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愛娘を探して編
625.戦争状態
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アサの龍族はこの大陸から遥か東の大陸にある『スベイキア』という大国を拠点としている。
世界を支配しようと目論んでいた魔人族が、次々と人間や魔族の国に侵略を繰り返した事は、遠く離れた大陸のスベイキアも勿論把握をしていた。
龍族の大陸では大国スベイキアとそのスベイキアが支配している国があり『イルベキア』と『ハイウルキア』がある。どちらも『龍族の国』であるが『スベイキア』の龍達とは『種族』が違う。
スベイキアに住んでいる龍達の種族の名称は『コープパルス・ドラゴン』。
同じ龍であっても『イルベキア』や『ハイウルキア』に生息する『龍』達とは体のつくりから戦力値までが根本から違う。
『イルベキア』と『ハイウルキア』の龍族の種類は『ブルー・ドラゴン』である。
(※ブルードラゴンは、別世界でも多く生息している龍族で龍族といえば、この種族が示される)。
『スベイキア』の『コープパルス・ドラゴン』達の平均戦力値は少なく見積もっても、4億を下回る事はない。その『コープパルス・ドラゴン』達を束ねる『スベイキア』国の龍王『イーサ』は今回、長きに渡り冷戦状態にあった魔人族が、遂に『スベイキア』に向けて攻撃を仕掛けようとしているという情報を入手した事により、本格的に戦争をするという決断を下したのだった。
仕掛けられる前に先手を打った形となった『イーサ』龍王は、魔人族の大陸へと部下を送り込んだ。その部下とは自国の『コープパルス・ドラゴン』ではなく、有事の際には隣国であり支配国である『イルベキア』が、最前線に立つ事になる為に『エイネ』や『フルーフ』の居る『カストロ・L・K』へと侵攻したのは、この『イルベキア』の『ブルードラゴン』達なのであった。
しかしそのイーサ龍王の居るスベイキアに、イルベキアから一つの連絡が入る。
魔人族達の大陸に送り込んだ兵が、全滅したという知らせであった。
「それは確かな事なのか? イルベキアのブルードラゴンたちが、魔人達にやられたというのは……」
「はい。間違いないでしょう。我がイルベキアから向かわせた兵の数は凡そ百数体……。その誰からも応答がなく、また『魔力』も感知出来ません」
イルベキア国の龍王『ヴァルーザ』から連絡を聞いた『イーサ』は渋い表情を浮かべながら唸る。
今回の『カストロL・K』地域の敵国の拠点を奪ってその拠点に『スベイキア』『イルベキア』『ハイウルキア』の三国連合軍を集める筈だった。
魔人族の中には『一流戦士』と称される強い個体が居る事は『イーサ』も知ってはいたが、まさか龍種の『ブルードラゴン』達が全滅するなどとは、思いもよらなかったのである。
奴ら魔人族は確かに『精霊族』や『魔族』。そして『人間族』より強い。
『スクアード』と呼ばれる技法を纏う選ばれた『一流戦士』は、龍族の『ブルードラゴン』に匹敵する戦力値が一億を越えるとも呼ばれている。
しかしそれでも『一流戦士』と呼ばれる魔人の数はそう多くはないと事前に聞いていた。
イルベキアの兵だけで十分に対処できると踏んでいたのだが、まさか全滅するとは想像すら出来なかった。もしかしすると魔人族には、まだ隠された力が存在するのかもしれないとばかりに『イーサ』龍王は、少しだけ懸念を抱く事になるのだった。
「よいか『ヴァルーザ』龍王よ」
「は! 何でしょうか『イーサ』龍王」
「今の内に魔人共を滅ぼしておかねばならぬ可能性が出てきた。奴らの戦力を削ぐのではなく、奴らを根絶やしにするとしよう」
『ヴァルーザ』龍王は『イーサ』龍王の言葉に目を丸くして驚くのだった。
「そ、それは……。よ、宜しいのですか?」
あくまで龍族が魔人族に戦争を仕掛けるのは、魔人族の行き過ぎた侵略行為を止める為にあった。つまり戦争によって魔人族を打ち破り、戦意を削ぎ落す事が『イーサ』龍王の最終的な目標だったのである。
――だが、ここにきて『魔人族』達を根絶やしにするとなると、それはまた話が変わってくるのであった。
落としどころを間違えると『魔人族』だけではなく、その魔人族に与して隷属している他国にも影響が出る。
下手をすれば今度は『龍族』が侵略行為を行う蛮族となり、世界の敵になる可能性があるのである。ヴァルーザ龍王はイーサ龍王がどこまで本気なのかを見極めようとしての言葉だった。
「構わん『イルベキア』の全軍を魔人族の大陸に集結させよ『ハイウルキア』の龍王にも同条件の命令を下して『魔人族』と全面戦争を行うのも辞さぬ」
「分かりました。それでは準備をさせておきます」
「ああ」
――そこで連絡は途絶えた。
『魔人族』が『龍族』の『ブルードラゴン』を滅ぼしたと勘違いしている『イーサ』龍王は『魔人族』との全面戦争を指示するのだった。
……
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世界を支配しようと目論んでいた魔人族が、次々と人間や魔族の国に侵略を繰り返した事は、遠く離れた大陸のスベイキアも勿論把握をしていた。
龍族の大陸では大国スベイキアとそのスベイキアが支配している国があり『イルベキア』と『ハイウルキア』がある。どちらも『龍族の国』であるが『スベイキア』の龍達とは『種族』が違う。
スベイキアに住んでいる龍達の種族の名称は『コープパルス・ドラゴン』。
同じ龍であっても『イルベキア』や『ハイウルキア』に生息する『龍』達とは体のつくりから戦力値までが根本から違う。
『イルベキア』と『ハイウルキア』の龍族の種類は『ブルー・ドラゴン』である。
(※ブルードラゴンは、別世界でも多く生息している龍族で龍族といえば、この種族が示される)。
『スベイキア』の『コープパルス・ドラゴン』達の平均戦力値は少なく見積もっても、4億を下回る事はない。その『コープパルス・ドラゴン』達を束ねる『スベイキア』国の龍王『イーサ』は今回、長きに渡り冷戦状態にあった魔人族が、遂に『スベイキア』に向けて攻撃を仕掛けようとしているという情報を入手した事により、本格的に戦争をするという決断を下したのだった。
仕掛けられる前に先手を打った形となった『イーサ』龍王は、魔人族の大陸へと部下を送り込んだ。その部下とは自国の『コープパルス・ドラゴン』ではなく、有事の際には隣国であり支配国である『イルベキア』が、最前線に立つ事になる為に『エイネ』や『フルーフ』の居る『カストロ・L・K』へと侵攻したのは、この『イルベキア』の『ブルードラゴン』達なのであった。
しかしそのイーサ龍王の居るスベイキアに、イルベキアから一つの連絡が入る。
魔人族達の大陸に送り込んだ兵が、全滅したという知らせであった。
「それは確かな事なのか? イルベキアのブルードラゴンたちが、魔人達にやられたというのは……」
「はい。間違いないでしょう。我がイルベキアから向かわせた兵の数は凡そ百数体……。その誰からも応答がなく、また『魔力』も感知出来ません」
イルベキア国の龍王『ヴァルーザ』から連絡を聞いた『イーサ』は渋い表情を浮かべながら唸る。
今回の『カストロL・K』地域の敵国の拠点を奪ってその拠点に『スベイキア』『イルベキア』『ハイウルキア』の三国連合軍を集める筈だった。
魔人族の中には『一流戦士』と称される強い個体が居る事は『イーサ』も知ってはいたが、まさか龍種の『ブルードラゴン』達が全滅するなどとは、思いもよらなかったのである。
奴ら魔人族は確かに『精霊族』や『魔族』。そして『人間族』より強い。
『スクアード』と呼ばれる技法を纏う選ばれた『一流戦士』は、龍族の『ブルードラゴン』に匹敵する戦力値が一億を越えるとも呼ばれている。
しかしそれでも『一流戦士』と呼ばれる魔人の数はそう多くはないと事前に聞いていた。
イルベキアの兵だけで十分に対処できると踏んでいたのだが、まさか全滅するとは想像すら出来なかった。もしかしすると魔人族には、まだ隠された力が存在するのかもしれないとばかりに『イーサ』龍王は、少しだけ懸念を抱く事になるのだった。
「よいか『ヴァルーザ』龍王よ」
「は! 何でしょうか『イーサ』龍王」
「今の内に魔人共を滅ぼしておかねばならぬ可能性が出てきた。奴らの戦力を削ぐのではなく、奴らを根絶やしにするとしよう」
『ヴァルーザ』龍王は『イーサ』龍王の言葉に目を丸くして驚くのだった。
「そ、それは……。よ、宜しいのですか?」
あくまで龍族が魔人族に戦争を仕掛けるのは、魔人族の行き過ぎた侵略行為を止める為にあった。つまり戦争によって魔人族を打ち破り、戦意を削ぎ落す事が『イーサ』龍王の最終的な目標だったのである。
――だが、ここにきて『魔人族』達を根絶やしにするとなると、それはまた話が変わってくるのであった。
落としどころを間違えると『魔人族』だけではなく、その魔人族に与して隷属している他国にも影響が出る。
下手をすれば今度は『龍族』が侵略行為を行う蛮族となり、世界の敵になる可能性があるのである。ヴァルーザ龍王はイーサ龍王がどこまで本気なのかを見極めようとしての言葉だった。
「構わん『イルベキア』の全軍を魔人族の大陸に集結させよ『ハイウルキア』の龍王にも同条件の命令を下して『魔人族』と全面戦争を行うのも辞さぬ」
「分かりました。それでは準備をさせておきます」
「ああ」
――そこで連絡は途絶えた。
『魔人族』が『龍族』の『ブルードラゴン』を滅ぼしたと勘違いしている『イーサ』龍王は『魔人族』との全面戦争を指示するのだった。
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