1,562 / 1,906
イダラマの同志編
1545.妖魔召士達の襲撃の裏側で
しおりを挟む
ライゾウやフウギ達『妖魔召士』達が『旅籠町』を発った後、十分に距離を取りながら改めて『結界』を施して後を付いていく『ユウゲ』達。
ライゾウ達が『同志』達を『牢』から解放するのと同様に、ユウゲ達も『イツキ』を『牢』から解放して合流を果たすために、この『妖魔召士』の集団を利用しようというのである。
これから『妖魔召士』達が『サカダイ』の町を襲撃するにあたり、ユウゲ達も当然に命がけの行動を要求される事になるが、この『サカダイ』の町に向かうまでの尾行もまた命がけで行わなければならない。
『ユウゲ』が張っている『結界』は確かに優秀で、同じ『退魔組』だった『特別退魔士』達はおろか、あの『妖魔召士』である『ライゾウ』や『フウギ』でさえ、途中からでは探っても『ユウゲ』が何処に消えたか把握出来なくなった程である。
それ程までに強力な『結界』ではあるが、この場に居る『妖魔召士』の数は多く、その誰もが前時代で『上位妖魔召士』とされていた『守旧派』の『妖魔召士』達である。
尾行を行う者が『ユウゲ』だけであればまだリスクは少ないが、他にも『ヤエ』や『ミヤジ』も『ユウゲ』と共に居る。
何かの拍子で『ユウゲ』の『結界』から外れる可能性も無きにしも非ずという状況で行動を起こさねばならず、彼にとっては気が気でないといえるだろう。
そしてそんな『ユウゲ』達の前に居た『妖魔召士』達もまた、旅籠町から更に『サカダイ』の町近辺に近づいた場所で足を止めたかと思えば、何やら先頭に居た者達が小声で話を始める。
――どうやら彼らがこの一派の旗頭で間違いないのだろう。
『ユウゲ』達の居る場所からは上手く言葉を聴き取れなかったが、彼らの話が終わった直後に一斉に『結界』を施し始めたため、どうやらここからが『襲撃』の範囲に入ったのだとユウゲは悟るのだった。
「ここからは奴らから更に距離を取るぞ。彼らがここまでの密度の『結界』を張り直したという事は、ここから『式』を使役して一気に襲撃行動を取る筈だ」
目聡く彼らの行動を観察していたユウゲは、静かに同行者の『ヤエ』や『ミヤジ』達にそう告げるのだった。
…………
そしてユウゲの思惑通り、少し離れた先に居る『妖魔召士』達は『サカダイ』の町を取り囲むように包囲しながら『式』を使役し始めて、一気に門に向かって駆け出していく。
当然ユウゲ達も現在の『サカダイ』がどのような町なのかという事は理解している。
『妖魔退魔師』の本部があるという事もあり、警備が厳重なのは当然の事、その町の造りの在り方までが他の町とは比べ物にならない。
町の外からの襲撃に備えてこの町は、石垣に囲まれたかつての城のような造りをしていて、その周囲は水の張られた堀があるために『サカダイ』の町に入るためには、掛けられている一本の橋を渡らなければならないのである。
つまり空を自由に飛べる『妖魔』以外の襲撃には、この時点から難しい設計となっており、更に橋を進んだ先の町にあがる為に作られた階段は歩幅がそれぞれ異なり、非常に登りずらくなっている。
そしてそこを抜けるとようやく『サカダイ』の町の名物の櫓門が見えてくるのだが、当然こちらも襲撃に備えての造りがされており、門は簡単には壊せない程に厳重に作られている。
現在は『妖魔退魔師』の最高幹部達が町を離れているために、平時の時のように門は開放されてはおらず、入るには中に居る『予備群』に知らせなければならないが、すでに『ヒュウガ一派』達が襲撃に来るかもしれないという予想が『妖魔退魔師』達の間で立てられているため、赤い狩衣を着た『妖魔召士』がこれだけの数現れている以上、すんなりと門が開く事はないだろう。
当然『妖魔召士』達もいちいち挨拶よろしく『予備群』達に知らせる筈もなく、この『サカダイ』の町の『一の門』に辿り着いた『ライゾウ』達は、門を壊して中に入る為に行動を開始するのであった――。
…………
「何の躊躇もなしか……! やはり本気になった『妖魔召士』様がたの集団とは斯くも恐ろしいモノだ」
『結界』の内側で成り行きを見守っていた『ユウゲ』が静かにそう告げると、ミヤジだけではなくヤエまでもが神妙に頷くのであった。
「それで、ここからどうする? こんなに堂々と派手に暴れ始められたんじゃ、サカダイの町の警備担当の『予備群』共だけじゃなく、妖魔退魔師衆の連中も多く集まってきて、このままだとやべぇと思うんだけど……?」
襲撃にきた『妖魔召士』達に『妖魔退魔師』の目が向いている今ならば、こっそりと『妖魔退魔師』の本部に入る事は可能であると推測も出来るが、当然そこから先は『妖魔召士』に頼るのではなく自分達で行動をせねばならなくなるだろう。
――しかし中で見つかりでもしたら、彼らだけではどう足掻いても『イツキ』を助けられない。
だからといって『妖魔召士』達が確実に『妖魔退魔師』を倒せるとも限らず、手を拱いて待っていればそれこそ取り返しのつかない事になるだろう。
時間が経てば経つほどに選択肢は絞られていく現状で、ここまで見つからずにこれた『ユウゲ』の『結界』を信頼した上で、ここからどうするのかとミヤジはユウゲに尋ねるのだった。
