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サカダイ編
1299.ヌーの質問
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ソフィ達が寛げる部屋を案内し終えたミスズは総長が居る『大広間』へと歩を進めていた。それはゲンロクの居る『妖魔召士の里』での話し合いの顛末を報告するためであった。
「シゲン総長! ただいま戻って参りました」
勢いよくそう告げながらミスズが部屋に入ると、腕を組んで何か瞑想をしている様子であったシゲンは目を開けてミスズの方に視線を向けた。
「おお、戻ったか。長旅……でもそこまでは無いかもしれないが、ご苦労だったなミスズ」
ここからゲンロク達の居る里までは、日帰りで戻ってこれる程に近くはない。どんなに早くても数日はかかる距離なのだが、ソフィの『高等移動呪文』によってこの場からゲンロク達の居る里まで僅かな時間で向かっていくところを見たために長旅を労おうとしたが、言葉を言い換えるシゲンであった。
「はい。行きも帰りもソフィ殿の『魔法』というモノを使って頂いたので、ゲンロク殿達との話し合い以外ではほとんど時間は要しませんでした」
この世界では『魔法』というモノは存在していないために、妖魔召士と妖魔退魔師の両組織で大きな事を決める話し合いを行うのも一つの大きな催しとなって準備や移動の時間を要するのだが、今回のようにさっと会えるようであれば、まるでひと昔前の『ケイノト』に互いの組織が合った時のようだとシゲンは考えるのだった。
「それで、ゲンロク殿達は何と言っていた?」
ミスズは里でエイジやゲンロク達が言っていた内容をそっくりそのままシゲンに報告するのだった。
…………
「やはりゲンロク殿達は今回の襲撃には関わってはいなかったか。まぁそれは当然と言えば当然だろうがな」
「はい。ゲンロク殿に真実を告げた時の驚いた表情や言動は人間が『演技』で出来るモノではありません。まず間違いなく襲撃を行った若しくは指示を出した者達は『ヒュウガ一派』で間違いないでしょう」
「お前がそう断言するのなら間違いないだろうが、すでに事実確認の調査をヒノエに頼んであるからな。彼女の報告を聞いた後に、妖魔退魔師組織はヒュウガ殿達への報復行動を開始する」
「はっ!」
総長シゲンの言葉の中に『組織として報復行動を開始する』という言葉があることを確認したミスズは、満足そうに頷いてみせるのであった。
――総長シゲンが下した決定は、組織の長になってから過去に一度も覆ったことはない。
つまり『コウゾウ』を殺めた『ヒュウガ一派』に対して、これで報復が行われることが確実となった。
そしてそれはミスズにとっては最優先事項の一つであり、もうすぐ自分の配下となる事を選んでくれていた『コウゾウ』に対しての敵討ちが明確となった瞬間であった。
(貴方の仇は必ず私達がとってみせる!)
シゲンの対面の椅子に座ったミスズは、仇討ちの決意を新たに拳を強く握るのであった。
…………
「ところでよソフィ。お前に聞きたいことがあってよ『三色併用』を用いる時のことなんだが、纏わせる『青』や『紅』を先に『二色の併用』をさせると思うんだがよ。そのタイミングで混ぜ合わせる元の方の色を魔力コントロールで『二色の併用』の分量を変えて刻んでみたことはあるか?」
床に寝っ転がり始めたヌーだが、どうやらこうしている間もずっと『三色併用』について考えていたのだろう。そこでずっと彼が使用しながら気になっていたであろう質問をソフィに行うのであった。
「それは『金色』を用いる前段階の『三色併用』の使用時期のタイミングの事を言っているのか?」
「ああ。この技法を体現してみて俺は色々なやり方を試しながら『三色併用』ってやつを発動させてみたんだけどよ、戦闘時に必要なのは発動するまでの防御面を考えて、まずは『青』から使うだろう? これはこの前あのチビと戦った後にお前に言われた通りにしようと思って、俺はその『青』から使うことを心掛けることにしたんだが、元々俺は『紅』から使うようにしていたが『青』から使うようになったことで、多少魔力の調整をせざるを得なくなってな。元々より『青』に使用する魔力を『紅』と混ぜ合わせる時に若干だが『青』の方を維持する魔力が少ない状態で『併用』させちまう事が多くなったんだ」
今ヌーが告げている事は『二色の併用』を使用する時に『青』と『紅』のオーラを別々に同時発動させなければならないが、その同時に発動している状態から一つに混ぜ合わせる時にどうやら『青』の魔力よりも『紅』の方が分量が多くなるとヌーは言っているようである。
「む? 『青』に使用する魔力が少ない状態で『併用』を行っても『二色の併用』としての効力は発揮されるだろう? 単にお主の『青』に使用する魔力が少ない状態であるならば、それは『青』の練度が下がるだけの話だと我は思うが……」
「ああ。確かにお前の言う通りだ。併用させる時に纏う『青』の魔力が多少なりとも下がればそれは練度という形で比例していくのは当然のことだ。しかし俺がお前に聞きたかったのはそこじゃない」
