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序列部隊の選定編
731.目覚めた特異と扱い方
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「魔瞳……?」
ミデェールはソフィの突然の言葉に、オウム返しをしてしまう。
「ソフィ様。まだこの子は『金色の目』の体現を果たしてはいません。それどころか『金色の体現者』ではありますが、まだ上位魔族なのです」
エイネはミデェールの株を下げないようにと、必死に弁明を始めるのだった。
「む、エイネよ慌てるでない。別に我はこの子が実力に伴っていないからと追い出すような真似をする気は無いぞ」
「は、はい、ソフィ様はそのような事をなさる筈は無いと理解をしております。ただこの子はまだ自分の力を上手くコントロール出来ていない状態でしたのでその説明をと思いまして」
「成程……。確かに成長途中だという印象は我も感じた」
再びソフィがミデェールを見ると、緊張しているのかミデェールはゴクリと唾を飲み込んだ。
「ふむ、魔瞳というのはな、こういうモノなのだが」
そう言うと説明するようにソフィの目が『紅い色』を発し始める。
――魔瞳、『紅い目』。
ソフィの目が紅く輝くが、当然何も効力自体を伴わせていない為、何も周囲に影響を及ぼす事はない。
しかしそれでも何か合点が言ったのか、その目を見た時にミデェールは脳内に閃きのようなものが感じられた。そしてソフィの目を真似るかのように、ミデェールの目も紅く輝いていく。
「うむ、それが魔瞳『紅い目』というモノだ」
「なるほど。これがですか。 確かにこの目になった時に僕は体が軽くなったように感じ……、られる?」
「む?」
ミデェールが自身の『紅い目』を自覚して発動すると同時、眠っていた特異の力が目覚めた。
再びミデェールの周囲を眩い『金色のオーラ』が輝き始めた。
「え、こ、これは……!?」
ミデェールの視界に映る全てが、スローモーションに移り行く。目の前で喋るソフィや心配そうにこちらを見るエイネがしっかりと目に映る。
視界を移して試合の方を見ると、リーシャに向かっていく魔族や、その対象であるリーシャが、先程とは違ってゆっくり、ゆっくりと動いているようにミデェールには感じられるのだった。
自分自身に何が起きているのか、理解出来ていないミデェールは、突如自分の中で暴れ狂う力に困惑する。
「成程……。そう言う事か。落ち着くが良い。何も恐れる事は無いぞ?」
そう言うとソフィは自らの『紅い目』で、ミデェールの『紅い目』を打ち消して、強引にシャットアウトさせる。
「別段慌てさせるような事をしては無いのだが、何も説明が無いままにその力を同化させておくのは心配だろうから一度消させてもらった」
「ハァッ……、ハァッ……!?」
自分の中に宿る力が目覚めかけた事や、その力を強引にソフィの魔瞳によって、強制的にシャットアウトさせられた事で、何が起きているのかさっぱり分かっていないミデェールは徒労感に包まれる。
「お主の生きてきた世界では、魔王と呼ばれる領域に居る魔族の先達者は居なかったのか?」
「魔王……?」
そこへ疑問に包まれているミデェールの代わりに、傍に居たエイネが口を開いた。
「ソフィ様。ミデェールの居た世界では、魔王領域の魔族は居ませんでした。どうやら魔人達に隷属させられて、魔族の親や先祖たちも従わされていた為、これまでもその力を開花させる事の出来た者達も居なかったようです」
「そうか。魔人達にか……」
この世界では逆に『ダルダオス』という魔族が、魔人族や他の種族を支配した過去を持つ。
その事と全く同じことが『アサ』という世界では行われたのだろう。そしてミデェール達の代にまで魔族は、魔人達に隷属させられて暮らしてきたのだという。
エイネの説明を聞いて、複雑そうな表情を浮かべるソフィだった。
「ふむ。どうやらお主には順を追って、魔族の力の説明をしなければならぬようだ。だが今はひとまず、その紅い目を使って試験を観戦するがよい」
ミデェールは既に金色のオーラを纏えるが、基本となる『紅い目』すらよく分かっていない。それに戦闘をする上で必要な『基本研鑽演義』や、自身の力のコントロールすらも出来ない状態である。
順序が滅茶苦茶な状態で力を有しているのだから、口で一から説明するとパニックになる事だろう。
そう考えたソフィはひとまず『特異』の力を自在に使えるようにする為『紅い目』を使わせて、試合を教材代わりに使う事にしたようであった。
「わ、分かりました!」
ミデェールはソフィに返事をした後、必死に試合を観戦するのだった。
(しかし『紅い目』は、苦難の末にようやく開花するモノだが、こやつはどうやって会得したのだろうな……)
ソフィはエイネから聞かされた事情の中で、魔人族に隷属させられていた事を聞いた。もしかしたらその時に開花させられるような出来事があったのかもしれないと、ソフィは考えるのだった。
