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イダラマの同志編
1448.エヴィと大粒の涙
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「ククククッ! 流石にこの齢にもなればお前のように野望丸出しにはなれぬが、ワシとてあの時に為せなかった『化け狐』との決着をこの手でつけるまではこの世を去れぬ。あの『ゲンロク』のせいで決着をつけられず、剰えその『ゲンロク』が暫定の長となった事で二度と『妖魔山』へは入ることが出来なくなったと絶望したが、今この時に再び好機に恵まれた。今度こそワシは『化け狐』をこの手で葬ってやるわ……!」
コウエンは口では野望丸出しに出来ないと言ってはいるが、その目は彼より若い『イダラマ』と同等かそれ以上にギラつかせている。
余程に『禁止区域』に居るランク『9』とされる妖狐と戦いたいのであろう。
最初はしっかりと話を聴いていたエヴィだが、途中からイダラマとコウエンの話に飽きたのだろう。
エヴィはその場で堂々とあくびをしながら酒を呷るのだった。
(こ、こら……! お前、失礼だろ!!)
隣で立っていた『アコウ』が慌ててイダラマの隣に座っている『エヴィ』に耳打ちするのだった。
「……」
「おい、返事くらいしろよ、こいつ……!」
青い髪の少年『エヴィ』は『最上位妖魔召士』を二人を前にしても堂々と酒を呑み続けており、アコウの言葉にも返事をせずに無視を続けている。
『妖魔山』の『妖狐』の事を考えていた『コウエン』は、ここまで『妖魔召士』を敬っていない存在は初めてだとばかりに興味深そうな目に変えながらエヴィを見るのであった。
「少年よ、お主も『イダラマ』の『護衛』なのか? この場に居る他の予備群よりは『魔力』はあるようだが、どうみても退魔士という風にも見えぬが……」
この場で我関さずを貫いて金色のメダルを愛おしそうに眺めて酒を呑んでいたエヴィが、コウエンに話しかけられた事で徳利を置いて顔をあげた。
「何だよ、煩いな。僕の至福の時間の邪魔をしないでよ。殺すよ? お前……」
「「なっ!?」」
その場に居た『アコウ』や『ウガマ』を含めたイダラマの護衛達や、コウエン側の『同志』達も皆一様に驚きの声をあげるのだった。
直接エヴィに殺すと告げられた『コウエン』もきょとんとした目をしてエヴィを見つめていたが、やがてエヴィの隣に座っていた『イダラマ』が口を開いた。
「……すまない『コウエン』殿。許してやってくれ、彼は私とある契約を交わしている『護衛』で大事な『同志』なのだ」
「そうか、お主の大事な『同志』か。それならある程度は目を瞑ってやるか」
口ではそう告げるコウエンだが、目は笑っていなかった。
そして何かを思いついたようで薄く笑みを浮かべるのだった。
――そして。
「ほう? お主何やら珍しいモノをもっておるようだな? これは何かの効力が込められた代物なのかな、少年?」
そう言いながらコウエンは、エヴィが大事そうに手に持っていた『金色のメダル』を強引に奪い取るのだった。
「あ」
単にコウエンは『最上位妖魔召士』である自分に対して、不遜な態度を取り続けていた『青い髪の少年』に注意をするつもりで、軽い気持ちで『金色のメダル』を取っただけであった。
「え、え……? う、うわ……、うわあああっっ!!!!」
しかし自分の手から『ソフィに認められた証』である『金色のメダル』をコウエンに取られた瞬間、突如として目に涙を溜め始めて、大粒の涙を流し始めるエヴィであった――。
「くっ!」
これまで冷静に様子を見ていた『イダラマ』は、慌ててその場で立ち上がって『アコウ』達を一瞥した後に高速で『印行』を結び始める。
視線を向けられた『アコウ』と『ウガマ』は阿吽の呼吸で、その場で『青』を刀に纏わせながら『戦闘態勢』を取り始めるのだった。
「な、何だ? 何を……!」
無言で何をするのかとイダラマやエヴィを観察し続ける『コウエン』の横で、彼の後ろに立っていた『妖魔召士』達が慌てるような声をあげ始める。
――次の瞬間、エヴィの涙声が殺意の孕んだ声に変わった。
「うわああっっ!! 貴様ぁっ!! かえせええっっ!!」
エヴィの周囲に『金色のオーラ』が纏われると同時、イダラマは店全体に『結界』を張る。
その結界は『エヴィ』のやろうとしている事に対して防ごうとする意味の『結界』ではなく、彼の存在を『外』に感じさせないようにする意味の込められた『結界』であった――。
「イダラマ……。悪いがこれ程の殺意をワシに向けられた以上、黙ってはおれぬぞ」
そう口にしたコウエンは『エヴィ』の伸ばしてくる『紅』で纏われた手刀を冷静に右手で掴み、左手でその『エヴィ』の首を掴んだ。
――僧全捉術、『動殺是決』。
脅威的な程の『魔力』が集約されたその左手で『エヴィ』を殺めるには充分な程の『捉術』が放たれた。
最上位の大魔王『領域』に居る『エヴィ』だが、彼の耐魔力をあっさりと上回る『魔力』から放たれた『動殺是決』によって『エヴィ』の首が胴からちぎれてしまい、そのままゴロゴロと床に転がっていくのであった――。
コウエンは口では野望丸出しに出来ないと言ってはいるが、その目は彼より若い『イダラマ』と同等かそれ以上にギラつかせている。
余程に『禁止区域』に居るランク『9』とされる妖狐と戦いたいのであろう。
最初はしっかりと話を聴いていたエヴィだが、途中からイダラマとコウエンの話に飽きたのだろう。
エヴィはその場で堂々とあくびをしながら酒を呷るのだった。
(こ、こら……! お前、失礼だろ!!)
隣で立っていた『アコウ』が慌ててイダラマの隣に座っている『エヴィ』に耳打ちするのだった。
「……」
「おい、返事くらいしろよ、こいつ……!」
青い髪の少年『エヴィ』は『最上位妖魔召士』を二人を前にしても堂々と酒を呑み続けており、アコウの言葉にも返事をせずに無視を続けている。
『妖魔山』の『妖狐』の事を考えていた『コウエン』は、ここまで『妖魔召士』を敬っていない存在は初めてだとばかりに興味深そうな目に変えながらエヴィを見るのであった。
「少年よ、お主も『イダラマ』の『護衛』なのか? この場に居る他の予備群よりは『魔力』はあるようだが、どうみても退魔士という風にも見えぬが……」
この場で我関さずを貫いて金色のメダルを愛おしそうに眺めて酒を呑んでいたエヴィが、コウエンに話しかけられた事で徳利を置いて顔をあげた。
「何だよ、煩いな。僕の至福の時間の邪魔をしないでよ。殺すよ? お前……」
「「なっ!?」」
その場に居た『アコウ』や『ウガマ』を含めたイダラマの護衛達や、コウエン側の『同志』達も皆一様に驚きの声をあげるのだった。
直接エヴィに殺すと告げられた『コウエン』もきょとんとした目をしてエヴィを見つめていたが、やがてエヴィの隣に座っていた『イダラマ』が口を開いた。
「……すまない『コウエン』殿。許してやってくれ、彼は私とある契約を交わしている『護衛』で大事な『同志』なのだ」
「そうか、お主の大事な『同志』か。それならある程度は目を瞑ってやるか」
口ではそう告げるコウエンだが、目は笑っていなかった。
そして何かを思いついたようで薄く笑みを浮かべるのだった。
――そして。
「ほう? お主何やら珍しいモノをもっておるようだな? これは何かの効力が込められた代物なのかな、少年?」
そう言いながらコウエンは、エヴィが大事そうに手に持っていた『金色のメダル』を強引に奪い取るのだった。
「あ」
単にコウエンは『最上位妖魔召士』である自分に対して、不遜な態度を取り続けていた『青い髪の少年』に注意をするつもりで、軽い気持ちで『金色のメダル』を取っただけであった。
「え、え……? う、うわ……、うわあああっっ!!!!」
しかし自分の手から『ソフィに認められた証』である『金色のメダル』をコウエンに取られた瞬間、突如として目に涙を溜め始めて、大粒の涙を流し始めるエヴィであった――。
「くっ!」
これまで冷静に様子を見ていた『イダラマ』は、慌ててその場で立ち上がって『アコウ』達を一瞥した後に高速で『印行』を結び始める。
視線を向けられた『アコウ』と『ウガマ』は阿吽の呼吸で、その場で『青』を刀に纏わせながら『戦闘態勢』を取り始めるのだった。
「な、何だ? 何を……!」
無言で何をするのかとイダラマやエヴィを観察し続ける『コウエン』の横で、彼の後ろに立っていた『妖魔召士』達が慌てるような声をあげ始める。
――次の瞬間、エヴィの涙声が殺意の孕んだ声に変わった。
「うわああっっ!! 貴様ぁっ!! かえせええっっ!!」
エヴィの周囲に『金色のオーラ』が纏われると同時、イダラマは店全体に『結界』を張る。
その結界は『エヴィ』のやろうとしている事に対して防ごうとする意味の『結界』ではなく、彼の存在を『外』に感じさせないようにする意味の込められた『結界』であった――。
「イダラマ……。悪いがこれ程の殺意をワシに向けられた以上、黙ってはおれぬぞ」
そう口にしたコウエンは『エヴィ』の伸ばしてくる『紅』で纏われた手刀を冷静に右手で掴み、左手でその『エヴィ』の首を掴んだ。
――僧全捉術、『動殺是決』。
脅威的な程の『魔力』が集約されたその左手で『エヴィ』を殺めるには充分な程の『捉術』が放たれた。
最上位の大魔王『領域』に居る『エヴィ』だが、彼の耐魔力をあっさりと上回る『魔力』から放たれた『動殺是決』によって『エヴィ』の首が胴からちぎれてしまい、そのままゴロゴロと床に転がっていくのであった――。
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