1,490 / 1,985
イダラマの同志編
1473.改革派の中でも特別な思想を抱く者
しおりを挟む
「お主ら、そこまでにしておけ」
今にもエヴィに向かって攻撃を繰り出そうとしていた『妖魔召士』達は『コウエン』の制止の声に一様に直ぐに反応して動きを止めるのであった。
「イダラマ。お前が『妖魔山』に抱くこだわりはワシと同等かそれ以上だという事は良く分かった。しかしお主が『禁止区域』に入るにあたってワシら『同志』に声を掛けたのは、自分達だけでは力が足りぬと判断したからなのだろう? それならばここでお主らだけで『妖魔山』へ向かう事は本当は都合が悪いのではないか? ここは少し我慢をしてワシらと――……」
「コウエン殿。先程も言ったが『サカダイ』に戻るのであれば、ここで別れさせてもらう。お主達に声を掛けたのは『妖魔山』へ入るという目的が重なっていたからだけに過ぎぬ。そもそも私と貴方がたは同じ『はぐれ』となった『妖魔召士』だが、その在り方と目的に対して前提条件が異なっているのでな」
「何だと……? それはどういう意味だ」
コウエンは今すぐにでも戦闘が行われようとしているこの空気を変えようとして、イダラマに自分達と共に行動をさせてこの場を諫めようとしたが、そのイダラマに否定ともとれるような言葉を返されてしまい、自分の話す内容をひとまずおくことにして、イダラマの話す言葉に素直に耳を傾け始めるのだった。
「そこに居る『サクジ』殿にしてもそうだが、この場に居る大半の者達は『妖魔召士』組織を再び『保守本流』に戻そうと行動を起こそうとしているだろう? コウエン殿は少しばかり違う思いを抱かれているようだが、私は別に『シギン』様の代の時のような『妖魔召士』組織に戻そうとも考えておらぬし、このまま『ゲンロク』を長とした『妖魔召士』組織のままでも特に構わぬのだ。あくまで私は『妖魔山』に入れるようになるのであれば何でも構わない。だからこそ私は、妖魔退魔師組織に足を運んで自らの野望の為にあえて『妖魔山』の管理権の話を持ち掛けたのだからな」
「「!?」」
イダラマの口から『妖魔山』の管理権を『妖魔召士』組織から『妖魔退魔師』組織へと移すのに一役買ったというのは、一番最初にイダラマが口にしていた事だったが、その理由が彼の勝手な野望の為だけだったと明確に告げた事で、この場に居る多くの妖魔召士達は目を丸くするのだった。
当然、この中に居る数人は自らの放った間諜によってこの情報を得ている者も居たかもしれないが、それをイダラマ自身が口にするとは思わずに居た様子で一様に驚いていた。
「イダラマ……、貴様はどこまで自分勝手なのだ!! これだから『改革派』の連中は信用がならぬのだ! 『同志』を共に助けに行かぬというだけでも気に入らぬが、自分が『妖魔山』に入る為だけに『妖魔召士』組織の重要な管理権を敵対しておる組織にさえ、平気で移させるとは! お主はやはり異常すぎる……!」
前時代の『妖魔召士』組織に属してそれなりの地位に居た『サクジ』に異常だと告げられた事で、イダラマは少しだけ顔を俯かせた。
多くの者達がそんな様子を見せるイダラマに、サクジの言葉が余程きいたのだろうと考えていたが――。
「ふははは! サクジ殿。私が異常だったら何だというのかね? そもそも私から言わせれば大層ご丁寧に昔からのしきたりや、古い慣習などに拘って新たな事柄に目を向けず、ひたすらと過去の栄光に縋り同じ事を繰り返す『守旧派』の者達こそが異常だと思うがな? シギン様やサイヨウ殿が居た前時代であればまだしも、今の大した力も持たぬ『妖魔召士』が集っている組織の時代で『禁術』や『新術』を認めず、そして一切使おうともせずに一体どうやって『妖魔』や『妖魔退魔師』達に対抗しようというのか、よろしければこの場でご教授頂きたいものだ! そもそも『妖魔』に対抗する為に編み出された『捉術』の数々とて、元を辿れば『新術』の祖型であろう? 今の完成されている『捉術』の数々もかつては『禁術』とされていた時代もあったかもしれぬではないか! 理解が出来ぬからといって頭から戒めようと動き、臭い物に蓋をするかのように認めぬ頭の固いお主の『異常性』を認めてようともせずに、私に対して『異常』だという言葉を使ってもらいたくはないものだが如何か!?」
遂にイダラマは内に秘めていた本音を吐露するかの如く、この場でぶちまけるのであった。
今にもエヴィに向かって攻撃を繰り出そうとしていた『妖魔召士』達は『コウエン』の制止の声に一様に直ぐに反応して動きを止めるのであった。
「イダラマ。お前が『妖魔山』に抱くこだわりはワシと同等かそれ以上だという事は良く分かった。しかしお主が『禁止区域』に入るにあたってワシら『同志』に声を掛けたのは、自分達だけでは力が足りぬと判断したからなのだろう? それならばここでお主らだけで『妖魔山』へ向かう事は本当は都合が悪いのではないか? ここは少し我慢をしてワシらと――……」
「コウエン殿。先程も言ったが『サカダイ』に戻るのであれば、ここで別れさせてもらう。お主達に声を掛けたのは『妖魔山』へ入るという目的が重なっていたからだけに過ぎぬ。そもそも私と貴方がたは同じ『はぐれ』となった『妖魔召士』だが、その在り方と目的に対して前提条件が異なっているのでな」
「何だと……? それはどういう意味だ」
コウエンは今すぐにでも戦闘が行われようとしているこの空気を変えようとして、イダラマに自分達と共に行動をさせてこの場を諫めようとしたが、そのイダラマに否定ともとれるような言葉を返されてしまい、自分の話す内容をひとまずおくことにして、イダラマの話す言葉に素直に耳を傾け始めるのだった。
「そこに居る『サクジ』殿にしてもそうだが、この場に居る大半の者達は『妖魔召士』組織を再び『保守本流』に戻そうと行動を起こそうとしているだろう? コウエン殿は少しばかり違う思いを抱かれているようだが、私は別に『シギン』様の代の時のような『妖魔召士』組織に戻そうとも考えておらぬし、このまま『ゲンロク』を長とした『妖魔召士』組織のままでも特に構わぬのだ。あくまで私は『妖魔山』に入れるようになるのであれば何でも構わない。だからこそ私は、妖魔退魔師組織に足を運んで自らの野望の為にあえて『妖魔山』の管理権の話を持ち掛けたのだからな」
「「!?」」
イダラマの口から『妖魔山』の管理権を『妖魔召士』組織から『妖魔退魔師』組織へと移すのに一役買ったというのは、一番最初にイダラマが口にしていた事だったが、その理由が彼の勝手な野望の為だけだったと明確に告げた事で、この場に居る多くの妖魔召士達は目を丸くするのだった。
当然、この中に居る数人は自らの放った間諜によってこの情報を得ている者も居たかもしれないが、それをイダラマ自身が口にするとは思わずに居た様子で一様に驚いていた。
「イダラマ……、貴様はどこまで自分勝手なのだ!! これだから『改革派』の連中は信用がならぬのだ! 『同志』を共に助けに行かぬというだけでも気に入らぬが、自分が『妖魔山』に入る為だけに『妖魔召士』組織の重要な管理権を敵対しておる組織にさえ、平気で移させるとは! お主はやはり異常すぎる……!」
前時代の『妖魔召士』組織に属してそれなりの地位に居た『サクジ』に異常だと告げられた事で、イダラマは少しだけ顔を俯かせた。
多くの者達がそんな様子を見せるイダラマに、サクジの言葉が余程きいたのだろうと考えていたが――。
「ふははは! サクジ殿。私が異常だったら何だというのかね? そもそも私から言わせれば大層ご丁寧に昔からのしきたりや、古い慣習などに拘って新たな事柄に目を向けず、ひたすらと過去の栄光に縋り同じ事を繰り返す『守旧派』の者達こそが異常だと思うがな? シギン様やサイヨウ殿が居た前時代であればまだしも、今の大した力も持たぬ『妖魔召士』が集っている組織の時代で『禁術』や『新術』を認めず、そして一切使おうともせずに一体どうやって『妖魔』や『妖魔退魔師』達に対抗しようというのか、よろしければこの場でご教授頂きたいものだ! そもそも『妖魔』に対抗する為に編み出された『捉術』の数々とて、元を辿れば『新術』の祖型であろう? 今の完成されている『捉術』の数々もかつては『禁術』とされていた時代もあったかもしれぬではないか! 理解が出来ぬからといって頭から戒めようと動き、臭い物に蓋をするかのように認めぬ頭の固いお主の『異常性』を認めてようともせずに、私に対して『異常』だという言葉を使ってもらいたくはないものだが如何か!?」
遂にイダラマは内に秘めていた本音を吐露するかの如く、この場でぶちまけるのであった。
0
お気に入りに追加
440
あなたにおすすめの小説

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。
いけお
ファンタジー
仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。
元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。
登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。
追記 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

『転生したら「村」だった件 〜最強の移動要塞で世界を救います〜』
ソコニ
ファンタジー
29歳の過労死サラリーマン・御影要が目覚めたのは、なんと「村」として転生した姿だった。
誰もいない村の守護者となった要は、偶然迷い込んできた少年リオを最初の住民として迎え入れ、徐々に「村」としての力を開花させていく。【村レベル:1】【住民数:0】【スキル:基本生活機能】から始まった異世界生活。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる