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サカダイ編
1185.先を見据える者
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『妖魔召士』の里の入り口でヌーは、魔力を高め始めて『結界』に対して何かを試そうとしている様子だが『青』と『紅』の二種類のオーラを同時に発現して同時に維持しているのを見ていたミスズは、初めてみる『紅』のオーラがどのような効力なのかも気になっていたようだが、それ以上に二種類のオーラを同時に扱う様を見ていて信じられないと言った表情を浮かべていた。
ミスズは魔族ではなく生粋の人間である為に『紅』を纏う事は出来ないが『青』のオーラを纏う事は出来ている。更に言えばヌーが纏っている、今の『青』の上位互換とも言える『天色』の更にそのもう一段階上の『瑠璃』まで発現を成しているミスズではあったが、そんな彼女から見ても『天色』を纏いながら、何か別の技法を同時に体現する事の難しさは『紅』を纏えない彼女であっても、理解が出来ている様子であった。
(我々のように『魔力』が乏しい者達であっても、オーラを纏うには『魔力』をコントロールをするという難しい技術が要求される。戦っている最中にオーラを維持し続けながら、各々の剣技や刀技を相手に避けられないように戦うという事だけであっても、相当に実戦経験が必要な程であるが、それを二種類のオーラを同時に纏うなど信じられない……。単にオーラを維持するだけでも相当な訓練が必要であった筈だ……。しかしソフィ殿はこの後ヌー殿から目を離すなと言っていた。つまりこれだけ離れ技を用いているというのに、まだ何かあるというのだろうか)
ミスズは今ヌーが使っている『二色の併用』を自分が扱った事はないというのに、その難しさを直ぐに理解して凄い事だと認めていたが、まだこの後に何かあるのかと思った後は、徐々にその目がただ見ていただけの状態から、まるで相手の技法を見抜くための視線に変貌させて、ヌーという『魔族』を観察するようにミスズの視線は彼を捉えるのだった。
そしてヌーのオーラの変貌振りが突如行われた。これまで『柘榴色』の紅のオーラと『天色』の青のオーラの鮮明な『二色の併用』が行われていたヌーのオーラの中心から『金色』のオーラが唐突に出現し、本来であれば他の色と混ざる事はなく、その『金』のオーラが独自に放つ光の筈であったが、この先天性の力である『金色のオーラ』の体現者は『魔力』コントロールを行う事で、他の『二色の併用』と同時に『金色のオーラ』を複合化させて、所謂『三色の併用』を行って見せたのであった。
(ま、待ってください。特務でソフィ殿も同じようにこのオーラの技法を同時に操っていたは知っていましたが、ヌー殿も扱えたというのですか。ソフィ殿だけが特別な強さを持っていると思っていましたが、まさかお連れの方々もランク『6』以上の存在だったとは……!)
特務でソフィの実力を形態変化だけではなく、オーラの技法を用いていた事で発揮されていた事を再度思い起こして称揚していたミスズだが、そこで同時にソフィの仲間であるヌーという者もまた、ソフィと同じ技法を用いる事が可能な域に達していると分かり、もしかするとヌーという男もまたソフィと同格程の力量を有しているのかと驚きの表情を浮かべるのだった。
そしてその驚いているミスズと同様に、ヌーの『三色併用』を再び目の当たりにしていたセルバスもまた、思う処があったようでヌーの『魔力』がどういう風に扱われて、今のオーラの技法に『魔力』を充てているのかをじっくりと観察しているようであった。
(俺も『金色』の体現者だ。旦那やヌーが出来て俺が出来ないという道理はない筈だ。今は『代替身体』になっちまったが、力を取り戻した時に直ぐに追いつけるように『魔力』の充足技術と運用方法を学ばなきゃいけねぇ。シグレ殿を支えられるような男になる為に絶対に成してやるからなっ!)
