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サカダイ編
1365.生還を果たすカヤ
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「ここで戦いを継続すればどうなるか、お前にも理解が出来ただろう? それにあの人間の命令に従うのは構わぬが、ここを上手く乗り切れたとしても全てが解決できるわけではない。まだお前達には他の『組長格』やその上の『妖魔退魔師』を束ねる者達と連闘せざるを得ない状況なのだ」
「分かった……」
――たしかに『黄雀』の言う通りであった。
『ヒュウガ一派』の中にはまだ数多くの『妖魔召士』が居るには居るが、それでも『組長格』や『副総長』を相手にするには『中位妖魔召士』達では相手にならない。
つまりここで目の前に居る『組長格』ですらない『妖魔退魔師』の隊士達と死闘を続けて勝利が出来たとしても、その後に待ち受ける更なる強者である『組長格』やあの『ミスズ』を相手にするのは、自分達か『王連』を『式』にしている『ジンゼン』が対応せざるを得なくなる。
そんな時にここで無駄な労力を費やして『魔力枯渇』を行ったりしていれば『一派』は総崩れになってしまうだろう。
そうでなくとも今目の前に居る『黄雀』は片腕を失って余力が潰えた状態なのである。
眼下に居る地上の『妖魔退魔師』が最後の敵であったならば、無理をすれば何とでもなるだろうが、ここが終着点というわけでもない。
連戦連闘を考えるならば口惜しい事だが、ここは一度撤退をするのが賢明といえた。
「一度報告を兼ねて『ヒュウガ』様の元へ向かう。それでいいな?」
「うむ。俺は片腕を失いはしたがまだ戦えるし、お前はまだまだ魔力に余力がありそうだ。ここは万全を期すためにも退くのがどの観点から省みても正しい筈だ」
「よし、では戻ろう」
「うむ」
ようやく互いの意見が纏まり、地上の妖魔退魔師の追撃が無いかを確認した後に『黄雀』はそのまま『加護の森』の上空を飛んでこの場から離脱するのであった。
…………
「奴ら、行っちゃいましたね」
『二組』の幹部の隊士が刀を収めながら『サシャ』の方へ向かってきてそう告げた。
「ええ。どうやらあの妖魔の腕を失った事が影響したみたいね。それより『カヤ』がまだ動けないみたいな、のよ……?」
サシャが『タツミ』や『二組』の隊士達に『カヤ』が不思議な『力』の影響で動けないと説明しようとしたところで、その張本人である『カヤ』は何と手を動かして、刀を鞘に戻しながらサシャに苦笑いを浮かべていた。
「あ、貴方……! 動けるなら早くそう言いなさいよ!」
「す、すみません! で、でも動けるようになったのは本当に今なんです! 嘘じゃありません!」
「カヤ先輩! 良かった!」
動けずにいた『カヤ』を心配していたのは『サシャ』も『タツミ』も同じではあったが、その『サシャ』は注意をするような表情をして『タツミ』の方は嬉しそうな表情を見せた。
その二人の反応はまさに正反対といえるのだった。
「タツミもありがとね。おかげで助かったわ」
カヤが本音でそう告げると、タツミはカヤが無事だった安堵からか、今の言葉を聴いて少しだけ涙が浮かび始めていた。
「それにしてもカヤ。本当によく無事で居てくれたわね。先程のあの『妖魔』は間違いなく『妖魔山』を生業とする高ランクの妖魔で間違いない筈よ」
「はい。私とチームを組んでいた他の隊士の方々もアイツにやられてしまいました。私もあと少し『サシャ』様達がこの場に現れなければ間違いなくやられていました……」
カヤはそう口にしながらも先程のあの『妖魔』と対峙して居た時の事を思い出したようで、身体に震えが走っている様子であった。
「サシャ様、ちょっとよろしいでしょうか」
「ん……?」
カヤの言葉を聴いたサシャが何かを考えるように口元に手をあてて俯いていると、二組の隊士がそんなサシャに声を掛けてくるのだった。サシャは思考状態から意識を戻すと直ぐにその隊士に返事をする。
「これからどうしますか? 再びチームを分けるにしてもまた先程の妖魔が現れるようだと、逆に危険かと思うのですが」
「そうね……。確かに一箇所に固まれば、他の『妖魔召士』達の術や魔瞳の餌食になる可能性も高くはなるけれど、あの規格外の『妖魔』と少人数で戦う事を考えれば、まだ妖魔召士の術に気をつけながら全員で行動をしたほうがいいでしょうね」
(先程の戦いでは奴の片腕を斬る事が出来たけれど、あれは部下が奴の注意を引いていてくれたから上手く行っただけに過ぎないでしょう。それに私達がこの場に来た時の『カヤ』の様子をみるに、奴の使う『術』は『妖魔召士』の『魔瞳』の近いものだと思われる。それもミスズ様から直々に修行を見てもらっている『カヤ』程の実力者であれば『妖魔召士』の魔瞳は十回使われても十回とも回避が出来る程である事を踏まえても、あの妖魔の術は相当に『危険』とみるべきだわ)
あの『黄雀』と妖魔召士に呼ばれていた妖魔は、妖魔召士の術よりも余程厄介だと『サシャ』は実際に戦闘を交えたことで判断をしたようであった。
……
……
……
「分かった……」
――たしかに『黄雀』の言う通りであった。
『ヒュウガ一派』の中にはまだ数多くの『妖魔召士』が居るには居るが、それでも『組長格』や『副総長』を相手にするには『中位妖魔召士』達では相手にならない。
つまりここで目の前に居る『組長格』ですらない『妖魔退魔師』の隊士達と死闘を続けて勝利が出来たとしても、その後に待ち受ける更なる強者である『組長格』やあの『ミスズ』を相手にするのは、自分達か『王連』を『式』にしている『ジンゼン』が対応せざるを得なくなる。
そんな時にここで無駄な労力を費やして『魔力枯渇』を行ったりしていれば『一派』は総崩れになってしまうだろう。
そうでなくとも今目の前に居る『黄雀』は片腕を失って余力が潰えた状態なのである。
眼下に居る地上の『妖魔退魔師』が最後の敵であったならば、無理をすれば何とでもなるだろうが、ここが終着点というわけでもない。
連戦連闘を考えるならば口惜しい事だが、ここは一度撤退をするのが賢明といえた。
「一度報告を兼ねて『ヒュウガ』様の元へ向かう。それでいいな?」
「うむ。俺は片腕を失いはしたがまだ戦えるし、お前はまだまだ魔力に余力がありそうだ。ここは万全を期すためにも退くのがどの観点から省みても正しい筈だ」
「よし、では戻ろう」
「うむ」
ようやく互いの意見が纏まり、地上の妖魔退魔師の追撃が無いかを確認した後に『黄雀』はそのまま『加護の森』の上空を飛んでこの場から離脱するのであった。
…………
「奴ら、行っちゃいましたね」
『二組』の幹部の隊士が刀を収めながら『サシャ』の方へ向かってきてそう告げた。
「ええ。どうやらあの妖魔の腕を失った事が影響したみたいね。それより『カヤ』がまだ動けないみたいな、のよ……?」
サシャが『タツミ』や『二組』の隊士達に『カヤ』が不思議な『力』の影響で動けないと説明しようとしたところで、その張本人である『カヤ』は何と手を動かして、刀を鞘に戻しながらサシャに苦笑いを浮かべていた。
「あ、貴方……! 動けるなら早くそう言いなさいよ!」
「す、すみません! で、でも動けるようになったのは本当に今なんです! 嘘じゃありません!」
「カヤ先輩! 良かった!」
動けずにいた『カヤ』を心配していたのは『サシャ』も『タツミ』も同じではあったが、その『サシャ』は注意をするような表情をして『タツミ』の方は嬉しそうな表情を見せた。
その二人の反応はまさに正反対といえるのだった。
「タツミもありがとね。おかげで助かったわ」
カヤが本音でそう告げると、タツミはカヤが無事だった安堵からか、今の言葉を聴いて少しだけ涙が浮かび始めていた。
「それにしてもカヤ。本当によく無事で居てくれたわね。先程のあの『妖魔』は間違いなく『妖魔山』を生業とする高ランクの妖魔で間違いない筈よ」
「はい。私とチームを組んでいた他の隊士の方々もアイツにやられてしまいました。私もあと少し『サシャ』様達がこの場に現れなければ間違いなくやられていました……」
カヤはそう口にしながらも先程のあの『妖魔』と対峙して居た時の事を思い出したようで、身体に震えが走っている様子であった。
「サシャ様、ちょっとよろしいでしょうか」
「ん……?」
カヤの言葉を聴いたサシャが何かを考えるように口元に手をあてて俯いていると、二組の隊士がそんなサシャに声を掛けてくるのだった。サシャは思考状態から意識を戻すと直ぐにその隊士に返事をする。
「これからどうしますか? 再びチームを分けるにしてもまた先程の妖魔が現れるようだと、逆に危険かと思うのですが」
「そうね……。確かに一箇所に固まれば、他の『妖魔召士』達の術や魔瞳の餌食になる可能性も高くはなるけれど、あの規格外の『妖魔』と少人数で戦う事を考えれば、まだ妖魔召士の術に気をつけながら全員で行動をしたほうがいいでしょうね」
(先程の戦いでは奴の片腕を斬る事が出来たけれど、あれは部下が奴の注意を引いていてくれたから上手く行っただけに過ぎないでしょう。それに私達がこの場に来た時の『カヤ』の様子をみるに、奴の使う『術』は『妖魔召士』の『魔瞳』の近いものだと思われる。それもミスズ様から直々に修行を見てもらっている『カヤ』程の実力者であれば『妖魔召士』の魔瞳は十回使われても十回とも回避が出来る程である事を踏まえても、あの妖魔の術は相当に『危険』とみるべきだわ)
あの『黄雀』と妖魔召士に呼ばれていた妖魔は、妖魔召士の術よりも余程厄介だと『サシャ』は実際に戦闘を交えたことで判断をしたようであった。
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