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サカダイ編
1412.最恐の大魔王の悩み
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「旦那の『結界』を施設内全てじゃなくて、捕縛している連中を一箇所に集める事は出来ないのか?」
「えっ……? 最上位妖魔召士のヒュウガ殿に、その他大勢の上位や中位妖魔召士達を同じ牢に入れておくには相当の危険性が伴うのです、が……」
本来は同じ牢に膨大な魔力を有する『妖魔召士』達を集めて閉じ込めておくというのは考えられない事ではあったが、確かにソフィの使う『死の結界』の効力を改めて聞いた今は確かにそれが最善であった為、ミスズは考え直して何やら思案を続け始めるのだった。
「ソフィ殿の扱う『死の結界』とはどれだけの人数であっても『魔力』を使うのを制御する事が出来るのですか?」
「うーむ。この『結界』は相手の『魔力』を制御をするというのとは少し違うが、ミスズ殿の知りたい内容に沿うように答えるのならば、その答えは『出来る』が正しいだろうな。そしてそこに際限はなく、いくら『結界』内に人数が増えようが、いくら時間が経とうとも我が解かぬ限りは永続させることも可能だ」
このソフィの説明には語弊があり、大魔王フルーフの編み出したこの『魔力吸収の地』は、あくまで術者の『魔力』の範疇に限りという解釈が必要になるが、いくらこの世界の枠組みの中で膨大な魔力を有している『ヒュウガ』であっても『ソフィ』という大魔王の『魔力』の前ではその『魔力値』は霞んでしまい、これまで『結界』で封じてきた他の者達と同様に扱われてしまう事が予想されて、このソフィの語弊在りきの説明がそのまま正しくまかり通ってしまうのであった。
「そ、そうですか……! まだ『妖魔召士』組織と合同で行う『妖魔山』の調査までは日がありますので、もう少しこの件を考えさせていただきたいのですが、宜しいでしょうか?」
「うむ。我はいつでも構わぬよ? エヴィを迎えに行くのに『妖魔山』へ入る許可を出してくれるというのであれば、我はいくらでもお主らに協力をするつもりだからな」
「あ、ありがとうございます! で、では直ぐにシゲン総長に伝えてまいります。それでは失礼致します!」
どうやら『セルバス』の言葉によって、改めて『ヒュウガ』達を同じ牢に入れるかどうかの検討をシゲン達と行おうと考えたのだろう。
ミスズはそう結論を出して実際に『結界』を行うソフィに許可を取った後に慌ただしく部屋を出ていくのであった。
「ふふっ、騒がしい事だ。それにしてもセルバスよ、お主も中々に機転が利くではないか」
「へへっ! 役に立てたなら何よりですよ。それにヒュウガって野郎だけは、俺も逃したくありませんからね」
ソフィに褒められて嬉しそうにするセルバスは、シグレに対して多大なストレスを与えた『ヒュウガ』とその一派に、並々ならぬ怒りを未だに有している様子をソフィ達に見せるのであった。
そして二人の会話をテアの横に戻ったヌーもまた聴いていたが、そこで彼は再び物思いに耽る――。
(この化け物の使う『魔力吸収の地』だけは、今の俺が全力であっても如何する事も出来ねぇだろう。あのフルーフの野郎が編み出したモンだったみてぇだが、とんだ厄介な代物を生み出してくれやがったもんだぜ……)
ソフィの使う『死の結界』を編み出したのは『レパート』の世界の大魔王『フルーフ』であるが、元々『魔力吸収の地』自体は『死の結界』と呼ばれる代物ではなかった。
確かに厄介な『結界』ではあるし、この『結界』の効力自体を知らなければ面倒この上ない『結界』である事には違いはないのだが、それでも一度確認すれば詠唱者の『魔力』を上回る大魔王であれば、そこまで脅威的な『結界』でもなく、また『死の結界』等と呼ばれることもなかった筈である。
――だが、その詠唱者が大魔王『ソフィ』という事になれば、この『結界』は大きく化ける事になってしまう。
あの『煌聖の教団』の総帥であった大賢者『ミラ』を以てして、死の間際に化け物と認めさせた大魔王『ソフィ』が本気でこの『魔力吸収の地』を放ってしまえば、その『結界』の中に居る者達は完全に無力化されてしまい、最早戦闘にすらならなくなってしまうだろう。
大魔王『ヌー』であっても、大魔王『ソフィ』の魔力の底がみえないのである――。
ただ、分かっている事は、もし大魔王『ソフィ』を本気で怒らせて戦闘になった時、この『死の結界』を自在に操りながら戦闘を行われてしまえば、その相手となる存在は相当に苦戦させられるという事だろう。
(あのミスズって女が『ヒュウガ』とかいう奴や『妖魔召士』が束になれば非常に厄介だとか抜かしてやがったが、この化け物が置き土産にあの『結界』を張っていかれた方が、俺にはよっぽど恐ろしく感じるぜ……!)
何も攻撃を無力化させられる事が恐ろしいのではない――。
真に恐ろしいのはソフィが何もせずとも、戦闘を行う相手が攻撃を行う為に『魔力』を使用するだけで、全てソフィにその『魔力』を奪われた上に、生命力までもを奪われてしまうという事が恐ろしいのである。
一方的に攻撃を防がれた状態で、また生命力までも吸い取られる可能性があり、その状態で大魔王『ソフィ』の魔神域の『終焉』や『転覆』といった固有魔法を展開されてしまえば、どうやって対応していいのかが『ヌー』には思いつかないのである。
大魔王ヌーはこの『ノックス』の世界にきたことで、明確に強さがもう一段階上がり、新たな境地へと辿り着いたと自覚しているが、それでもそんなヌーですら大魔王『ソフィ』という存在と肩を並べるには至らなかった。
「えっ……? 最上位妖魔召士のヒュウガ殿に、その他大勢の上位や中位妖魔召士達を同じ牢に入れておくには相当の危険性が伴うのです、が……」
本来は同じ牢に膨大な魔力を有する『妖魔召士』達を集めて閉じ込めておくというのは考えられない事ではあったが、確かにソフィの使う『死の結界』の効力を改めて聞いた今は確かにそれが最善であった為、ミスズは考え直して何やら思案を続け始めるのだった。
「ソフィ殿の扱う『死の結界』とはどれだけの人数であっても『魔力』を使うのを制御する事が出来るのですか?」
「うーむ。この『結界』は相手の『魔力』を制御をするというのとは少し違うが、ミスズ殿の知りたい内容に沿うように答えるのならば、その答えは『出来る』が正しいだろうな。そしてそこに際限はなく、いくら『結界』内に人数が増えようが、いくら時間が経とうとも我が解かぬ限りは永続させることも可能だ」
このソフィの説明には語弊があり、大魔王フルーフの編み出したこの『魔力吸収の地』は、あくまで術者の『魔力』の範疇に限りという解釈が必要になるが、いくらこの世界の枠組みの中で膨大な魔力を有している『ヒュウガ』であっても『ソフィ』という大魔王の『魔力』の前ではその『魔力値』は霞んでしまい、これまで『結界』で封じてきた他の者達と同様に扱われてしまう事が予想されて、このソフィの語弊在りきの説明がそのまま正しくまかり通ってしまうのであった。
「そ、そうですか……! まだ『妖魔召士』組織と合同で行う『妖魔山』の調査までは日がありますので、もう少しこの件を考えさせていただきたいのですが、宜しいでしょうか?」
「うむ。我はいつでも構わぬよ? エヴィを迎えに行くのに『妖魔山』へ入る許可を出してくれるというのであれば、我はいくらでもお主らに協力をするつもりだからな」
「あ、ありがとうございます! で、では直ぐにシゲン総長に伝えてまいります。それでは失礼致します!」
どうやら『セルバス』の言葉によって、改めて『ヒュウガ』達を同じ牢に入れるかどうかの検討をシゲン達と行おうと考えたのだろう。
ミスズはそう結論を出して実際に『結界』を行うソフィに許可を取った後に慌ただしく部屋を出ていくのであった。
「ふふっ、騒がしい事だ。それにしてもセルバスよ、お主も中々に機転が利くではないか」
「へへっ! 役に立てたなら何よりですよ。それにヒュウガって野郎だけは、俺も逃したくありませんからね」
ソフィに褒められて嬉しそうにするセルバスは、シグレに対して多大なストレスを与えた『ヒュウガ』とその一派に、並々ならぬ怒りを未だに有している様子をソフィ達に見せるのであった。
そして二人の会話をテアの横に戻ったヌーもまた聴いていたが、そこで彼は再び物思いに耽る――。
(この化け物の使う『魔力吸収の地』だけは、今の俺が全力であっても如何する事も出来ねぇだろう。あのフルーフの野郎が編み出したモンだったみてぇだが、とんだ厄介な代物を生み出してくれやがったもんだぜ……)
ソフィの使う『死の結界』を編み出したのは『レパート』の世界の大魔王『フルーフ』であるが、元々『魔力吸収の地』自体は『死の結界』と呼ばれる代物ではなかった。
確かに厄介な『結界』ではあるし、この『結界』の効力自体を知らなければ面倒この上ない『結界』である事には違いはないのだが、それでも一度確認すれば詠唱者の『魔力』を上回る大魔王であれば、そこまで脅威的な『結界』でもなく、また『死の結界』等と呼ばれることもなかった筈である。
――だが、その詠唱者が大魔王『ソフィ』という事になれば、この『結界』は大きく化ける事になってしまう。
あの『煌聖の教団』の総帥であった大賢者『ミラ』を以てして、死の間際に化け物と認めさせた大魔王『ソフィ』が本気でこの『魔力吸収の地』を放ってしまえば、その『結界』の中に居る者達は完全に無力化されてしまい、最早戦闘にすらならなくなってしまうだろう。
大魔王『ヌー』であっても、大魔王『ソフィ』の魔力の底がみえないのである――。
ただ、分かっている事は、もし大魔王『ソフィ』を本気で怒らせて戦闘になった時、この『死の結界』を自在に操りながら戦闘を行われてしまえば、その相手となる存在は相当に苦戦させられるという事だろう。
(あのミスズって女が『ヒュウガ』とかいう奴や『妖魔召士』が束になれば非常に厄介だとか抜かしてやがったが、この化け物が置き土産にあの『結界』を張っていかれた方が、俺にはよっぽど恐ろしく感じるぜ……!)
何も攻撃を無力化させられる事が恐ろしいのではない――。
真に恐ろしいのはソフィが何もせずとも、戦闘を行う相手が攻撃を行う為に『魔力』を使用するだけで、全てソフィにその『魔力』を奪われた上に、生命力までもを奪われてしまうという事が恐ろしいのである。
一方的に攻撃を防がれた状態で、また生命力までも吸い取られる可能性があり、その状態で大魔王『ソフィ』の魔神域の『終焉』や『転覆』といった固有魔法を展開されてしまえば、どうやって対応していいのかが『ヌー』には思いつかないのである。
大魔王ヌーはこの『ノックス』の世界にきたことで、明確に強さがもう一段階上がり、新たな境地へと辿り着いたと自覚しているが、それでもそんなヌーですら大魔王『ソフィ』という存在と肩を並べるには至らなかった。
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