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サカダイ編
1348.罠の可能性
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この加護の森の入り口で、副総長のミスズからの指示で少人数の部隊を編成して、加護の森の中央地点までやってきたスオウ達。
妖魔退魔師の組長格である『スオウ』の編成しているチームが、この森の探索する先頭グループであった。
「ナギリ、ちょっと進める足を緩めようか。どうやらサシャ達の方と、カヤ達の方の両方の部隊の歩みが遅いようだ」
「あ、はい。分かりました、スオウ様」
この『スオウ』が率いる先頭グループには『ナギリ』の他にもスオウが組長を務める『二組』の幹部の隊士が居る。
敵からの襲撃があった時に、直ぐに対処が出来る者が先頭グループを務めて、その後に続く形で『特務』と『二組』の編成チームが続けて『スオウ』の居る部隊に援護する形をとる狙いがあった。
しかしこの森を歩き始めてからまだ彼らの元には、直接ヒュウガ一派からの襲撃を受けてはいなかったが、どうやら後続の方では動きがあったようだ。
戦闘音が直接聞こえる程まで近くには居ないが、先頭グループのスオウ達がその足を止めても一向に後続達が姿を見せないところをみると、それはやはりというべきか、こちらの居場所を魔力で割り出せる『妖魔召士』達が、面倒なスオウ達を直接相手にするような真似をせず、まだこの先頭のグループよりマシだと思われる『カヤ』達や『サシャ』達の部隊グループを狙って襲撃を掛けてきた可能性があった。
「これは罠だと思う?」
スオウは口元に手をあてながら、ナギリと自分の組の隊士の両名に言葉を投げかける。
「この近くにヒュウガが潜伏している可能性があって、自分達の目を逸らす為に『カヤ』達を狙った可能性がありますね」
スオウの言葉に少し考えた後に『ナギリ』はそう言葉を返すのだった。
「それも可能性はあるが、本当の狙いはこの場に居る『スオウ』組長で、わざと救出に向かわせたところに奴らの本隊が待ち構えていて、一網打尽にしようと企んでいる可能性もありますね」
ナギリの言葉に続く形で『二組』の幹部の隊士もそう口にすると、スオウは進むべきか戻るべきかで悩み始めるのだった。
確かにこういった場合に備えて、直ぐに救出に向かえるように距離感を保って動く作戦ではあったが、実際にその局面に差し当たると奴らもこちらの動向を窺いながら、こちらの作戦を見越した上で更なる罠を仕掛けてきているようにも思えてくるのであった。
「サシャの部隊とカヤの部隊は、俺達の部隊より更に近い場所に居る筈だ。ここは両部隊に任せて先に進もう。ここで三部隊が一気に奴らの罠にかかってしまえば、更にこちらが不利になる。あえて俺達の部隊だけ他の部隊と離れる事で、奴らもこちらの監視に人数を割かなくてはならなくなるし、奴らは『式』を含めればいくらでも数は増やせるが、こちらの位置を『魔力』で感知する事が出来るのは『妖魔召士』くらいなものだし『式』の妖魔の数がいくら増えても、こちらを監視するにあたっては『妖魔召士』が最低でも一人はつかないといけなくなる」
「成程。この場に居るのはあくまで『妖魔召士』組織ではなく、『ヒュウガ一派』ですからね。離散したヒュウガ達の一派であれば、そこまで妖魔召士の人数も多くはないでしょうし、ここは俺達があえて合流をせずに離れる事の方が奴らも困るのかもしれませんね」
スオウの提案にナギリも幹部の隊士も納得するように頷くのであった。
「それに更にサシャ達の背後には、ミスズ副総長達も居るんだ。彼女達が襲撃されたとしても今度はミスズ副総長が何とかしてくれるだろう。よし、俺達はこのまま探索を続ける。でも気は抜かないでね? 前に進むという事は向こうも必死で次の策を練って来るだろうから、いつ攻撃を仕掛けられてもいいように、周囲には気を付けよう。
「「はい!」」
――こうして先頭グループに居る『スオウ』組長達の部隊は、後ろを振り返らずに前へと進む道を選ぶのであった。
妖魔退魔師の組長格である『スオウ』の編成しているチームが、この森の探索する先頭グループであった。
「ナギリ、ちょっと進める足を緩めようか。どうやらサシャ達の方と、カヤ達の方の両方の部隊の歩みが遅いようだ」
「あ、はい。分かりました、スオウ様」
この『スオウ』が率いる先頭グループには『ナギリ』の他にもスオウが組長を務める『二組』の幹部の隊士が居る。
敵からの襲撃があった時に、直ぐに対処が出来る者が先頭グループを務めて、その後に続く形で『特務』と『二組』の編成チームが続けて『スオウ』の居る部隊に援護する形をとる狙いがあった。
しかしこの森を歩き始めてからまだ彼らの元には、直接ヒュウガ一派からの襲撃を受けてはいなかったが、どうやら後続の方では動きがあったようだ。
戦闘音が直接聞こえる程まで近くには居ないが、先頭グループのスオウ達がその足を止めても一向に後続達が姿を見せないところをみると、それはやはりというべきか、こちらの居場所を魔力で割り出せる『妖魔召士』達が、面倒なスオウ達を直接相手にするような真似をせず、まだこの先頭のグループよりマシだと思われる『カヤ』達や『サシャ』達の部隊グループを狙って襲撃を掛けてきた可能性があった。
「これは罠だと思う?」
スオウは口元に手をあてながら、ナギリと自分の組の隊士の両名に言葉を投げかける。
「この近くにヒュウガが潜伏している可能性があって、自分達の目を逸らす為に『カヤ』達を狙った可能性がありますね」
スオウの言葉に少し考えた後に『ナギリ』はそう言葉を返すのだった。
「それも可能性はあるが、本当の狙いはこの場に居る『スオウ』組長で、わざと救出に向かわせたところに奴らの本隊が待ち構えていて、一網打尽にしようと企んでいる可能性もありますね」
ナギリの言葉に続く形で『二組』の幹部の隊士もそう口にすると、スオウは進むべきか戻るべきかで悩み始めるのだった。
確かにこういった場合に備えて、直ぐに救出に向かえるように距離感を保って動く作戦ではあったが、実際にその局面に差し当たると奴らもこちらの動向を窺いながら、こちらの作戦を見越した上で更なる罠を仕掛けてきているようにも思えてくるのであった。
「サシャの部隊とカヤの部隊は、俺達の部隊より更に近い場所に居る筈だ。ここは両部隊に任せて先に進もう。ここで三部隊が一気に奴らの罠にかかってしまえば、更にこちらが不利になる。あえて俺達の部隊だけ他の部隊と離れる事で、奴らもこちらの監視に人数を割かなくてはならなくなるし、奴らは『式』を含めればいくらでも数は増やせるが、こちらの位置を『魔力』で感知する事が出来るのは『妖魔召士』くらいなものだし『式』の妖魔の数がいくら増えても、こちらを監視するにあたっては『妖魔召士』が最低でも一人はつかないといけなくなる」
「成程。この場に居るのはあくまで『妖魔召士』組織ではなく、『ヒュウガ一派』ですからね。離散したヒュウガ達の一派であれば、そこまで妖魔召士の人数も多くはないでしょうし、ここは俺達があえて合流をせずに離れる事の方が奴らも困るのかもしれませんね」
スオウの提案にナギリも幹部の隊士も納得するように頷くのであった。
「それに更にサシャ達の背後には、ミスズ副総長達も居るんだ。彼女達が襲撃されたとしても今度はミスズ副総長が何とかしてくれるだろう。よし、俺達はこのまま探索を続ける。でも気は抜かないでね? 前に進むという事は向こうも必死で次の策を練って来るだろうから、いつ攻撃を仕掛けられてもいいように、周囲には気を付けよう。
「「はい!」」
――こうして先頭グループに居る『スオウ』組長達の部隊は、後ろを振り返らずに前へと進む道を選ぶのであった。
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