どうやらセルバスは同じ『大魔王』として、『ヌーに負けてられない、自分も選ばれた金色の体現者だ』という感情が思い起こされた様子であった。そしてそう思えた一因には、シグレとの再会も影響をしているのであった。
彼はシグレの為に何とかしてあげたいという気持ちあり、その為には今以上に強くならなければならない。彼女は信頼する『コウゾウ』を失ったのだ。もう彼女を守ってあげるのは俺しか居ないんだという気持ちが芽生えた。
――一つの世界を支配する程の力を有する『大魔王』が、本気で一人の女性の為に強くなりたいと願った瞬間となったのであった。
ミスズは魔族ではなく生粋の人間である為に『紅』を纏う事は出来ないが『青』のオーラを纏う事は出来ている。更に言えばヌーが纏っている、今の『青』の上位互換とも言える『天色』の更にそのもう一段階上の『瑠璃』まで発現を成しているミスズではあったが、そんな彼女から見ても『天色』を纏いながら、何か別の技法を同時に体現する事の難しさは『紅』を纏えない彼女であっても、理解が出来ている様子であった。
(我々のように『魔力』が乏しい者達であっても、オーラを纏うには『魔力』をコントロールをするという難しい技術が要求される。戦っている最中にオーラを維持し続けながら、各々の剣技や刀技を相手に避けられないように戦うという事だけであっても、相当に実戦経験が必要な程であるが、それを二種類のオーラを同時に纏うなど信じられない……。単にオーラを維持するだけでも相当な訓練が必要であった筈だ……。しかしソフィ殿はこの後ヌー殿から目を離すなと言っていた。つまりこれだけ離れ技を用いているというのに、まだ何かあるというのだろうか)
ミスズは今ヌーが使っている『二色の併用』を自分が扱った事はないというのに、その難しさを直ぐに理解して凄い事だと認めていたが、まだこの後に何かあるのかと思った後は、徐々にその目がただ見ていただけの状態から、まるで相手の技法を見抜くための視線に変貌させて、ヌーという『魔族』を観察するようにミスズの視線は彼を捉えるのだった。
そしてヌーのオーラの変貌振りが突如行われた。これまで『柘榴色』の紅のオーラと『天色』の青のオーラの鮮明な『二色の併用』が行われていたヌーのオーラの中心から『金色』のオーラが唐突に出現し、本来であれば他の色と混ざる事はなく、その『金』のオーラが独自に放つ光の筈であったが、この先天性の力である『金色のオーラ』の体現者は『魔力』コントロールを行う事で、他の『二色の併用』と同時に『金色のオーラ』を複合化させて、所謂『三色の併用』を行って見せたのであった。
(ま、待ってください。特務でソフィ殿も同じようにこのオーラの技法を同時に操っていたは知っていましたが、ヌー殿も扱えたというのですか。ソフィ殿だけが特別な強さを持っていると思っていましたが、まさかお連れの方々もランク『6』以上の存在だったとは……!)
特務でソフィの実力を形態変化だけではなく、オーラの技法を用いていた事で発揮されていた事を再度思い起こして称揚していたミスズだが、そこで同時にソフィの仲間であるヌーという者もまた、ソフィと同じ技法を用いる事が可能な域に達していると分かり、もしかするとヌーという男もまたソフィと同格程の力量を有しているのかと驚きの表情を浮かべるのだった。
そしてその驚いているミスズと同様に、ヌーの『三色併用』を再び目の当たりにしていたセルバスもまた、思う処があったようでヌーの『魔力』がどういう風に扱われて、今のオーラの技法に『魔力』を充てているのかをじっくりと観察しているようであった。
(俺も『金色』の体現者だ。旦那やヌーが出来て俺が出来ないという道理はない筈だ。今は『代替身体』になっちまったが、力を取り戻した時に直ぐに追いつけるように『魔力』の充足技術と運用方法を学ばなきゃいけねぇ。シグレ殿を支えられるような男になる為に絶対に成してやるからなっ!)
どうやらセルバスは同じ『大魔王』として、『ヌーに負けてられない、自分も選ばれた金色の体現者だ』という感情が思い起こされた様子であった。そしてそう思えた一因には、シグレとの再会も影響をしているのであった。
彼はシグレの為に何とかしてあげたいという気持ちあり、その為には今以上に強くならなければならない。彼女は信頼する『コウゾウ』を失ったのだ。もう彼女を守ってあげるのは俺しか居ないんだという気持ちが芽生えた。
――一つの世界を支配する程の力を有する『大魔王』が、本気で一人の女性の為に強くなりたいと願った瞬間となったのであった。
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