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新たな展望編
750.見慣れぬ結界
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ソフィはトーリエの大陸から空を飛んで、真っすぐに魔族達の住む大陸『ヴェルマー』の大陸へと向かっていく。青い空に青い海を見ながらソフィは、心地よさそうに飛んでいる。
「やはりこの世界は美しいものだな。今度フルーフに頼んでリーシャ達も誘ってみようか」
そう言っている内に『ヴェルマー』の大陸が見えてきた為、ソフィは速度を少し緩めながら飛ぶことにした。
「む、何やら結界の類が張り巡らされているな」
ソフィは大陸の少し外側の空の上で立ち止まり、結界を目を凝らして見てみるのだった。
「成程。この結界は感知と少しの防壁効果の類なようだ」
結界にも多くの種類がある為、見かけたら色々と注視をする事が基本なのである。
アレルバレルの世界では、敵に存在を感知されるだけで戦闘になったり、フルーフの編み出した結界のようにその結界内で魔力を使うと発動がしないだけでは無く、使った魔力の消費量分を奪われてしまう事もある。
流石にこの世界ではそこまでの危険性は無いだろうが、注意をする事は怠ってはならないとソフィは考えたのであった。
「成程……。どうやらエルシスがこの結界を張ったようだが、ここまで大規模で広範囲の結界を張る必要が果たしてあるのだろうか?」
ラルグ魔国やレイズ魔国といったように、国の範囲や王達の居城付近に張るのであれば、これくらいの規模の結界はあった方がいいと思えるが、この周辺には大きな国もなく、平地が広がっている場所しかない。
そんな所にまで張る必要はなく、些か大袈裟すぎるのではないかとソフィは考えるのだった。
結界を維持するのにも魔力は必要なのである。普段からずっとこの規模の結界を維持し続けているのだとすれば、それこそ魔力消費の無駄といわざるを得ないだろう。
しかしエルシスが必要だと判断したのであれば、それはそれで構わないと思うが、何故急に結界を張ったのかをエルシスに問いてみたいと考えるソフィであった。
「ふーむ。何も言わずに結界を潰すのは避けたいところだな」
そう言うとソフィは、シスを対象に『念話』を試みるのだった。
(シスよ聞こえておるか?)
ソフィがシスに『念話』を送ると、僅かな間の後に返事が返ってきた。
(ソフィさん? この世界に帰ってきたのね!)
(うむ。今ヴェルマー大陸に入る直前の空に居るのだが、見慣れぬ結界を見たものでな、少し結界を外してもらってもよいか?)
(結界? 結界って何だっけ? あっ!)
ソフィが申し訳なさそうにそう言うと、シスは結界を張ってあったのを忘れていたようで、すぐさま結界を解除する。
ソフィの目の前で『結界』が薄れて行ったかと思うとそのまま消えていった。
(ごめんなさい。彼が張った結界だから全然気づかなかったわ)
シスのその言葉にソフィは訝しげに首を傾げた。
(エルシスの結界であろうと使ったのはお主の魔力だろう? これだけの規模の結界であれば、相当に魔力が使われていると思うのだが)
感知がメインの結界とはいえ、これだけ広範囲であれば術者の魔力消費は相当な筈である。気づかぬ筈が無いだろうと、ソフィは考えるのだった。
(そうなのかしら? 全然自分の魔力が消費している事を感じていなかったから、多分それくらいの結界だったら全然大丈夫よ。ソフィさん!)
シスの言葉を聞いたソフィは静かに驚いた後、感心するのだった。
(またシスの奴の魔力量が増えたのだろうな。エルシス曰く、シスは膨大な魔力に加えてまだまだ魔力量の方も伸び代があると言っていた)
(やはりお主は大したものだな。ところでリーネはそこにいるか?)
(リーネさん? いやリーネ様と呼んだ方がいいのかしら)
(リーネ様? ああ、別にリーネでよいぞ)
そう言えば今のリーネは先代ラルグ魔国の王であるソフィの妃であり、ラルグ魔国の同盟国とはいっても国力差的にもラルグ魔国の方が上であり、立場的にはシス女王はリーネの事を様付けで呼ぶのが、常識的には常なのかもしれない。
(リーネさんだったら、今はレイズには居ないわよ)
確か前に組織のボスであったミラという奴を倒した時には、リーネはレイズに居るとユファから聞かされていた。しかしどうやら、今はそのレイズには居ないらしい。
(どこに行ったか分かるか?)
(勿論よ。リーネさんに何かあったら貴方に国を滅ぼされても文句を言えないって、三大魔国に住んでいる魔族だったらみんな承知しているもの)
一切の冗句を言っていないのだろう。この場にシスが居れば、真顔で言っていると、容易に想像のつくような抑揚のない言葉で話しているのが『念話』からも伝わってくるのだった。
(今リーネさんは、ラルグ魔国に居るわよ? 厳重な警備が敷かれていると思うけど)
(ラルグ魔国か。すまぬなシスよ、教えてくれて感謝するぞ)
(リーネさんの用事が終わった後でいいから、レイズに顔を出してくださいね)
(うむ分かった、それではまたな)
そこでシスとの『念話』を切ったソフィは、目の前の結界が無くなっているヴェルマー大陸へ入り、そのままラルグ魔国へと方向転換するのだった。
……
……
……
「やはりこの世界は美しいものだな。今度フルーフに頼んでリーシャ達も誘ってみようか」
そう言っている内に『ヴェルマー』の大陸が見えてきた為、ソフィは速度を少し緩めながら飛ぶことにした。
「む、何やら結界の類が張り巡らされているな」
ソフィは大陸の少し外側の空の上で立ち止まり、結界を目を凝らして見てみるのだった。
「成程。この結界は感知と少しの防壁効果の類なようだ」
結界にも多くの種類がある為、見かけたら色々と注視をする事が基本なのである。
アレルバレルの世界では、敵に存在を感知されるだけで戦闘になったり、フルーフの編み出した結界のようにその結界内で魔力を使うと発動がしないだけでは無く、使った魔力の消費量分を奪われてしまう事もある。
流石にこの世界ではそこまでの危険性は無いだろうが、注意をする事は怠ってはならないとソフィは考えたのであった。
「成程……。どうやらエルシスがこの結界を張ったようだが、ここまで大規模で広範囲の結界を張る必要が果たしてあるのだろうか?」
ラルグ魔国やレイズ魔国といったように、国の範囲や王達の居城付近に張るのであれば、これくらいの規模の結界はあった方がいいと思えるが、この周辺には大きな国もなく、平地が広がっている場所しかない。
そんな所にまで張る必要はなく、些か大袈裟すぎるのではないかとソフィは考えるのだった。
結界を維持するのにも魔力は必要なのである。普段からずっとこの規模の結界を維持し続けているのだとすれば、それこそ魔力消費の無駄といわざるを得ないだろう。
しかしエルシスが必要だと判断したのであれば、それはそれで構わないと思うが、何故急に結界を張ったのかをエルシスに問いてみたいと考えるソフィであった。
「ふーむ。何も言わずに結界を潰すのは避けたいところだな」
そう言うとソフィは、シスを対象に『念話』を試みるのだった。
(シスよ聞こえておるか?)
ソフィがシスに『念話』を送ると、僅かな間の後に返事が返ってきた。
(ソフィさん? この世界に帰ってきたのね!)
(うむ。今ヴェルマー大陸に入る直前の空に居るのだが、見慣れぬ結界を見たものでな、少し結界を外してもらってもよいか?)
(結界? 結界って何だっけ? あっ!)
ソフィが申し訳なさそうにそう言うと、シスは結界を張ってあったのを忘れていたようで、すぐさま結界を解除する。
ソフィの目の前で『結界』が薄れて行ったかと思うとそのまま消えていった。
(ごめんなさい。彼が張った結界だから全然気づかなかったわ)
シスのその言葉にソフィは訝しげに首を傾げた。
(エルシスの結界であろうと使ったのはお主の魔力だろう? これだけの規模の結界であれば、相当に魔力が使われていると思うのだが)
感知がメインの結界とはいえ、これだけ広範囲であれば術者の魔力消費は相当な筈である。気づかぬ筈が無いだろうと、ソフィは考えるのだった。
(そうなのかしら? 全然自分の魔力が消費している事を感じていなかったから、多分それくらいの結界だったら全然大丈夫よ。ソフィさん!)
シスの言葉を聞いたソフィは静かに驚いた後、感心するのだった。
(またシスの奴の魔力量が増えたのだろうな。エルシス曰く、シスは膨大な魔力に加えてまだまだ魔力量の方も伸び代があると言っていた)
(やはりお主は大したものだな。ところでリーネはそこにいるか?)
(リーネさん? いやリーネ様と呼んだ方がいいのかしら)
(リーネ様? ああ、別にリーネでよいぞ)
そう言えば今のリーネは先代ラルグ魔国の王であるソフィの妃であり、ラルグ魔国の同盟国とはいっても国力差的にもラルグ魔国の方が上であり、立場的にはシス女王はリーネの事を様付けで呼ぶのが、常識的には常なのかもしれない。
(リーネさんだったら、今はレイズには居ないわよ)
確か前に組織のボスであったミラという奴を倒した時には、リーネはレイズに居るとユファから聞かされていた。しかしどうやら、今はそのレイズには居ないらしい。
(どこに行ったか分かるか?)
(勿論よ。リーネさんに何かあったら貴方に国を滅ぼされても文句を言えないって、三大魔国に住んでいる魔族だったらみんな承知しているもの)
一切の冗句を言っていないのだろう。この場にシスが居れば、真顔で言っていると、容易に想像のつくような抑揚のない言葉で話しているのが『念話』からも伝わってくるのだった。
(今リーネさんは、ラルグ魔国に居るわよ? 厳重な警備が敷かれていると思うけど)
(ラルグ魔国か。すまぬなシスよ、教えてくれて感謝するぞ)
(リーネさんの用事が終わった後でいいから、レイズに顔を出してくださいね)
(うむ分かった、それではまたな)
そこでシスとの『念話』を切ったソフィは、目の前の結界が無くなっているヴェルマー大陸へ入り、そのままラルグ魔国へと方向転換するのだった。
……
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