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封印式神編
780.初めてのキス
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レイズ城の最上階にある会議室にソフィ達はシス女王に通された。
ソフィはサイヨウの『式神』について尋ねるつもりだったが、まさかサイヨウが、別世界から来ていたとは思わなかった。
「ソフィ様、紅茶でよろしいでしょうか?」
会議室の椅子に座った後、考え事をしていたソフィにユファが話しかける。
「む? ああ、すまぬな」
ユファはコクリと頷いた後、人数分の紅茶を用意するのだった。
「お主も座るがよい」
部屋に入ってからずっとソフィの背後に立っていたラルフにソフィは座るようにと促すが、ラルフは首を横に振る。
「いえ、私はここで結構です、それよりサイヨウ殿がソフィ様と同じように別世界から来られたという話は驚きましたね」
「そうだな。我もサイヨウをこの世界の住人だと思っていた。最初に出会った時が、クッケの街の近くの山だったというのも大きい。あそこは人間達の住むミールガルド大陸だからな」
「そうですね……」
「ふむ。確かにサイヨウ、あの場所で一体何をしていたのだ?」
会議室のテーブルを挟んだソフィの正面に座るサイヨウは、ソフィに視線を移しながら口を開いた。
「さてな。あの時は何をしていた時だったか……」
どうやらサイヨウ自身もあまり覚えていないのか、手を口元に持っていきながらウンウンと唸り始める。
「おお、そうだ。何処かまでは探る事が出来なかったが、小生にはあの山で『邪』の気が感じられたのだ」
「『邪』か。そう言えば我もエイルからの指名依頼でルードリヒ王国へ向かう途中だったか、あの山で無視出来ぬ魔力を感じたな」
「あ、私もですソフィ様」
紅茶を飲みながら同意するユファを見てソフィは、そう言えばあの時にユファも一緒にいたなと思い出すのだった。
「人間の『悪』とも違うし、妖魔の『悪』とも違ったあの『邪』の感覚は、今となっては魔族と呼ばれるモノだったな」
「ふむ……。あれから直ぐに組織の者達が姿を見せたようだったが、もしかすると組織の魔族が根城にしていたのかもしれんな」
「……」
サイヨウはソフィの言葉に頷くことはしなかった。どうやら『煌聖の教団』の魔族達とはサイヨウが感じた感覚とは違うようであった。
……
……
……
レイズ城の最上階にある会議室で、ソフィ達が『邪』の者の話をしている時、中庭ではリディアがレアのされるがままになっていた。
「おいレア。そろそろリディアを解放してやったらどうだ?」
キーリは半笑いでリディアを両手で、抱きしめるレアを見てそう言った。
「はぁっ」
無言で髪の毛がグチャグチャになるまでレアに撫で廻されたリディアが、物凄く不愉快そうな表情を浮かべながら、レアを見て溜息を吐いていた。
「この子はねぇ、私の大事なラクスちゃんの子孫だったのよぉ。この世界を去った私の最後の言葉を守り抜いて、健気にラクスちゃんはこの国を守って、そしてちゃんと家族を作って……、そして……、ぐすっ」
またリディアを抱きしめる手を強めながら、泣きそうになるレア。
「俺の先祖は、魔人族だったんだろう?」
「ええ、そうよぉ。魔人族は私たち魔族を攻め滅ぼそうとしてきたから、私が逆に攻め滅ぼしたんだけど、ラクスちゃんはその魔人族の生き残りでねぇ……」
「!?」
リディアは魔人族が魔族に攻め滅ぼされたと、幼少の頃に聞かされていたが、まさかその滅ぼした魔族というのが、今自分を抱いている魔族だとは気づいていなかった。
「戦争が終わった後に、魔人達の領土を見に行ったときに、魔人達の生き残りの中に貴方のおじいちゃん……。先祖のラクスちゃんがいてねぇ。ヴェルマー大陸に連れて帰っちゃったのよぉ」
レアの言葉にキーリもリディアも驚く。
「お、お前……、攻め滅ぼした敵国の生き残りを連れて帰ったのかよ!」
キーリは馬鹿じゃねぇのかと、レアに告げるのだった。
「そうよぉ。魔人族を攻め滅ぼした私に対して敵対心剥き出し立ったんだけどぉ、ラクスちゃんの目が私の幼少の頃の目とソックリだったからついねぇ」
大事な思い出を思い返しながら、レアはラクスと出会った時の事を頭に描く。
「でもねぇ、最初は私の事を憎んでいたあの子だけど、一緒に暮らしてあの子に修行をつけてあげて……、最後には私の事を許してくれて認めてくれてねぇ」
――さっさと龍達を滅ぼして帰ってこい。
――龍族なんかに負けてみろ、ただじゃすまさねぇ!
最後にラクスと交わした言葉。あの時の光景をいまだにレアは鮮明に覚えていた。
「そうか……。俺の先祖の名は『ラクス』っていうのか」
「!」
キーリはその話を聞いて『俺との戦争前の話だったのかよっ!』と、心の中で呟くのだった。
「あの時のラクスちゃんが、私の初めてのキスの相手だったわねぇ」
『 『!?』 』
しんみりとした空間に突然のレアの爆弾発言だった。その言葉にリディアとキーリは、顔を見合わせるのだった。
(※第356話 『魔王レアのファーストキス』)。
……
……
……
ソフィはサイヨウの『式神』について尋ねるつもりだったが、まさかサイヨウが、別世界から来ていたとは思わなかった。
「ソフィ様、紅茶でよろしいでしょうか?」
会議室の椅子に座った後、考え事をしていたソフィにユファが話しかける。
「む? ああ、すまぬな」
ユファはコクリと頷いた後、人数分の紅茶を用意するのだった。
「お主も座るがよい」
部屋に入ってからずっとソフィの背後に立っていたラルフにソフィは座るようにと促すが、ラルフは首を横に振る。
「いえ、私はここで結構です、それよりサイヨウ殿がソフィ様と同じように別世界から来られたという話は驚きましたね」
「そうだな。我もサイヨウをこの世界の住人だと思っていた。最初に出会った時が、クッケの街の近くの山だったというのも大きい。あそこは人間達の住むミールガルド大陸だからな」
「そうですね……」
「ふむ。確かにサイヨウ、あの場所で一体何をしていたのだ?」
会議室のテーブルを挟んだソフィの正面に座るサイヨウは、ソフィに視線を移しながら口を開いた。
「さてな。あの時は何をしていた時だったか……」
どうやらサイヨウ自身もあまり覚えていないのか、手を口元に持っていきながらウンウンと唸り始める。
「おお、そうだ。何処かまでは探る事が出来なかったが、小生にはあの山で『邪』の気が感じられたのだ」
「『邪』か。そう言えば我もエイルからの指名依頼でルードリヒ王国へ向かう途中だったか、あの山で無視出来ぬ魔力を感じたな」
「あ、私もですソフィ様」
紅茶を飲みながら同意するユファを見てソフィは、そう言えばあの時にユファも一緒にいたなと思い出すのだった。
「人間の『悪』とも違うし、妖魔の『悪』とも違ったあの『邪』の感覚は、今となっては魔族と呼ばれるモノだったな」
「ふむ……。あれから直ぐに組織の者達が姿を見せたようだったが、もしかすると組織の魔族が根城にしていたのかもしれんな」
「……」
サイヨウはソフィの言葉に頷くことはしなかった。どうやら『煌聖の教団』の魔族達とはサイヨウが感じた感覚とは違うようであった。
……
……
……
レイズ城の最上階にある会議室で、ソフィ達が『邪』の者の話をしている時、中庭ではリディアがレアのされるがままになっていた。
「おいレア。そろそろリディアを解放してやったらどうだ?」
キーリは半笑いでリディアを両手で、抱きしめるレアを見てそう言った。
「はぁっ」
無言で髪の毛がグチャグチャになるまでレアに撫で廻されたリディアが、物凄く不愉快そうな表情を浮かべながら、レアを見て溜息を吐いていた。
「この子はねぇ、私の大事なラクスちゃんの子孫だったのよぉ。この世界を去った私の最後の言葉を守り抜いて、健気にラクスちゃんはこの国を守って、そしてちゃんと家族を作って……、そして……、ぐすっ」
またリディアを抱きしめる手を強めながら、泣きそうになるレア。
「俺の先祖は、魔人族だったんだろう?」
「ええ、そうよぉ。魔人族は私たち魔族を攻め滅ぼそうとしてきたから、私が逆に攻め滅ぼしたんだけど、ラクスちゃんはその魔人族の生き残りでねぇ……」
「!?」
リディアは魔人族が魔族に攻め滅ぼされたと、幼少の頃に聞かされていたが、まさかその滅ぼした魔族というのが、今自分を抱いている魔族だとは気づいていなかった。
「戦争が終わった後に、魔人達の領土を見に行ったときに、魔人達の生き残りの中に貴方のおじいちゃん……。先祖のラクスちゃんがいてねぇ。ヴェルマー大陸に連れて帰っちゃったのよぉ」
レアの言葉にキーリもリディアも驚く。
「お、お前……、攻め滅ぼした敵国の生き残りを連れて帰ったのかよ!」
キーリは馬鹿じゃねぇのかと、レアに告げるのだった。
「そうよぉ。魔人族を攻め滅ぼした私に対して敵対心剥き出し立ったんだけどぉ、ラクスちゃんの目が私の幼少の頃の目とソックリだったからついねぇ」
大事な思い出を思い返しながら、レアはラクスと出会った時の事を頭に描く。
「でもねぇ、最初は私の事を憎んでいたあの子だけど、一緒に暮らしてあの子に修行をつけてあげて……、最後には私の事を許してくれて認めてくれてねぇ」
――さっさと龍達を滅ぼして帰ってこい。
――龍族なんかに負けてみろ、ただじゃすまさねぇ!
最後にラクスと交わした言葉。あの時の光景をいまだにレアは鮮明に覚えていた。
「そうか……。俺の先祖の名は『ラクス』っていうのか」
「!」
キーリはその話を聞いて『俺との戦争前の話だったのかよっ!』と、心の中で呟くのだった。
「あの時のラクスちゃんが、私の初めてのキスの相手だったわねぇ」
『 『!?』 』
しんみりとした空間に突然のレアの爆弾発言だった。その言葉にリディアとキーリは、顔を見合わせるのだった。
(※第356話 『魔王レアのファーストキス』)。
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