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アサの世界の戦争編
705.最後通告を告げる
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「敵は魔族一体だけだ! 背後に居るヴァルーザもろとも全員で倒せ!!」
自国のコープパルス・ドラゴン達の大半が、魔力枯渇を起こして動けなくなったのを見て、シェイザー王子は仕方無く、同盟国のブルードラゴン達を動かして仇である魔族エイネと、そのエイネと組んでいたと思われるヴァルーザ龍王を葬ろうとするのだった。
しかしその命令を出して直ぐに、ヴァルーザと交戦をしていたネスコー元帥が戻って来るのが見えた。
だが、魔族エイネと戦う素振りを見せただけで、途中で引き返して来るネスコー元帥にシェイザー王子は、不満を抱く視線を浮かべるのだった。
「シェイザー王子! 一度攻撃を中断してもらえないでしょうか。私が代表してあの者と話をさせて頂きたいのです!」
ヴァルーザ龍王を仕留める事もせず、言うに事を欠いてネスコーは、スベイキアを襲った魔族と交渉話をしたいという。
「ネスコーよ、お前までまさか奴の口車に乗せられたのではあるまいな? 何故、私の命令に背くような真似をする!」
これまでスベイキアに忠義を尽くして来た筈のネスコー元帥が、この一番大事な時に限って、自分の命令に逆らうのを見て、焦りと驚きを表情に浮かばせながらシェイザーは不満を口に出すのだった。
「落ち着いて下さい王子! あの魔族は、我らの知る魔族とは根本から違うのです! 今ここで彼女と対話をしなければ、我々スベイキアだけでは無く、この大陸の同盟国は今日を以て滅亡させられてしまうかもしれません!」
スベイキアという大国の『コープパルス・ドラゴン』を束ねる軍の最高司令官『ネスコー』元帥の言葉とはとても思えなかった。
「この私を、馬鹿にしているのか!」
最強の種族である龍族の中で、更にスベイキアの者達は、コープパルス・ドラゴンという龍種としても最上位に位置する存在である。
そんな自分達がたった一人の魔族に滅亡させられる? 軍の元帥ともあろうものが、何を言っているのだと、そして舐めるなとばかりにシェイザー王子は憤慨するのだった。
「そこをどけ、ネスコー元帥! これ以上、私の命令に背き立ちはだかるのであれば、貴様も国家反逆罪で、始末をするぞ!」
シェイザー王子はそう言いながら、シェイザー王子の横を通り過ぎようとする。しかしそれでもネスコー元帥は、王子の命を守る為に立ち塞がる。
「再三私は忠告をしたぞ、ネスコー元帥」
「王子! お願いです、ここは私に対話をさせて下さい!」
「ええいっ! くどい、くどい! あの魔族と裏切者のヴァルーザは我が父を葬った敵なんだぞ! 何故そんな奴の弁明を聞かねばならぬのだ!」
ネスコー元帥はシェイザー王子を救おうとしたが、結局聞き入れてはもらえなかった。これ以上邪魔をすれば本当に反逆罪とみなすと、王子の視線は物語っていた。
「……」
ネスコー元帥の横を通り過ぎた王子はそのまま同盟国の龍族達を先導して、ヴァルーザ龍王を守るようにして立つ魔族の元へと向かっていくのだった。
その様子を遠目で見ていたエイネは溜息を吐いた。
「どうやら説得は無理だったようね? もうこれ以上の譲歩は出来ないわよ」
そう言うとエイネを守るように鎖が具現化していき、エイネの身体の周囲を鎖が纏わり始めた。
まだ鎖に魔力を通してはいない為に、黒色や紫色といった発光はしてはいないが、シェイザーたちがエイネの射程内に入れば今度こそ魔力を奪うだけでは終わらないだろう。
まだエイネは自分から、シェイザーたちを射程に入れて攻撃しようとはしていない。
ただひたすらに待っている。
言葉では最後通告を告げたようなセリフを吐いたエイネだったが、視線はシェイザー王子ではなく、説得に失敗したネスコー元帥の方に向けている。
射程圏内に入るまでに王子が心変わりをするのであれば、命を救おうと考えているようだった。
…………
しかしそんなエイネの譲歩も空しく、スベイキアの王子シェイザーは、エイネの射程範囲に足を踏み入れるのだった。
―――魔族エイネと、元同盟国イルベキアの王『ヴァルーザ』を滅する為に。
自国のコープパルス・ドラゴン達の大半が、魔力枯渇を起こして動けなくなったのを見て、シェイザー王子は仕方無く、同盟国のブルードラゴン達を動かして仇である魔族エイネと、そのエイネと組んでいたと思われるヴァルーザ龍王を葬ろうとするのだった。
しかしその命令を出して直ぐに、ヴァルーザと交戦をしていたネスコー元帥が戻って来るのが見えた。
だが、魔族エイネと戦う素振りを見せただけで、途中で引き返して来るネスコー元帥にシェイザー王子は、不満を抱く視線を浮かべるのだった。
「シェイザー王子! 一度攻撃を中断してもらえないでしょうか。私が代表してあの者と話をさせて頂きたいのです!」
ヴァルーザ龍王を仕留める事もせず、言うに事を欠いてネスコーは、スベイキアを襲った魔族と交渉話をしたいという。
「ネスコーよ、お前までまさか奴の口車に乗せられたのではあるまいな? 何故、私の命令に背くような真似をする!」
これまでスベイキアに忠義を尽くして来た筈のネスコー元帥が、この一番大事な時に限って、自分の命令に逆らうのを見て、焦りと驚きを表情に浮かばせながらシェイザーは不満を口に出すのだった。
「落ち着いて下さい王子! あの魔族は、我らの知る魔族とは根本から違うのです! 今ここで彼女と対話をしなければ、我々スベイキアだけでは無く、この大陸の同盟国は今日を以て滅亡させられてしまうかもしれません!」
スベイキアという大国の『コープパルス・ドラゴン』を束ねる軍の最高司令官『ネスコー』元帥の言葉とはとても思えなかった。
「この私を、馬鹿にしているのか!」
最強の種族である龍族の中で、更にスベイキアの者達は、コープパルス・ドラゴンという龍種としても最上位に位置する存在である。
そんな自分達がたった一人の魔族に滅亡させられる? 軍の元帥ともあろうものが、何を言っているのだと、そして舐めるなとばかりにシェイザー王子は憤慨するのだった。
「そこをどけ、ネスコー元帥! これ以上、私の命令に背き立ちはだかるのであれば、貴様も国家反逆罪で、始末をするぞ!」
シェイザー王子はそう言いながら、シェイザー王子の横を通り過ぎようとする。しかしそれでもネスコー元帥は、王子の命を守る為に立ち塞がる。
「再三私は忠告をしたぞ、ネスコー元帥」
「王子! お願いです、ここは私に対話をさせて下さい!」
「ええいっ! くどい、くどい! あの魔族と裏切者のヴァルーザは我が父を葬った敵なんだぞ! 何故そんな奴の弁明を聞かねばならぬのだ!」
ネスコー元帥はシェイザー王子を救おうとしたが、結局聞き入れてはもらえなかった。これ以上邪魔をすれば本当に反逆罪とみなすと、王子の視線は物語っていた。
「……」
ネスコー元帥の横を通り過ぎた王子はそのまま同盟国の龍族達を先導して、ヴァルーザ龍王を守るようにして立つ魔族の元へと向かっていくのだった。
その様子を遠目で見ていたエイネは溜息を吐いた。
「どうやら説得は無理だったようね? もうこれ以上の譲歩は出来ないわよ」
そう言うとエイネを守るように鎖が具現化していき、エイネの身体の周囲を鎖が纏わり始めた。
まだ鎖に魔力を通してはいない為に、黒色や紫色といった発光はしてはいないが、シェイザーたちがエイネの射程内に入れば今度こそ魔力を奪うだけでは終わらないだろう。
まだエイネは自分から、シェイザーたちを射程に入れて攻撃しようとはしていない。
ただひたすらに待っている。
言葉では最後通告を告げたようなセリフを吐いたエイネだったが、視線はシェイザー王子ではなく、説得に失敗したネスコー元帥の方に向けている。
射程圏内に入るまでに王子が心変わりをするのであれば、命を救おうと考えているようだった。
…………
しかしそんなエイネの譲歩も空しく、スベイキアの王子シェイザーは、エイネの射程範囲に足を踏み入れるのだった。
―――魔族エイネと、元同盟国イルベキアの王『ヴァルーザ』を滅する為に。
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