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サカダイ編
1389.雌雄決するとき
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大魔王ヌーが空へ逃げようとする『妖魔召士』二名と、ランク『8』に到達している『黄雀』の居る場所に向けて、地属性『最強』と呼び声高い『天雷一閃』を放った。
『天空の雷』の五倍程の殺傷能力があるとされる『天雷一閃』だが、この大魔王『ヌー』が無詠唱で放ったこの魔法は、既にそういう規模を超えており、放ったと同時にすでに空には雨雲が出来ており、気が付いたころにはもう雷が天空から降り注いでいた。
一瞬で命を刈り取る程の光速の一撃は、空に居た『ヒュウガ』達を一瞬で地上へと叩き落した。
『アレルバレル』の世界の魔族達の大半であれば、今のヌーの『魔神域』に到達している『天雷一閃』で骨も残らず粉々にされていたであろうが、流石に『ヒュウガ』やランク『8』の『黄雀』に守られている『キクゾウ』は生還を許されているようだった。
「くっ……! な、なんだ今のは……!?」
「主よ、お前は下がっていろ。こいつは今のお前の手におえる相手ではなさそうだ」
ヒュウガも『黄雀』もまともに雷光が直撃したにも拘らず、信じられないことにどうやら持前の『耐魔力』だけで『ヌー』の『天雷一閃』を耐え抜いたようであった。
「ククッ……! この世界の人間がしぶといという事はもう分かってんだよ。さて、てめぇらには今の俺がどれ程の強さなのかを測る為の実験台になってもらうとするか」
「待ってくださいヌー殿。そちらの『ヒュウガ』だけは私にやらせて頂きたい」
「ああ……? むっ!?」
意気揚々と全員を相手にしようと考えていたヌーに、待ってほしいと声を掛けたのは『眼鏡』を外した副総長『ミスズ』であった。
ヌーは久しぶりに自分が全力を出せるとあって、刃向かう者を全て自分の手で葬り去ろうと考えていたが、そこで副総長ミスズの『本気』となった姿を見て、驚きの声をあげたのだった。
(ククッ! 成程。この女も相当あのヒュウガって人間に対して我慢ならねぇようだ。ここで無理に押し切れば今の俺でさえも面倒な事になりそうだ。ここは……仕方ねぇか)
「ちっ……! 元々そういう話だったしな。わぁったよ、好きにしな」
そういうと大魔王ヌーは、ミスズという人間の『瑠璃』の練度の完成度を見て、笑みを浮かべながらそう口にするのだった。
この大魔王ヌーが一度決めた事を撤回することは珍しい。
しかしミスズの言葉にその珍しい撤回の発言を許す程までに、ヌーは副総長『ミスズ』を認めているという証でもあった。
「だが、こっちの奴らは渡さねぇ。今の俺が何処まで強くなっているかを確かめる為の実験道具になってもらわねばならねぇからな……」
「ええ。先程も言いましたが、私としては『ヒュウガ』殿さえ私の手で捕縛させて頂けるのならば、そちらの者達の処遇はヌー殿にお任せしますよ。ですが、分かってはいると思いますが、この場から逃す事だけは避けていただきたい」
殺すのも生かして捕らえる事も任せるが、逃す事だけは許さないと告げる『妖魔退魔師』の副総長ミスズであった。
「ああ。それはねぇよ……。よし、やるぞ? テア」
「――!」(よしきた。契約に基づいてこの『死神貴族』の『テア』様が、親愛なる大魔王の手足となって働いてやろうじゃねーか!)
