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サカダイ編
1374.二組組長スオウVS王連2
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「お主らは『魔力』の適正がない『妖魔退魔師』の筈だが、何故儂の『術』から逃れられたのかな?」
心底不思議だとばかりに話す『王連』の表情は、これまでとは違って余裕が感じられなかった。
どうやら『スオウ』に天狗の神通力が通用しなかったことで、王連は『スオウ』という妖魔退魔師に対して懸念を抱くに至る相手だと認めたようであった。
「俺達『妖魔退魔師』の組長は君みたいな高ランクの妖魔とも戦ってきているからね。通常では理解が及ばないような面妖な『力』を使う者たちだという事は良く分かっているよ」
そう話すスオウは確かに強がりでもハッタリでもなく、本当に余裕があるような口ぶりで堂々と王連に告げるのだった。
じっと『王連』は空の上からそのスオウの様子を観察していたが、どうやら嘘偽りがない本当の事なのだと判断したようで感心するように、二度三度と首を縦に振って頷いて見せるのだった。
「カッカッカ! お主らの言う強き妖魔達というのがどのあたりまでの者達の事を指すのかまでは知らぬが、それでも確かに儂の『力』を躱してみせたのは事実だ。妖魔召士達の使う『術』と儂ら天狗や鵺にあの気に入らぬ『黄雀』どもの使う『術』とは違うモノを『魔力』の操作に長けてはおらぬ『妖魔退魔師』が見事に対処してみせた事は感服に値するぞ人間よ」
「それはどうもありがとう。でも君は俺を褒めてくれている場合じゃないと思うよ」
スオウは薄く笑みを浮かべると、褒め称えていた王連にそう告げるのだった。
「ほう? それはどういう事かね?」
突然のスオウの気になる言葉に、王連は首を傾げるのだった。
「もう君の戦い方はある程度把握したからね。どうやら君は他の天狗たちよりは強いみたいだけど、それでも戦い方自体にそこまで遜色はない。確かに君たち天狗の扱う『神通力』とやらは脅威的だとは思うけれど、俺にはそれはもう通用しないよ。むしろ使わない方が君の為だと言っておくよ」
「……」
先程まで余裕のある笑みを見せていた王連だったが、今は完全にその姿はなりを潜めて無言でスオウに視線を向け続けている。
形容しがたい表情を浮かべていた王連だが、どうやらその表情の意味は突然の言葉に驚いて頭で理解が追い付いていない状態を表していたようである。
そして理解が追い付いた後の今の王連の様子は、必死に怒りを抑えながら冷静であろうとしているような状況にスオウは見えるのだった。
「おいおい人間。流石にそれは少々調子に乗り過ぎではないかね? 確かに儂に『力』の矛先を向けられて、上手く対処を行えた事は見事だとは思うが、あくまでそれは偶然が重なった事や運である可能性も捨てきれてはいないのではないかな? その可能性をまるで考えずに自分の力を過信しすぎては痛い目を見ると儂は思うが……」
「俺はしっかりと自分の強さというモノを理解しているよ。さっきの言葉は間違いなく君の力を推し量った上での結論の言葉だよ。信じられないなら使って試してみるといい。でも使うなら俺も手加減をするつもりはないから、その時は遠慮なく君を倒させてもらうから、本当に使う事をおススメはしないけどね」
スオウは王連に使いたければ使えばいいが、本当に使うのならば容赦はしないと告げているのであった。
「そこまで言うのであれば、お主の挑発にわざと乗ってやってもいいだろう……。だが、この儂にそこまで舐めた口を利いた以上は覚悟をすることだ。この大天狗の王連は『妖狐』や『鵺』程に甘くはないぞ?」
大天狗の妖魔『王連』は、そう口にしながらもヤツデの葉に『魔力』を費やし続けていく。
どうやらスオウの言葉通りに先程使って見せた『神通力』とやらを再び使用するようではあるが、先程よりも更にその効力を高めるための『力』を開放しようとしているのだろう。
――余程に先程のスオウの言葉が気に入らなかったようである。
他の妖魔退魔師と戦った時もそうではあるが、どうやらこの『王連』という大天狗の妖魔は『人間』に対して非常に関心を寄せてはいるようだが、それはあくまで研究の対象としての側面でしかなく、基本的には自分達のような高位の妖魔には『人間』は劣るのだという考えをもっている。
そんな人間達に舐められたり、不遜な態度をとられると我慢ならないという傲慢な一面も持っているようであった。
そしてその考えは当然に今回も当てはまっており、スオウを優秀な『妖魔退魔師』と認めてはいるが、それはあくまで『人間』という枠組みの範疇でしかない。
当然大天狗の自分には『スオウ』という『妖魔退魔師』の『人間』は劣っていると考えている節があるために、スオウに見下されるような発言をされたことに我慢がならなかったようであった。
……
……
……
心底不思議だとばかりに話す『王連』の表情は、これまでとは違って余裕が感じられなかった。
どうやら『スオウ』に天狗の神通力が通用しなかったことで、王連は『スオウ』という妖魔退魔師に対して懸念を抱くに至る相手だと認めたようであった。
「俺達『妖魔退魔師』の組長は君みたいな高ランクの妖魔とも戦ってきているからね。通常では理解が及ばないような面妖な『力』を使う者たちだという事は良く分かっているよ」
そう話すスオウは確かに強がりでもハッタリでもなく、本当に余裕があるような口ぶりで堂々と王連に告げるのだった。
じっと『王連』は空の上からそのスオウの様子を観察していたが、どうやら嘘偽りがない本当の事なのだと判断したようで感心するように、二度三度と首を縦に振って頷いて見せるのだった。
「カッカッカ! お主らの言う強き妖魔達というのがどのあたりまでの者達の事を指すのかまでは知らぬが、それでも確かに儂の『力』を躱してみせたのは事実だ。妖魔召士達の使う『術』と儂ら天狗や鵺にあの気に入らぬ『黄雀』どもの使う『術』とは違うモノを『魔力』の操作に長けてはおらぬ『妖魔退魔師』が見事に対処してみせた事は感服に値するぞ人間よ」
「それはどうもありがとう。でも君は俺を褒めてくれている場合じゃないと思うよ」
スオウは薄く笑みを浮かべると、褒め称えていた王連にそう告げるのだった。
「ほう? それはどういう事かね?」
突然のスオウの気になる言葉に、王連は首を傾げるのだった。
「もう君の戦い方はある程度把握したからね。どうやら君は他の天狗たちよりは強いみたいだけど、それでも戦い方自体にそこまで遜色はない。確かに君たち天狗の扱う『神通力』とやらは脅威的だとは思うけれど、俺にはそれはもう通用しないよ。むしろ使わない方が君の為だと言っておくよ」
「……」
先程まで余裕のある笑みを見せていた王連だったが、今は完全にその姿はなりを潜めて無言でスオウに視線を向け続けている。
形容しがたい表情を浮かべていた王連だが、どうやらその表情の意味は突然の言葉に驚いて頭で理解が追い付いていない状態を表していたようである。
そして理解が追い付いた後の今の王連の様子は、必死に怒りを抑えながら冷静であろうとしているような状況にスオウは見えるのだった。
「おいおい人間。流石にそれは少々調子に乗り過ぎではないかね? 確かに儂に『力』の矛先を向けられて、上手く対処を行えた事は見事だとは思うが、あくまでそれは偶然が重なった事や運である可能性も捨てきれてはいないのではないかな? その可能性をまるで考えずに自分の力を過信しすぎては痛い目を見ると儂は思うが……」
「俺はしっかりと自分の強さというモノを理解しているよ。さっきの言葉は間違いなく君の力を推し量った上での結論の言葉だよ。信じられないなら使って試してみるといい。でも使うなら俺も手加減をするつもりはないから、その時は遠慮なく君を倒させてもらうから、本当に使う事をおススメはしないけどね」
スオウは王連に使いたければ使えばいいが、本当に使うのならば容赦はしないと告げているのであった。
「そこまで言うのであれば、お主の挑発にわざと乗ってやってもいいだろう……。だが、この儂にそこまで舐めた口を利いた以上は覚悟をすることだ。この大天狗の王連は『妖狐』や『鵺』程に甘くはないぞ?」
大天狗の妖魔『王連』は、そう口にしながらもヤツデの葉に『魔力』を費やし続けていく。
どうやらスオウの言葉通りに先程使って見せた『神通力』とやらを再び使用するようではあるが、先程よりも更にその効力を高めるための『力』を開放しようとしているのだろう。
――余程に先程のスオウの言葉が気に入らなかったようである。
他の妖魔退魔師と戦った時もそうではあるが、どうやらこの『王連』という大天狗の妖魔は『人間』に対して非常に関心を寄せてはいるようだが、それはあくまで研究の対象としての側面でしかなく、基本的には自分達のような高位の妖魔には『人間』は劣るのだという考えをもっている。
そんな人間達に舐められたり、不遜な態度をとられると我慢ならないという傲慢な一面も持っているようであった。
そしてその考えは当然に今回も当てはまっており、スオウを優秀な『妖魔退魔師』と認めてはいるが、それはあくまで『人間』という枠組みの範疇でしかない。
当然大天狗の自分には『スオウ』という『妖魔退魔師』の『人間』は劣っていると考えている節があるために、スオウに見下されるような発言をされたことに我慢がならなかったようであった。
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