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サカダイ編
1113.疼いた感覚
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ゲンロクの里で『妖魔退魔師』と『妖魔召士』が会合を行っている頃。サカダイの町にある『妖魔退魔師』の本部内でソフィは、その『妖魔退魔師』の最高幹部であるスオウという青年に歓待を受けていた。
ソフィはスオウに特別な事をしたつもりはないのだが、どうやらスオウはソフィの事を甚く気に入ったようで、美味しいお菓子から始まり、ずぶ濡れであったセルバスに着替えを用意し、倒れたヌーを寝かせる為に一室を貸してくれたりと至れり尽くせりであった。
そしてそのソフィは先程まで、意識を失っていたヌーの様子を見に行ったが、どうやら目を覚ました後に、彼は相棒と呼べるテアの前でしっかりと反省を行っていたようで、今はそっとしておこうとソフィは考えてセルバスと共にスオウの居る場所へと戻ってきていた。
「ソフィ殿、何かして欲しい事はないかな? そういえばこの町へは初めて来たんだよね。この町を案内しようか!」
ニコニコと笑いながらスオウは、甘いパン生地に卵をふんだんに使った最近サカダイで評判だというお菓子をソフィ達に振る舞いながら、そんな提案をしてくるのだった。
「おお、それはありがたい。この町は相当に興味深い造りをしているというのは、外から眺めている時から思っていたが、中も門がいくつもあったりと色々と見て回りたいと思っていたところだったのだ……」
この町の中に入った時の町並みの事を思い出したソフィだが、そこでふとこの町に入った時に居た男の事も同時に思い出す。
『二の門』をくぐってサカダイの町の中に入った時、多くの視線をその身に浴びたソフィだったが、その中でも一際強い視線を放つ男を見て、ソフィは試してみたいという気持ちを抱いてしまった。
そしてその時の事が原因で取り囲まれてしまい、ヌーに他人の事も考えろと苦言を告げられたのだが、あの時の視線を受けたソフィは『リラリオ』の世界で『リディア』や『ラルフ』をその目で見た時に感じたモノと、同一のモノをあの男にも感じたのであった。
「……そういえばスオウ殿。我達がこの町に入って来た時に、取り囲まれた事があっただろう。あれは我達だから特別に警戒されたのか、それともこの町に来た者には常にあれほどの鋭利な視線で監視をされる事が普通なのだろうか?」
ソフィがこの町の造りに興味を持ってくれたと聞いて、スオウは直ぐにこの町の案内をするルートを考えていたが、次に取り囲まれた時の話をされた事で少しだけ申し訳なさそうな顔に変わるのだった。
「ああ、あの時の事は……。本当に申し訳なかったソフィ殿。確かにこの町に新たに入って来る者には、ただの物売りであっても厳重に監視をして警戒をするようにと、ミスズ様に見張りの『妖魔退魔師』達は、強く命令されているんだよね」
スオウは説明を行うと顔の前で両手を合わせて『ごめんね』とばかりに、片目を閉じて謝罪をするのだった。
「いや、そうであったか。町の治安を守る為に行う事なのだから謝る必要はないのだが、我は少しその監視を行っておった者の中に気になる者が居たものでな」
その言葉にスオウは、感心するようにソフィを見る。
「やっぱり君は凄い人だね。あの中に居た連中で君が気になった者ってのは多分『ナギリ』の事だろう?」
「あの男の名は『ナギリ』というのか」
ソフィから見てそのナギリという男は、魔力自体は大した事はなかったのだが、一目見た時に直ぐソフィが戦ってみたいと感じられた男なのであった。
あくまでそれは『魔法』や『技法』を用いて感じられた強さの感覚ではない。つまり今の段階ではそこまで大した実力者ではない可能性もあるのだが、ソフィがそういう風に感じられた存在は、種族に分け隔てなく強くなっていた。
例を挙げるならば『魔族』である『九大魔王』達や『魔人』の血を引く人間『リディア』。そして純粋な『人間』の『ラルフ』といった者達である。
明白な信頼性などは何もなく、単にソフィがこれまでの経験上でそういう存在を見た時に感じる疼きや感覚でしかない。
――だが、過去にソフィがそう感じられた者は、誰もが世界に名を残す程の存在へと、その姿の変貌を遂げているのであった。
ソフィはスオウに特別な事をしたつもりはないのだが、どうやらスオウはソフィの事を甚く気に入ったようで、美味しいお菓子から始まり、ずぶ濡れであったセルバスに着替えを用意し、倒れたヌーを寝かせる為に一室を貸してくれたりと至れり尽くせりであった。
そしてそのソフィは先程まで、意識を失っていたヌーの様子を見に行ったが、どうやら目を覚ました後に、彼は相棒と呼べるテアの前でしっかりと反省を行っていたようで、今はそっとしておこうとソフィは考えてセルバスと共にスオウの居る場所へと戻ってきていた。
「ソフィ殿、何かして欲しい事はないかな? そういえばこの町へは初めて来たんだよね。この町を案内しようか!」
ニコニコと笑いながらスオウは、甘いパン生地に卵をふんだんに使った最近サカダイで評判だというお菓子をソフィ達に振る舞いながら、そんな提案をしてくるのだった。
「おお、それはありがたい。この町は相当に興味深い造りをしているというのは、外から眺めている時から思っていたが、中も門がいくつもあったりと色々と見て回りたいと思っていたところだったのだ……」
この町の中に入った時の町並みの事を思い出したソフィだが、そこでふとこの町に入った時に居た男の事も同時に思い出す。
『二の門』をくぐってサカダイの町の中に入った時、多くの視線をその身に浴びたソフィだったが、その中でも一際強い視線を放つ男を見て、ソフィは試してみたいという気持ちを抱いてしまった。
そしてその時の事が原因で取り囲まれてしまい、ヌーに他人の事も考えろと苦言を告げられたのだが、あの時の視線を受けたソフィは『リラリオ』の世界で『リディア』や『ラルフ』をその目で見た時に感じたモノと、同一のモノをあの男にも感じたのであった。
「……そういえばスオウ殿。我達がこの町に入って来た時に、取り囲まれた事があっただろう。あれは我達だから特別に警戒されたのか、それともこの町に来た者には常にあれほどの鋭利な視線で監視をされる事が普通なのだろうか?」
ソフィがこの町の造りに興味を持ってくれたと聞いて、スオウは直ぐにこの町の案内をするルートを考えていたが、次に取り囲まれた時の話をされた事で少しだけ申し訳なさそうな顔に変わるのだった。
「ああ、あの時の事は……。本当に申し訳なかったソフィ殿。確かにこの町に新たに入って来る者には、ただの物売りであっても厳重に監視をして警戒をするようにと、ミスズ様に見張りの『妖魔退魔師』達は、強く命令されているんだよね」
スオウは説明を行うと顔の前で両手を合わせて『ごめんね』とばかりに、片目を閉じて謝罪をするのだった。
「いや、そうであったか。町の治安を守る為に行う事なのだから謝る必要はないのだが、我は少しその監視を行っておった者の中に気になる者が居たものでな」
その言葉にスオウは、感心するようにソフィを見る。
「やっぱり君は凄い人だね。あの中に居た連中で君が気になった者ってのは多分『ナギリ』の事だろう?」
「あの男の名は『ナギリ』というのか」
ソフィから見てそのナギリという男は、魔力自体は大した事はなかったのだが、一目見た時に直ぐソフィが戦ってみたいと感じられた男なのであった。
あくまでそれは『魔法』や『技法』を用いて感じられた強さの感覚ではない。つまり今の段階ではそこまで大した実力者ではない可能性もあるのだが、ソフィがそういう風に感じられた存在は、種族に分け隔てなく強くなっていた。
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明白な信頼性などは何もなく、単にソフィがこれまでの経験上でそういう存在を見た時に感じる疼きや感覚でしかない。
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