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ケイノト編
841.探るような視線と会話
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「お兄さん達は、この町の人間じゃないね? もしかして『サカダイ』からこの町に来たのかな」
どうやらソフィに話しかけられた事でこれ幸いと、イバキは頼んだ食事が出来上がるまでの間の暇潰しにソフィ達と会話をするつもりのようだった。
イバキの質問にどう答えるべきかと悩むソフィに、ヌーの方から『念話』が届いた。
(貴様がどう答えるつもりかはしらねぇが、そいつとは極力関わりを持たねぇ方がいいぞ)
ソフィも門の者達に言った事と同じことを言うつもりはなかった。先程の四人組の様子を見ていても、この少年は『上』の立場に居る者だと判断出来る。
そしてそれだけでは無く、ヌーが警戒する理由の一つであるが、イバキと呼ばれていた少年の魔力が、戦ってもいないというのに相当に高い。
この食事処に入って来る時、ヌーが彼に視線を送ったのも『漏出』によって、このイバキという少年の魔力を認識したからであった。
(うむ、分かっておる。こやつには門に居た者達に告げたような事は、言わぬ方が良さそうだ)
ソフィもまたこうしてイバキと接していて適当な発言をする事で、後で嘘がバレた場合に面倒な事になりそうだと本能で理解していた。
「いや我達はな、もっと遠くからこの町に来た所なのだ」
「へぇ、そうなのか。だとしたら君たちは相当に運が良かったよ。少し前からこの町は力の強い妖魔達に狙われていてね。今日この町に着いた所だったら、町には入れなかったかもしれない」
無事でよかったとそう告げながら、イバキは何度も頷く。
「ほう、そうなのか……。そういえば町の者達も何やら騒がしくしているみたいだったな」
「そうだろうね。かなり前にもこの町で大きな襲撃があってね。その所為で皆妖魔に対してピリピリしているんだろう」
細めの目をしているイバキは笑顔のままだったが、先程のソフィの発言に、少しだけ眉をぴくりと寄せていた。それは一瞬の出来事だったので、普通であれば誰も気づかなかっただろう。
しかしソフィの背後に居るヌーや、頬杖をついてぼーっとソフィ達の会話を聞いていたテアは、直ぐにイバキの仕草に気づくのだった。
何より会話をしていたソフィもまた気づいていた。そして直ぐに自分の今の発言の中で何か不味い言葉があったかと考え始める。当然ソフィもまたそんな事は、表面上おくびにも出さない。
「それにしても君たちは、どうしてこの町に来たのかな?」
先程と同じ笑みを顔に張り付けながら、今度はイバキはソフィだけでは無く、同行者のヌー達にも目を向けてくる。イバキの態度は変わらず、見た感じは単に疑問を口にしただけのように見える。だが、視線を向けられたヌーは、明確に何かを探る視線だと、そう決定づけたようだった。
(ククッ! だから関わるなと言っただろうが。何がきっかけだったかは知らねぇが、てめぇとの会話でコイツは、何かを訝しんでやがるぞ。もしかすると森であの野郎を倒した二人組が、俺達だと怪しんでいやがるのかもな)
(町の様子が少し変だと答えた辺りからだったな。しかし何やらおかしいとは思っては居るようだが、明確な敵意などは感じない。少し本音を混ぜれば十分に流せるだろう)
(ちっ、こいつは俺の口から理由を話させたいようだ『天衣無縫』を探しているというのを暈して伝えてもいいな?)
(うむ、構わぬ。むしろその方がいいだろうな)
そこでソフィ達の『念話』での会話は途切れた。
「そいつの知り合いを探しに来たんだ。少し前に町出るっていったきり、音沙汰が無くなっていたんだが、この町で見たという話をある筋から掴んでな」
どうやって情報を仕入れたかとか、ある程度の疑問は残るようなヌーの言い様だったが、おかしいと断言できるような説明というワケでは無く、聞かれた言葉に返す説明としては悪くは無い説明だった。
「そうか、探し人か……。この町からも同じように姿を消した者も多くてね。俺達の元に相談に来るものも増えているんだ」
どこか疑っていた節があったイバキだったが、どうやら探し人という内容を聞いて信じたようだった。
どこか辛そうな表情を浮かべ始めたイバキを見て、ソフィはその様子に何かあったのだろうかと、興味を持ち始めるのだった。
どうやらソフィに話しかけられた事でこれ幸いと、イバキは頼んだ食事が出来上がるまでの間の暇潰しにソフィ達と会話をするつもりのようだった。
イバキの質問にどう答えるべきかと悩むソフィに、ヌーの方から『念話』が届いた。
(貴様がどう答えるつもりかはしらねぇが、そいつとは極力関わりを持たねぇ方がいいぞ)
ソフィも門の者達に言った事と同じことを言うつもりはなかった。先程の四人組の様子を見ていても、この少年は『上』の立場に居る者だと判断出来る。
そしてそれだけでは無く、ヌーが警戒する理由の一つであるが、イバキと呼ばれていた少年の魔力が、戦ってもいないというのに相当に高い。
この食事処に入って来る時、ヌーが彼に視線を送ったのも『漏出』によって、このイバキという少年の魔力を認識したからであった。
(うむ、分かっておる。こやつには門に居た者達に告げたような事は、言わぬ方が良さそうだ)
ソフィもまたこうしてイバキと接していて適当な発言をする事で、後で嘘がバレた場合に面倒な事になりそうだと本能で理解していた。
「いや我達はな、もっと遠くからこの町に来た所なのだ」
「へぇ、そうなのか。だとしたら君たちは相当に運が良かったよ。少し前からこの町は力の強い妖魔達に狙われていてね。今日この町に着いた所だったら、町には入れなかったかもしれない」
無事でよかったとそう告げながら、イバキは何度も頷く。
「ほう、そうなのか……。そういえば町の者達も何やら騒がしくしているみたいだったな」
「そうだろうね。かなり前にもこの町で大きな襲撃があってね。その所為で皆妖魔に対してピリピリしているんだろう」
細めの目をしているイバキは笑顔のままだったが、先程のソフィの発言に、少しだけ眉をぴくりと寄せていた。それは一瞬の出来事だったので、普通であれば誰も気づかなかっただろう。
しかしソフィの背後に居るヌーや、頬杖をついてぼーっとソフィ達の会話を聞いていたテアは、直ぐにイバキの仕草に気づくのだった。
何より会話をしていたソフィもまた気づいていた。そして直ぐに自分の今の発言の中で何か不味い言葉があったかと考え始める。当然ソフィもまたそんな事は、表面上おくびにも出さない。
「それにしても君たちは、どうしてこの町に来たのかな?」
先程と同じ笑みを顔に張り付けながら、今度はイバキはソフィだけでは無く、同行者のヌー達にも目を向けてくる。イバキの態度は変わらず、見た感じは単に疑問を口にしただけのように見える。だが、視線を向けられたヌーは、明確に何かを探る視線だと、そう決定づけたようだった。
(ククッ! だから関わるなと言っただろうが。何がきっかけだったかは知らねぇが、てめぇとの会話でコイツは、何かを訝しんでやがるぞ。もしかすると森であの野郎を倒した二人組が、俺達だと怪しんでいやがるのかもな)
(町の様子が少し変だと答えた辺りからだったな。しかし何やらおかしいとは思っては居るようだが、明確な敵意などは感じない。少し本音を混ぜれば十分に流せるだろう)
(ちっ、こいつは俺の口から理由を話させたいようだ『天衣無縫』を探しているというのを暈して伝えてもいいな?)
(うむ、構わぬ。むしろその方がいいだろうな)
そこでソフィ達の『念話』での会話は途切れた。
「そいつの知り合いを探しに来たんだ。少し前に町出るっていったきり、音沙汰が無くなっていたんだが、この町で見たという話をある筋から掴んでな」
どうやって情報を仕入れたかとか、ある程度の疑問は残るようなヌーの言い様だったが、おかしいと断言できるような説明というワケでは無く、聞かれた言葉に返す説明としては悪くは無い説明だった。
「そうか、探し人か……。この町からも同じように姿を消した者も多くてね。俺達の元に相談に来るものも増えているんだ」
どこか疑っていた節があったイバキだったが、どうやら探し人という内容を聞いて信じたようだった。
どこか辛そうな表情を浮かべ始めたイバキを見て、ソフィはその様子に何かあったのだろうかと、興味を持ち始めるのだった。
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