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サカダイ編
1399.悪魔皇帝
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ロイトープに視線で人間に襲撃を掛けるように指示を出された二体の『上位悪魔』である『ベレアータ』と『オグルエ』は人間である『サテツ』に襲い掛かっていった。
「何だてめぇら? 妖魔でもねぇし、人間ってワケでもねぇよな?」
そう呟くとサテツは、襲い掛かってきた悪魔達の顔を左右の手で同時に掴んで動きを止めてみせる。
「よく分からねぇが、てめぇらから襲い掛かってきたんだから、文句を言うんじゃねぇぞ?」
――捉術、『動殺是決』。
本来であれば殺傷能力はあるが、隙の大きな捉術となるために使い勝手がいいとはいえない『捉術』であったが、サテツはあっさりと『上位悪魔』を掴んで動けなくさせた後に、その捉術『動殺是決』を成功させるのだった。
「「が……っ、ぐがっ……!」」
悪魔達は互いに戦力値が『1億』を上回っており、先程『ロイトープ』が出した人間達を仕留めた時のように、この人間もあっさりと倒せるだろうと意気揚々と悪魔達は襲い掛かったが、こうしてその目論見はあっさりと崩れ去ってしまい、絶命させられてしまうのだった。
「これは驚きましたね……。大魔王の領域に有らせられる『魔族』の方々というわけでもなさそうですが、貴方は単なる人間なのでしょうか? こうもあっさりとセルバス様から『名付け』を行わせて頂いた『上位悪魔』である『ペレアータ』と『オグルエ』が一方的にやられるとは……。何と素晴らしい力量をお持ちなのでしょうか!」
ペレアータ達にサテツを襲うように嗾けた『ロイトープ』は心底驚いた様子でそう告げると、感心するように手を叩いてサテツに拍手を贈るのであった。
「あっさりとお仲間をやられたというのに、てめぇはえらく余裕があるじゃねえか?」
絶命させた上位悪魔である『ペレアータ』と『オグルエ』をそのまま放り投げると、首を鳴らしながらサテツは『ロイトープ』にそう言うのであった。
「ははははっ! 人間の貴方でも余裕があるように思われますか。まぁ、間違ってはいませんからねぇ」
――そういうと邪悪な笑みを浮かべ始める『ロイトープ』だった。
そして『サテツ』は悪魔と名乗る『ロイトープ』を怪訝そうに見つめると、再び『魔力』を手に集約し始める。
どうやら悪魔と名乗る『ロイトープ』を厄介な存在だとばかりにサテツは考えたのだろう。
「貴方はセルバス様に名付けを行われた『上位悪魔』を軽々と葬る事が出来る程の強い御方ですからねぇ。私程度の実力では貴方には一対一では戦っても敵わないでしょうねぇ」
口ではサテツという人間には敵わないと告げるロイトープだが、その様子からは全く焦りといったモノはみられない。
――むしろ『サテツ』の言う通り、この悪魔には余裕がたっぷりとあるようであった。
「しかし我々『悪魔』というモノは、貴方がた『人間』達とは戦い慣れていましてねぇ……? 残念な事ですが『魔族』でもなく、我々悪魔というモノを同時に多数にわたって相手どる『神聖魔法』を扱う『大賢者』というわけでもないのであれば、我々は貴方のような『人間』に対して、負ける要素が皆無なのですよ。そう、とても残念ながらね……」
ロイトープはそう言って戦慄するような笑みを浮かべながら、両手を大きく広げながら魔力を開放し始める。
――悪魔召喚、『常闇』。
『悪魔皇帝』である『ロイトープ』が全魔力を開放して、再び『上位悪魔』を召喚した時のように『悪魔』を召喚し始めるのだった――。
しかし今回のロイトープは前回の時とは違い、持ちうる全ての魔力を費やしての『悪魔召喚』であり、その召喚数の規模は比べ物にならなかった――。
次々と悍ましい形状の『悪魔』が森の中に出現し始める。
木の根本から恐ろしい形相をした悪魔が出現したり、大きな手だけが出現して、その手の平に目だけがぎょろりと動く『悪魔』。
