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イダラマの同志編

1482.新たな魔力吸収の地の効力の検証

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 それから数日が経ち――。

 各々が『妖魔山』へ向かう準備を整え終わるのを待ち、遂に『ゲンロク』達が居る『妖魔召士』達の里へと向かう日が近くなった頃。

 ソフィはミスズとシゲンと共に『牢』があるひとつ前の部屋に訪れると『結界』に万が一の綻びがないかを確認しにきていた。

 ソフィがこの場で張っている『結界』が従来通りの『結界』であれば、このような確認を行う必要はないのだが、あくまでこの場で張られた『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』は、ソフィの新たな『ことわり』を混ぜ合わせた特殊にして初めての試みで行われたモノの為に、この確認は必要だろうと感じたようであった。

 部屋の前に立っていたソフィは自身の『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』を何やら『魔力感知』を行いながら、細かに確認を行い始めていく。

 それは傍から見れば『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』ではなく『魔神』の張っている『結界』の方を優先しているように窺える。

 やがて周囲の注意すべき点に問題がなかったようでソフィは軽く頷くと、次に『魔神』をその場に出現させる。

「少し強めに放つが、念のためにお主にこの場についていてもらう」

「――」(ええ、分かったわ。貴方の『魔力』はこれまでよりも強まっているから、その判断はとても素晴らしいと思うわ)

「あの……ソフィ殿? 先日の確認で『結界』に何も問題がなさそうに頷いてらっしゃいましたが……」

 何故前回にも出した『魔神』を再び出したのでしょうかと繋げようとしたが、そこでヌーが口を開いた。

「前にソフィの野郎が確かめていたのは『結界』の効力じゃねぇよ。あの『魔神』の隠蔽の効力と自分の『結界』の親和性のようなモンを確かめていたんだろうよ。それで問題がなかったようだから、今度こそ『結界』の方の効力を試そうとしてんだよ」

「な、成程……! つまりはこれからが本当の『結界』の検証というわけなのですね」

 ミスズはヌーの説明でようやくソフィが『魔神』を出した理由を理解したのであった。

「それで一体どのような検証を行うのでしょ……う、っか?!」

 何とソフィの『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』が張られている外側に『魔神』が新たにこの周囲を包み込むように『結界』を張ったかと思うと、その中で突如としてソフィの身体の形態がみるみると変わっていき、やがてはが生えた状態となった。

「あ、あれは……!!」

 そのソフィの姿はかつて『ミスズ』と戦った時の姿であり、あの時は途中でソフィが『魔法』を使ったことで床が崩れ去ってしまい、そこで戦闘は終了となってしまったが、あの時の姿に再び変貌を遂げたのであった。

「この新たな『ことわり』を用いた『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』の効力を試すいい機会だからな。ある程度の耐久性を確かめておくのも重要な事だ」

 ソフィはそう告げると、その四翼の形態で更に『紅』と『青』それに『金色』の三種の色のオーラを纏わせ始めるのであった。

 そしてそこから更にソフィの緻密な『魔力コントロール』が用いられていく。

 ――魔神域魔法、『普遍破壊メギストゥス・デストラクション』。

 ソフィの伸ばした手に恐ろしい程の『魔力』が集約されたかと思うと、そのまま『魔力』が迸り眩い光が放たれるのであった。

「くっ……!! ば、馬鹿やろうが!!」

 ヌーは目の前で信じられない事をやり始めたソフィを見て、慌ててテアとセルバスの前に立って自身も『三色併用』を即座に魔力コントロールを用いて纏い始めると、強引に『結界』を張るのであった。

 ヌーが『結界』を張ったと同時くらいの速さで、ソフィの一つの『魔法』が『魔神』の人除けの効力が張られていた『結界』を粉々に吹き飛ばしたかと思うと、そのまま中にある『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』に呑み込まれていく。

 恐るべき爆音が鳴り響いた瞬間――。

 『力の魔神』の周囲に恐ろしい程の『魔力』が満ち溢れていき、両手を天高く伸ばしたかと思うと、ソフィの放った『魔法』とソフィの展開している『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』を覆い隠す程の大きさの『結界』を瞬時に張り始めた――。

 どうやらソフィの『魔法』に干渉するものではなく、ソフィの『魔力』の余波でこの建物が粉々になるのを防ぐ目的の『魔神』の『』のようであった――。

(※この時の『魔神』の『聖域結界』の修復速度は並々ならぬモノであり、ソフィの『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』を覆い隠す『結界』をも同時に修復を重ねていた為に『牢』に居る『最上位妖魔召士』のヒュウガでさえ、ソフィの『魔力吸収の地アブソ・マギア・フィールド』の存在を未だに感じ取る事が出来ていなかった)
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