しかし実際にはそうでは無く『フルーフ』が原因で、ミデェールが『紅い目』を開花させた事は、ソフィには知る由もなかった。
……
……
……
ミデェールはソフィの突然の言葉に、オウム返しをしてしまう。
「ソフィ様。まだこの子は『金色の目』の体現を果たしてはいません。それどころか『金色の体現者』ではありますが、まだ上位魔族なのです」
エイネはミデェールの株を下げないようにと、必死に弁明を始めるのだった。
「む、エイネよ慌てるでない。別に我はこの子が実力に伴っていないからと追い出すような真似をする気は無いぞ」
「は、はい、ソフィ様はそのような事をなさる筈は無いと理解をしております。ただこの子はまだ自分の力を上手くコントロール出来ていない状態でしたのでその説明をと思いまして」
「成程……。確かに成長途中だという印象は我も感じた」
再びソフィがミデェールを見ると、緊張しているのかミデェールはゴクリと唾を飲み込んだ。
「ふむ、魔瞳というのはな、こういうモノなのだが」
そう言うと説明するようにソフィの目が『紅い色』を発し始める。
――魔瞳、『紅い目』。
ソフィの目が紅く輝くが、当然何も効力自体を伴わせていない為、何も周囲に影響を及ぼす事はない。
しかしそれでも何か合点が言ったのか、その目を見た時にミデェールは脳内に閃きのようなものが感じられた。そしてソフィの目を真似るかのように、ミデェールの目も紅く輝いていく。
「うむ、それが魔瞳『紅い目』というモノだ」
「なるほど。これがですか。 確かにこの目になった時に僕は体が軽くなったように感じ……、られる?」
「む?」
ミデェールが自身の『紅い目』を自覚して発動すると同時、眠っていた特異の力が目覚めた。
再びミデェールの周囲を眩い『金色のオーラ』が輝き始めた。
「え、こ、これは……!?」
ミデェールの視界に映る全てが、スローモーションに移り行く。目の前で喋るソフィや心配そうにこちらを見るエイネがしっかりと目に映る。
視界を移して試合の方を見ると、リーシャに向かっていく魔族や、その対象であるリーシャが、先程とは違ってゆっくり、ゆっくりと動いているようにミデェールには感じられるのだった。
自分自身に何が起きているのか、理解出来ていないミデェールは、突如自分の中で暴れ狂う力に困惑する。
「成程……。そう言う事か。落ち着くが良い。何も恐れる事は無いぞ?」
そう言うとソフィは自らの『紅い目』で、ミデェールの『紅い目』を打ち消して、強引にシャットアウトさせる。
「別段慌てさせるような事をしては無いのだが、何も説明が無いままにその力を同化させておくのは心配だろうから一度消させてもらった」
「ハァッ……、ハァッ……!?」
自分の中に宿る力が目覚めかけた事や、その力を強引にソフィの魔瞳によって、強制的にシャットアウトさせられた事で、何が起きているのかさっぱり分かっていないミデェールは徒労感に包まれる。
「お主の生きてきた世界では、魔王と呼ばれる領域に居る魔族の先達者は居なかったのか?」
「魔王……?」
そこへ疑問に包まれているミデェールの代わりに、傍に居たエイネが口を開いた。
「ソフィ様。ミデェールの居た世界では、魔王領域の魔族は居ませんでした。どうやら魔人達に隷属させられて、魔族の親や先祖たちも従わされていた為、これまでもその力を開花させる事の出来た者達も居なかったようです」
「そうか。魔人達にか……」
この世界では逆に『ダルダオス』という魔族が、魔人族や他の種族を支配した過去を持つ。
その事と全く同じことが『アサ』という世界では行われたのだろう。そしてミデェール達の代にまで魔族は、魔人達に隷属させられて暮らしてきたのだという。
エイネの説明を聞いて、複雑そうな表情を浮かべるソフィだった。
「ふむ。どうやらお主には順を追って、魔族の力の説明をしなければならぬようだ。だが今はひとまず、その紅い目を使って試験を観戦するがよい」
ミデェールは既に金色のオーラを纏えるが、基本となる『紅い目』すらよく分かっていない。それに戦闘をする上で必要な『基本研鑽演義』や、自身の力のコントロールすらも出来ない状態である。
順序が滅茶苦茶な状態で力を有しているのだから、口で一から説明するとパニックになる事だろう。
そう考えたソフィはひとまず『特異』の力を自在に使えるようにする為『紅い目』を使わせて、試合を教材代わりに使う事にしたようであった。
「わ、分かりました!」
ミデェールはソフィに返事をした後、必死に試合を観戦するのだった。
(しかし『紅い目』は、苦難の末にようやく開花するモノだが、こやつはどうやって会得したのだろうな……)
ソフィはエイネから聞かされた事情の中で、魔人族に隷属させられていた事を聞いた。もしかしたらその時に開花させられるような出来事があったのかもしれないと、ソフィは考えるのだった。
しかし実際にはそうでは無く『フルーフ』が原因で、ミデェールが『紅い目』を開花させた事は、ソフィには知る由もなかった。
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