ライゾウ達が『同志』達を『牢』から解放するのと同様に、ユウゲ達も『イツキ』を『牢』から解放して合流を果たすために、この『妖魔召士』の集団を利用しようというのである。
これから『妖魔召士』達が『サカダイ』の町を襲撃するにあたり、ユウゲ達も当然に命がけの行動を要求される事になるが、この『サカダイ』の町に向かうまでの尾行もまた命がけで行わなければならない。
『ユウゲ』が張っている『結界』は確かに優秀で、同じ『退魔組』だった『特別退魔士』達はおろか、あの『妖魔召士』である『ライゾウ』や『フウギ』でさえ、途中からでは探っても『ユウゲ』が何処に消えたか把握出来なくなった程である。
それ程までに強力な『結界』ではあるが、この場に居る『妖魔召士』の数は多く、その誰もが前時代で『上位妖魔召士』とされていた『守旧派』の『妖魔召士』達である。
尾行を行う者が『ユウゲ』だけであればまだリスクは少ないが、他にも『ヤエ』や『ミヤジ』も『ユウゲ』と共に居る。
何かの拍子で『ユウゲ』の『結界』から外れる可能性も無きにしも非ずという状況で行動を起こさねばならず、彼にとっては気が気でないといえるだろう。
そしてそんな『ユウゲ』達の前に居た『妖魔召士』達もまた、旅籠町から更に『サカダイ』の町近辺に近づいた場所で足を止めたかと思えば、何やら先頭に居た者達が小声で話を始める。
――どうやら彼らがこの一派の旗頭で間違いないのだろう。
『ユウゲ』達の居る場所からは上手く言葉を聴き取れなかったが、彼らの話が終わった直後に一斉に『結界』を施し始めたため、どうやらここからが『襲撃』の範囲に入ったのだとユウゲは悟るのだった。
「ここからは奴らから更に距離を取るぞ。彼らがここまでの密度の『結界』を張り直したという事は、ここから『式』を使役して一気に襲撃行動を取る筈だ」
目聡く彼らの行動を観察していたユウゲは、静かに同行者の『ヤエ』や『ミヤジ』達にそう告げるのだった。
…………
そしてユウゲの思惑通り、少し離れた先に居る『妖魔召士』達は『サカダイ』の町を取り囲むように包囲しながら『式』を使役し始めて、一気に門に向かって駆け出していく。
当然ユウゲ達も現在の『サカダイ』がどのような町なのかという事は理解している。
『妖魔退魔師』の本部があるという事もあり、警備が厳重なのは当然の事、その町の造りの在り方までが他の町とは比べ物にならない。
町の外からの襲撃に備えてこの町は、石垣に囲まれたかつての城のような造りをしていて、その周囲は水の張られた堀があるために『サカダイ』の町に入るためには、掛けられている一本の橋を渡らなければならないのである。
つまり空を自由に飛べる『妖魔』以外の襲撃には、この時点から難しい設計となっており、更に橋を進んだ先の町にあがる為に作られた階段は歩幅がそれぞれ異なり、非常に登りずらくなっている。
そしてそこを抜けるとようやく『サカダイ』の町の名物の櫓門が見えてくるのだが、当然こちらも襲撃に備えての造りがされており、門は簡単には壊せない程に厳重に作られている。
現在は『妖魔退魔師』の最高幹部達が町を離れているために、平時の時のように門は開放されてはおらず、入るには中に居る『予備群』に知らせなければならないが、すでに『ヒュウガ一派』達が襲撃に来るかもしれないという予想が『妖魔退魔師』達の間で立てられているため、赤い狩衣を着た『妖魔召士』がこれだけの数現れている以上、すんなりと門が開く事はないだろう。
当然『妖魔召士』達もいちいち挨拶よろしく『予備群』達に知らせる筈もなく、この『サカダイ』の町の『一の門』に辿り着いた『ライゾウ』達は、門を壊して中に入る為に行動を開始するのであった――。
…………
「何の躊躇もなしか……! やはり本気になった『妖魔召士』様がたの集団とは斯くも恐ろしいモノだ」
『結界』の内側で成り行きを見守っていた『ユウゲ』が静かにそう告げると、ミヤジだけではなくヤエまでもが神妙に頷くのであった。
「それで、ここからどうする? こんなに堂々と派手に暴れ始められたんじゃ、サカダイの町の警備担当の『予備群』共だけじゃなく、妖魔退魔師衆の連中も多く集まってきて、このままだとやべぇと思うんだけど……?」
襲撃にきた『妖魔召士』達に『妖魔退魔師』の目が向いている今ならば、こっそりと『妖魔退魔師』の本部に入る事は可能であると推測も出来るが、当然そこから先は『妖魔召士』に頼るのではなく自分達で行動をせねばならなくなるだろう。
――しかし中で見つかりでもしたら、彼らだけではどう足掻いても『イツキ』を助けられない。
だからといって『妖魔召士』達が確実に『妖魔退魔師』を倒せるとも限らず、手を拱いて待っていればそれこそ取り返しのつかない事になるだろう。
時間が経てば経つほどに選択肢は絞られていく現状で、ここまで見つからずにこれた『ユウゲ』の『結界』を信頼した上で、ここからどうするのかとミヤジはユウゲに尋ねるのだった。
0
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる