1,424 / 1,906
サカダイ編
1407.加護の森での任務の終了
しおりを挟む
セルバスの忠告を受け入れた『ロイトープ』は、直ぐに『ペレアータ』と『オグルエ』に大人しくするように視線を送ると、その二体も素直に頷いて見せるのだった。
他の悪魔達も居なくなり、残った彼らも大人しくなったのを見て、ようやく収まったと判断したミスズは警戒心をそのままに背後を振り返るのだった。
当然背後には『退魔組』の頭領である『妖魔召士』である『サテツ』が居た。
ミスズは『悪魔』達と戦いながらも背後のサテツからの攻撃にも備えられるように警戒は続けていた為、もし攻撃をされても直ぐに対応の出来る準備は整えていたのであった。
「どうやら双方、素直に矛を収めて頂けたようで何よりですよ」
笑顔でそう告げるミスズの目を見るサテツは、敵を見る目ではなくなっていた。
「ミスズ殿……。あんたはさっき『ヒュウガ』様を捕縛したと言っていたが、それは本当の事なのか?」
「ええ、間違いありません。彼はこの私の手で倒して捕縛しましたので」
視線をサテツに向けたまま、ズレ落ちる眼鏡をくいっと上げながら答えるミスズだった。
(この女が断言するんだから、間違いねぇな。あーあ、これで俺達も終わりか……)
何が発端で現状の様子になっているのか、この『退魔組』の頭領である『サテツ』は理解していなかった。
唐突に『イツキ』から『ヒュウガ』が『加護の森』に集まるように『式』を通して伝えてきたという事と、それ以前に『妖魔退魔師』と『妖魔召士』の争いがあり、両組織の間でいつ衝突が起こるか分からない状況に発展していた事。
そして『妖魔召士』の組織内でもサテツの予想より早く、ヒュウガがゲンロクと袂を分かつ事となっていた事。
――そのどれもが『サテツ』が預かり知らぬ間に起きた出来事であり、彼は謂わば被害者といえる立場だった。
しかし『退魔組』という『妖魔召士』の下部組織の『頭領』という立場を預かる者である為、その起きた出来事の責任を取らされるのは、組織という枠内に居る以上は仕方のない事である。
「そうか……」
「はい……」
ミスズは自分の話を目の前で聞いて項垂れるサテツを見て、あまりに物分かりのいい様子に逆に面食らうのだった。
(セルバス殿の使役した『悪魔』達に予想以上に精神的に参らされたという事でしょうか? それとも、そもそもヒュウガ殿に対してそこまで思い入れがあったわけでもなかった? いえ……、そんな筈はないわね。そもそもあのヒュウガ殿は『退魔組』を……、この妖魔召士のサテツ殿と合流を果たす事を大事に思っていたからこそ、わざわざ危険を冒してまで『加護の森』で落ち合うと決めた筈。サテツ殿もヒュウガ殿と志を共にするつもりだった筈なのは間違いない。しかしそれにしてはあまりにも……)
何か考え込んでいる様子のミスズを見て、サテツは静かに口を開いた。
「ミスズ殿、助けてくれて感謝する。それと俺に抵抗する意志はねぇから捕らえるなら好きにしてくれ」
「ではこれより貴方も捕縛させて頂きます。構いませんね?」
「ああ。好きにしてくれ」
「結構」
こうしてミスズとサテツの少ないやり取りの後、彼は大人しく捕縛される事となった。
…………
そしてこの後に続々と森の中から『妖魔退魔師』組織の者達が、入口に居る『副総長』の元に姿を見せ始める。
疲れた顔を見せる『特務』の者達や、二組の妖魔退魔師達。
そしてスオウ組長にそれぞれ労いの言葉を掛けていくミスズであった。
この場に最後に現れたのは、先程空の上に居た『妖魔召士』二名を引き連れた大魔王ヌーと、死神テアの姿であった。
男の方も怯える素振りを見せていたが、もう一人の女性の妖魔召士の方は更に酷い様相で、その憔悴しきった顔を見るに、ヌー達との戦闘が相当に壮絶だったことが窺えた。
帰りもまたその大魔王ヌーの『魔法』によって、一行はあっという間に『サカダイ』の『妖魔退魔師』組織の本部に辿り着くのであった。
――こうしてミスズ達『妖魔退魔師』組織の者達は『ヒュウガ一派』と、ケイノトの『退魔組』の者達の思惑を阻止する事で任務を遂行させたのであった。
他の悪魔達も居なくなり、残った彼らも大人しくなったのを見て、ようやく収まったと判断したミスズは警戒心をそのままに背後を振り返るのだった。
当然背後には『退魔組』の頭領である『妖魔召士』である『サテツ』が居た。
ミスズは『悪魔』達と戦いながらも背後のサテツからの攻撃にも備えられるように警戒は続けていた為、もし攻撃をされても直ぐに対応の出来る準備は整えていたのであった。
