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イダラマの同志編
1455.サクジの荒唐無稽な理論
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「お主らは今は『ヒュウガ』と共に行動をしていたと聞いていたが、よくぞ無事であったぞ!」
サクジは心底嬉しそうに『ライゾウ』と『フウギ』の肩を叩きながら喜ぶのだった。
どうやらこの様子ではサクジは『ライゾウ』と『フウギ』の両『妖魔召士』とは相当に懇意の間柄だったのだろう。
イダラマは詳しく存じてはいなかったが、もしかするとこの二人は今では縁があって『ヒュウガ一派』として生きているのだろうが、かつては『サクジ』殿の派閥の一派だったのかもしれない。
そもそも前時代は今の時代のように際立った派閥があったわけではないが、それでも常に行動を共にする『妖魔召士』は複数あったことはかつての『妖魔召士』組織内でも否めなかった。
はぐれとなる前には『サクジ』に付き従っていた二人だったのかもしれない。
イダラマはその前時代の『妖魔召士』組織内であっても、特別に仲が良い者は居なかった為に、今目の前のように無事を喜んでいる『サクジ』殿や、ほっとした表情を浮かべている『ライゾウ』と『フウギ』の心境などを察することを出来ずにいるのであった。
「再会を喜んでいるところに水を差すようで申し訳ないが、最初に申した通りに我々も忙しいのだ。その火急の要件とやらをさっさと口にしてもらえぬか?」
「むっ……」
「あ、ああ! すまない、イダラマ殿! 実は……」
イダラマの物言いに『ライゾウ』達との再会を喜んでいた『サクジ』は、その顔に明らかな不満の色が浮かんだ。
しかしその事をわざわざ口にする事はなく、周囲に聞こえないくらいの小さな舌打ちをするに留めるのだった。
そして『ライゾウ』と『フウギ』は、ここにきた目的を『同志』達が集うこの場で包み隠さず全てを口にするのだった――。
…………
この場に現れた『ライゾウ』と『フウギ』の説明によると『ヒュウガ一派』が捕まったことで『妖魔退魔師』組織の総長である『シゲン』を襲撃して軟禁されていた『テツヤ』と『タケル』という『妖魔召士』が『牢』に入れられたから、その二名の『妖魔召士』を救い出してほしいというのが、この場に現れた『ライゾウ』と『フウギ』の願いであった。
(この場所を知っていて、今日この会合の場に姿を見せた程なのだから、いったいどのような話を持ってこの場に現れたのかと思って聞いてみたが、なんとつまらぬ話なのだ……)
これから『同志』達と『妖魔山』の事について詳しく説明を行おうと考えていたイダラマだったが、その流れを邪魔された挙句に、この『ライゾウ』と『フウギ』という『妖魔召士』達がこの場に持ち込んできた話は、まさに自業自得というべき、つまらない報復と救出を主とした話であった為に、イダラマはガッカリするどころか大事な集まりを邪魔された苛立ちすら感じる始末であった――。
しかしそんな風に考えているイダラマとは違い、彼らを『同志』と呼んでいた『サクジ』は手を震わせており、何やら怒りに打ち震えているようであった。
「この場に集う『同志』の者達よ、ワシらの『同志』である『ライゾウ』と『フウギ』の言葉をしかとその耳で聞いたか!? 奴ら『妖魔退魔師』の連中は、我ら『同志』の『妖魔召士』達だけは頑なに『牢』を出さずにおいて『妖魔召士』の長である『ゲンロク』の小童が作った『退魔組』の連中だけは、あっさりと解放しやがった! それも一人残らずだぞ! やはり奴らは表向きは争っておるフリをしておいて裏ではしっかりと繋がっておったようだ! 奴らの狙いは『シギン』様と『サイヨウ』殿が居なくなった『妖魔召士』組織を完全に『改革派』のモノにする事だったのだ! 奴らのこれまでやってきた事を思い出してほしい! 昔から奴らは事あるごとに都合の悪い『守旧派』の幹部達を挿げ替えておっただろう! つまり今回の諸々の『妖魔退魔師』組織と揉めておったのも演技で大々的に一芝居打っておったのだ! ワシら『守旧派』を組織から追い出して『妖魔召士』組織を自分達の思い通りに作り変えるために『妖魔退魔師』組織と手を組んでおったのだ!!」
「「!?」」
その場にいる『同志』の『妖魔召士』達は『サクジ』の話を聴いて目を丸くするのだった。
(は? コイツは一体何を言っているのだ?)
