658 / 1,985
愛娘を探して編
645.煌聖の教団の本隊
しおりを挟む
アレルバレルの世界からソフィの命令を果たす為に『世界間転移』を行ってリラリオの世界に姿を見せたレアだったが、その跳んだ先であるリラリオでかつて仲間だった『バルド』と『煌聖の教団』の『ルビリス』が一緒に居るところを発見して姿を隠して会話を聞いていた。
かつてレアが居た集落の長老をしていたバルドは、もう今『煌聖の教団』と行動を共にし、ソフィ達に反旗を翻した『ミラ』達側についたのだと理解したレアは、直ぐにその場を離れようと準備をし始めた。
しかしその直後『バルド』と『ルビリス』の居る場所から少し離れた場所の空の空間に、次々と亀裂が入ったかと思うと大きな穴が開き始める。
(つ、次は何なのよぉ!?)
レアは空へと飛び上がろうとしていたのを慌てて取りやめて、そのままバルド達から死角になる岩陰の裏側へと移動を開始する。そして空から次々と大魔王領域の魔族達が姿を見せたかと思うと『ルビリス』達の元へと向かっていく。
その数は十体や二十体ではなく、今もどんどんと空に亀裂を作りながら姿を現し続けている。
完全にレアは逃げ出す機会を失ってしまい、自分の居る岩陰のすぐ傍に次々と空から大魔王が降り立ってはバルドの元へ向かっていく。
(そ、そんな……!)
レアはソフィからリラリオ世界の様子や『リーネ』の事を見てきて欲しいと言われていた。
しかしまさかそんなリラリオの世界に『煌聖の教団』の大部隊が集結してくるとは思っていなかった。
レアは姿や魔力を隠蔽する事が出来る『隠幕』の『魔法』を使ったまま岩陰から、現れた魔族の一人に『漏出』を照準してみるが、次の瞬間には恐ろしい程の激痛がレアの頭を襲う。
慌ててレアは『漏出』の使用をやめて『魔力感知』に切り替える。
止めた理由はあの魔族がレアの魔力量を遥かに上回っていると判断した為である。
ずっと『漏出』を使い続けていれば、脳が焼き切れてしまうが、今のように一瞬で判断して切り替える事が出来れば、相手の力をある程度把握出来た上で死の危険はないという事である。
あっさりとレアはその切り替えを行ってみせたが、これは『基本研鑽演義』を多くの者達より理解が出来ているからこそ行える芸当であり、いわばレアだからこそ出来る技術である。
しかし次から次に現れる魔族達に対しても同じ結果が伴ってしまう。
このまま切り替えずに『漏出』を使い続けると出る表記は『測定不能』となる事だろう。
もちろん表記が出るまで馬鹿みたいに待っていれば、脳が焼き切れて絶命してしまうだろうが、レアは感覚で『測定不能』が出るだろうと判断していくのであった。
「そ、そんな……。この場に現れたアイツラ全員が私より強いってことぉ? い、いや、そんな筈ないわよねぇ。私が『金色』や『戦力値コントロール』をしていない通常状態だからアイツラの魔力を測れないだけよぉ、きっと……。そ、そうよねぇ?)
レアはなんとかそう思い込む事でこの恐怖の場と化した岩陰から、自分をしっかりと保とうと頑張るのだった。
そしてレアはゆっくりこっそりと岩陰から音を立てずに移動を開始しようとする。目指す場所は今居る岩陰から更にバルド達から離れた岩陰への方へとである。
その岩陰伝いには『シティアス』の拠点へとつながる洞窟が近くにあり、この洞窟を通っていけばシス達の居る『レイズ』魔国へと辿り着く事が出来るのである。そしてそれは空を飛んで行くより遥かに遠回りとなるが、こうなってしまえば空から向かうのは危険である。
『隠幕』を使った状態で岩陰から、一歩踏み出そうとするレアだったが、そこでルビリス達の会話が耳に入ってくる。
「ミラ様からご命令を受けて、この場に全隊が集結致しました」
ルビリスに向かって声を出したのは『煌聖の教団』の本隊総隊長である『ネイキッド』であった。
「おやおや。これはこれはご苦労様です。ミラ様の姿はお見えになられていないようですが、現在もまだ『ダール』の世界ですか?」
「ハッ! 現在ミラ様は大魔王『フルーフ』に攻撃を受けた事によるヌー殿の傷を治している最中だと思われます」
そのネイキッドの言葉を聞いて、移動を開始しようとしていたレアの足はピタリと止まった。
(……フルーフ様ですって!?)
レアは動揺から『隠幕』をする為に使っていた『魔力コントロール』を誤り、少しだけ魔力の余波を外に漏らしてしまった。
その瞬間に『ルビリス』『バルド』『ネイキッド』を含めた大魔王全員が、一斉にレアの居る岩陰へと視線を送り始める。
(ま、まず……い!)
もし彼らが『真なる魔王程度』の魔族であれば、レアの僅かに漏れた魔力程度では気付かなかったかもしれない。
しかしこの場に居る『煌聖の教団』本隊は『アレルバレル』の魔界中から集められた大魔王達である。全ての者達がレアより遥かに強い戦力値を持っている魔族達の為に、僅かであっても見逃す事はしなかった。
(どうする、どうする、どうする!? 『概念跳躍』は間に合う筈がない! 空を飛んで『高速転移』で逃げる!? い、いやこの数を振り切れる筈がない! ううっ! どうしよぉ!!)
レアは僅かな時間で目まぐるしく考えを張り巡らせるが、時間は待ってはくれない。
仕方なくレアは『隠幕』を使ったまま『高速転移』を用いて、空ではなく洞窟のある連なった岩の方へと駆け出していくのであった。
……
……
……
かつてレアが居た集落の長老をしていたバルドは、もう今『煌聖の教団』と行動を共にし、ソフィ達に反旗を翻した『ミラ』達側についたのだと理解したレアは、直ぐにその場を離れようと準備をし始めた。
しかしその直後『バルド』と『ルビリス』の居る場所から少し離れた場所の空の空間に、次々と亀裂が入ったかと思うと大きな穴が開き始める。
(つ、次は何なのよぉ!?)
レアは空へと飛び上がろうとしていたのを慌てて取りやめて、そのままバルド達から死角になる岩陰の裏側へと移動を開始する。そして空から次々と大魔王領域の魔族達が姿を見せたかと思うと『ルビリス』達の元へと向かっていく。
その数は十体や二十体ではなく、今もどんどんと空に亀裂を作りながら姿を現し続けている。
完全にレアは逃げ出す機会を失ってしまい、自分の居る岩陰のすぐ傍に次々と空から大魔王が降り立ってはバルドの元へ向かっていく。
(そ、そんな……!)
レアはソフィからリラリオ世界の様子や『リーネ』の事を見てきて欲しいと言われていた。
しかしまさかそんなリラリオの世界に『煌聖の教団』の大部隊が集結してくるとは思っていなかった。
レアは姿や魔力を隠蔽する事が出来る『隠幕』の『魔法』を使ったまま岩陰から、現れた魔族の一人に『漏出』を照準してみるが、次の瞬間には恐ろしい程の激痛がレアの頭を襲う。
慌ててレアは『漏出』の使用をやめて『魔力感知』に切り替える。
止めた理由はあの魔族がレアの魔力量を遥かに上回っていると判断した為である。
ずっと『漏出』を使い続けていれば、脳が焼き切れてしまうが、今のように一瞬で判断して切り替える事が出来れば、相手の力をある程度把握出来た上で死の危険はないという事である。
あっさりとレアはその切り替えを行ってみせたが、これは『基本研鑽演義』を多くの者達より理解が出来ているからこそ行える芸当であり、いわばレアだからこそ出来る技術である。
しかし次から次に現れる魔族達に対しても同じ結果が伴ってしまう。
このまま切り替えずに『漏出』を使い続けると出る表記は『測定不能』となる事だろう。
もちろん表記が出るまで馬鹿みたいに待っていれば、脳が焼き切れて絶命してしまうだろうが、レアは感覚で『測定不能』が出るだろうと判断していくのであった。
「そ、そんな……。この場に現れたアイツラ全員が私より強いってことぉ? い、いや、そんな筈ないわよねぇ。私が『金色』や『戦力値コントロール』をしていない通常状態だからアイツラの魔力を測れないだけよぉ、きっと……。そ、そうよねぇ?)