そしてロイトープのように人型を取っている『悪魔』が出現したりと様々な形状の『悪魔』が、悪魔皇帝である『ロイトープ』の召喚に応じてこの場に次々と出現していく。
――数匹、数十匹、数百匹、数千匹。
悪魔を司る『悪魔皇帝』が、その全魔力を費やして『悪魔界』の『悪魔』を召喚したのであった――。
「なっ……!?」
流石にこれ程の数が一気に押し寄せてくるとは想像出来なかったのか『サテツ』は目を丸くして驚くのだった。
「さぁ、この悪魔皇帝が命じます。あの人間を殺しなさい!」
ロイトープがそう告げると、数千を越える『悪魔』達が一斉に『サテツ』に襲い掛かっていった。
「くっ! く、くそっ! ば、化け物どもが!!」
悍ましい顔をした様々な形状の『悪魔』達が、次々にサテツに襲い掛かっていくが、サテツの間合いに入った瞬間に『捉術』によって次々と消し飛ばされていく。
流石に戦力値が『数千億』を誇る『妖魔召士』なだけあって、有象無象の『悪魔』では簡単にはサテツを殺すことは出来ない。しかしあまりに数が多すぎる――。
ケタケタケタと笑いながら一体の悪魔が『サテツ』の腕に喰らいついたかと思えば、そのまま自爆を図った。
「ぐっ――!?」
ぼんっという音と共に『悪魔』の顔が弾け飛んだが、サテツの右腕は見るも無残に焼け爛れていた。
どうやら自爆した『悪魔』によって手が負傷したようであった。
「ふはははっ! いいですねぇ! その調子ですよお前達!」
満面の笑みを浮かべながら『ロイトープ』はその場で両手をあげながら喜びの声をあげると、他の悪魔達も嬉しそうに笑いながら、先程の自爆した『悪魔』と同じように『サテツ』に向かっていき、次々と近づいては自爆を行っていくのであった。
「ぐ、ぐぁっ……!! ひ、ひぃっ! や、やめろ! く、くるなぁっ!」
最初から玉砕自爆を行おうと迫ってくる『悪魔』に対して、如何に『サテツ』といえども生身の人間の身体では、全てを接近する前に倒しきる事が出来る筈もなく、数千という『悪魔』達が自爆目的で迫ってくるのを見て、恐怖の声をあげはじめるのだった。
多人数を相手に一気に相手どる事のできる『魔族』や『大賢者』のような存在が相手であれば、この悪魔達を同時に一気に『極大魔法』を用いて殲滅させる事も可能だろうが、この世界には『理』というモノが存在しておらず、一気に多人数を消し飛ばす『魔法』というモノも存在していない。
数体程度の『妖魔』を相手にした事はある『サテツ』であっても、これだけの規模の数の『悪魔』が自爆目的で迫ってくるのをたった一人の人間では対応出来る筈もなく、次々と目の前で爆発四散をされた『サテツ』は少しずつダメージを蓄積させていくのだった。
「ふ、ふふふっ! これはたまらない愉悦ですが、更に絶望に満ちた目を見せていただくとしましょう! セルバス様、よろしいでしょうか!?」
「ククククッ! ああ、もちろんだロイトープ。可愛いお前の頼みをこの俺が断るわけもあるまい?」
それまで成り行きを見守っていた大魔王『セルバス』は、歪んだ笑みを浮かべながら契約を行っている『ロイトープ』にそう告げるのだった。
――そして。
「それでは私も行かせていただきましょう!」
この『悪魔』達を束ねる指揮官ともいうべき『ロイトープ』もまた『サテツ』に襲い掛かっていくのだった。
それを見た『サテツ』は迫りくる悪魔達の指揮官の『ロイトープ』を優先しようと、迫ってくる『ロイトープ』に『捉術』で一気に攻撃を仕掛ける。
戦力値が『5億』を超える『ロイトープ』だが、あっさりと『サテツ』によって消し飛ばされる。
「ば、馬鹿めが! 自分からやられにくると……は?」
――神域魔法、『救済』。
次の瞬間には、サテツの手によってやられた筈の『ロイトープ』が、サテツの前に復活を果たした。
「ひゃはははは!! そう! その顔を見たかったのですよ『人間』! 我々は何度でも蘇りますよぉ!? さぁ、存分に我々を殺してみなさい! 殺しても殺しても殺しても殺しても、私たちは何度も何度も『セルバス』様のお力で蘇りますからねぇ? ひゃははは! そのたびに貴方に苦痛を与えて差し上げますからお気を付けくださいねぇ!?」
そういうと再び『ロイトープ』はサテツを殺そうと襲い掛かってくるが、苦痛に歪んだような表情を浮かべたサテツは再びロイトープを『捉術』で殺しきる。
――神域魔法、『救済』。
「ひゃはっ! ひゃはははは!!」
そして再び蘇ったのは『ロイトープ』だけではなく、一番最初にサテツの手によって消滅させられた筈の『ペレアータ』と『オグルエ』も完全再生された状態で現世に復活してくるのだった。
「さぁ、貴方達もこの愉悦を賜りなさい! ペレアータ、オグルエ!」
ロイトープの声に二体の上位悪魔達も笑みを浮かべて頷いたかと思うと、他の悪魔達の相手をさせられているサテツの元に向かっていくのだった。
「も、もう勘弁してくれぇっ!」
必死に自分の身を守ろうと攻撃を繰り返して『悪魔』達を屠っていくサテツだが、その表情は苦悩に歪んで苦しそうな声をあげ続けるのだった。
……
……
……
「あ、あんな連中が居るなんてね……。やっぱあんた戦場に出なくて正解だったわよ?」
「あ、ああ……。おかげで助かったぜ」
退魔組の頭領である『サテツ』が異形なる者達に襲われているのを空から眺めていた『キネツグ』と『チアキ』はそう口にするのだった。
彼らは『ヒュウガ』の命令通りにこの『加護の森』にまでは来ていたが、エイジの手によってキネツグの『魔力』の大半が失われていた為に、妖魔退魔師を相手に出来る筈がないと『チアキ』に説得されて戦場には顔を出さないまま、そしていつでも逃げ出せるように命令違反スレスレではあるが、森の入り口で『チアキ』がキネツグの代わりに『妖魔退魔師』達の居場所を魔力感知を行いながら逐一確認し、様子を見ていたのであった。
そのおかげで未だに妖魔退魔師達に捕縛をされずにいた二人だったが、実はその彼らも現在ある者達に捕捉されていた。
だが、彼らはサテツが『悪魔』達に襲われているところに意識を取られていた為に、その事に最後まで気づくことはなかった――。
「何だてめぇら? 妖魔でもねぇし、人間ってワケでもねぇよな?」
そう呟くとサテツは、襲い掛かってきた悪魔達の顔を左右の手で同時に掴んで動きを止めてみせる。
「よく分からねぇが、てめぇらから襲い掛かってきたんだから、文句を言うんじゃねぇぞ?」
――捉術、『動殺是決』。
本来であれば殺傷能力はあるが、隙の大きな捉術となるために使い勝手がいいとはいえない『捉術』であったが、サテツはあっさりと『上位悪魔』を掴んで動けなくさせた後に、その捉術『動殺是決』を成功させるのだった。
「「が……っ、ぐがっ……!」」
悪魔達は互いに戦力値が『1億』を上回っており、先程『ロイトープ』が出した人間達を仕留めた時のように、この人間もあっさりと倒せるだろうと意気揚々と悪魔達は襲い掛かったが、こうしてその目論見はあっさりと崩れ去ってしまい、絶命させられてしまうのだった。
「これは驚きましたね……。大魔王の領域に有らせられる『魔族』の方々というわけでもなさそうですが、貴方は単なる人間なのでしょうか? こうもあっさりとセルバス様から『名付け』を行わせて頂いた『上位悪魔』である『ペレアータ』と『オグルエ』が一方的にやられるとは……。何と素晴らしい力量をお持ちなのでしょうか!」
ペレアータ達にサテツを襲うように嗾けた『ロイトープ』は心底驚いた様子でそう告げると、感心するように手を叩いてサテツに拍手を贈るのであった。
「あっさりとお仲間をやられたというのに、てめぇはえらく余裕があるじゃねえか?」
絶命させた上位悪魔である『ペレアータ』と『オグルエ』をそのまま放り投げると、首を鳴らしながらサテツは『ロイトープ』にそう言うのであった。
「ははははっ! 人間の貴方でも余裕があるように思われますか。まぁ、間違ってはいませんからねぇ」
――そういうと邪悪な笑みを浮かべ始める『ロイトープ』だった。
そして『サテツ』は悪魔と名乗る『ロイトープ』を怪訝そうに見つめると、再び『魔力』を手に集約し始める。
どうやら悪魔と名乗る『ロイトープ』を厄介な存在だとばかりにサテツは考えたのだろう。
「貴方はセルバス様に名付けを行われた『上位悪魔』を軽々と葬る事が出来る程の強い御方ですからねぇ。私程度の実力では貴方には一対一では戦っても敵わないでしょうねぇ」
口ではサテツという人間には敵わないと告げるロイトープだが、その様子からは全く焦りといったモノはみられない。
――むしろ『サテツ』の言う通り、この悪魔には余裕がたっぷりとあるようであった。
「しかし我々『悪魔』というモノは、貴方がた『人間』達とは戦い慣れていましてねぇ……? 残念な事ですが『魔族』でもなく、我々悪魔というモノを同時に多数にわたって相手どる『神聖魔法』を扱う『大賢者』というわけでもないのであれば、我々は貴方のような『人間』に対して、負ける要素が皆無なのですよ。そう、とても残念ながらね……」
ロイトープはそう言って戦慄するような笑みを浮かべながら、両手を大きく広げながら魔力を開放し始める。
――悪魔召喚、『常闇』。
『悪魔皇帝』である『ロイトープ』が全魔力を開放して、再び『上位悪魔』を召喚した時のように『悪魔』を召喚し始めるのだった――。
しかし今回のロイトープは前回の時とは違い、持ちうる全ての魔力を費やしての『悪魔召喚』であり、その召喚数の規模は比べ物にならなかった――。
次々と悍ましい形状の『悪魔』が森の中に出現し始める。
木の根本から恐ろしい形相をした悪魔が出現したり、大きな手だけが出現して、その手の平に目だけがぎょろりと動く『悪魔』。
そしてロイトープのように人型を取っている『悪魔』が出現したりと様々な形状の『悪魔』が、悪魔皇帝である『ロイトープ』の召喚に応じてこの場に次々と出現していく。
――数匹、数十匹、数百匹、数千匹。
悪魔を司る『悪魔皇帝』が、その全魔力を費やして『悪魔界』の『悪魔』を召喚したのであった――。
「なっ……!?」
流石にこれ程の数が一気に押し寄せてくるとは想像出来なかったのか『サテツ』は目を丸くして驚くのだった。
「さぁ、この悪魔皇帝が命じます。あの人間を殺しなさい!」
ロイトープがそう告げると、数千を越える『悪魔』達が一斉に『サテツ』に襲い掛かっていった。
「くっ! く、くそっ! ば、化け物どもが!!」
悍ましい顔をした様々な形状の『悪魔』達が、次々にサテツに襲い掛かっていくが、サテツの間合いに入った瞬間に『捉術』によって次々と消し飛ばされていく。
流石に戦力値が『数千億』を誇る『妖魔召士』なだけあって、有象無象の『悪魔』では簡単にはサテツを殺すことは出来ない。しかしあまりに数が多すぎる――。
ケタケタケタと笑いながら一体の悪魔が『サテツ』の腕に喰らいついたかと思えば、そのまま自爆を図った。
「ぐっ――!?」
ぼんっという音と共に『悪魔』の顔が弾け飛んだが、サテツの右腕は見るも無残に焼け爛れていた。
どうやら自爆した『悪魔』によって手が負傷したようであった。
「ふはははっ! いいですねぇ! その調子ですよお前達!」
満面の笑みを浮かべながら『ロイトープ』はその場で両手をあげながら喜びの声をあげると、他の悪魔達も嬉しそうに笑いながら、先程の自爆した『悪魔』と同じように『サテツ』に向かっていき、次々と近づいては自爆を行っていくのであった。
「ぐ、ぐぁっ……!! ひ、ひぃっ! や、やめろ! く、くるなぁっ!」
最初から玉砕自爆を行おうと迫ってくる『悪魔』に対して、如何に『サテツ』といえども生身の人間の身体では、全てを接近する前に倒しきる事が出来る筈もなく、数千という『悪魔』達が自爆目的で迫ってくるのを見て、恐怖の声をあげはじめるのだった。
多人数を相手に一気に相手どる事のできる『魔族』や『大賢者』のような存在が相手であれば、この悪魔達を同時に一気に『極大魔法』を用いて殲滅させる事も可能だろうが、この世界には『理』というモノが存在しておらず、一気に多人数を消し飛ばす『魔法』というモノも存在していない。
数体程度の『妖魔』を相手にした事はある『サテツ』であっても、これだけの規模の数の『悪魔』が自爆目的で迫ってくるのをたった一人の人間では対応出来る筈もなく、次々と目の前で爆発四散をされた『サテツ』は少しずつダメージを蓄積させていくのだった。
「ふ、ふふふっ! これはたまらない愉悦ですが、更に絶望に満ちた目を見せていただくとしましょう! セルバス様、よろしいでしょうか!?」
「ククククッ! ああ、もちろんだロイトープ。可愛いお前の頼みをこの俺が断るわけもあるまい?」
それまで成り行きを見守っていた大魔王『セルバス』は、歪んだ笑みを浮かべながら契約を行っている『ロイトープ』にそう告げるのだった。
――そして。
「それでは私も行かせていただきましょう!」
この『悪魔』達を束ねる指揮官ともいうべき『ロイトープ』もまた『サテツ』に襲い掛かっていくのだった。
それを見た『サテツ』は迫りくる悪魔達の指揮官の『ロイトープ』を優先しようと、迫ってくる『ロイトープ』に『捉術』で一気に攻撃を仕掛ける。
戦力値が『5億』を超える『ロイトープ』だが、あっさりと『サテツ』によって消し飛ばされる。
「ば、馬鹿めが! 自分からやられにくると……は?」
――神域魔法、『救済』。
次の瞬間には、サテツの手によってやられた筈の『ロイトープ』が、サテツの前に復活を果たした。
「ひゃはははは!! そう! その顔を見たかったのですよ『人間』! 我々は何度でも蘇りますよぉ!? さぁ、存分に我々を殺してみなさい! 殺しても殺しても殺しても殺しても、私たちは何度も何度も『セルバス』様のお力で蘇りますからねぇ? ひゃははは! そのたびに貴方に苦痛を与えて差し上げますからお気を付けくださいねぇ!?」
そういうと再び『ロイトープ』はサテツを殺そうと襲い掛かってくるが、苦痛に歪んだような表情を浮かべたサテツは再びロイトープを『捉術』で殺しきる。
――神域魔法、『救済』。
「ひゃはっ! ひゃはははは!!」
そして再び蘇ったのは『ロイトープ』だけではなく、一番最初にサテツの手によって消滅させられた筈の『ペレアータ』と『オグルエ』も完全再生された状態で現世に復活してくるのだった。
「さぁ、貴方達もこの愉悦を賜りなさい! ペレアータ、オグルエ!」
ロイトープの声に二体の上位悪魔達も笑みを浮かべて頷いたかと思うと、他の悪魔達の相手をさせられているサテツの元に向かっていくのだった。
「も、もう勘弁してくれぇっ!」
必死に自分の身を守ろうと攻撃を繰り返して『悪魔』達を屠っていくサテツだが、その表情は苦悩に歪んで苦しそうな声をあげ続けるのだった。
……
……
……
「あ、あんな連中が居るなんてね……。やっぱあんた戦場に出なくて正解だったわよ?」
「あ、ああ……。おかげで助かったぜ」
退魔組の頭領である『サテツ』が異形なる者達に襲われているのを空から眺めていた『キネツグ』と『チアキ』はそう口にするのだった。
彼らは『ヒュウガ』の命令通りにこの『加護の森』にまでは来ていたが、エイジの手によってキネツグの『魔力』の大半が失われていた為に、妖魔退魔師を相手に出来る筈がないと『チアキ』に説得されて戦場には顔を出さないまま、そしていつでも逃げ出せるように命令違反スレスレではあるが、森の入り口で『チアキ』がキネツグの代わりに『妖魔退魔師』達の居場所を魔力感知を行いながら逐一確認し、様子を見ていたのであった。
そのおかげで未だに妖魔退魔師達に捕縛をされずにいた二人だったが、実はその彼らも現在ある者達に捕捉されていた。
だが、彼らはサテツが『悪魔』達に襲われているところに意識を取られていた為に、その事に最後まで気づくことはなかった――。
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