1,460 / 1,985
イダラマの同志編
1443.同志の元へ
しおりを挟む
「ふむ。やはり『退魔組』の中で最上位の退魔士達とはいってもこの程度だろうな。ヒュウガ様が『退魔組』の者達を呼び寄せて合流するためにわざわざ『加護の森』に出向いた理由は最後まで分からなかったが、所詮は数を増やす事が目的だっただけなのかもしれぬ」
ライゾウは独り言ちながら契約を交わしている『妖狐』を『式札』に戻すと、そこへもう一人の『妖魔召士』が姿を見せ始めるのであった。
「そちらも終わったようだな。この後はどうする? もうこのままコウヒョウへ向かうか?」
姿を見せたもう一人の人間とは『赤い狩衣』を着る『妖魔召士』の『フウギ』であった。
「待て『フウギ』。退魔組に属する『特別退魔士』はあと一人残っていた筈だぞ」
「ああ……。だが、探したが見つからなかったのだ」
「おかしいな……。確か『ユウゲ』とか名乗っていた『特別退魔士』は、サカダイの町周辺で何やら話をしていた様子だった筈だから、外には出てきている筈なのだが」
「もういいだろう。さっさと我らの同志である『テツヤ』達を助けるために『コウヒョウ』へ増援を頼みに向かうとしようではないか」
「ああ……。しかしそれもどうやら急がなねばならぬようだぞ? フウギ」
「ん? やれやれ……。サカダイからはだいぶ遠く離れた所を狙ったのだがな」
『ライゾウ』と『フウギ』を取り囲むように『サカダイ』の『妖魔退魔師衆』が、続々とこの場に集まってくるのを察知する『妖魔召士』達であった。
どうやら彼らは『退魔組』を監視していた『妖魔退魔師衆』だったようで、その数を見るに『ライゾウ』と『フウギ』を『妖魔召士』達を本気で取り押さえるつもりで多くの人数を集めてきたようであった。
「ちっ……! 流石に数が多すぎる。我々だけでは『式』を使役しても全滅させるのは難しい。さっさとここから離れて『コウヒョウ』へ向かうぞ? フウギ」
「心得た。同志に報告した後は、こいつら全員を葬ってやろうぜ」
「うむ。しかし最優先は『テツヤ』達の救出だという事を忘れるなよ」
「もちろんだとも」
二人はそう言うと同時に懐から『式』を取り出すと、その場で投げ捨てた。
式札はヒラリヒラリと宙を舞ったかと思うと、ボンッという音と共に『鳥』の妖魔が出現し始める。
「よし、では行くぞ!」
「応!」
こちらに向かって恐ろしい程の速度で向かってくる『妖魔退魔師衆』を尻目に、二人の妖魔召士は『妖魔』の背に乗って大空を飛んでいくのであった――。
…………
「ちっ! やはり『妖魔召士』を相手に隙を突くといった真似は出来ないか」
本部付けの妖魔退魔師衆の『ナキト』は、空を飛んで去っていく『フウギ』達の背を見ながら悔しそうにそう呟くのだった。
「ナキト! 奴らはあきらめろ。ひとまずこいつらを運ぶのを手伝ってくれよ」
仲間の妖魔退魔師衆達は『退魔組』の数多くの亡骸を運びながら『ナキト』に声を掛けるのだった。
「ああ……。それと『ミスズ』様達に報告もしなければな。奴らは『赤い狩衣』を着ていた。間違いなく捕らえた『ヒュウガ一派』と関係がある筈だ」
「『ヒュウガ一派』だって? だったら仲間であった筈の『退魔組』の者達に手を掛ける理由がないだろう?」
「馬鹿! 知らねぇのか? 『妖魔召士』だからって全員が仲間とは限らないんだぞ? そもそも『ヒュウガ』達と『ゲンロク』達は同じ『妖魔召士』だったのに敵対しているそうじゃないか。奴らの組織も複雑だってことだ」
「そ、そうなのか……。ま、難しい事は俺には分からねぇけどよ。ひとまずこいつらを運ぶの手伝えよ。どれだけの死人が転がっていると思ってんだ」
「ちっ! はいはい……。分かってるよ」
仲間に諭されたナキトは舌打ちをしながら『ヒイラギ』の焼け焦げた亡骸を木の枝と布で作った簡易な担架のようなモノに乗せて運んでいくのであった。
…………
そしてその様子を見届けている者達が居た――。
それは見張りであった『妖魔退魔師衆』と同じく、戦闘の余波や『魔力』を感じ取って『ケイノト』へ向かおうとしていた『ユウゲ』達であった。
彼らはヤエを加えた後にミヤジと共に『ケイノト』へと向かっていたが『妖狐』の『魔力』とその存在を感じ取り、直ぐに足を止めて現場へと向かった。
そして『ヒイラギ』達に襲い掛かるランク『5』に到達している『気狐』の妖魔を眼前に捉えた瞬間にこれまでも『魔力』を感じ取れない『結界』を張っていたが、戦う事が出来ぬ代わりにその『結界』をさらに強める事の出来る『捉術』を用いて、自分だけではなく『ミヤジ』と『ヤエ』も自分と共に『魔力』と『姿』を完全に悟られるように『結界』を強化してこの場で『ヒイラギ』『クキ』を含めた『退魔組』の者達の最期を見届けていたのであった――。
……
……
……
ライゾウは独り言ちながら契約を交わしている『妖狐』を『式札』に戻すと、そこへもう一人の『妖魔召士』が姿を見せ始めるのであった。
「そちらも終わったようだな。この後はどうする? もうこのままコウヒョウへ向かうか?」
姿を見せたもう一人の人間とは『赤い狩衣』を着る『妖魔召士』の『フウギ』であった。
「待て『フウギ』。退魔組に属する『特別退魔士』はあと一人残っていた筈だぞ」
「ああ……。だが、探したが見つからなかったのだ」
「おかしいな……。確か『ユウゲ』とか名乗っていた『特別退魔士』は、サカダイの町周辺で何やら話をしていた様子だった筈だから、外には出てきている筈なのだが」
「もういいだろう。さっさと我らの同志である『テツヤ』達を助けるために『コウヒョウ』へ増援を頼みに向かうとしようではないか」
「ああ……。しかしそれもどうやら急がなねばならぬようだぞ? フウギ」
「ん? やれやれ……。サカダイからはだいぶ遠く離れた所を狙ったのだがな」
