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サカダイ編
1323.ソフィの望む戦い
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「最初に言っておくが、俺は自分がどれくらい強いのか分かっちゃいない。だからお前が俺に言ったように、お前が俺と同じような力を見せた事に関しても俺は別に何とも思っちゃいない。そもそもそんな事に興味はないからな。だが、お前は俺の仲間の思い描く未来の障害になったという事実だけは気に喰わない。だから悪いがお前は俺の手によって殺されてくれ」
イツキは笑っているようにも怒っているようにも見える歪な表情を浮かべながら、ソフィにそう告げるのだった。
「クックック! それだけの領域に立っておる癖に、自分がどれくらい強いのか理解しておらぬというのか? 正にお主の言っておることは『エルシス』と同じではないか! その若さでそのオーラを纏うのにどれくらいの研鑽が必要であったのか。それを誇ることは決して悪い事では無いのだぞ? それともまだお主には隠された力を保有していて、その『力』を行使できるだけの相手が見つからず、孤独に自分の中で完結させていたということなのだろうか!」
ソフィはイツキに対してあまりにも期待感が募り過ぎて、第二形態にさえなっていない状態だというのに興奮が抑えきれずに早口で捲し立てるように告げるのだった。
「な、何なんだよコイツは……!」
いつも飄々としていて余裕の態度を崩さずに物事を見据えるイツキが、今の何やら興奮冷めやらぬに必死に何かに縋ろうとする者のような目をしたソフィを前にして、不気味なものを見るような目でそう口にするのだった。
しかしそれでも『単に頭のおかしな奴』で済ませられなかった。
何故ならイツキにとっても目の前のソフィという男が纏っている『金色』は、これまでの生涯で自分以外に使っている者を見たことがなかったからである。
それももう一つの湯気の色である『青』は、あの『妖魔団の乱』の時に『サイヨウ』という男の護衛を務めていた『妖魔退魔師』が纏っていたモノと同一であり、決してこの目の前のよく分からない不気味な存在は『妖魔退魔師』と同等以上の強さを秘めている可能性がある。
イツキは『金色』の『力』の全貌を理解しているワケでは無いが、それでもこの『力』のおかげでこれまでの苦難や逆境を全て跳ね返して生きてこられたという『自負』と『確信』すらある。
その『力』を目の前で体現している男が弱いわけはないだろう――。
そこまで思案を到達させたイツキは、先程の襲ってきた『妖魔退魔師』達を無力化させたような、お遊びのような『捉術』ではなく、ある程度は自分も力を行使せざるを得ないだろうと行動を示し始めるのだった。
『青』練度5.0 『金色』からなる ――『二色の併用』。
イツキの周囲を『淡い青』と『金色』の二色の併用が纏われ始めたかと思うと、そこでいきなり彼のオーラを保つために使用していた膨大な『魔力』がソフィに感知が出来なくなった。
(何? 突然魔力を消した? いやそんな馬鹿な……。オーラを纏おうとするこのタイミングで消す理由がない筈だが?)
急なイツキの魔力消失はどうやら勘違いではなく、実際に行われたことのようでイツキの纏うオーラが『魔力』消失の影響で一時的に全てが消えて元に戻るのだった。
「……何をしておるのだ?」
ソフィは高揚していた気持ちに水を差されたような気分となり、不機嫌さを露骨に出すような声が彼の口から漏れ出るのだった。
一気にイツキの『魔力』が消失していき、纏っていたオーラが消えて元の状態に戻ったが、その戻った状態に苦言を呈していたソフィは、そこで更に眉を寄せた。
「いや……。これからか?」
そしてそのソフィの直感は正しく、まだ『イツキ』の魔力が消失したままだというのに、この後に何かとてつもないことが起きるだろうと明確に理解したようで、ソフィは戦闘態勢を解かずに現状を維持したままで観察を続けるのだった。
そしてソフィが何かあると感覚と直感で理解したことが、この後に現実になるのであった。
イツキは笑っているようにも怒っているようにも見える歪な表情を浮かべながら、ソフィにそう告げるのだった。
「クックック! それだけの領域に立っておる癖に、自分がどれくらい強いのか理解しておらぬというのか? 正にお主の言っておることは『エルシス』と同じではないか! その若さでそのオーラを纏うのにどれくらいの研鑽が必要であったのか。それを誇ることは決して悪い事では無いのだぞ? それともまだお主には隠された力を保有していて、その『力』を行使できるだけの相手が見つからず、孤独に自分の中で完結させていたということなのだろうか!」
ソフィはイツキに対してあまりにも期待感が募り過ぎて、第二形態にさえなっていない状態だというのに興奮が抑えきれずに早口で捲し立てるように告げるのだった。
「な、何なんだよコイツは……!」
いつも飄々としていて余裕の態度を崩さずに物事を見据えるイツキが、今の何やら興奮冷めやらぬに必死に何かに縋ろうとする者のような目をしたソフィを前にして、不気味なものを見るような目でそう口にするのだった。
しかしそれでも『単に頭のおかしな奴』で済ませられなかった。
何故ならイツキにとっても目の前のソフィという男が纏っている『金色』は、これまでの生涯で自分以外に使っている者を見たことがなかったからである。
それももう一つの湯気の色である『青』は、あの『妖魔団の乱』の時に『サイヨウ』という男の護衛を務めていた『妖魔退魔師』が纏っていたモノと同一であり、決してこの目の前のよく分からない不気味な存在は『妖魔退魔師』と同等以上の強さを秘めている可能性がある。
イツキは『金色』の『力』の全貌を理解しているワケでは無いが、それでもこの『力』のおかげでこれまでの苦難や逆境を全て跳ね返して生きてこられたという『自負』と『確信』すらある。
その『力』を目の前で体現している男が弱いわけはないだろう――。
そこまで思案を到達させたイツキは、先程の襲ってきた『妖魔退魔師』達を無力化させたような、お遊びのような『捉術』ではなく、ある程度は自分も力を行使せざるを得ないだろうと行動を示し始めるのだった。
『青』練度5.0 『金色』からなる ――『二色の併用』。
イツキの周囲を『淡い青』と『金色』の二色の併用が纏われ始めたかと思うと、そこでいきなり彼のオーラを保つために使用していた膨大な『魔力』がソフィに感知が出来なくなった。
(何? 突然魔力を消した? いやそんな馬鹿な……。オーラを纏おうとするこのタイミングで消す理由がない筈だが?)
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「……何をしておるのだ?」
ソフィは高揚していた気持ちに水を差されたような気分となり、不機嫌さを露骨に出すような声が彼の口から漏れ出るのだった。
一気にイツキの『魔力』が消失していき、纏っていたオーラが消えて元の状態に戻ったが、その戻った状態に苦言を呈していたソフィは、そこで更に眉を寄せた。
「いや……。これからか?」
そしてそのソフィの直感は正しく、まだ『イツキ』の魔力が消失したままだというのに、この後に何かとてつもないことが起きるだろうと明確に理解したようで、ソフィは戦闘態勢を解かずに現状を維持したままで観察を続けるのだった。
そしてソフィが何かあると感覚と直感で理解したことが、この後に現実になるのであった。
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