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サカダイ編

1050.エヴィの居場所

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 旅籠町を出たソフィ達はエイジに案内を続けてもらい『サカダイ』の町に向かっていく。
 当初の予定ではここまで長く旅籠町に居座るつもりは無かったのだが、思いも寄らない事件に巻き込まれてしまい、長期滞在となってしまっていた。
 しかしそのおかげで『旅籠町』を悩ませていた人攫い集団『煌鴟梟こうしきょう』を壊滅させる事が出来た上に、これから向かうサカダイにある組織『妖魔退魔師ようまたいまし』の下部組織とされる『予備群よびぐん』に所属する『コウゾウ』と『シグレ』の両名と知り合う事が出来たソフィ達だった。

 更にはそのコウゾウから文を預かり『妖魔退魔師ようまたいまし』の組織の元に届けて欲しいと頼まれた事で、ソフィ達は『サカダイ』の町に入る為の口実も出来るのであった。

 酒宴の席でコウゾウに『サカダイ』の町の事を色々と聞かされたソフィだが、どうやらこれから向かう『サカダイ』の町は『妖魔退魔師ようまたいまし』の組織の総本山であり、問題事だけは起こさないように気を付けてくれと何度も念を押されてしまった。

 旅籠町で起きたような人攫いの事件に、再びソフィ達が巻き込まれてしまえば、あのとき以上に面倒な事になりそうである。

「それにしても本当に『エヴィ』の奴は、この世界に居るのだろうか?」

「う、嘘じゃあありませんぜ、ソフィの旦那!」

 この世界に来てからソフィは何度も『漏出サーチ』や『魔力感知』を使って『エヴィ』の居場所を探したのだが、未だに見つけられていない為、本当にこの世界に居るのかと思い始めていたのであった。

 セルバスは元々『煌聖の教団こうせいきょうだん』所属の大幹部であり、色々とソフィとは因縁があった身であり、今は一応はソフィに協力するという事で許された身ではあるのだが、それでもソフィの手にかかれば、直ぐに自分は消されてしまうという事を理解している為、自分がソフィを騙していると思われては困るとばかりに弁解をするように焦り始めるのであった。

「馬鹿野郎。アイツはお前が言っていた事を疑ってるんじゃねぇよ。俺達の感知能力で未だにその存在が証明出来ていない事に何が原因かを訝しんでいるだけだ」

「お、おう? そ、そうなのか」

 まさかヌーから返事が来るとは思っていなかったセルバスは、素直に驚いた声をあげるのであった。
 セルバスはこの世界で再会した目の前に居るヌーと、これまでの彼が知るヌーとは似ても似つかぬその様子に調子が上手く行かないと考えるのであった。

「しかし本当に不思議な事もあるもんだな。コイツや『煌聖の教団こうせいきょうだん』の連中が相手であったならば『隠幕ハイド・カーテン』の魔法が影響しているのだろうと考えられるが、あの『天衣無縫エヴィ』の野郎は『レパート』の世界の魔法は使えなかった筈だ。これだけ探ってその魔力が感じられなければ、確かにソフィの言う通り、この世界に居るのか疑問を抱くのも無理はねぇ」

 ――そうなのである。

 大魔王『エヴィ』は間違いなく『ソフィ』の配下にして『アレルバレル』世界出身の魔族である。
 レパートの世界の『ことわり』を学んでいない以上『煌聖の教団こうせいきょうだん』のように『発動羅列』を変えられた、疑似魔法とされたものを使っていなければ『アレルバレル』の世界の『ことわり』では『隠幕ハイド・カーテン』は使えない。

 つまりエヴィがソフィやヌー達の『漏出サーチ』や『魔力感知』で察知出来ない理由が分からず、その見当もつかない状態であった。

「それはもしかしたらソフィ殿の仲間と共に居ると、ゲンロクが言っていたイダラマのせいかもしれぬな」

?」

 ソフィは里でゲンロクが言っていた話を思い出そうとする。

「小生達と同じ『妖魔召士ようましょうし』であった者の事だ。あやつはゲンロクやヒュウガ達と同じ、の『妖魔召士ようましょうし』ではあったが、どこか奴らとも違う独特の思想を持っていた奴でな『妖魔召士ようましょうし』としての力は申し分ない奴なのだが、少し変わり者すぎて、あやつは組織の中でも誰ともつるむような真似をせずに、孤高を貫いておった」

「ほう……」

「ゲンロク曰く、あやつは里を襲ったと言っておったし、用心深い男でもあるからな、お主達が他の者達の魔力を感知出来るという話が本当であれば、あやつもソフィ殿の配下からその話を聞いて、結界を維持し続けておるのやもしれぬ」

「お主ら人間の張る『結界』は相当の防衛力を誇っておるというのは、里やこの前の人攫い達のアジトで理解は出来たが、魔力感知を阻害する効力も持っておるのか」

「単なる『結界』では不可能だが『上位』の『妖魔召士ようましょうし』であれば、とある捉術を織り交ぜればそういう事をするのも可能ではある」

「クックック、素晴らしいではないか」

 エイジから聞かされる結界の話に興味を示すソフィであった――。
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