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愛娘を探して編
658.親友の窮地を救う龍
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『煌聖の教団』の司令官である『ルビリス』と『バルド』はネイキッドと本隊が先行している中、最後尾で位置取りを保ちながら『レイズ』魔国に向かっていた。
『煌聖の教団』の目的は『シス』女王を攫う事である。
『アレルバレル』の世界では『シス』にいいように遇れてしまったが、今回は司令官である彼だけではなく『バルド』や『ネイキッド』そして『アレルバレル』の魔族達が大勢いるのである。
如何にシスという女が数千年以上前の『アレルバレル』の世界で敵なしと魔族達に恐れられた『エルシス』の生まれ変わりであったとしても、たった一人では流石に何もできまい。
『煌聖の教団』には戦力値が500億から1000億近い『大魔王中位領域』から『上位領域』に匹敵する者達が多く居る。
民や配下達を守りながら『煌聖の教団』の本隊を相手にするのは、とてもではないが無謀というものである。
『ルビリス』は最後方を飛びながら『レイズ』魔国侵攻には、何も懸念は抱いてはいなかった。
但し先程『ルビリス』達の会話を盗み聞いていた何者かが誰だったのかが気になっていた。
(あの場に居た何者かの一瞬感じた魔力は、私もどこかで感じた事があるのですがね)
ほんの僅かの間にしか魔力を感知出来なかった為に、何者かまでは探ることは出来なかったがしかし、あの場に居た者の戦力値自体はそこまで大したことはなかった。この世界の魔族にしては確かに高い数値を示してはいたが『煌聖の教団』からみれば取るに足らない数値であった。
ルビリスはこれから行う大事の前の小事だと判断して数体の魔族達にあの場を任せはしたが、確実に葬れるようにもう少し人数を割いた方がよかったかもしれないと、少しだけ後悔をするのだった。
(まぁよいでしょう。ひとまず『シス』女王を攫ってしまえば、この世界にはもう用はないのですからね)
ルビリスは最終的にそう決断を下してこれから向かう『レイズ』魔国に意識を向ける。気づけなかった事は仕方がないが、彼の逃した魚は大物であったといえるだろう。
……
……
……
レアは膨大な魔力を感じ岩陰から頭上を見上げて空から『スタック』した魔力を使って『極大魔法』を放とうとする魔族を見る。
(どうやらここら一帯の陸ごと、消滅させるつもりね……)
先程まで放っていた爆撃の魔法は、ギリギリ地形が変わり果てる程度で済んでいたが、今からあの魔族が放とうとしている膨大な魔力から『魔法』が放たれるならば、今までとは比較にはならないだろう。
詠唱をかなり長く必要とする『概念跳躍』は確実に無理だろう。そして『次元防壁』程の魔法を放てば魔力を感知されて『隠幕』が役に立たなくなり、結局は奴らに捕まってしまう。
こうなってしまえば、再び『高速転移』で一気に反対側から迂回しつつ『レイズ』魔国に向けて逃げるのが生き残る可能性としては、一番高いかもしれない。
しかし『高速転移』を使えば姿までは見られないだろうが、今のレアでは漏れ出る魔力は防ぎきれない。再び奴らに追尾される事になるだろう。しかしそれでもあの攻撃に対して無防備に居るくらいならば、この場から離れる事が一番大事であろう。
レアはそう判断して岩陰から再び一気に駆け出した後、直ぐに『高速転移』を使って一気にその場から抜け出すのだった。
「!」
「見つけた!」
上空で魔法を放とうとしていた魔族と洞窟前に居た両方の魔族が同時に反応した。
その場から『高速転移』によって移動したレアは、やはり完璧な魔力コントロールが行えていないようで、組織の大魔王達に魔力を探知されてしまう。
しかしレアの魔力を感知出来た者は『煌聖の教団』だけではなかった。
何と『レイズ』魔国から一直線に南方の洞窟に向けて、全速力で空を駆けてきた龍の大群が『煌聖の教団』の大魔王達の元へ姿を見せ始めたのである。
「な……っ! 龍族が何故ここに!?」
レアを追いかけようとしていた魔族の二体は、数千を越える龍の大群に呆気にとられた。
そして驚いている彼らを見て今が好機だと判断した一体の龍族は、遠く離れた場所から一筋の光を放ってみせるのだった。
『三色混合』のオーラを纏った状態での始祖龍キーリの全開の『龍滅』であった。
「おい! さっき使おうとしていた魔法で相殺しろ! これは侮れない威力だぞ。あれは避けられん!」
洞窟側に居た魔族は、空に居るレアに向けて放とうとしていた魔法をそのままこちらに向かって、放たれている閃光に向けて放ち、相殺するように指示するのだった。
「ちっ……! 仕方あるまい!」
上空に居る魔族は舌打ちをしながら『アレルバレル』の世界の『理』を用いた発動により『神域魔法』の魔法陣を展開させる。
魔法陣は『スタック』されていた魔力が『発動羅列』の詠唱に乗せられて高速回転を始めた後、魔法が発動された。
――神域魔法、『普遍破壊』。
『煌聖の教団』の大魔王の極大魔法が発動されて、こちらに向かってきていた閃光を爆発させる。
(レア! 俺だ! 洞窟付近まで来たぞ! 何処にいる!?)
(キーリ! 待って! 今から『隠幕』を解くから!!)
キーリの放った『龍滅』は、魔族の放った普遍破壊をあわせられて爆発して洞窟上空で爆発したにも拘らず、その下にある岩山を洞窟ごと全てを消滅させた。
爆発に巻き込まれないように同胞達を旋回させながら彼女は、レアに向けて『念話』を使った。そしてそのキーリからの『念話』を受けたレアは『高速転移』で移動していた身体を止めて、直ぐに『隠幕』を解いたのであった。
その瞬間――。
あらゆる者達が『魔王』レアの存在に気づくのであった。
……
……
……
『煌聖の教団』の目的は『シス』女王を攫う事である。
『アレルバレル』の世界では『シス』にいいように遇れてしまったが、今回は司令官である彼だけではなく『バルド』や『ネイキッド』そして『アレルバレル』の魔族達が大勢いるのである。
如何にシスという女が数千年以上前の『アレルバレル』の世界で敵なしと魔族達に恐れられた『エルシス』の生まれ変わりであったとしても、たった一人では流石に何もできまい。
『煌聖の教団』には戦力値が500億から1000億近い『大魔王中位領域』から『上位領域』に匹敵する者達が多く居る。
民や配下達を守りながら『煌聖の教団』の本隊を相手にするのは、とてもではないが無謀というものである。
『ルビリス』は最後方を飛びながら『レイズ』魔国侵攻には、何も懸念は抱いてはいなかった。
但し先程『ルビリス』達の会話を盗み聞いていた何者かが誰だったのかが気になっていた。
(あの場に居た何者かの一瞬感じた魔力は、私もどこかで感じた事があるのですがね)
ほんの僅かの間にしか魔力を感知出来なかった為に、何者かまでは探ることは出来なかったがしかし、あの場に居た者の戦力値自体はそこまで大したことはなかった。この世界の魔族にしては確かに高い数値を示してはいたが『煌聖の教団』からみれば取るに足らない数値であった。
ルビリスはこれから行う大事の前の小事だと判断して数体の魔族達にあの場を任せはしたが、確実に葬れるようにもう少し人数を割いた方がよかったかもしれないと、少しだけ後悔をするのだった。
(まぁよいでしょう。ひとまず『シス』女王を攫ってしまえば、この世界にはもう用はないのですからね)
ルビリスは最終的にそう決断を下してこれから向かう『レイズ』魔国に意識を向ける。気づけなかった事は仕方がないが、彼の逃した魚は大物であったといえるだろう。
……
……
……
レアは膨大な魔力を感じ岩陰から頭上を見上げて空から『スタック』した魔力を使って『極大魔法』を放とうとする魔族を見る。
(どうやらここら一帯の陸ごと、消滅させるつもりね……)
先程まで放っていた爆撃の魔法は、ギリギリ地形が変わり果てる程度で済んでいたが、今からあの魔族が放とうとしている膨大な魔力から『魔法』が放たれるならば、今までとは比較にはならないだろう。
詠唱をかなり長く必要とする『概念跳躍』は確実に無理だろう。そして『次元防壁』程の魔法を放てば魔力を感知されて『隠幕』が役に立たなくなり、結局は奴らに捕まってしまう。
こうなってしまえば、再び『高速転移』で一気に反対側から迂回しつつ『レイズ』魔国に向けて逃げるのが生き残る可能性としては、一番高いかもしれない。
しかし『高速転移』を使えば姿までは見られないだろうが、今のレアでは漏れ出る魔力は防ぎきれない。再び奴らに追尾される事になるだろう。しかしそれでもあの攻撃に対して無防備に居るくらいならば、この場から離れる事が一番大事であろう。
レアはそう判断して岩陰から再び一気に駆け出した後、直ぐに『高速転移』を使って一気にその場から抜け出すのだった。
「!」
「見つけた!」
上空で魔法を放とうとしていた魔族と洞窟前に居た両方の魔族が同時に反応した。
その場から『高速転移』によって移動したレアは、やはり完璧な魔力コントロールが行えていないようで、組織の大魔王達に魔力を探知されてしまう。
しかしレアの魔力を感知出来た者は『煌聖の教団』だけではなかった。
何と『レイズ』魔国から一直線に南方の洞窟に向けて、全速力で空を駆けてきた龍の大群が『煌聖の教団』の大魔王達の元へ姿を見せ始めたのである。
「な……っ! 龍族が何故ここに!?」
レアを追いかけようとしていた魔族の二体は、数千を越える龍の大群に呆気にとられた。
そして驚いている彼らを見て今が好機だと判断した一体の龍族は、遠く離れた場所から一筋の光を放ってみせるのだった。
『三色混合』のオーラを纏った状態での始祖龍キーリの全開の『龍滅』であった。
「おい! さっき使おうとしていた魔法で相殺しろ! これは侮れない威力だぞ。あれは避けられん!」
洞窟側に居た魔族は、空に居るレアに向けて放とうとしていた魔法をそのままこちらに向かって、放たれている閃光に向けて放ち、相殺するように指示するのだった。
「ちっ……! 仕方あるまい!」
上空に居る魔族は舌打ちをしながら『アレルバレル』の世界の『理』を用いた発動により『神域魔法』の魔法陣を展開させる。
魔法陣は『スタック』されていた魔力が『発動羅列』の詠唱に乗せられて高速回転を始めた後、魔法が発動された。
――神域魔法、『普遍破壊』。
『煌聖の教団』の大魔王の極大魔法が発動されて、こちらに向かってきていた閃光を爆発させる。
(レア! 俺だ! 洞窟付近まで来たぞ! 何処にいる!?)
(キーリ! 待って! 今から『隠幕』を解くから!!)
キーリの放った『龍滅』は、魔族の放った普遍破壊をあわせられて爆発して洞窟上空で爆発したにも拘らず、その下にある岩山を洞窟ごと全てを消滅させた。
爆発に巻き込まれないように同胞達を旋回させながら彼女は、レアに向けて『念話』を使った。そしてそのキーリからの『念話』を受けたレアは『高速転移』で移動していた身体を止めて、直ぐに『隠幕』を解いたのであった。
その瞬間――。
あらゆる者達が『魔王』レアの存在に気づくのであった。
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