『ライゾウ』と『フウギ』を取り囲むように『サカダイ』の『妖魔退魔師衆』が、続々とこの場に集まってくるのを察知する『妖魔召士』達であった。
どうやら彼らは『退魔組』を監視していた『妖魔退魔師衆』だったようで、その数を見るに『ライゾウ』と『フウギ』を『妖魔召士』達を本気で取り押さえるつもりで多くの人数を集めてきたようであった。
「ちっ……! 流石に数が多すぎる。我々だけでは『式』を使役しても全滅させるのは難しい。さっさとここから離れて『コウヒョウ』へ向かうぞ? フウギ」
「心得た。同志に報告した後は、こいつら全員を葬ってやろうぜ」
「うむ。しかし最優先は『テツヤ』達の救出だという事を忘れるなよ」
「もちろんだとも」
二人はそう言うと同時に懐から『式』を取り出すと、その場で投げ捨てた。
式札はヒラリヒラリと宙を舞ったかと思うと、ボンッという音と共に『鳥』の妖魔が出現し始める。
「よし、では行くぞ!」
「応!」
こちらに向かって恐ろしい程の速度で向かってくる『妖魔退魔師衆』を尻目に、二人の妖魔召士は『妖魔』の背に乗って大空を飛んでいくのであった――。
…………
「ちっ! やはり『妖魔召士』を相手に隙を突くといった真似は出来ないか」
本部付けの妖魔退魔師衆の『ナキト』は、空を飛んで去っていく『フウギ』達の背を見ながら悔しそうにそう呟くのだった。
「ナキト! 奴らはあきらめろ。ひとまずこいつらを運ぶのを手伝ってくれよ」
仲間の妖魔退魔師衆達は『退魔組』の数多くの亡骸を運びながら『ナキト』に声を掛けるのだった。
「ああ……。それと『ミスズ』様達に報告もしなければな。奴らは『赤い狩衣』を着ていた。間違いなく捕らえた『ヒュウガ一派』と関係がある筈だ」
「『ヒュウガ一派』だって? だったら仲間であった筈の『退魔組』の者達に手を掛ける理由がないだろう?」
「馬鹿! 知らねぇのか? 『妖魔召士』だからって全員が仲間とは限らないんだぞ? そもそも『ヒュウガ』達と『ゲンロク』達は同じ『妖魔召士』だったのに敵対しているそうじゃないか。奴らの組織も複雑だってことだ」
「そ、そうなのか……。ま、難しい事は俺には分からねぇけどよ。ひとまずこいつらを運ぶの手伝えよ。どれだけの死人が転がっていると思ってんだ」
「ちっ! はいはい……。分かってるよ」
仲間に諭されたナキトは舌打ちをしながら『ヒイラギ』の焼け焦げた亡骸を木の枝と布で作った簡易な担架のようなモノに乗せて運んでいくのであった。
…………
そしてその様子を見届けている者達が居た――。
それは見張りであった『妖魔退魔師衆』と同じく、戦闘の余波や『魔力』を感じ取って『ケイノト』へ向かおうとしていた『ユウゲ』達であった。
彼らはヤエを加えた後にミヤジと共に『ケイノト』へと向かっていたが『妖狐』の『魔力』とその存在を感じ取り、直ぐに足を止めて現場へと向かった。
そして『ヒイラギ』達に襲い掛かるランク『5』に到達している『気狐』の妖魔を眼前に捉えた瞬間にこれまでも『魔力』を感じ取れない『結界』を張っていたが、戦う事が出来ぬ代わりにその『結界』をさらに強める事の出来る『捉術』を用いて、自分だけではなく『ミヤジ』と『ヤエ』も自分と共に『魔力』と『姿』を完全に悟られるように『結界』を強化してこの場で『ヒイラギ』『クキ』を含めた『退魔組』の者達の最期を見届けていたのであった――。
……
……
……
0
お気に入りに追加
440
あなたにおすすめの小説
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
H.I.S.A.H.I.T.O. みだりにその名を口にしてはならない小説がある。
あめの みかな
ファンタジー
教会は、混沌の種子を手に入れ、神や天使、悪魔を従えるすべを手に入れた。
後に「ラグナロクの日」と呼ばれる日、先端に混沌の種子を埋め込んだ大陸間弾道ミサイルが、極東の島国に撃ち込まれ、種子から孵化した神や天使や悪魔は一夜にして島国を滅亡させた。
その際に発生した混沌の瘴気は、島国を生物の住めない場所へと変えた。
世界地図から抹消されたその島国には、軌道エレベーターが建造され、かつての首都の地下には生き残ったわずかな人々が細々とくらしていた。
王族の少年が反撃ののろしを上げて立ち上がるその日を待ちながら・・・
※この作品はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】
一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。
追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。
無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。
そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード!
異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。
【諸注意】
以前投稿した同名の短編の連載版になります。
連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。
なんでも大丈夫な方向けです。
小説の形をしていないので、読む人を選びます。
以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。
disりに見えてしまう表現があります。
以上の点から気分を害されても責任は負えません。
閲覧は自己責任でお願いします。
小説家になろう、pixivでも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる