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サカダイ編
1083.視線と信用
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スオウはさっきの感覚を何とか自分なりに理解しようとする。
(総長が時折放つような、暴力的で強制力のある威圧では無かった。彼のあの目を見た時、暗い闇が俺を引きずり込んできた。その時に一瞬の不安と恐怖が頭を掠めたけど、闇の中は信じられない程に心地よく、怖さよりももっとその中に居たいと思わされた。考える事を放棄して全てを放り投げて、彼に身を預けたくなるような、そんな不思議な感覚……。まるで催眠に掛けられた気分だったな)
先程のソフィの視線は『金色の目』のような『魔瞳』を使ったわけではない。単に射貫くような鋭い視線で刀に手を掛けたスオウを睨みつけただけの事である。
しかしソフィにとってはただ睨みつけただけであっても、相手にしてみればそれだけでは片付けられない感覚に陥ったのだろう。単なる力の強さと言うだけではなく、魔族であるソフィは人間のスオウとは比べ物にならない程の年月を生きてきている。
単なる視線一つであっても、大魔王であるソフィに睨まれただけで、並々ならぬ威圧のように感じられてもおかしくはなかった。それも数十年、数百年規模ではなく、数千年を越える年月もの間にわたって世界一つを束ねられる程の王が相手なのである。
そんな王に睨まれてこうして平然とまではいかないが、ある程度普通にしていられるだけでも大したものなのであった。それこそ普通の人間であればソフィに本気で睨まれでもすれば、慌てふためいて心ここに在らずとなっていてもおかしくはない。
隣に居た同じ大魔王にして、世界を束ねた経験のあるヌーとセルバスもまた、一介の人間がこうして、ソフィの視線に耐えられている事でスオウを認めるような心持ちになったようであった。
そんなソフィやヌーの声を聞きながら『スオウ』は一度目を閉じた後、ゆっくりと溜息を吐くのであった。
「なるほどね『妖魔召士』を捕縛したという話が本当かどうかまでは俺には分からないけれど、キミ程の存在が安い嘘を吐くとも思えない。真実はどうであれ、ある程度は君たちの事を信用する事にするよ」
どうやらスオウはこうして、ソフィの圧のある一瞥を受けた事によって、先程までよりもソフィ達の話を真剣に聞く事にしたようであった。
「クックック……。信用してもらえるというなら何よりだ。それで先程も言ったが我は『エヴィ』という仲間を探してここまで来たのだ。ゲンロク殿が言うには、確か『イダラマ』とかいう男と行動を共にしておるようなのだが、このサカダイで青髪でこういうメダルを持った男を知らぬだろうか?」
ソフィはエヴィの詳細を口にしながら『契約の紋章』を取り出してスオウ達に見せる。
「そういうのを持っていたかどうかは知らないけれど、確かにその少年はついこの間までこの町に居たよ」
ソフィはそのスオウの言葉に、嬉しそうな顔を浮かべるのであった。
「でもそれは数日前までの話でね。俺達が探しているイダラマと一緒に、今はこの町から忽然と姿を消してしまったんだ」
「やはりイダラマという男と一緒に居るのだな」
ソフィは再び出てきたイダラマと言う名前に溜息を吐くのであった。
「数日前にあった事があるというのであれば、エヴィらが何処かに向かうつもりだとか、何かそういう話は聞いてはいないだろうか」
「どうだったかな。あの時はクソババアが騒いだ印象が強かったから。その後に総長に怒られて、謝罪していたのは明確に覚えているんだけど」
そう言って隣に居るサシャを見るスオウであった。
「あの時は最高幹部の方々以外は、席に着く事が許されませんでしたからね。私もヒナギク達も後から会議の内容は聞かされましたが、確か『妖魔山』の管理の事について話をされていたとか」
スオウはその言葉を聞いて『もしかしたら』という顔を浮かべるのであった。
……
……
……
(総長が時折放つような、暴力的で強制力のある威圧では無かった。彼のあの目を見た時、暗い闇が俺を引きずり込んできた。その時に一瞬の不安と恐怖が頭を掠めたけど、闇の中は信じられない程に心地よく、怖さよりももっとその中に居たいと思わされた。考える事を放棄して全てを放り投げて、彼に身を預けたくなるような、そんな不思議な感覚……。まるで催眠に掛けられた気分だったな)
先程のソフィの視線は『金色の目』のような『魔瞳』を使ったわけではない。単に射貫くような鋭い視線で刀に手を掛けたスオウを睨みつけただけの事である。
しかしソフィにとってはただ睨みつけただけであっても、相手にしてみればそれだけでは片付けられない感覚に陥ったのだろう。単なる力の強さと言うだけではなく、魔族であるソフィは人間のスオウとは比べ物にならない程の年月を生きてきている。
単なる視線一つであっても、大魔王であるソフィに睨まれただけで、並々ならぬ威圧のように感じられてもおかしくはなかった。それも数十年、数百年規模ではなく、数千年を越える年月もの間にわたって世界一つを束ねられる程の王が相手なのである。
そんな王に睨まれてこうして平然とまではいかないが、ある程度普通にしていられるだけでも大したものなのであった。それこそ普通の人間であればソフィに本気で睨まれでもすれば、慌てふためいて心ここに在らずとなっていてもおかしくはない。
隣に居た同じ大魔王にして、世界を束ねた経験のあるヌーとセルバスもまた、一介の人間がこうして、ソフィの視線に耐えられている事でスオウを認めるような心持ちになったようであった。
そんなソフィやヌーの声を聞きながら『スオウ』は一度目を閉じた後、ゆっくりと溜息を吐くのであった。
「なるほどね『妖魔召士』を捕縛したという話が本当かどうかまでは俺には分からないけれど、キミ程の存在が安い嘘を吐くとも思えない。真実はどうであれ、ある程度は君たちの事を信用する事にするよ」
どうやらスオウはこうして、ソフィの圧のある一瞥を受けた事によって、先程までよりもソフィ達の話を真剣に聞く事にしたようであった。
「クックック……。信用してもらえるというなら何よりだ。それで先程も言ったが我は『エヴィ』という仲間を探してここまで来たのだ。ゲンロク殿が言うには、確か『イダラマ』とかいう男と行動を共にしておるようなのだが、このサカダイで青髪でこういうメダルを持った男を知らぬだろうか?」
ソフィはエヴィの詳細を口にしながら『契約の紋章』を取り出してスオウ達に見せる。
「そういうのを持っていたかどうかは知らないけれど、確かにその少年はついこの間までこの町に居たよ」
ソフィはそのスオウの言葉に、嬉しそうな顔を浮かべるのであった。
「でもそれは数日前までの話でね。俺達が探しているイダラマと一緒に、今はこの町から忽然と姿を消してしまったんだ」
「やはりイダラマという男と一緒に居るのだな」
ソフィは再び出てきたイダラマと言う名前に溜息を吐くのであった。
「数日前にあった事があるというのであれば、エヴィらが何処かに向かうつもりだとか、何かそういう話は聞いてはいないだろうか」
「どうだったかな。あの時はクソババアが騒いだ印象が強かったから。その後に総長に怒られて、謝罪していたのは明確に覚えているんだけど」
そう言って隣に居るサシャを見るスオウであった。
「あの時は最高幹部の方々以外は、席に着く事が許されませんでしたからね。私もヒナギク達も後から会議の内容は聞かされましたが、確か『妖魔山』の管理の事について話をされていたとか」
スオウはその言葉を聞いて『もしかしたら』という顔を浮かべるのであった。
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