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サカダイ編
1128.大魔王ソフィVS副総長ミスズ
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第二形態の更に『真なる大魔王』の魔王形態へと変貌を遂げたソフィが『三色併用』を伴ってナギリに向かっていく。そのあまりの速度の変貌ぶりに『妖魔退魔師』の『ナギリ』は、一度真っ向から対抗をとるような攻撃を選択肢から除外し、ソフィの攻撃を回避するか、受け流すかを選ぼうとしていた。そしてコンマ数秒の中で『回避』を選択した彼だったが、決定づけた行動を取る前にちらりとソフィの目を窺ってしまった。
――それは決して誤った行動ではない。卓越した戦闘技術を持つ者が『回避』行動をとる為に、相手の動きを見極める事が必然ではあるし、彼は特にそう戦闘技術を教わってきた。つまりここでソフィの動きを見極めるためには定石通りにソフィの目に視線を送る事。その事自体は間違いではなかったのである。
しかし――。
「うっ、おぁっ……!」
ギロリと睨みつける大魔王のあまりの眼光の鋭さに『妖魔退魔師』の『ナギリ』は、身体が硬直して動けなくなってしまった。ソフィは『魔瞳』を使ったわけでも、何か特別な技法を用いたわけでもない。単に自分の認めた相手のレベルに合わせて戦い方を変えたに過ぎない。
しかしそのソフィの合わせた戦い方に、ナギリの戦闘技術面はついていけようとも精神面の方はまだ、ついてはこれなかったようである。
だが、誰もナギリという人間を臆病者と罵ることは出来ないだろう。この世界では力有る側に居る『妖魔退魔師』。その特務に選ばれたナギリであっても『アレルバレル』の世界で最強として君臨している大魔王ソフィが大賢者エルシスと戦った時以上の力を発揮し、真っ向から襲い掛かってきているのである。
それも今向かってきているソフィの手に集約されたあの輝きは、どうみても『確かめる為の一撃』の度を越えている。ある程度の実力がある者がソフィの纏う右手を見れば、ナギリがまともに食らって生きていられるとは思えないだろう。
戦力値が5000億を超えるランク『5.5』に匹敵する『妖魔退魔師』。そのナギリを以てしても一度頭に過った『死』を振り払うには時間がなさすぎたようである。
「さぁ……、耐えてみせるがよい」
震える足をどうにか動かしたいと考えていたナギリの前に、遂に恐ろしい速度で辿り着いた大魔王ソフィ。そしてその大魔王の言葉が耳に届いた瞬間、ソフィの鮮明な『青』。鮮血のような『紅』。煌々と眩さを放つ『金』。その三色が鮮やかに交わった膨大な魔力が込められた右手がナギリに向けて振り下ろされるのだった。
「何者かは知りませんが、大事な部下を襲った以上は覚悟をして頂く」
「……何?」
ソフィとナギリの間に突如として何者かが入り込んできてそうソフィに告げた。
――そして次の瞬間。
ソフィの三色に包まれた『紅』の創成具現の刃をずれた眼鏡を直そうともせずに、整った顔立ちの若き女性が右手の得の刀で受ける。
ソフィのこの形態では最高の一撃の筈のそれを片手であっさりと受け止めたかと思うと、そのまま鍔迫り合いの状態のままで、真後ろに居る茫然と立っていた『ナギリ』を左手でどんっと後ろへ強く押すのであった。
「あっ……?」
押されたナギリは後ろへ数歩程、踏鞴を踏んで下がらされた。そこでようやくナギリは、割って入った副総長に命を救われたのだと理解する。
「……」
ソフィはナギリとの戦闘を心行くまで楽しもうとしていたが、その事を突如として現れたミスズに妨害された事で彼にしては珍しく苛立ち、僅かではあったが感情が揺さぶられる。
乱入者の眼鏡を掛けた女性に向けて、ソフィは創成具現のオーラに包まれた右手をナギリに向けた時よりも一層強く力を込めて突き出す。
「へぇ?」
眼鏡が完全にずれてしまったその奥で、女性の目が鋭くソフィを睨みつけると同時、小さく声を漏らした後に片手で対応していたソフィの右手のオーラの刃に対して、今度は両手でしっかりと刀を握ると、女性の身体が『青』に包まれ始める。
「むっ!!」
そして急に目の前でソフィと鍔迫り合いを起こしていた者が居なくなり、ソフィは力の行き場所を失って前のめりに蹌踉けそうになったが、強引に腰を捻ってその場で耐えて、即座に女性の姿を魔力感知で探し始める。
(上か!)