レアはなんとかそう思い込む事でこの恐怖の場と化した岩陰から、自分をしっかりと保とうと頑張るのだった。
そしてレアはゆっくりこっそりと岩陰から音を立てずに移動を開始しようとする。目指す場所は今居る岩陰から更にバルド達から離れた岩陰への方へとである。
その岩陰伝いには『シティアス』の拠点へとつながる洞窟が近くにあり、この洞窟を通っていけばシス達の居る『レイズ』魔国へと辿り着く事が出来るのである。そしてそれは空を飛んで行くより遥かに遠回りとなるが、こうなってしまえば空から向かうのは危険である。
『隠幕』を使った状態で岩陰から、一歩踏み出そうとするレアだったが、そこでルビリス達の会話が耳に入ってくる。
「ミラ様からご命令を受けて、この場に全隊が集結致しました」
ルビリスに向かって声を出したのは『煌聖の教団』の本隊総隊長である『ネイキッド』であった。
「おやおや。これはこれはご苦労様です。ミラ様の姿はお見えになられていないようですが、現在もまだ『ダール』の世界ですか?」
「ハッ! 現在ミラ様は大魔王『フルーフ』に攻撃を受けた事によるヌー殿の傷を治している最中だと思われます」
そのネイキッドの言葉を聞いて、移動を開始しようとしていたレアの足はピタリと止まった。
(……フルーフ様ですって!?)
レアは動揺から『隠幕』をする為に使っていた『魔力コントロール』を誤り、少しだけ魔力の余波を外に漏らしてしまった。
その瞬間に『ルビリス』『バルド』『ネイキッド』を含めた大魔王全員が、一斉にレアの居る岩陰へと視線を送り始める。
(ま、まず……い!)
もし彼らが『真なる魔王程度』の魔族であれば、レアの僅かに漏れた魔力程度では気付かなかったかもしれない。
しかしこの場に居る『煌聖の教団』本隊は『アレルバレル』の魔界中から集められた大魔王達である。全ての者達がレアより遥かに強い戦力値を持っている魔族達の為に、僅かであっても見逃す事はしなかった。
(どうする、どうする、どうする!? 『概念跳躍』は間に合う筈がない! 空を飛んで『高速転移』で逃げる!? い、いやこの数を振り切れる筈がない! ううっ! どうしよぉ!!)
レアは僅かな時間で目まぐるしく考えを張り巡らせるが、時間は待ってはくれない。
仕方なくレアは『隠幕』を使ったまま『高速転移』を用いて、空ではなく洞窟のある連なった岩の方へと駆け出していくのであった。
……
……
……
0
お気に入りに追加
440
あなたにおすすめの小説

異世界に飛ばされたら守護霊として八百万の神々も何故か付いてきた。
いけお
ファンタジー
仕事からの帰宅途中に突如足元に出来た穴に落ちて目が覚めるとそこは異世界でした。
元の世界に戻れないと言うので諦めて細々と身の丈に合った生活をして過ごそうと思っていたのに心配性な方々が守護霊として付いてきた所為で静かな暮らしになりそうもありません。
登場してくる神の性格などでツッコミや苦情等出るかと思いますが、こんな神様達が居たっていいじゃないかと大目に見てください。
追記 小説家になろう ツギクル でも投稿しております。
あなたは異世界に行ったら何をします?~良いことしてポイント稼いで気ままに生きていこう~
深楽朱夜
ファンタジー
13人の神がいる異世界《アタラクシア》にこの世界を治癒する為の魔術、異界人召喚によって呼ばれた主人公
じゃ、この世界を治せばいいの?そうじゃない、この魔法そのものが治療なので後は好きに生きていって下さい
…この世界でも生きていける術は用意している
責任はとります、《アタラクシア》に来てくれてありがとう
という訳で異世界暮らし始めちゃいます?
※誤字 脱字 矛盾 作者承知の上です 寛容な心で読んで頂けると幸いです
※表紙イラストはAIイラスト自動作成で作っています

家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。
3匹の子猫
ファンタジー
社智也とその家族はある日気がつけば家ごと見知らぬ場所に転移されていた。
そこは俺の持ちうる知識からおそらく異世界だ!確かに若い頃は異世界転移や転生を願ったことはあったけど、それは守るべき家族を持った今ではない!!
こんな世界でまだ幼い子供たちを守りながら生き残るのは酷だろ…だが、俺は家族を必ず守り抜いてみせる!!
感想やご意見楽しみにしております!
尚、作中の登場人物、国名はあくまでもフィクションです。実在する国とは一切関係ありません。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。

異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる