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サカダイ編
1061.ゲンロクVSヒュウガ
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ゲンロクの屋敷の中は既にゲンロクの側近達が多くやられていた。
ヒュウガはゲンロクに報告に行く前からこうなるだろうという予想があり、自分の取り巻きであるヒュウガ派の『妖魔召士』達に声を掛けていたのである。
何も知らされていなかったキクゾウは、厳格な処罰が下される事には半ば仕方が無いと覚悟を決めてこの場に来ていたが、正面きってゲンロクに、刃向かうつもりまではなかったのである。
「ひゅ、ヒュウガ様……!」
キクゾウは自分がヒュウガに盾にされている事を理解しつつも、今ここで『結界』や『青い目』を解除する事は出来ない。
現在の『妖魔召士』の中で最高峰の魔力を持ち、暫定とはいっても『妖魔召士』達を導く立場にあるゲンロクを相手に『青い目』を解除して相対すれば即座に潰されてしまうだろう。
それでも『妖魔召士』と認められた程の魔力持ちであるからこそ、まだゲンロクを前にしてこの場で立っていられるのである。
――しかしそれも長くは持たないだろう。
今はまだ目の前に居るゲンロクは、ヒュウガ達を取り押さえようと考えている様子である。
もしゲンロクが妖魔と戦っている時のような状態であれば、キクゾウ程度の結界など貫いて即座に殺傷力の高い『捉術』で圧し潰されてこの世を去っているだろう。
いずれにせよ戦うか逃げるかの行動を起こすのならば、相手が本気ではない、このタイミングでしかないといえる。
周囲はヒュウガ派の『妖魔召士』達が取り囲んでおり、キクゾウという盾によって、完全にアドバンテージを取れているヒュウガは、逃げる事よりも戦って押し通す事を選んだようである。
(『式』など出している場合ではない。今、ここで確実に潰すのならば、幻覚や催眠の類ではなく殺傷能力と速度が優先される捉術を使う他あるまい……)
ヒュウガは『妖魔召士』の中でも膨大な『魔力』を有しており、キネツグやチアキ等とは比べ物にならない強さを有してはいるが、相手のゲンロクもまた現役から一線を退きつつあったとはいえども、まだまだ『サイヨウ』に次ぐ程の実力者であることは間違いがない。
悠長な『捉術』を使っていれば、この圧倒的有利な状態であっても、あっさりと覆されかねないのである。
「いいですか。貴方はそのまま結界を維持しなさい。分かっているとは思いますが、貴方は攻撃をする事など考えないで下さいね?」
上位の『妖魔召士』が相手の場合、下手に攻撃をする事でそれを利用されてしまう事がある。
当然それは同じ『妖魔召士』であるキクゾウも分かっている為、キクゾウは今は頼る他がないヒュウガに何度も頷いて見せる。
ヒュウガは既にこの場で使う『捉術』をいくつかを頭の中で描いている。後は同じ『妖魔召士』である相手の行動とタイミングを計算して、確実に戦闘不能をする事を目論んでいた。
ゲンロクとヒュウガは、互いに睨み合っている。現在の『妖魔召士』組織で暫定トップのゲンロクNo.2であるヒュウガ。
この局面においては幹部を除いた『妖魔退魔師』や、単なる力任せの高ランクの妖魔よりも相手の力を利用したり、相手の力を抑え込んだり出来る同じ『青い目』と『捉術』を使える『妖魔召士』の方が数段厄介なのであった。
前時代から『妖魔召士』として組織に属しているゲンロクとヒュウガ。
こうして『妖魔召士』同士の戦闘を行う事はこれまではなかった二人である。
互いに互いの使う『妖魔召士』の『捉術』の多くをどちらも扱う事が出来る為、相手の行動の先読みをする『捉術』が必要となるだろう。
ヒュウガはキクゾウの結界内から『魔力』を目に集中させて『青い目』を強め始めると同時『魔瞳』同士の均衡を破る為に、一気に魔力の圧をゲンロクへ向けて放った。
『青い目』を介してヒュウガの膨大な魔力が圧の波となって、ゲンロクに襲い掛かっていくが、ゲンロクはそのヒュウガの『魔瞳』を一睨みすると、息をゆっくりと吐きながらゲンロクは自身の魔力を右手に集約させ始める。
(『魔瞳』ではなく『捉術』で私の魔力圧を防ぐつもりか? 『魔瞳』の魔力圧は殺傷能力が伴った速度ある一撃だぞ? その場所から『捉術』で対応しようとしても『魔瞳』を無効化することは出来ぬ。直接私を狙っての行為だったとしてもこちらにはキクゾウの『結界』がある。ここで『捉術』を選ぶのは悪手過ぎる! 戦場を離れすぎた弊害で耄碌したかゲンロク!!)
油断の所為かそれとも戦場を離れすぎて勘が鈍ったか、どちらにしてもヒュウガが有利を取ったのは間違いはない。
この魔力圧の一撃で仕留めることは出来ないだろうが、次の手に繋げる有利をとったのは確定であり、今度の一撃は無条件で直撃させられるであろう。
そこまで考えたヒュウガは確実に仕留める殺傷能力のある『捉術』の『動殺是決』の準備を始めていく。
『動殺是決』は相手を即座に戦闘不能にする程の威力を誇る『捉術』ではあるが『空空妨元』と同じく隙が大きすぎる『捉術』であり、本来であればゲンロク程の強者を相手に使うべきではない『捉術』である。
しかし今回に限ってはヒュウガの『魔瞳』から放たれた魔力圧をその身に浴びるというのであれば、これ程までにお誂え向きの『捉術』もない。
「ははははっ! もらったぁっ!」
――勝ちを確信したヒュウガは満面の笑みを浮かべながら『妖魔召士』の長の座に居るゲンロクに向けて『動殺是決』を放とうとする。
しかしそこでようやくヒュウガは、ゲンロクの目を見て戦慄する。
油断をつかれた事による焦りや不安や恐れといった目からは程遠い、確定している勝利を理解するような、自信に満ちた目をしているのであった。
ヒュウガはゲンロクに報告に行く前からこうなるだろうという予想があり、自分の取り巻きであるヒュウガ派の『妖魔召士』達に声を掛けていたのである。
何も知らされていなかったキクゾウは、厳格な処罰が下される事には半ば仕方が無いと覚悟を決めてこの場に来ていたが、正面きってゲンロクに、刃向かうつもりまではなかったのである。
「ひゅ、ヒュウガ様……!」
キクゾウは自分がヒュウガに盾にされている事を理解しつつも、今ここで『結界』や『青い目』を解除する事は出来ない。
現在の『妖魔召士』の中で最高峰の魔力を持ち、暫定とはいっても『妖魔召士』達を導く立場にあるゲンロクを相手に『青い目』を解除して相対すれば即座に潰されてしまうだろう。
それでも『妖魔召士』と認められた程の魔力持ちであるからこそ、まだゲンロクを前にしてこの場で立っていられるのである。
――しかしそれも長くは持たないだろう。
今はまだ目の前に居るゲンロクは、ヒュウガ達を取り押さえようと考えている様子である。
もしゲンロクが妖魔と戦っている時のような状態であれば、キクゾウ程度の結界など貫いて即座に殺傷力の高い『捉術』で圧し潰されてこの世を去っているだろう。
いずれにせよ戦うか逃げるかの行動を起こすのならば、相手が本気ではない、このタイミングでしかないといえる。
周囲はヒュウガ派の『妖魔召士』達が取り囲んでおり、キクゾウという盾によって、完全にアドバンテージを取れているヒュウガは、逃げる事よりも戦って押し通す事を選んだようである。
(『式』など出している場合ではない。今、ここで確実に潰すのならば、幻覚や催眠の類ではなく殺傷能力と速度が優先される捉術を使う他あるまい……)
ヒュウガは『妖魔召士』の中でも膨大な『魔力』を有しており、キネツグやチアキ等とは比べ物にならない強さを有してはいるが、相手のゲンロクもまた現役から一線を退きつつあったとはいえども、まだまだ『サイヨウ』に次ぐ程の実力者であることは間違いがない。
悠長な『捉術』を使っていれば、この圧倒的有利な状態であっても、あっさりと覆されかねないのである。
「いいですか。貴方はそのまま結界を維持しなさい。分かっているとは思いますが、貴方は攻撃をする事など考えないで下さいね?」
上位の『妖魔召士』が相手の場合、下手に攻撃をする事でそれを利用されてしまう事がある。
当然それは同じ『妖魔召士』であるキクゾウも分かっている為、キクゾウは今は頼る他がないヒュウガに何度も頷いて見せる。
ヒュウガは既にこの場で使う『捉術』をいくつかを頭の中で描いている。後は同じ『妖魔召士』である相手の行動とタイミングを計算して、確実に戦闘不能をする事を目論んでいた。
ゲンロクとヒュウガは、互いに睨み合っている。現在の『妖魔召士』組織で暫定トップのゲンロクNo.2であるヒュウガ。
この局面においては幹部を除いた『妖魔退魔師』や、単なる力任せの高ランクの妖魔よりも相手の力を利用したり、相手の力を抑え込んだり出来る同じ『青い目』と『捉術』を使える『妖魔召士』の方が数段厄介なのであった。
前時代から『妖魔召士』として組織に属しているゲンロクとヒュウガ。
こうして『妖魔召士』同士の戦闘を行う事はこれまではなかった二人である。
互いに互いの使う『妖魔召士』の『捉術』の多くをどちらも扱う事が出来る為、相手の行動の先読みをする『捉術』が必要となるだろう。
ヒュウガはキクゾウの結界内から『魔力』を目に集中させて『青い目』を強め始めると同時『魔瞳』同士の均衡を破る為に、一気に魔力の圧をゲンロクへ向けて放った。
『青い目』を介してヒュウガの膨大な魔力が圧の波となって、ゲンロクに襲い掛かっていくが、ゲンロクはそのヒュウガの『魔瞳』を一睨みすると、息をゆっくりと吐きながらゲンロクは自身の魔力を右手に集約させ始める。
(『魔瞳』ではなく『捉術』で私の魔力圧を防ぐつもりか? 『魔瞳』の魔力圧は殺傷能力が伴った速度ある一撃だぞ? その場所から『捉術』で対応しようとしても『魔瞳』を無効化することは出来ぬ。直接私を狙っての行為だったとしてもこちらにはキクゾウの『結界』がある。ここで『捉術』を選ぶのは悪手過ぎる! 戦場を離れすぎた弊害で耄碌したかゲンロク!!)
油断の所為かそれとも戦場を離れすぎて勘が鈍ったか、どちらにしてもヒュウガが有利を取ったのは間違いはない。
この魔力圧の一撃で仕留めることは出来ないだろうが、次の手に繋げる有利をとったのは確定であり、今度の一撃は無条件で直撃させられるであろう。
そこまで考えたヒュウガは確実に仕留める殺傷能力のある『捉術』の『動殺是決』の準備を始めていく。
『動殺是決』は相手を即座に戦闘不能にする程の威力を誇る『捉術』ではあるが『空空妨元』と同じく隙が大きすぎる『捉術』であり、本来であればゲンロク程の強者を相手に使うべきではない『捉術』である。
しかし今回に限ってはヒュウガの『魔瞳』から放たれた魔力圧をその身に浴びるというのであれば、これ程までにお誂え向きの『捉術』もない。
「ははははっ! もらったぁっ!」
――勝ちを確信したヒュウガは満面の笑みを浮かべながら『妖魔召士』の長の座に居るゲンロクに向けて『動殺是決』を放とうとする。
しかしそこでようやくヒュウガは、ゲンロクの目を見て戦慄する。
油断をつかれた事による焦りや不安や恐れといった目からは程遠い、確定している勝利を理解するような、自信に満ちた目をしているのであった。
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