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イダラマの同志編
1436.ミスズの追い打ちの言葉
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――神域『時』魔法、『空間除外』。
イツキの『捉術』は掻き消された上にシゲンの『瑠璃』を纏った刀からの衝撃波によって、命の危険に晒されようとしているイツキだった。
しかしその衝撃波がイツキに届く前に『アレルバレル』の世界の『理』によって生み出された『時魔法』の『空間除外』によって、シゲンの放った衝撃波は最初から放たれなかったかの如く消え去った。
その『時魔法』を放ったものは、ミスズ達と共にこの部屋に訪れていた大魔王『ソフィ』によるものである――。
どうやらあのまま手を出さずに見ていれば、イツキは確実に死を迎えるだろうと判断したようであった。
「え……?」
死を覚悟していたイツキは目を閉じてその時を待っていたが、いつまでもその瞬間が訪れない事に目を開けて状況の確認を行いながら驚きの声をあげた。
「シゲン殿……。一体何があったのかは知らぬが、何もこやつを殺す必要はあるまい?」
「ソフィ殿の言う通りだ。少しばかりイツキ殿の強さを測り損ねていたようだ。私も自分の身を守るために『力』を行使せざるを得なかった。申し訳ない、イツキ殿」
シゲンは視線をソフィからイツキに戻すと、オーラを消した後に腰鞘に刀を収めた。
そしてどうやらその言葉に偽りはなかったようで、イツキの抵抗を阻止して大人しくさせようと無力化を試みるつもりではあったようだが殺すつもりはなかったらしく、素直に謝罪を口にするのであった。
「い、一体何があったのでしょう?」
そして隣に居たミスズが、ソフィもまた疑問に思っていた事を先に口にするのであった。
「その事だがなミスズ。どうやらイツキ殿が他の『退魔組』の者達を庇って自分がこの場に残った事にも理由があったようなのだ」
「ちっ……!」
どうやら『ヒュウガ』の事をバラされるのだと理解したイツキは、舌打ちをしながらシゲンやミスズ達から顔を背けるのだった。
「ふむ……。ケイノトにある『退魔組』の建物中でお主が喚いておった時の事が関係しておるという事か?」
イツキはソフィの言葉を聴くと、その場に胡坐をかきながら座り込んで不貞腐れるように顎元に手を持っていくと、溜息を吐きながら頷くのであった。
「アンタに隠し事しても後がこえぇし本音を言うが、トウジは俺のせいで死んだようなもんなんだよ。ヒュウガの野郎は俺をアンタら妖魔退魔師と戦わせる駒にしようとして、トウジやミヤジを旅籠町から脱獄させて利用した挙句に、俺を誘い出した後に用済みとなったトウジを使い捨てて処理しやがった。まだ実際にトウジの亡骸をみたわけじゃねえけど、アンタら妖魔退魔師の組長格の『キョウカ』って女は嘘を吐くような顔をしていなかった。他人の顔色の機微を窺って仕事をする『退魔組』の頭領補佐の俺にはそれが良く分かんだ。だから……あの野郎だけは許せなかったんだよ……!」
自分で『トウジ』の事を口にした事で色々とまた思い出してきたのだろう。
苛立ちを隠そうともせずにイツキは、ストレスだと言わんばかりに、ギリギリと歯ぎしりをするのだった。
「成程。それで貴方はこの『退魔組』に残ろうとしていたのですね。そして本来であれば私達が『妖魔山』へと向かう時を見計らい、ヒュウガ殿をその手で葬ろうと考えていたワケですか……」
「ああ、そうだよ。その通りだよ! でもこの総長殿が俺を違う『牢』へと入れるとか抜かしやがって、計画を妨害するような事を言いやがったから、仕方なく……」
「それは残念でしたねイツキ殿。しかしどちらにせよ、貴方の計画は頓挫していたと思いますよ? 貴方とヒュウガ殿が同じ『牢』に入る事になっていれば、ソフィ殿の『結界』によって、貴方も他の『妖魔召士』達も魔力を伴う『捉術』など全てを無力化させられていたでしょうからね」
眼鏡をくいっと上げながら、ミスズはイツキの言葉に被せるように捲し立てながら説明を行うのであった。
「何だと……? そりゃ一体どういう事なんだ?」
――この後、ミスズから『ソフィ』の扱う『死の結界』と呼ばれる『魔力吸収の地』の具体的な説明を行われて、彼の顔から血の気が引くのであった。
……
……
……
イツキの『捉術』は掻き消された上にシゲンの『瑠璃』を纏った刀からの衝撃波によって、命の危険に晒されようとしているイツキだった。
しかしその衝撃波がイツキに届く前に『アレルバレル』の世界の『理』によって生み出された『時魔法』の『空間除外』によって、シゲンの放った衝撃波は最初から放たれなかったかの如く消え去った。
その『時魔法』を放ったものは、ミスズ達と共にこの部屋に訪れていた大魔王『ソフィ』によるものである――。
どうやらあのまま手を出さずに見ていれば、イツキは確実に死を迎えるだろうと判断したようであった。
「え……?」
死を覚悟していたイツキは目を閉じてその時を待っていたが、いつまでもその瞬間が訪れない事に目を開けて状況の確認を行いながら驚きの声をあげた。
「シゲン殿……。一体何があったのかは知らぬが、何もこやつを殺す必要はあるまい?」
「ソフィ殿の言う通りだ。少しばかりイツキ殿の強さを測り損ねていたようだ。私も自分の身を守るために『力』を行使せざるを得なかった。申し訳ない、イツキ殿」
シゲンは視線をソフィからイツキに戻すと、オーラを消した後に腰鞘に刀を収めた。
そしてどうやらその言葉に偽りはなかったようで、イツキの抵抗を阻止して大人しくさせようと無力化を試みるつもりではあったようだが殺すつもりはなかったらしく、素直に謝罪を口にするのであった。
「い、一体何があったのでしょう?」
そして隣に居たミスズが、ソフィもまた疑問に思っていた事を先に口にするのであった。
「その事だがなミスズ。どうやらイツキ殿が他の『退魔組』の者達を庇って自分がこの場に残った事にも理由があったようなのだ」
「ちっ……!」
どうやら『ヒュウガ』の事をバラされるのだと理解したイツキは、舌打ちをしながらシゲンやミスズ達から顔を背けるのだった。
「ふむ……。ケイノトにある『退魔組』の建物中でお主が喚いておった時の事が関係しておるという事か?」
イツキはソフィの言葉を聴くと、その場に胡坐をかきながら座り込んで不貞腐れるように顎元に手を持っていくと、溜息を吐きながら頷くのであった。
「アンタに隠し事しても後がこえぇし本音を言うが、トウジは俺のせいで死んだようなもんなんだよ。ヒュウガの野郎は俺をアンタら妖魔退魔師と戦わせる駒にしようとして、トウジやミヤジを旅籠町から脱獄させて利用した挙句に、俺を誘い出した後に用済みとなったトウジを使い捨てて処理しやがった。まだ実際にトウジの亡骸をみたわけじゃねえけど、アンタら妖魔退魔師の組長格の『キョウカ』って女は嘘を吐くような顔をしていなかった。他人の顔色の機微を窺って仕事をする『退魔組』の頭領補佐の俺にはそれが良く分かんだ。だから……あの野郎だけは許せなかったんだよ……!」
自分で『トウジ』の事を口にした事で色々とまた思い出してきたのだろう。
苛立ちを隠そうともせずにイツキは、ストレスだと言わんばかりに、ギリギリと歯ぎしりをするのだった。
「成程。それで貴方はこの『退魔組』に残ろうとしていたのですね。そして本来であれば私達が『妖魔山』へと向かう時を見計らい、ヒュウガ殿をその手で葬ろうと考えていたワケですか……」
「ああ、そうだよ。その通りだよ! でもこの総長殿が俺を違う『牢』へと入れるとか抜かしやがって、計画を妨害するような事を言いやがったから、仕方なく……」
「それは残念でしたねイツキ殿。しかしどちらにせよ、貴方の計画は頓挫していたと思いますよ? 貴方とヒュウガ殿が同じ『牢』に入る事になっていれば、ソフィ殿の『結界』によって、貴方も他の『妖魔召士』達も魔力を伴う『捉術』など全てを無力化させられていたでしょうからね」
眼鏡をくいっと上げながら、ミスズはイツキの言葉に被せるように捲し立てながら説明を行うのであった。
「何だと……? そりゃ一体どういう事なんだ?」
――この後、ミスズから『ソフィ』の扱う『死の結界』と呼ばれる『魔力吸収の地』の具体的な説明を行われて、彼の顔から血の気が引くのであった。
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