桃色の髪色をした『死神』のテアはそう告げると、何もない空間から自身の体躯よりも大きな鎌を取り出して、そのままクルクルと器用に回し始めるのだった。
…………
「久しぶりですね『ヒュウガ』殿。ようやく会えて、嬉しい限りですよ」
眼鏡を外したミスズは静かに『瑠璃』を纏わせた刀の切っ先をヒュウガに向けるとそう口にする。
「ミスズ殿……。よくこの場所に私が居るという事を掴めたものですね。貴方がた『妖魔退魔師』は我々の魔力を感知出来ないものと思っておりましたが」
「少しばかり貴方は目立ち過ぎたという事ですよ。さて、お喋りはもうこの辺でいいでしょう? 貴方には報いを受けていただきます」
……
……
……
『天空の雷』の五倍程の殺傷能力があるとされる『天雷一閃』だが、この大魔王『ヌー』が無詠唱で放ったこの魔法は、既にそういう規模を超えており、放ったと同時にすでに空には雨雲が出来ており、気が付いたころにはもう雷が天空から降り注いでいた。
一瞬で命を刈り取る程の光速の一撃は、空に居た『ヒュウガ』達を一瞬で地上へと叩き落した。
『アレルバレル』の世界の魔族達の大半であれば、今のヌーの『魔神域』に到達している『天雷一閃』で骨も残らず粉々にされていたであろうが、流石に『ヒュウガ』やランク『8』の『黄雀』に守られている『キクゾウ』は生還を許されているようだった。
「くっ……! な、なんだ今のは……!?」
「主よ、お前は下がっていろ。こいつは今のお前の手におえる相手ではなさそうだ」
ヒュウガも『黄雀』もまともに雷光が直撃したにも拘らず、信じられないことにどうやら持前の『耐魔力』だけで『ヌー』の『天雷一閃』を耐え抜いたようであった。
「ククッ……! この世界の人間がしぶといという事はもう分かってんだよ。さて、てめぇらには今の俺がどれ程の強さなのかを測る為の実験台になってもらうとするか」
「待ってくださいヌー殿。そちらの『ヒュウガ』だけは私にやらせて頂きたい」
「ああ……? むっ!?」
意気揚々と全員を相手にしようと考えていたヌーに、待ってほしいと声を掛けたのは『眼鏡』を外した副総長『ミスズ』であった。
ヌーは久しぶりに自分が全力を出せるとあって、刃向かう者を全て自分の手で葬り去ろうと考えていたが、そこで副総長ミスズの『本気』となった姿を見て、驚きの声をあげたのだった。
(ククッ! 成程。この女も相当あのヒュウガって人間に対して我慢ならねぇようだ。ここで無理に押し切れば今の俺でさえも面倒な事になりそうだ。ここは……仕方ねぇか)
「ちっ……! 元々そういう話だったしな。わぁったよ、好きにしな」
そういうと大魔王ヌーは、ミスズという人間の『瑠璃』の練度の完成度を見て、笑みを浮かべながらそう口にするのだった。
この大魔王ヌーが一度決めた事を撤回することは珍しい。
しかしミスズの言葉にその珍しい撤回の発言を許す程までに、ヌーは副総長『ミスズ』を認めているという証でもあった。
「だが、こっちの奴らは渡さねぇ。今の俺が何処まで強くなっているかを確かめる為の実験道具になってもらわねばならねぇからな……」
「ええ。先程も言いましたが、私としては『ヒュウガ』殿さえ私の手で捕縛させて頂けるのならば、そちらの者達の処遇はヌー殿にお任せしますよ。ですが、分かってはいると思いますが、この場から逃す事だけは避けていただきたい」
殺すのも生かして捕らえる事も任せるが、逃す事だけは許さないと告げる『妖魔退魔師』の副総長ミスズであった。
「ああ。それはねぇよ……。よし、やるぞ? テア」
「――!」(よしきた。契約に基づいてこの『死神貴族』の『テア』様が、親愛なる大魔王の手足となって働いてやろうじゃねーか!)
桃色の髪色をした『死神』のテアはそう告げると、何もない空間から自身の体躯よりも大きな鎌を取り出して、そのままクルクルと器用に回し始めるのだった。
…………
「久しぶりですね『ヒュウガ』殿。ようやく会えて、嬉しい限りですよ」
眼鏡を外したミスズは静かに『瑠璃』を纏わせた刀の切っ先をヒュウガに向けるとそう口にする。
「ミスズ殿……。よくこの場所に私が居るという事を掴めたものですね。貴方がた『妖魔退魔師』は我々の魔力を感知出来ないものと思っておりましたが」
「少しばかり貴方は目立ち過ぎたという事ですよ。さて、お喋りはもうこの辺でいいでしょう? 貴方には報いを受けていただきます」
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