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妖魔山編
1791.妖魔召士シギンと魔の概念
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この『ノックス』の世界では、古くから今日まで長きに渡って『人間』と『妖魔』が争ってきている。
元々の原因が何であったかなどは、書記などを残す文化が確立されるよりも前の出来事であったが為に、今を生きる人間達には当然に知る由もないが、その妖魔が人里に現れて好き勝手に襲ってくるが為に、当然に身を守る為に人間達も防衛手段を徐々に確立させていき、今の世では『魔』の概念の一つである『捉術』という『魔』の技法が民達を守る術となっている。
この世界では生まれた時に『捉術』を用いられるだけの『魔力値』を持っていなければ、妖魔に対抗するだけの戦士の資格がないと判断されて冷遇されて育てられる事となる。
その原因となるのが『魔力値』を伸ばす手段が『魔』の技法を用いる他にないからであり、この世界に『理』を生み出す『精霊』の存在も居ない以上は、他の世界のように『魔法』を使用して『魔力』を少しずつ上げるといった要素がない事が要因に挙げられる。
生まれた時から『捉術』を用いられる程の一定の『魔力値』を持たない者は、当然に妖魔と戦う事は禁じられてきた事もあり、いくら妖魔と戦おうという志が強い者であっても、必然的に『妖魔召士』という職業を諦めて他の職業に就く事を強制されてしまう。
そのような理由から人間達の間では、この『魔力』を持つ者が全てという考えが浸透しきっている。
すでにそんな社会が確立されてしまった後に、この世に生まれた『シギン』は、魔力の鑑定が行われる幼少の頃には、すでにそんな社会の縮図を理解し終えていた為に、鑑定が行われる当日に自身の出せる力を余すことなく示して、過去に類を見ない結果を示して最年少の『妖魔召士』の座を掴み取った。
彼の先祖の古くには『妖魔召士』が居たようだが、シギンの両親や祖父母の時代にはすでに『妖魔召士』の家系という事が忘れ去られる程に『妖魔召士』が生まれ出る事はなく、此度のシギンも両親達から全く期待が寄せられる事もなく、直ぐに実家の畑を耕す生活が待つ筈であった。
そんな彼が『妖魔召士』となった事で、彼の家系はこれまでの暮らしぶりが嘘のように裕福になり、今後しばらくの間は、生活に関して何も心配する必要がない程の富を築く事となった。
しかし問題があったのは、彼が最年少の『妖魔召士』になった後の事であった。
すでに鑑定が行われる頃には、シギンの『魔力値』は『妖魔召士』になれるだけの値に達してはいたが、それから数年後にはもう彼はその時代の『最上位妖魔召士』と、遜色がない『魔力値』を有するに至っていたのである。
本来は妖魔召士と認められてからの数年は、消費魔力の少ない『捉術』を愚直に扱い続けて、少しずつ『魔力値』を高めていく時期となるのだが、シギンは僅かその数年の間に『魔力値』が数百億を超えていった。
この世界では明確な数値を算出する『魔法』などもなく、表記を呈する技法が存在しない為に、シギンの『魔力値』が明確にされたわけではないが、すでにこの時にもし『妖魔召士』として活動が認められる鑑定を再度シギンに行っていたならば、その異質さに気づける可能性もあったかもしれない。
何故、こんなにも短期間でシギンの『魔力値』が爆発的に上昇を起こしたのか――。
その要因は『妖魔召士』になった事が関係しているわけでも、はたまた『魔』の技法である『捉術』を使い続けた事が理由というわけでもなかった。
確かに僅かには『捉術』を用いる事による魔力値の上昇があったかもしれないが、そんな事は微々たるものと呼べる程の別の要因があったのである。
それは彼自身が生み出した『理』から生み出される『魔法』を使用していたからであった――。
キッカケは妖魔召士組織に属する先輩から、護衛である『妖魔退魔師』が身に纏わせる『青』というオーラの技法というモノがあると教わった事にあった。
その先輩曰く、妖魔召士を守る為に存在する護衛の役割を担う『妖魔退魔師』達には、独自の『魔』の技法というものが存在しているらしく、妖魔召士のように『捉術』を使って妖魔と戦う事が出来ない代わりに、身一つで戦う妖魔退魔師の肉体の向上を目的とするものが、その『青』と呼ばれるオーラの技法であるらしかった。
だが、妖魔召士が扱う『捉術』とは異なり、その『オーラの技法』を用いたところで能力自身は一時的に向上を果たしはするが、解除と同時に上げられた『魔力値』も元に戻ってしまい、あくまで使用の間だけ『魔力』が向上するだけであって、何度使っても基となる『魔力値』が増えなかった事から、所詮は一時的に妖魔と戦う事が可能になるだけの子供だましの『魔』の技法だとシギンに教えてくれたのであった。
どうやらその先輩も他の妖魔召士達と同様に、妖魔退魔師という同じ妖魔と戦う戦士の事を見下している節が言動からも見て取れた。
この世界は『魔』が全てと呼べるような世界であり、その『魔』を扱う『妖魔召士』となれるものこそが、本当の戦士とされているからに他ならず、いくら妖魔から同じ人間達を守ろうという尊い志を持つ者であっても、あくまで『妖魔召士』をサポートする為に存在しているのが『妖魔退魔師』という位置付けなのであった。
シギンはその話を先輩から聞いた時、別に『妖魔退魔師』の扱いに思うところがあったわけでもなかった。しかしその先輩が子供だましと告げた『オーラ』という『魔』の技法を強く意識したのである。
シギンは妖魔召士となってまだ一年も経っていない時期、その話を聞いてから『オーラ』というものを調べ始めた。まだ彼は修行の身であり、実際に妖魔と戦うこともない為、当然ながら『妖魔退魔師』の護衛はついていなかった。
そこでシギンは先輩についている護衛の妖魔退魔師から事情を聞かせてもらい、どうやって体現を果たす事が出来たのかや、オーラが纏われている時の上昇の感覚などを教わる事にした。
普段の妖魔退魔師たちは、妖魔召士達に見下されている為、子供であってもれっきとした妖魔召士が自分達の扱う『魔』の技法に興味を抱いてくれた事に気分を良くしたようで、知っている事の全てを余すことなくシギンに教えてくれるのだった。
どうやらシギンは相当に聞き上手であったらしく、元々は両親や祖父母も妖魔召士といった戦士ではなく、畑を耕す農家であったこともあって、妖魔退魔師に対して偉ぶる様子もなく、年相応に応対していたこともプラスに働いたのだろう。
やがて『オーラ』という『魔』の技法の体現から、発動条件までの経験を基にした説明を妖魔退魔師から受けたシギンは、自らも『青』を覚えようと『オーラの技法』の会得に着手し始めた。
そしてこの『青』の『オーラの技法』の着手から、一気にシギンの『魔』の才能が開花をし始める。
妖魔召士が扱う『魔』の技法である『捉術』とは異なり、妖魔を相手に用いる『魔』の技法ではない『オーラ』の技法は、恐ろしい程に『魔力コントロール』を必要とする事に気づく。
この世界には、ソフィ達の居る世界にあるような『基本研鑽演義』なる指標のようなものは全く存在しない。
そして『理』や『魔法』もないが故に、この『魔』の概念を理解する為には、一から始めようとするとなると自分が持っているごく僅かな知識だけが武器となるのである。
――しかしシギンは、この時の先輩からの雑談代わりの一言から、稀代の『妖魔召士』となるのであった。
元々の原因が何であったかなどは、書記などを残す文化が確立されるよりも前の出来事であったが為に、今を生きる人間達には当然に知る由もないが、その妖魔が人里に現れて好き勝手に襲ってくるが為に、当然に身を守る為に人間達も防衛手段を徐々に確立させていき、今の世では『魔』の概念の一つである『捉術』という『魔』の技法が民達を守る術となっている。
この世界では生まれた時に『捉術』を用いられるだけの『魔力値』を持っていなければ、妖魔に対抗するだけの戦士の資格がないと判断されて冷遇されて育てられる事となる。
その原因となるのが『魔力値』を伸ばす手段が『魔』の技法を用いる他にないからであり、この世界に『理』を生み出す『精霊』の存在も居ない以上は、他の世界のように『魔法』を使用して『魔力』を少しずつ上げるといった要素がない事が要因に挙げられる。
生まれた時から『捉術』を用いられる程の一定の『魔力値』を持たない者は、当然に妖魔と戦う事は禁じられてきた事もあり、いくら妖魔と戦おうという志が強い者であっても、必然的に『妖魔召士』という職業を諦めて他の職業に就く事を強制されてしまう。
そのような理由から人間達の間では、この『魔力』を持つ者が全てという考えが浸透しきっている。
すでにそんな社会が確立されてしまった後に、この世に生まれた『シギン』は、魔力の鑑定が行われる幼少の頃には、すでにそんな社会の縮図を理解し終えていた為に、鑑定が行われる当日に自身の出せる力を余すことなく示して、過去に類を見ない結果を示して最年少の『妖魔召士』の座を掴み取った。
彼の先祖の古くには『妖魔召士』が居たようだが、シギンの両親や祖父母の時代にはすでに『妖魔召士』の家系という事が忘れ去られる程に『妖魔召士』が生まれ出る事はなく、此度のシギンも両親達から全く期待が寄せられる事もなく、直ぐに実家の畑を耕す生活が待つ筈であった。
そんな彼が『妖魔召士』となった事で、彼の家系はこれまでの暮らしぶりが嘘のように裕福になり、今後しばらくの間は、生活に関して何も心配する必要がない程の富を築く事となった。
しかし問題があったのは、彼が最年少の『妖魔召士』になった後の事であった。
すでに鑑定が行われる頃には、シギンの『魔力値』は『妖魔召士』になれるだけの値に達してはいたが、それから数年後にはもう彼はその時代の『最上位妖魔召士』と、遜色がない『魔力値』を有するに至っていたのである。
本来は妖魔召士と認められてからの数年は、消費魔力の少ない『捉術』を愚直に扱い続けて、少しずつ『魔力値』を高めていく時期となるのだが、シギンは僅かその数年の間に『魔力値』が数百億を超えていった。
この世界では明確な数値を算出する『魔法』などもなく、表記を呈する技法が存在しない為に、シギンの『魔力値』が明確にされたわけではないが、すでにこの時にもし『妖魔召士』として活動が認められる鑑定を再度シギンに行っていたならば、その異質さに気づける可能性もあったかもしれない。
何故、こんなにも短期間でシギンの『魔力値』が爆発的に上昇を起こしたのか――。
その要因は『妖魔召士』になった事が関係しているわけでも、はたまた『魔』の技法である『捉術』を使い続けた事が理由というわけでもなかった。
確かに僅かには『捉術』を用いる事による魔力値の上昇があったかもしれないが、そんな事は微々たるものと呼べる程の別の要因があったのである。
それは彼自身が生み出した『理』から生み出される『魔法』を使用していたからであった――。
キッカケは妖魔召士組織に属する先輩から、護衛である『妖魔退魔師』が身に纏わせる『青』というオーラの技法というモノがあると教わった事にあった。
その先輩曰く、妖魔召士を守る為に存在する護衛の役割を担う『妖魔退魔師』達には、独自の『魔』の技法というものが存在しているらしく、妖魔召士のように『捉術』を使って妖魔と戦う事が出来ない代わりに、身一つで戦う妖魔退魔師の肉体の向上を目的とするものが、その『青』と呼ばれるオーラの技法であるらしかった。
だが、妖魔召士が扱う『捉術』とは異なり、その『オーラの技法』を用いたところで能力自身は一時的に向上を果たしはするが、解除と同時に上げられた『魔力値』も元に戻ってしまい、あくまで使用の間だけ『魔力』が向上するだけであって、何度使っても基となる『魔力値』が増えなかった事から、所詮は一時的に妖魔と戦う事が可能になるだけの子供だましの『魔』の技法だとシギンに教えてくれたのであった。
どうやらその先輩も他の妖魔召士達と同様に、妖魔退魔師という同じ妖魔と戦う戦士の事を見下している節が言動からも見て取れた。
この世界は『魔』が全てと呼べるような世界であり、その『魔』を扱う『妖魔召士』となれるものこそが、本当の戦士とされているからに他ならず、いくら妖魔から同じ人間達を守ろうという尊い志を持つ者であっても、あくまで『妖魔召士』をサポートする為に存在しているのが『妖魔退魔師』という位置付けなのであった。
シギンはその話を先輩から聞いた時、別に『妖魔退魔師』の扱いに思うところがあったわけでもなかった。しかしその先輩が子供だましと告げた『オーラ』という『魔』の技法を強く意識したのである。
シギンは妖魔召士となってまだ一年も経っていない時期、その話を聞いてから『オーラ』というものを調べ始めた。まだ彼は修行の身であり、実際に妖魔と戦うこともない為、当然ながら『妖魔退魔師』の護衛はついていなかった。
そこでシギンは先輩についている護衛の妖魔退魔師から事情を聞かせてもらい、どうやって体現を果たす事が出来たのかや、オーラが纏われている時の上昇の感覚などを教わる事にした。
普段の妖魔退魔師たちは、妖魔召士達に見下されている為、子供であってもれっきとした妖魔召士が自分達の扱う『魔』の技法に興味を抱いてくれた事に気分を良くしたようで、知っている事の全てを余すことなくシギンに教えてくれるのだった。
どうやらシギンは相当に聞き上手であったらしく、元々は両親や祖父母も妖魔召士といった戦士ではなく、畑を耕す農家であったこともあって、妖魔退魔師に対して偉ぶる様子もなく、年相応に応対していたこともプラスに働いたのだろう。
やがて『オーラ』という『魔』の技法の体現から、発動条件までの経験を基にした説明を妖魔退魔師から受けたシギンは、自らも『青』を覚えようと『オーラの技法』の会得に着手し始めた。
そしてこの『青』の『オーラの技法』の着手から、一気にシギンの『魔』の才能が開花をし始める。
妖魔召士が扱う『魔』の技法である『捉術』とは異なり、妖魔を相手に用いる『魔』の技法ではない『オーラ』の技法は、恐ろしい程に『魔力コントロール』を必要とする事に気づく。
この世界には、ソフィ達の居る世界にあるような『基本研鑽演義』なる指標のようなものは全く存在しない。
そして『理』や『魔法』もないが故に、この『魔』の概念を理解する為には、一から始めようとするとなると自分が持っているごく僅かな知識だけが武器となるのである。
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