「どうやら双方、素直に矛を収めて頂けたようで何よりですよ」
笑顔でそう告げるミスズの目を見るサテツは、敵を見る目ではなくなっていた。
「ミスズ殿……。あんたはさっき『ヒュウガ』様を捕縛したと言っていたが、それは本当の事なのか?」
「ええ、間違いありません。彼はこの私の手で倒して捕縛しましたので」
視線をサテツに向けたまま、ズレ落ちる眼鏡をくいっと上げながら答えるミスズだった。
(この女が断言するんだから、間違いねぇな。あーあ、これで俺達も終わりか……)
何が発端で現状の様子になっているのか、この『退魔組』の頭領である『サテツ』は理解していなかった。
唐突に『イツキ』から『ヒュウガ』が『加護の森』に集まるように『式』を通して伝えてきたという事と、それ以前に『妖魔退魔師』と『妖魔召士』の争いがあり、両組織の間でいつ衝突が起こるか分からない状況に発展していた事。
そして『妖魔召士』の組織内でもサテツの予想より早く、ヒュウガがゲンロクと袂を分かつ事となっていた事。
――そのどれもが『サテツ』が預かり知らぬ間に起きた出来事であり、彼は謂わば被害者といえる立場だった。
しかし『退魔組』という『妖魔召士』の下部組織の『頭領』という立場を預かる者である為、その起きた出来事の責任を取らされるのは、組織という枠内に居る以上は仕方のない事である。
「そうか……」
「はい……」
ミスズは自分の話を目の前で聞いて項垂れるサテツを見て、あまりに物分かりのいい様子に逆に面食らうのだった。
(セルバス殿の使役した『悪魔』達に予想以上に精神的に参らされたという事でしょうか? それとも、そもそもヒュウガ殿に対してそこまで思い入れがあったわけでもなかった? いえ……、そんな筈はないわね。そもそもあのヒュウガ殿は『退魔組』を……、この妖魔召士のサテツ殿と合流を果たす事を大事に思っていたからこそ、わざわざ危険を冒してまで『加護の森』で落ち合うと決めた筈。サテツ殿もヒュウガ殿と志を共にするつもりだった筈なのは間違いない。しかしそれにしてはあまりにも……)
何か考え込んでいる様子のミスズを見て、サテツは静かに口を開いた。
「ミスズ殿、助けてくれて感謝する。それと俺に抵抗する意志はねぇから捕らえるなら好きにしてくれ」
「ではこれより貴方も捕縛させて頂きます。構いませんね?」
「ああ。好きにしてくれ」
「結構」
こうしてミスズとサテツの少ないやり取りの後、彼は大人しく捕縛される事となった。
…………
そしてこの後に続々と森の中から『妖魔退魔師』組織の者達が、入口に居る『副総長』の元に姿を見せ始める。
疲れた顔を見せる『特務』の者達や、二組の妖魔退魔師達。
そしてスオウ組長にそれぞれ労いの言葉を掛けていくミスズであった。
この場に最後に現れたのは、先程空の上に居た『妖魔召士』二名を引き連れた大魔王ヌーと、死神テアの姿であった。
男の方も怯える素振りを見せていたが、もう一人の女性の妖魔召士の方は更に酷い様相で、その憔悴しきった顔を見るに、ヌー達との戦闘が相当に壮絶だったことが窺えた。
帰りもまたその大魔王ヌーの『魔法』によって、一行はあっという間に『サカダイ』の『妖魔退魔師』組織の本部に辿り着くのであった。
――こうしてミスズ達『妖魔退魔師』組織の者達は『ヒュウガ一派』と、ケイノトの『退魔組』の者達の思惑を阻止する事で任務を遂行させたのであった。
0
お気に入りに追加
421
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
完結【真】ご都合主義で生きてます。-創生魔法で思った物を創り、現代知識を使い世界を変える-
ジェルミ
ファンタジー
魔法は5属性、無限収納のストレージ。
自分の望んだものを創れる『創生魔法』が使える者が現れたら。
28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。
そして女神が授けたのは、想像した事を実現できる創生魔法だった。
安定した収入を得るために創生魔法を使い生産チートを目指す。
いずれは働かず、寝て暮らせる生活を目指して!
この世界は無い物ばかり。
現代知識を使い生産チートを目指します。
※カクヨム様にて1日PV数10,000超え、同時掲載しております。
異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる