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旅籠編
977.余暇
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緊急招集で例の二人組の討伐任務を遂行する為に加護の森へと向かった退魔組のヒイラギ達だったが、結局はタクシンを葬ったとされる二人組も見つけられず、どうやらイバキやミカゲ達討伐隊もサカダイ側の森へと入ってしまい込んだようで、現在はその足取りを追えなくなってしまっていた。
ひとまずサテツはサカダイ側からの報告を待つ事にしたらしいが、このままサカダイ側から報告が無ければゲンロクに動いてもらう他に無いと考えるのであった。
すでに退魔組の若い衆にゲンロクの居る里へは遣いを出している。
今頃はこちら側の報告を受け取っている事だろう。
しかしその報告がゲンロクにどのように伝わるかまでは分からない。何故なら現在の暫定で『妖魔召士』の長の座に就いているゲンロクよりも、そのゲンロクの屋敷に居る『ヒュウガ』という男が実質的にはトップの座に居るのである。
こちらからはしっかりとした報告を行うようには指示を受けているが、これまでもゲンロクに見せるには少しばかり不都合な点がある情報は、ヒュウガが隠蔽したり脚色を加えて、ゲンロクに伝えられていた。
今回の一件がどうなるかは、サテツにも分かってはいない。しかしそれでもサテツはヒュウガという『妖魔召士』を心の底から信頼している為、心配等はしておらずどう転ぼうとも何とかなるだろうと考えていた。
『戦闘』という一点においては、ヒュウガはゲンロクには勝る事は無いが『知略』や『智慧』という点においてはヒュウガに分があるだろう。
陰ながらここまで動いていても決して表に出るような事は無く、全てが彼の思い通りにここまで運んでいるのだから。
ユウゲの報告を受けた後に奥の部屋でサテツは一人、ヒュウガ達から今後どういう指示が来るかを考えるのであった。
…………
そしてユウゲは指示通りに加護の森で待機をしているヒイラギ達に、今回の任務の一時中断が伝えられて再び『ケイノト』に帰ってきた。
ゲンロクからの指示が来るまでは現状は任務は無し。
直ぐに次の指示を受託出来るように、前の任務であった妖魔山の見張りや『妖魔退魔師』側の動向を窺うような、そんな任務も受けなくていいようである。
つまりここにきて退魔組の『特別退魔士』達は数か月ぶりに何もすることが無く、ある意味で余暇の時間が出来たのであった。
ゲンロクの作ったこの退魔組の中に居る退魔士は、それぞれランクによって役割が異なっている。退魔士になりたての見習いや、下位の退魔士は町の見回り。
町に妖魔が近づいてこないように門兵の援護を行ったり、ランク『1』の妖魔から『ケイノト』の町人を守ったりする者が『中位』の退魔士の普段の仕事である。
そして今回のように加護の森の『結界』に反応があった場合、中位以下の者達を編成して、調査や討伐の任務を行う者が『退魔組』に属する『上位退魔士』の役割であった。
この上位の退魔士を担った人物が『ミカゲ』と呼ばれる退魔士で、退魔組では『特別退魔士』を除いて精鋭と呼べるラインである。
『上位退魔士』はある程度の場所の妖魔とも相対出来る程の力量を持っており、他の町へ諜報に出る者も居る。サカダイの妖魔退魔師達の動向を探ったりと『上位退魔士』はそれなりに仕事量は多い。
そして退魔組では、最高峰の退魔士が『特別退魔士』である。
『特別退魔士』ともなるとそれぞれが戦力値は2000億を上回る程となり、退魔士単体でも、ランク『3』から『4』に至るまでの妖魔と互角に戦える。
そしてそれだけでは無く『妖魔召士』のようにある程度の力を有した妖魔を『式』として使役する事が可能となり、共に戦う事も出来る為、このノックスの世界でもあらゆる場所へと単身で移動が出来るようになる。
『妖魔召士』のように『妖魔山』の中まで単身で行く事までは適わないが、それでも『特別退魔士』程の力量を有せば、就ける任務は格段に広がりをみせて『妖魔退魔師』側の組織の中で『予備群』呼ばれる者達は、この『退魔組』の『特別退魔士』の顔と名前は全員記憶している程である。
「でも当分は暇になりますよねぇ」
「休みとかもらっても結局は数日程度で任務に復帰になるだろうし、中途半端に出掛けるような真似もできねぇな」
黒く長い髪を二つに結んだツインテールが印象的なサキがそう言うと、三白眼のヒイラギが相槌を打つように愚痴を言う。
他の『特別退魔士』や、その護衛達も同意するように苦笑いや溜息を吐いていると、唐突に彼らの屯所の入り口の扉が開かれた。
「夜分に失礼する。退魔組のサテツ殿に通達に参った」
屯所の扉を開けた者は、ゲンロクの元からとある情報を届ける為に遣わされた者であった。
……
……
……
ひとまずサテツはサカダイ側からの報告を待つ事にしたらしいが、このままサカダイ側から報告が無ければゲンロクに動いてもらう他に無いと考えるのであった。
すでに退魔組の若い衆にゲンロクの居る里へは遣いを出している。
今頃はこちら側の報告を受け取っている事だろう。
しかしその報告がゲンロクにどのように伝わるかまでは分からない。何故なら現在の暫定で『妖魔召士』の長の座に就いているゲンロクよりも、そのゲンロクの屋敷に居る『ヒュウガ』という男が実質的にはトップの座に居るのである。
こちらからはしっかりとした報告を行うようには指示を受けているが、これまでもゲンロクに見せるには少しばかり不都合な点がある情報は、ヒュウガが隠蔽したり脚色を加えて、ゲンロクに伝えられていた。
今回の一件がどうなるかは、サテツにも分かってはいない。しかしそれでもサテツはヒュウガという『妖魔召士』を心の底から信頼している為、心配等はしておらずどう転ぼうとも何とかなるだろうと考えていた。
『戦闘』という一点においては、ヒュウガはゲンロクには勝る事は無いが『知略』や『智慧』という点においてはヒュウガに分があるだろう。
陰ながらここまで動いていても決して表に出るような事は無く、全てが彼の思い通りにここまで運んでいるのだから。
ユウゲの報告を受けた後に奥の部屋でサテツは一人、ヒュウガ達から今後どういう指示が来るかを考えるのであった。
…………
そしてユウゲは指示通りに加護の森で待機をしているヒイラギ達に、今回の任務の一時中断が伝えられて再び『ケイノト』に帰ってきた。
ゲンロクからの指示が来るまでは現状は任務は無し。
直ぐに次の指示を受託出来るように、前の任務であった妖魔山の見張りや『妖魔退魔師』側の動向を窺うような、そんな任務も受けなくていいようである。
つまりここにきて退魔組の『特別退魔士』達は数か月ぶりに何もすることが無く、ある意味で余暇の時間が出来たのであった。
ゲンロクの作ったこの退魔組の中に居る退魔士は、それぞれランクによって役割が異なっている。退魔士になりたての見習いや、下位の退魔士は町の見回り。
町に妖魔が近づいてこないように門兵の援護を行ったり、ランク『1』の妖魔から『ケイノト』の町人を守ったりする者が『中位』の退魔士の普段の仕事である。
そして今回のように加護の森の『結界』に反応があった場合、中位以下の者達を編成して、調査や討伐の任務を行う者が『退魔組』に属する『上位退魔士』の役割であった。
この上位の退魔士を担った人物が『ミカゲ』と呼ばれる退魔士で、退魔組では『特別退魔士』を除いて精鋭と呼べるラインである。
『上位退魔士』はある程度の場所の妖魔とも相対出来る程の力量を持っており、他の町へ諜報に出る者も居る。サカダイの妖魔退魔師達の動向を探ったりと『上位退魔士』はそれなりに仕事量は多い。
そして退魔組では、最高峰の退魔士が『特別退魔士』である。
『特別退魔士』ともなるとそれぞれが戦力値は2000億を上回る程となり、退魔士単体でも、ランク『3』から『4』に至るまでの妖魔と互角に戦える。
そしてそれだけでは無く『妖魔召士』のようにある程度の力を有した妖魔を『式』として使役する事が可能となり、共に戦う事も出来る為、このノックスの世界でもあらゆる場所へと単身で移動が出来るようになる。
『妖魔召士』のように『妖魔山』の中まで単身で行く事までは適わないが、それでも『特別退魔士』程の力量を有せば、就ける任務は格段に広がりをみせて『妖魔退魔師』側の組織の中で『予備群』呼ばれる者達は、この『退魔組』の『特別退魔士』の顔と名前は全員記憶している程である。
「でも当分は暇になりますよねぇ」
「休みとかもらっても結局は数日程度で任務に復帰になるだろうし、中途半端に出掛けるような真似もできねぇな」
黒く長い髪を二つに結んだツインテールが印象的なサキがそう言うと、三白眼のヒイラギが相槌を打つように愚痴を言う。
他の『特別退魔士』や、その護衛達も同意するように苦笑いや溜息を吐いていると、唐突に彼らの屯所の入り口の扉が開かれた。
「夜分に失礼する。退魔組のサテツ殿に通達に参った」
屯所の扉を開けた者は、ゲンロクの元からとある情報を届ける為に遣わされた者であった。
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