有った。
このシギンや煌阿のような戦闘の領域ともなれば、単純な『戦力値』や『魔力値』の高さなどは、あっさりと『魔』の技法を用いる事でいくらでも逆転が可能である。
その中で重要な事となってくるのは、如何に『魔』を用いた駆け引きで相手の読みの裏をかけるかにかかってくるのだが、この煌阿はシギンが仕掛けたいくつもの『魔』の技法の罠を単に潜り抜けるだけではなく、シギンにおかしいと思わせる事なく、辻褄をしっかりと合わせながらシギンの『魔』の技法を逆手にとって、罠に嵌ったと思わせてからどんでん返しを行い、見事にシギンの虚を衝く事に成功してみせた。
一連の流れを簡潔に説明すると、シギンの『魔』の技法である『蒙』によって、一度は『煌阿』の『魔力値』や『戦力値』といった戦闘能力の弱体化に成功する事となった。
しかしそれは本当であればあっさりと解除が行える程度の効力だったのだが、煌阿は安易にそこで解除を行わず、妖魔召士シギンという人間が、妖魔召士『卜部官兵衛』の血筋だと理解している事により、あえてシギンの『蒙』の効果による弱体化を受け入れて、その先に待ち受けているであろうシギンの『魔』の技法に備えて何をするかを見定めてから『蒙』の効力をそこでようやく解除を行い、基の『魔力値』に戻す事で、シギンの狙いである『魔力値』を自身の『魔力』を織り交ぜる事で生じた『術』や『技法』そのものを封じる『技法』そのものを『時空領域』に到達している『透過』によって、シギンの技法を打ち消して戦闘を行う前の本来の『魔力値』へと戻して見せたのである。
この一連の流れのポイントとなる部分は、最初のシギンの放った『蒙』を安易に解除せず、受け入れる煌阿の覚悟が並外れていた事が一つ目のポイントといえる。
何故なら、煌阿がいくら『蒙』をいつでも解除出来る程に『透過』領域が『時空干渉』に達していたのだとしても、シギンの『蒙』のような弱体化を行う『技法』そのものが一つだけではなく、更に別にも用意されていたとしたならば、煌阿は『蒙』を解除するタイミングを失い、別の『魔』の技法によってさらに細かく『魔力』を封じられてしまっていた可能性もある。
そうなれば、あっさりと解除が出来ていた筈の『蒙』による弱体化状態を返せず、シギンによる一方的な『魔』の技法の数々をその身に受ける事となり、何もかもが取り返しのつかないような後手後手に回されていき、最終的に『透過』そのものを扱う『魔力』までもが封じられていた可能性まであったのである。
もちろんそうならないように、ある程度まで行けると判断を見極めていた煌阿だからこそ、シギンの『蒙』をわざと受け入れて、シギンに委細上手く行っていると勘違いをさせて、次々と『魔』の技法を展開させた流れではあったのだが、もしその煌阿の見極めの見当に一つでもズレが生じていたのならば、駆け引きは失敗に終わり、あっさりとシギンの『魔力』の一部が煌阿の体内に入り込み、戦闘局面全体が決まってしまっていただろう。
つまりこれは煌阿が十二分に『魔』の概念と、シギンの力量そのものを理解していたからこそ、行えた結果なのである。
そして二つ目のポイントとなるのだが、煌阿の『魔力コントロール』の精密性が、この一連のやり取りを成立させる事の出来る結果の全てを担っているといえた。
シギンの『蒙』に対して行われた煌阿の『透過』は、あくまで『魔力干渉領域』なのだが、これは当然にも煌阿が『時空干渉領域』を扱える分の『魔力』を節約したわけではなく、その『魔力干渉領域』分でしか『透過』が扱えない事にあった。
煌阿が受けても問題はないと判断した『蒙』ではあるが、そう思っていても実際に『蒙』の効力は恐ろしいものであり、あっさりと煌阿の『透過』が行える『魔力値』を『魔力干渉領域』分にまで弱体化してみせた。
いくら元々の煌阿の『魔力値』が相当に高いものであったとしても、シギンの『蒙』を解除出来るだろうという判断が少しでも見誤っていたならば、後からシギンが何をやろうとしているか理解が出来たとしても、その『透過』を行い『蒙』を解除出来なかった筈なのである。
思い出して欲しいのだが、この世界には『漏出』といった数値を的確に測る事の出来る『魔法』は存在をしていない。
つまり解除が行えるだろうと凡その見当が煌阿についていたとしても、魔力が僅か『1』分だけ足りないだけであっても『蒙』を解除出来なかった可能性があるのだ。
この時に『蒙』を解除出来なければ、全ての計画は水泡と帰し、その後のシギンの『魔力』の一部を体内へと送り込む『魔』の技法によって、煌阿は全ての『魔』の技法を封じられて、後はもうシギンのされるがままに消滅させられ得る事や、官兵衛の時のように、長年に渡って封じられる事を受け入れなければならない結果が待っていた事になる。
流石のシギンも煌阿がわざと『蒙』の弱体化を受けるとまでは想像が出来ず、結果的には見事に駆け引きに勝利をした煌阿だが、この煌阿の自身の膨大な魔力値をシギンのように、その魔力『1』に至るまで完全に、そして完璧に理解した上で、その『1』すらも違わずに見事に魔力をコントロール出来るという自信があるからこそ、シギンを騙しきれたといえる。
煌阿のシギンに対する『魔』の理解度を完璧に理解して信用していた事と、自身の『魔力値』を完全に把握した上で、何が起きても『透過』の『魔力干渉領域』を使う分の『魔力』は残るだろうという自分への信頼があったからこそ、この『魔』による戦闘の一連の駆け引きを成立させて、無事に最強の妖魔召士である『シギン』の『魔』の概念と『魔』の技法から逃れて、無事に何事もなく『魔力値』を元に戻せたのである。
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