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サカダイ編
1068.寝耳に水
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「お主はこのサカダイの者で間違いなさそうだが、門兵にしてはちと、ただならぬ気配をしておるな」
その言葉にサシャの眉がぴくりと動いたのをソフィやヌー達は見逃さなかった。
「まぁよい。我達は少しこの町に用事があってな、この通り『予備群』のコウゾウ殿から書簡を預かってきているのだが『妖魔退魔師』とやらのミスズ殿に渡りをつけてもらうわけにはいかぬだろうか」
そのソフィの言葉に再びぴくりと眉を動かしながら、サシャは訝しそうに口を開いた。
「すまないが御客人。副総長は今この町から離れておられる。うちの『予備群』の者からの書簡だというのであればこの私が預かるが?」
そう言ってサシャは手をソフィの前に差し出してくる。どうやら有無を言わさずにさっさと渡せと暗に告げているようだ。先程から言葉遣いには出てはいないが、態度から圧力のような物が感じられた。
「いや、すまぬがコウゾウ殿に、直接ミスズ殿とやらに渡すように頼まれたのでな。留守だというのであれば仕方あるまい、今度会う時に我が直接渡そうと思う」
そう言ってソフィはサシャに書簡を渡さずに懐に仕舞い直す。サシャ名乗っていた女性は、それを見て無言のまま出していた手を引っ込めた。
「ところでお主。青い髪をした少年を見なかったか?」
「青い髪の少年? どうだったかしら」
「何やらイダラマとかいう『妖魔召士』と共に行動をしていたらしいのだが、噂でこの町に来ていると聞いたものでな」
ソフィからイダラマという言葉が出た事で、サシャは再び眉をぴくりと動かした。
「ああ。青髪の少年って『組長』の禁句を言った少年の事かな」
どうやらエヴィの事を知っている様子の女性を見て、ソフィはやはりこの町に来て正解だったと感じるのであった。
サシャは何やら考え事をしていたが、先程からボタボタと水を地面に垂らしながらジッと立っている男の事が気に掛かり、遂にその事を口にする。
「貴方、水浴びでもしていたの?」
……
……
……
『ケイノト』に帰るために来た道を引き返していたエイジの元に『妖魔退魔師』のスオウという少年が現れた。
どうやらソフィ殿の仲間はやはり、イダラマと居るのは間違いなさそうだったが、何やらイダラマはまた勝手な事をしようとしているらしく、先程のスオウの言葉では『妖魔召士』が古くから管理していた『妖魔山』の管理権を『妖魔退魔師』側に移させようとしていたらしい。
「先程から申しているが小生はイダラマとは何の関係もないぞ? この町に来たのにはソフィ殿達の仲間がここに居るという話を『妖魔召士』の里に居るゲンロク殿から聞いた為だ。小生がここに居る理由はそのソフィ殿達をここへ案内する為だ。むしろイダラマがサカダイに来ていると聞かされたこちらが驚いている程だ」
包み隠さず本当の事を告げるエイジの目を見て、どうやら嘘ばかりでも無いらしいと、スオウは判断を下した。
「うーん、確かに貴方が嘘を言っているようには見えないんだよなぁ。これが演技だったとしたら、お手上げだよ」
そう言って腰鞘の刀から手を離して、溜息を吐くスオウであった。
「本当にイダラマ殿が何処へ行ったか知らない? 数日前までこの町に居たんだけど『妖魔召士』がうちの『予備群』を襲って戦争を企み始めているという話題が出た後くらいから、イダラマ殿が忽然と姿を消しちゃってね。絶対何か関係していると思うんだよなぁ」
「その件に関してはイダラマは関係無いだろうな。コウゾウ殿を襲ったのは、別の二人組の『妖魔召士』だ。そしてその『妖魔召士』を送り込んだ者は、元々は『予備群』を襲わせるつもりは無かった筈だ」
確かにある程度の情報を得ていたスオウだったが、目の前で事情の説明を行ったエイジが余りにも詳しすぎた為に、再び疑念の目をエイジに向けるスオウだった。
……
……
……
その言葉にサシャの眉がぴくりと動いたのをソフィやヌー達は見逃さなかった。
「まぁよい。我達は少しこの町に用事があってな、この通り『予備群』のコウゾウ殿から書簡を預かってきているのだが『妖魔退魔師』とやらのミスズ殿に渡りをつけてもらうわけにはいかぬだろうか」
そのソフィの言葉に再びぴくりと眉を動かしながら、サシャは訝しそうに口を開いた。
「すまないが御客人。副総長は今この町から離れておられる。うちの『予備群』の者からの書簡だというのであればこの私が預かるが?」
そう言ってサシャは手をソフィの前に差し出してくる。どうやら有無を言わさずにさっさと渡せと暗に告げているようだ。先程から言葉遣いには出てはいないが、態度から圧力のような物が感じられた。
「いや、すまぬがコウゾウ殿に、直接ミスズ殿とやらに渡すように頼まれたのでな。留守だというのであれば仕方あるまい、今度会う時に我が直接渡そうと思う」
そう言ってソフィはサシャに書簡を渡さずに懐に仕舞い直す。サシャ名乗っていた女性は、それを見て無言のまま出していた手を引っ込めた。
「ところでお主。青い髪をした少年を見なかったか?」
「青い髪の少年? どうだったかしら」
「何やらイダラマとかいう『妖魔召士』と共に行動をしていたらしいのだが、噂でこの町に来ていると聞いたものでな」
ソフィからイダラマという言葉が出た事で、サシャは再び眉をぴくりと動かした。
「ああ。青髪の少年って『組長』の禁句を言った少年の事かな」
どうやらエヴィの事を知っている様子の女性を見て、ソフィはやはりこの町に来て正解だったと感じるのであった。
サシャは何やら考え事をしていたが、先程からボタボタと水を地面に垂らしながらジッと立っている男の事が気に掛かり、遂にその事を口にする。
「貴方、水浴びでもしていたの?」
……
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……
『ケイノト』に帰るために来た道を引き返していたエイジの元に『妖魔退魔師』のスオウという少年が現れた。
どうやらソフィ殿の仲間はやはり、イダラマと居るのは間違いなさそうだったが、何やらイダラマはまた勝手な事をしようとしているらしく、先程のスオウの言葉では『妖魔召士』が古くから管理していた『妖魔山』の管理権を『妖魔退魔師』側に移させようとしていたらしい。
「先程から申しているが小生はイダラマとは何の関係もないぞ? この町に来たのにはソフィ殿達の仲間がここに居るという話を『妖魔召士』の里に居るゲンロク殿から聞いた為だ。小生がここに居る理由はそのソフィ殿達をここへ案内する為だ。むしろイダラマがサカダイに来ていると聞かされたこちらが驚いている程だ」
包み隠さず本当の事を告げるエイジの目を見て、どうやら嘘ばかりでも無いらしいと、スオウは判断を下した。
「うーん、確かに貴方が嘘を言っているようには見えないんだよなぁ。これが演技だったとしたら、お手上げだよ」
そう言って腰鞘の刀から手を離して、溜息を吐くスオウであった。
「本当にイダラマ殿が何処へ行ったか知らない? 数日前までこの町に居たんだけど『妖魔召士』がうちの『予備群』を襲って戦争を企み始めているという話題が出た後くらいから、イダラマ殿が忽然と姿を消しちゃってね。絶対何か関係していると思うんだよなぁ」
「その件に関してはイダラマは関係無いだろうな。コウゾウ殿を襲ったのは、別の二人組の『妖魔召士』だ。そしてその『妖魔召士』を送り込んだ者は、元々は『予備群』を襲わせるつもりは無かった筈だ」
確かにある程度の情報を得ていたスオウだったが、目の前で事情の説明を行ったエイジが余りにも詳しすぎた為に、再び疑念の目をエイジに向けるスオウだった。
……
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