ソフィが顔を挙げると同時。空からソフィと同じ天色の『青』に包まれたミスズが両手でしっかりと握った刀をソフィの頭を目掛けて振り下ろしてきていた。
「ぬぅっ!」
今度はソフィ側からミスズの刀を受けようと創成具現のオーラを右手に纏い直すと、それを見たミスズは表情を崩さずに急加速を起こすように落下してくる。
空中で足を折り込みながら態勢を横に微妙にずらしてミスズは、身体だけをソフィのオーラで出来た、刀の軌道照準から外して、その刀を持った右手だけをそのままソフィの刀に向けて落ちて来る。
「幻朧」
再び鍔迫り合いが起こるとソフィは思っていたが、ミスズが発した言葉の直ぐ後、ミスズの伸びた手に持った刀がソフィの右手を包み込んで創成具現された『紅』の刃をすり抜け始める。
そのままソフィの首が一刀両断されるとその場を見ていた誰もが予想するが、ソフィの首にミスズの刃のひんやりとした感覚が襲った瞬間、ソフィの目が『金色』に輝いたかと思うと、左手で刀の先にあるであろう消えたミスズの右手を掴みあげて全力で握るのであった。
「ぐっ……、あっ!」
苦悩に歪んだミスズの声が聞こえたかと思うと、ソフィの首元に届いた刃がそこでピタリと止まり、次にミスズの消えた体が見え始める。
「お主は何者だ?」
カチャリと音を立てて眼鏡が床に落ちると同時、ソフィが目の前の女性にそう尋ねるが、そこでソフィの下腹部に鋭い痛みが走った。いつの間にか左手に小太刀を握るミスズにソフィの腹部に横に線を入れるように斬られたようである。
そこで少しだけソフィの手が緩んだのを察知したミスズは、そのまま逆手に持っていたままの小太刀をソフィの目を目掛けて投げる。
「!?」
ソフィが右手の肘でそれを弾くが、その間に床に落ちた眼鏡を掛け直してそのまま隣で唖然としながらソフィ達のやり取りを眺めていたナギリの襟首を掴み、ソフィの間合いから完全に離脱するミスズであった。
「す、すげぇ……! な、何なんだあの女は!?」
着地した先で救ったナギリをその場で離して再び刀を構えて、ソフィを睨みつけるミスズを見たセルバスは、思わずミスズを称えるような声をあげるのであった。
――それは決して誤った行動ではない。卓越した戦闘技術を持つ者が『回避』行動をとる為に、相手の動きを見極める事が必然ではあるし、彼は特にそう戦闘技術を教わってきた。つまりここでソフィの動きを見極めるためには定石通りにソフィの目に視線を送る事。その事自体は間違いではなかったのである。
しかし――。
「うっ、おぁっ……!」
ギロリと睨みつける大魔王のあまりの眼光の鋭さに『妖魔退魔師』の『ナギリ』は、身体が硬直して動けなくなってしまった。ソフィは『魔瞳』を使ったわけでも、何か特別な技法を用いたわけでもない。単に自分の認めた相手のレベルに合わせて戦い方を変えたに過ぎない。
しかしそのソフィの合わせた戦い方に、ナギリの戦闘技術面はついていけようとも精神面の方はまだ、ついてはこれなかったようである。
だが、誰もナギリという人間を臆病者と罵ることは出来ないだろう。この世界では力有る側に居る『妖魔退魔師』。その特務に選ばれたナギリであっても『アレルバレル』の世界で最強として君臨している大魔王ソフィが大賢者エルシスと戦った時以上の力を発揮し、真っ向から襲い掛かってきているのである。
それも今向かってきているソフィの手に集約されたあの輝きは、どうみても『確かめる為の一撃』の度を越えている。ある程度の実力がある者がソフィの纏う右手を見れば、ナギリがまともに食らって生きていられるとは思えないだろう。
戦力値が5000億を超えるランク『5.5』に匹敵する『妖魔退魔師』。そのナギリを以てしても一度頭に過った『死』を振り払うには時間がなさすぎたようである。
「さぁ……、耐えてみせるがよい」
震える足をどうにか動かしたいと考えていたナギリの前に、遂に恐ろしい速度で辿り着いた大魔王ソフィ。そしてその大魔王の言葉が耳に届いた瞬間、ソフィの鮮明な『青』。鮮血のような『紅』。煌々と眩さを放つ『金』。その三色が鮮やかに交わった膨大な魔力が込められた右手がナギリに向けて振り下ろされるのだった。
