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マジックアイテム編
581.きっかけとなったマジックアイテム
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ディアトロスが取り出した『マジックアイテム』の名は根源の玉といった。
かつてこの世界で勇者『マリス』達のパーティーによって使用されてしまい、アレルバレルの世界から、リラリオの世界へと転移させられてしまった『キッカケ』となった『マジックアイテム』である。
「何故、お主がそれを持っておる?」
当然の疑問の言葉をソフィは『ディアトロス』に向ける。
「これは元々『ダイス』王国に保管されていたものらしくてな。ブラストが城でこれを見つけてきたようじゃ」
ディアトロスがそう言うと、ソフィは確かにそんな話をブラストから聞いた覚えがあったなと思い返す。ブラストはそんなソフィを見てコクリと頷いてみせた。
「ダイス王国という事はつまり、この『マジックアイテム』の本来の持ち主は『組織』の者達だという事か?」
「まぁ十中八九そうじゃろうな。これがある部屋にはかなり厳重に『結界』が張られておったらしいぞ」
ディアトロスがそう言うと『ブラスト』が口を挟んでくる。
「結界の規模は『大魔王・中位領域』程はありましたので、あの大陸の者達では組織の者達のモノで間違いないでしょうね」
アレルバレルの世界は魔族はかなりの実力者たちが揃っているが、現代の人間達はそこまで強くはない。
大魔王中位領域の結界を張れる程ともなれば『煌聖の教団』以外は考えられないだろう。
そしてこのアイテムの重要性を顧みるに所有者は、ミラ達以外では考えられないのだった。
「ふむ。成程な。何故お主が『アレルバレル』の世界へ来ることが出来たのか疑問に思っていたが、これを使用したからなのか」
合点がいったとばかりにソフィがブラストの顔を見ながら告げると、彼は『カラクリはまだよく分かっていませんが』と一言添えて返してくるのであった。
「私がそれを一つ使って『ディアトロス』殿と『イリーガル』の奴にも渡していた筈なので、残りは二つ程我々が所有している事になります」
ディアトロスの手の平の上の『根源の玉』を見つめながらソフィは何かを思案する。
「どうした。お主、一体何を考えておる?」
ディアトロスはそんなソフィの思案顔を見ながら疑問を口にするのだった。
「このマジックアイテムは魔力を込める事で、別世界へとその身を跳ばすという効力だったな?」
「確かにそうじゃな。この身で経験した以上は、間違ってはいないと思うぞ」
そこで再びソフィは『根源の玉』に視線を落とす。ソフィが見た事できらりと『根源の玉』が光ったように感じられた。
「我らはフルーフが来た時に、アレルバレル以外にも世界があるという事は理解しておったが、実際にこの根源の玉を使われた事で、本当の意味で別世界というモノを経験する事になった」
話し始めるソフィの言葉をその場に居る全員が耳を傾ける。
そしてソフィはディアトロスの手から、根源の玉をゆっくりと持ち上げて再び口を開く。
「別世界があるというのは、疑いようのない事実だという事は理解はしているが、このマジックアイテムは、何故リラリオの世界ばかりに跳ぶのだろうな?」
ソフィ達の世界アレルバレルや、ユファやレア達が居た世界レパートの世界。
他にもあらゆる世界があるのだろうがこの根源の玉は、ソフィ、ブラストの両名とも同じリラリオの世界へと跳ばしてみせた。
つまり根源の玉の本当の効力は、影響下にいる存在を別世界へ跳ばすのではなく、限定して『リラリオの世界へと跳ばすアイテム』なのではないだろうか。
「確かにそうじゃな。根源の玉とリラリオの世界に何か関連性があるのか、それともただの偶然なのか。そこは気になるところではあるな」
『智謀』の大魔王『ディアトロス』は、顎を左手で擦りながら考察を始めるのだった。
「組織のあの若造達がこのアイテムを所持していた事を踏まえても、あの若造が最初からソフィをリラリオに送るつもりだったのか。それとも偶然にリラリオの世界へ送られたのかというのも気になるな」
――こうして謎のマジックアイテムは、その効果を発動した後にも謎を残す結果となるのだった。
……
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かつてこの世界で勇者『マリス』達のパーティーによって使用されてしまい、アレルバレルの世界から、リラリオの世界へと転移させられてしまった『キッカケ』となった『マジックアイテム』である。
「何故、お主がそれを持っておる?」
当然の疑問の言葉をソフィは『ディアトロス』に向ける。
「これは元々『ダイス』王国に保管されていたものらしくてな。ブラストが城でこれを見つけてきたようじゃ」
ディアトロスがそう言うと、ソフィは確かにそんな話をブラストから聞いた覚えがあったなと思い返す。ブラストはそんなソフィを見てコクリと頷いてみせた。
「ダイス王国という事はつまり、この『マジックアイテム』の本来の持ち主は『組織』の者達だという事か?」
「まぁ十中八九そうじゃろうな。これがある部屋にはかなり厳重に『結界』が張られておったらしいぞ」
ディアトロスがそう言うと『ブラスト』が口を挟んでくる。
「結界の規模は『大魔王・中位領域』程はありましたので、あの大陸の者達では組織の者達のモノで間違いないでしょうね」
アレルバレルの世界は魔族はかなりの実力者たちが揃っているが、現代の人間達はそこまで強くはない。
大魔王中位領域の結界を張れる程ともなれば『煌聖の教団』以外は考えられないだろう。
そしてこのアイテムの重要性を顧みるに所有者は、ミラ達以外では考えられないのだった。
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ディアトロスの手の平の上の『根源の玉』を見つめながらソフィは何かを思案する。
「どうした。お主、一体何を考えておる?」
ディアトロスはそんなソフィの思案顔を見ながら疑問を口にするのだった。
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そこで再びソフィは『根源の玉』に視線を落とす。ソフィが見た事できらりと『根源の玉』が光ったように感じられた。
「我らはフルーフが来た時に、アレルバレル以外にも世界があるという事は理解しておったが、実際にこの根源の玉を使われた事で、本当の意味で別世界というモノを経験する事になった」
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そしてソフィはディアトロスの手から、根源の玉をゆっくりと持ち上げて再び口を開く。
「別世界があるというのは、疑いようのない事実だという事は理解はしているが、このマジックアイテムは、何故リラリオの世界ばかりに跳ぶのだろうな?」
ソフィ達の世界アレルバレルや、ユファやレア達が居た世界レパートの世界。
他にもあらゆる世界があるのだろうがこの根源の玉は、ソフィ、ブラストの両名とも同じリラリオの世界へと跳ばしてみせた。
つまり根源の玉の本当の効力は、影響下にいる存在を別世界へ跳ばすのではなく、限定して『リラリオの世界へと跳ばすアイテム』なのではないだろうか。
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「組織のあの若造達がこのアイテムを所持していた事を踏まえても、あの若造が最初からソフィをリラリオに送るつもりだったのか。それとも偶然にリラリオの世界へ送られたのかというのも気になるな」
――こうして謎のマジックアイテムは、その効果を発動した後にも謎を残す結果となるのだった。
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