他の者達がどういう事なのかと頭で考えている中で、イダラマだけは冷静に『サクジ』の荒唐無稽な話を否定するでも肯定するでもなく、どういう真意があってそういう事を口走っているのかと視線を向けながら思案を浮かべるのであった――。
サクジは心底嬉しそうに『ライゾウ』と『フウギ』の肩を叩きながら喜ぶのだった。
どうやらこの様子ではサクジは『ライゾウ』と『フウギ』の両『妖魔召士』とは相当に懇意の間柄だったのだろう。
イダラマは詳しく存じてはいなかったが、もしかするとこの二人は今では縁があって『ヒュウガ一派』として生きているのだろうが、かつては『サクジ』殿の派閥の一派だったのかもしれない。
そもそも前時代は今の時代のように際立った派閥があったわけではないが、それでも常に行動を共にする『妖魔召士』は複数あったことはかつての『妖魔召士』組織内でも否めなかった。
はぐれとなる前には『サクジ』に付き従っていた二人だったのかもしれない。
イダラマはその前時代の『妖魔召士』組織内であっても、特別に仲が良い者は居なかった為に、今目の前のように無事を喜んでいる『サクジ』殿や、ほっとした表情を浮かべている『ライゾウ』と『フウギ』の心境などを察することを出来ずにいるのであった。
「再会を喜んでいるところに水を差すようで申し訳ないが、最初に申した通りに我々も忙しいのだ。その火急の要件とやらをさっさと口にしてもらえぬか?」
「むっ……」
「あ、ああ! すまない、イダラマ殿! 実は……」
イダラマの物言いに『ライゾウ』達との再会を喜んでいた『サクジ』は、その顔に明らかな不満の色が浮かんだ。
しかしその事をわざわざ口にする事はなく、周囲に聞こえないくらいの小さな舌打ちをするに留めるのだった。
そして『ライゾウ』と『フウギ』は、ここにきた目的を『同志』達が集うこの場で包み隠さず全てを口にするのだった――。
…………
この場に現れた『ライゾウ』と『フウギ』の説明によると『ヒュウガ一派』が捕まったことで『妖魔退魔師』組織の総長である『シゲン』を襲撃して軟禁されていた『テツヤ』と『タケル』という『妖魔召士』が『牢』に入れられたから、その二名の『妖魔召士』を救い出してほしいというのが、この場に現れた『ライゾウ』と『フウギ』の願いであった。
(この場所を知っていて、今日この会合の場に姿を見せた程なのだから、いったいどのような話を持ってこの場に現れたのかと思って聞いてみたが、なんとつまらぬ話なのだ……)
これから『同志』達と『妖魔山』の事について詳しく説明を行おうと考えていたイダラマだったが、その流れを邪魔された挙句に、この『ライゾウ』と『フウギ』という『妖魔召士』達がこの場に持ち込んできた話は、まさに自業自得というべき、つまらない報復と救出を主とした話であった為に、イダラマはガッカリするどころか大事な集まりを邪魔された苛立ちすら感じる始末であった――。
しかしそんな風に考えているイダラマとは違い、彼らを『同志』と呼んでいた『サクジ』は手を震わせており、何やら怒りに打ち震えているようであった。
「この場に集う『同志』の者達よ、ワシらの『同志』である『ライゾウ』と『フウギ』の言葉をしかとその耳で聞いたか!? 奴ら『妖魔退魔師』の連中は、我ら『同志』の『妖魔召士』達だけは頑なに『牢』を出さずにおいて『妖魔召士』の長である『ゲンロク』の小童が作った『退魔組』の連中だけは、あっさりと解放しやがった! それも一人残らずだぞ! やはり奴らは表向きは争っておるフリをしておいて裏ではしっかりと繋がっておったようだ! 奴らの狙いは『シギン』様と『サイヨウ』殿が居なくなった『妖魔召士』組織を完全に『改革派』のモノにする事だったのだ! 奴らのこれまでやってきた事を思い出してほしい! 昔から奴らは事あるごとに都合の悪い『守旧派』の幹部達を挿げ替えておっただろう! つまり今回の諸々の『妖魔退魔師』組織と揉めておったのも演技で大々的に一芝居打っておったのだ! ワシら『守旧派』を組織から追い出して『妖魔召士』組織を自分達の思い通りに作り変えるために『妖魔退魔師』組織と手を組んでおったのだ!!」
「「!?」」
その場にいる『同志』の『妖魔召士』達は『サクジ』の話を聴いて目を丸くするのだった。
(は? コイツは一体何を言っているのだ?)
他の者達がどういう事なのかと頭で考えている中で、イダラマだけは冷静に『サクジ』の荒唐無稽な話を否定するでも肯定するでもなく、どういう真意があってそういう事を口走っているのかと視線を向けながら思案を浮かべるのであった――。
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