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妖魔山編
1790.煌阿を最強の妖魔と認めたシギン
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(あ、ああ……? 煌阿が使ったのは、た、確かに『透過』だった! そ、それも私が用いる空間干渉領域と呼べる『時空干渉』領域よりも、更に先へ到達している本物の『時空干渉領域』だ……!! あ、あの人間の妖魔召士が使っていたモノと確実に同じ領域の『透過』にこの数百年間封印されていた筈の煌阿が、すでに達していたというのか? い、いや、ば、馬鹿な……! そ、そんな筈が……)
これまでこの『ノックス』の世界で『魔』の理解者として、それ以上に『透過』に関しては他の追随を許さない程の境地へと達していると自負していた神斗は、まさか自分が到達している領域よりも更に先へ進んでいる姿を目の当たりにして、更にそれが数百年間も封印されていたせいで、研鑽出来ずにずっと停滞していた筈の煌阿が用いて見せた事で、神斗は人間のシギンだけではなく、同じ妖魔である煌阿が数百年前にはもう自分よりも先へ到達していたという事実を直ぐに信じる事が出来なかった。
対して同様に『時空干渉領域』に到達している妖魔召士シギンもまた、今の『結界』内で煌阿によって行われた始終の行いに驚く素振りはみせたのだが、神斗のように呆然自失となっているわけでもなく、唯々感心するような目で煌阿に視線を送るに留まっていた。
「お前が空間を強引に捻じ曲げて狭間の世界から抜け出して見せた時、俺と同様に『時空干渉』の領域に達しているのかもしれないとは思ったが、まさかそこまで使いこなしているとは思わなかった」
そしてシギンは声に出して口にした事で、改めて煌阿の評価を高めるのであった。
「煌阿、一つ聞いておきたい。お前が先程の俺の術で『魔力値』を刹那的にとはいえ下げられたと感じた時、何故直ぐに解除を行わなかったのだ? 『結界』を何事もなく抜け出した後に、直ぐに俺の『魔力』の点在を阻止する為に『時空干渉』を行えたというのであれば、直ぐにやろうと思えば解除が行えていた筈だ」
すでにある程度は返ってくる言葉が分かっているシギンだが、それでも煌阿が本能で咄嗟に動いたのか、それとも全てを理解した上でわざと解除のタイミングを遅らせたのか。それを聞いておきたいシギンであった。
――その返答次第では、今後の彼のプランにおける行動が入れ替わるからであった。
「そんなものは決まっている。お前が卜部と同じ血族の妖魔召士なのであれば、間違いなく俺の『魔』の概念そのものを封じるような行動に出るだろうと分かっていたからだ。そもそも単に俺の『魔力値』を弱体化させるのが目的なのであれば、攻撃主体の戦術を用いてその中に紛れ込ませて使うのが定石だろう? こんな遠くから回りくどく『結界』だの『封印』だのと悠長に外堀から埋めていくようなやり方で、俺達『妖魔』を完封しきれると本気で思っているような単なる二流なのであれば、俺とこれだけの時間対峙していて生き残れている筈がないからな」
「そうか……」
そう断言する煌阿の言葉を聞いたシギンは、静かに理解を終えた事を示すかのように呟くのだった。
色々と気になる内容の返答であった煌阿の言葉だが、知りたかった情報をシギンは得る事が出来た。
――それは今後のシギンの行動の計画を読み取った上で、最善と思わせる行動を煌阿が示した事であった。
妖魔召士シギンは、これまでよりも『煌阿』という『妖魔』に対しての警戒心を強めた。
間違いなく、これまで出会ってきた『妖魔』の中では、この『煌阿』が最強の存在で間違いない――。
まだ実際に煌阿の持つ『魔』の技法を見たわけでも、どれだけの強さなのかも分かってはいない内ではあるのだが、それでも『魔』に対しての理解度が『神斗』よりも遥かに上なのだと理解を終えたシギンは、この『煌阿』がどれだけの攻撃力を持っていようが関係なく、これまでの誰よりも苦戦を強いられると判断したのであった。