そう言うとヌーは寝転がっていた状態から身体を起こして、ここからが本題だとばかりに真面目な表情をするのであった。
……
……
……
「シゲン総長! ただいま戻って参りました」
勢いよくそう告げながらミスズが部屋に入ると、腕を組んで何か瞑想をしている様子であったシゲンは目を開けてミスズの方に視線を向けた。
「おお、戻ったか。長旅……でもそこまでは無いかもしれないが、ご苦労だったなミスズ」
ここからゲンロク達の居る里までは、日帰りで戻ってこれる程に近くはない。どんなに早くても数日はかかる距離なのだが、ソフィの『高等移動呪文』によってこの場からゲンロク達の居る里まで僅かな時間で向かっていくところを見たために長旅を労おうとしたが、言葉を言い換えるシゲンであった。
「はい。行きも帰りもソフィ殿の『魔法』というモノを使って頂いたので、ゲンロク殿達との話し合い以外ではほとんど時間は要しませんでした」
この世界では『魔法』というモノは存在していないために、妖魔召士と妖魔退魔師の両組織で大きな事を決める話し合いを行うのも一つの大きな催しとなって準備や移動の時間を要するのだが、今回のようにさっと会えるようであれば、まるでひと昔前の『ケイノト』に互いの組織が合った時のようだとシゲンは考えるのだった。
「それで、ゲンロク殿達は何と言っていた?」
ミスズは里でエイジやゲンロク達が言っていた内容をそっくりそのままシゲンに報告するのだった。
…………
「やはりゲンロク殿達は今回の襲撃には関わってはいなかったか。まぁそれは当然と言えば当然だろうがな」
「はい。ゲンロク殿に真実を告げた時の驚いた表情や言動は人間が『演技』で出来るモノではありません。まず間違いなく襲撃を行った若しくは指示を出した者達は『ヒュウガ一派』で間違いないでしょう」
「お前がそう断言するのなら間違いないだろうが、すでに事実確認の調査をヒノエに頼んであるからな。彼女の報告を聞いた後に、妖魔退魔師組織はヒュウガ殿達への報復行動を開始する」
「はっ!」
総長シゲンの言葉の中に『組織として報復行動を開始する』という言葉があることを確認したミスズは、満足そうに頷いてみせるのであった。
――総長シゲンが下した決定は、組織の長になってから過去に一度も覆ったことはない。
つまり『コウゾウ』を殺めた『ヒュウガ一派』に対して、これで報復が行われることが確実となった。
そしてそれはミスズにとっては最優先事項の一つであり、もうすぐ自分の配下となる事を選んでくれていた『コウゾウ』に対しての敵討ちが明確となった瞬間であった。
(貴方の仇は必ず私達がとってみせる!)
シゲンの対面の椅子に座ったミスズは、仇討ちの決意を新たに拳を強く握るのであった。
…………
「ところでよソフィ。お前に聞きたいことがあってよ『三色併用』を用いる時のことなんだが、纏わせる『青』や『紅』を先に『二色の併用』をさせると思うんだがよ。そのタイミングで混ぜ合わせる元の方の色を魔力コントロールで『二色の併用』の分量を変えて刻んでみたことはあるか?」
床に寝っ転がり始めたヌーだが、どうやらこうしている間もずっと『三色併用』について考えていたのだろう。そこでずっと彼が使用しながら気になっていたであろう質問をソフィに行うのであった。
「それは『金色』を用いる前段階の『三色併用』の使用時期のタイミングの事を言っているのか?」
「ああ。この技法を体現してみて俺は色々なやり方を試しながら『三色併用』ってやつを発動させてみたんだけどよ、戦闘時に必要なのは発動するまでの防御面を考えて、まずは『青』から使うだろう? これはこの前あのチビと戦った後にお前に言われた通りにしようと思って、俺はその『青』から使うことを心掛けることにしたんだが、元々俺は『紅』から使うようにしていたが『青』から使うようになったことで、多少魔力の調整をせざるを得なくなってな。元々より『青』に使用する魔力を『紅』と混ぜ合わせる時に若干だが『青』の方を維持する魔力が少ない状態で『併用』させちまう事が多くなったんだ」
今ヌーが告げている事は『二色の併用』を使用する時に『青』と『紅』のオーラを別々に同時発動させなければならないが、その同時に発動している状態から一つに混ぜ合わせる時にどうやら『青』の魔力よりも『紅』の方が分量が多くなるとヌーは言っているようである。
「む? 『青』に使用する魔力が少ない状態で『併用』を行っても『二色の併用』としての効力は発揮されるだろう? 単にお主の『青』に使用する魔力が少ない状態であるならば、それは『青』の練度が下がるだけの話だと我は思うが……」
「ああ。確かにお前の言う通りだ。併用させる時に纏う『青』の魔力が多少なりとも下がればそれは練度という形で比例していくのは当然のことだ。しかし俺がお前に聞きたかったのはそこじゃない」
そう言うとヌーは寝転がっていた状態から身体を起こして、ここからが本題だとばかりに真面目な表情をするのであった。
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