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サカダイ編
1392.ヌーの放つ魔神域の魔法
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「――」(くそっ、ま、まずい!)
テアは声を出せるようではあるが、身体が動かなくなったことを自覚する。
どうやら『黄雀』にトドメを刺そうと考えていたテアは、自らに襲い掛かろうとする『キクゾウ』の存在に気づけなかったのだろう。
最初から『黄雀』の近くで控えていたのであれば、また違ったのかもしれないが、少しでも距離を取られて姿を見せないだけで、その存在感の認識が出来なくなったようである。
そして動けなくなったテアをもう脅威とは思わなくなったようで『黄雀』の元へ『キクゾウ』が姿を見せるのであった。
「何度か攻撃を受けたように思えたが、大丈夫か?」
「いや、どうだろうな……。外傷はそこまで酷いわけではないが、何かじくり、じくりと伝えづらい痛みのようなものを今も感じている。どうやら内臓系に直接干渉するような攻撃の類だったようだ」
「ほう……。珍しい攻撃手法だが、この者もどうやら人間ではないみたいだからな。どうやら我々とは違う攻撃を用いると考えて間違いなさそうだ」
そう言って『キクゾウ』は『青い目』で動けなくなっているであろう『テア』を見ようと視線を向けたが、そこに居る筈の『テア』の姿が忽然と消え去っていた。
「な……、何!?」
キクゾウが『魔瞳』でテアの動きを止めて『黄雀』の元へ駆けよってから、まだ僅かと呼べる時間しか経ってはいない。
それも先程まで何か呻いていたのを『キクゾウ』はしっかりと耳で聴いたばかりであった。その『テア』の姿がない事で周囲を見渡していた『キクゾウ』の元に声が届いた……気がした――。
そして『キクゾウ』が最後にその声のする方を観ようと顔をあげたとき、目に見えたのは『黄雀』の顔ではなく、良く分からない黒い球体が自分に向けて襲い掛かってくるところであった――。
(何だこれは……!? か、回避を……!)
キクゾウがそう決意を行って動こうとしたが、彼の身体は動く事はなかった。
――魔神域魔法、『禍』。
――その黒い球体は、大魔王ヌーの意思のままに動くモノ。
――その黒い球体は、大魔王ヌーの残酷さを示すモノ。
――その黒い球体は、大魔王ヌーの残虐ぶりを象徴するモノ。
その黒い球体に呑み込まれた『キクゾウ』は、動くことを拒否されて『魔力』そのものを封じられた挙句、抵抗という抵抗を全て封じられたまま、この世を去る事になるのであった――。
「そ、そんな馬鹿な……! 主……!」
大魔王ヌーの『禍』によってこの世から強制的に排除された『キクゾウ』を見て、彼に使役された妖魔である『黄雀』は驚きの声をあげるのであった。
…………
キクゾウの『青い目』によって動けなくされたテアを『逆転移』を用いて自分の近くまで『テア』を移動させた後、スタックさせていた『極大魔法』用の魔力を用いた魔神域の魔法である『禍』でキクゾウを葬ってみせた大魔王ヌーであった。
「おい、大丈夫かよ?」
そして『キクゾウ』を葬ったヌーは、自身の隣に居る『テア』に声を掛けるのだった。
「――」(ああ……。またお前に助けられちまったよ)
「クククッ! てめぇら死神は確かに何度殺しても蘇られるみてぇだが、あの妖魔召士って野郎が行ったみてぇに『魔瞳』で動けなくさせて放置しとけば、生き返れねぇみたいだからな。次からは気をつけろよ? 俺ら魔族が『代替身体』を用意していても対策されるような時代だ。お前ら死神も油断してると飼い殺されちまうぞ」
「――」(ちっ! 全く、下界の存在も侮れないな……)
ヌーとテアがそんな言葉を交わしていると、呆けた表情で『キクゾウ』の居た場所に視線を送っていた『黄雀』が、意識を戻してヌーの方に視線を向け始めるのだった。
「――」(おい、ヌー。どうやらアイツ相当お前に苛立っているようだぜ? 恐ろしい殺意を向けていやがる)
「ククッ! 上等だよ。返り討ちにしてやるぜ。テア、お前は下がっていろ」
「――」(馬鹿言うなよ。私も一緒に戦ってや……る!?)
まだ喋っている最中だったテアだが、最後まで言い切る前にヌーに抱きかかえられたかと思うと、その場から飛翔するヌーであった。
そしてテア達が居た場所に恐ろしい速度と殺傷能力を持った衝撃波が突き抜けていくのであった。
「てめぇなら確かに何度死んでも戻ってこれるかもしれねぇが、あの野郎を殺す事は出来ねぇだろ。戻ってきても直ぐにやられるくらいなら、最初っから後ろに下がってろ。あの野郎は俺が仕留めてやる」
「――」(ちっ……! 分かったよ!)
ヌーの言う通りだと自覚したテアは、素直に頷いて見せるのであった。
……
……
……
テアは声を出せるようではあるが、身体が動かなくなったことを自覚する。
どうやら『黄雀』にトドメを刺そうと考えていたテアは、自らに襲い掛かろうとする『キクゾウ』の存在に気づけなかったのだろう。
最初から『黄雀』の近くで控えていたのであれば、また違ったのかもしれないが、少しでも距離を取られて姿を見せないだけで、その存在感の認識が出来なくなったようである。
そして動けなくなったテアをもう脅威とは思わなくなったようで『黄雀』の元へ『キクゾウ』が姿を見せるのであった。
「何度か攻撃を受けたように思えたが、大丈夫か?」
「いや、どうだろうな……。外傷はそこまで酷いわけではないが、何かじくり、じくりと伝えづらい痛みのようなものを今も感じている。どうやら内臓系に直接干渉するような攻撃の類だったようだ」
「ほう……。珍しい攻撃手法だが、この者もどうやら人間ではないみたいだからな。どうやら我々とは違う攻撃を用いると考えて間違いなさそうだ」
そう言って『キクゾウ』は『青い目』で動けなくなっているであろう『テア』を見ようと視線を向けたが、そこに居る筈の『テア』の姿が忽然と消え去っていた。
「な……、何!?」
キクゾウが『魔瞳』でテアの動きを止めて『黄雀』の元へ駆けよってから、まだ僅かと呼べる時間しか経ってはいない。
それも先程まで何か呻いていたのを『キクゾウ』はしっかりと耳で聴いたばかりであった。その『テア』の姿がない事で周囲を見渡していた『キクゾウ』の元に声が届いた……気がした――。
そして『キクゾウ』が最後にその声のする方を観ようと顔をあげたとき、目に見えたのは『黄雀』の顔ではなく、良く分からない黒い球体が自分に向けて襲い掛かってくるところであった――。
(何だこれは……!? か、回避を……!)
キクゾウがそう決意を行って動こうとしたが、彼の身体は動く事はなかった。
――魔神域魔法、『禍』。
――その黒い球体は、大魔王ヌーの意思のままに動くモノ。
――その黒い球体は、大魔王ヌーの残酷さを示すモノ。
――その黒い球体は、大魔王ヌーの残虐ぶりを象徴するモノ。
その黒い球体に呑み込まれた『キクゾウ』は、動くことを拒否されて『魔力』そのものを封じられた挙句、抵抗という抵抗を全て封じられたまま、この世を去る事になるのであった――。
「そ、そんな馬鹿な……! 主……!」
大魔王ヌーの『禍』によってこの世から強制的に排除された『キクゾウ』を見て、彼に使役された妖魔である『黄雀』は驚きの声をあげるのであった。
…………
キクゾウの『青い目』によって動けなくされたテアを『逆転移』を用いて自分の近くまで『テア』を移動させた後、スタックさせていた『極大魔法』用の魔力を用いた魔神域の魔法である『禍』でキクゾウを葬ってみせた大魔王ヌーであった。
「おい、大丈夫かよ?」
そして『キクゾウ』を葬ったヌーは、自身の隣に居る『テア』に声を掛けるのだった。
「――」(ああ……。またお前に助けられちまったよ)
「クククッ! てめぇら死神は確かに何度殺しても蘇られるみてぇだが、あの妖魔召士って野郎が行ったみてぇに『魔瞳』で動けなくさせて放置しとけば、生き返れねぇみたいだからな。次からは気をつけろよ? 俺ら魔族が『代替身体』を用意していても対策されるような時代だ。お前ら死神も油断してると飼い殺されちまうぞ」
「――」(ちっ! 全く、下界の存在も侮れないな……)
ヌーとテアがそんな言葉を交わしていると、呆けた表情で『キクゾウ』の居た場所に視線を送っていた『黄雀』が、意識を戻してヌーの方に視線を向け始めるのだった。
「――」(おい、ヌー。どうやらアイツ相当お前に苛立っているようだぜ? 恐ろしい殺意を向けていやがる)
「ククッ! 上等だよ。返り討ちにしてやるぜ。テア、お前は下がっていろ」
「――」(馬鹿言うなよ。私も一緒に戦ってや……る!?)
まだ喋っている最中だったテアだが、最後まで言い切る前にヌーに抱きかかえられたかと思うと、その場から飛翔するヌーであった。
そしてテア達が居た場所に恐ろしい速度と殺傷能力を持った衝撃波が突き抜けていくのであった。
「てめぇなら確かに何度死んでも戻ってこれるかもしれねぇが、あの野郎を殺す事は出来ねぇだろ。戻ってきても直ぐにやられるくらいなら、最初っから後ろに下がってろ。あの野郎は俺が仕留めてやる」
「――」(ちっ……! 分かったよ!)
ヌーの言う通りだと自覚したテアは、素直に頷いて見せるのであった。
……
……
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