そしてそう結論を下したシギンだが、その顔は喜びに満ち溢れている表情をしていた。
――何故なら、この時にようやく妖魔召士『シギン』は、自分自身と『魔』の概念に対して抱いてきた、長い年月の疑問の答えが出るかもしれないと考えたからである。
これまでこの『ノックス』の世界で『魔』の理解者として、それ以上に『透過』に関しては他の追随を許さない程の境地へと達していると自負していた神斗は、まさか自分が到達している領域よりも更に先へ進んでいる姿を目の当たりにして、更にそれが数百年間も封印されていたせいで、研鑽出来ずにずっと停滞していた筈の煌阿が用いて見せた事で、神斗は人間のシギンだけではなく、同じ妖魔である煌阿が数百年前にはもう自分よりも先へ到達していたという事実を直ぐに信じる事が出来なかった。
対して同様に『時空干渉領域』に到達している妖魔召士シギンもまた、今の『結界』内で煌阿によって行われた始終の行いに驚く素振りはみせたのだが、神斗のように呆然自失となっているわけでもなく、唯々感心するような目で煌阿に視線を送るに留まっていた。
「お前が空間を強引に捻じ曲げて狭間の世界から抜け出して見せた時、俺と同様に『時空干渉』の領域に達しているのかもしれないとは思ったが、まさかそこまで使いこなしているとは思わなかった」
そしてシギンは声に出して口にした事で、改めて煌阿の評価を高めるのであった。
「煌阿、一つ聞いておきたい。お前が先程の俺の術で『魔力値』を刹那的にとはいえ下げられたと感じた時、何故直ぐに解除を行わなかったのだ? 『結界』を何事もなく抜け出した後に、直ぐに俺の『魔力』の点在を阻止する為に『時空干渉』を行えたというのであれば、直ぐにやろうと思えば解除が行えていた筈だ」
すでにある程度は返ってくる言葉が分かっているシギンだが、それでも煌阿が本能で咄嗟に動いたのか、それとも全てを理解した上でわざと解除のタイミングを遅らせたのか。それを聞いておきたいシギンであった。
――その返答次第では、今後の彼のプランにおける行動が入れ替わるからであった。
「そんなものは決まっている。お前が卜部と同じ血族の妖魔召士なのであれば、間違いなく俺の『魔』の概念そのものを封じるような行動に出るだろうと分かっていたからだ。そもそも単に俺の『魔力値』を弱体化させるのが目的なのであれば、攻撃主体の戦術を用いてその中に紛れ込ませて使うのが定石だろう? こんな遠くから回りくどく『結界』だの『封印』だのと悠長に外堀から埋めていくようなやり方で、俺達『妖魔』を完封しきれると本気で思っているような単なる二流なのであれば、俺とこれだけの時間対峙していて生き残れている筈がないからな」
「そうか……」
そう断言する煌阿の言葉を聞いたシギンは、静かに理解を終えた事を示すかのように呟くのだった。
色々と気になる内容の返答であった煌阿の言葉だが、知りたかった情報をシギンは得る事が出来た。
――それは今後のシギンの行動の計画を読み取った上で、最善と思わせる行動を煌阿が示した事であった。
妖魔召士シギンは、これまでよりも『煌阿』という『妖魔』に対しての警戒心を強めた。
間違いなく、これまで出会ってきた『妖魔』の中では、この『煌阿』が最強の存在で間違いない――。
まだ実際に煌阿の持つ『魔』の技法を見たわけでも、どれだけの強さなのかも分かってはいない内ではあるのだが、それでも『魔』に対しての理解度が『神斗』よりも遥かに上なのだと理解を終えたシギンは、この『煌阿』がどれだけの攻撃力を持っていようが関係なく、これまでの誰よりも苦戦を強いられると判断したのであった。
そしてそう結論を下したシギンだが、その顔は喜びに満ち溢れている表情をしていた。
――何故なら、この時にようやく妖魔召士『シギン』は、自分自身と『魔』の概念に対して抱いてきた、長い年月の疑問の答えが出るかもしれないと考えたからである。
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