「何者かは知りませんが、大事な部下を襲った以上は覚悟をして頂く」
「……何?」
ソフィとナギリの間に突如として何者かが入り込んできてそうソフィに告げた。
――そして次の瞬間。
ソフィの三色に包まれた『紅』の創成具現の刃をずれた眼鏡を直そうともせずに、整った顔立ちの若き女性が右手の得の刀で受ける。
ソフィのこの形態では最高の一撃の筈のそれを片手であっさりと受け止めたかと思うと、そのまま鍔迫り合いの状態のままで、真後ろに居る茫然と立っていた『ナギリ』を左手でどんっと後ろへ強く押すのであった。
「あっ……?」
押されたナギリは後ろへ数歩程、踏鞴を踏んで下がらされた。そこでようやくナギリは、割って入った副総長に命を救われたのだと理解する。
「……」
ソフィはナギリとの戦闘を心行くまで楽しもうとしていたが、その事を突如として現れたミスズに妨害された事で彼にしては珍しく苛立ち、僅かではあったが感情が揺さぶられる。
乱入者の眼鏡を掛けた女性に向けて、ソフィは創成具現のオーラに包まれた右手をナギリに向けた時よりも一層強く力を込めて突き出す。
「へぇ?」
眼鏡が完全にずれてしまったその奥で、女性の目が鋭くソフィを睨みつけると同時、小さく声を漏らした後に片手で対応していたソフィの右手のオーラの刃に対して、今度は両手でしっかりと刀を握ると、女性の身体が『青』に包まれ始める。
「むっ!!」
そして急に目の前でソフィと鍔迫り合いを起こしていた者が居なくなり、ソフィは力の行き場所を失って前のめりに蹌踉けそうになったが、強引に腰を捻ってその場で耐えて、即座に女性の姿を魔力感知で探し始める。
(上か!)
ソフィが顔を挙げると同時。空からソフィと同じ天色の『青』に包まれたミスズが両手でしっかりと握った刀をソフィの頭を目掛けて振り下ろしてきていた。
「ぬぅっ!」
今度はソフィ側からミスズの刀を受けようと創成具現のオーラを右手に纏い直すと、それを見たミスズは表情を崩さずに急加速を起こすように落下してくる。
空中で足を折り込みながら態勢を横に微妙にずらしてミスズは、身体だけをソフィのオーラで出来た、刀の軌道照準から外して、その刀を持った右手だけをそのままソフィの刀に向けて落ちて来る。
「幻朧」
再び鍔迫り合いが起こるとソフィは思っていたが、ミスズが発した言葉の直ぐ後、ミスズの伸びた手に持った刀がソフィの右手を包み込んで創成具現された『紅』の刃をすり抜け始める。
そのままソフィの首が一刀両断されるとその場を見ていた誰もが予想するが、ソフィの首にミスズの刃のひんやりとした感覚が襲った瞬間、ソフィの目が『金色』に輝いたかと思うと、左手で刀の先にあるであろう消えたミスズの右手を掴みあげて全力で握るのであった。
「ぐっ……、あっ!」
苦悩に歪んだミスズの声が聞こえたかと思うと、ソフィの首元に届いた刃がそこでピタリと止まり、次にミスズの消えた体が見え始める。
「お主は何者だ?」
カチャリと音を立てて眼鏡が床に落ちると同時、ソフィが目の前の女性にそう尋ねるが、そこでソフィの下腹部に鋭い痛みが走った。いつの間にか左手に小太刀を握るミスズにソフィの腹部に横に線を入れるように斬られたようである。
そこで少しだけソフィの手が緩んだのを察知したミスズは、そのまま逆手に持っていたままの小太刀をソフィの目を目掛けて投げる。
「!?」
ソフィが右手の肘でそれを弾くが、その間に床に落ちた眼鏡を掛け直してそのまま隣で唖然としながらソフィ達のやり取りを眺めていたナギリの襟首を掴み、ソフィの間合いから完全に離脱するミスズであった。
「す、すげぇ……! な、何なんだあの女は!?」
着地した先で救ったナギリをその場で離して再び刀を構えて、ソフィを睨みつけるミスズを見たセルバスは、思わずミスズを称えるような声をあげるのであった。
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