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マジックアイテム編
578.魔王城の玉座
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アレルバレルの世界にある『魔界』にして、その中央大陸にある魔王城の玉座がある部屋。
長らく本来の持ち主が座る事のなかった、その王が座る玉座に、大魔王ソフィが座っていた。
まさにソフィが座る為に用意された玉座に本来の持ち主が戻ってきた事で、一層この玉座の間は厳かに感じられた。
その中央の玉座の右横には『智謀』と呼ばれる大魔王『ディアトロス』が控えている。
『智謀』は本来ここ『魔界』とは違う『人間界』の大陸にある『ダイス』王国の大臣を務めていた。
ソフィの座る玉座の横に、ディアトロスが控える事は、数千年前に『ソフィ』に忠誠を誓った直ぐの頃以来であった。
勇者マリス達が攻め込んできた時。もし人間界ではなく今のように、彼が玉座の横に控えていたならば、ソフィは『リラリオ』の世界へ『転移』させられる事はなかっただろう。
『智謀』の慧眼はミラの謀りすら見抜き、ソフィの為であったならば『根源の玉』を持ち出された瞬間に何らかの対策をとっていた事だろう。
そしてディアトロスの反対側、玉座の左側に控えるは『処刑』の大魔王『イリーガル』。
『破壊』の大魔王『ブラスト』よりも早く『三大魔王』入りを果たした『大魔王』であり、魔王軍に刃向かう愚か者達の首を切断してきた数は『九大魔王』の中で最多の剣士である。
(※三大魔王とは、九大魔王となる以前の魔王軍の最高幹部達の事であり、当時『魔界』で最も恐れられた『智謀』『処刑』『破壊』の三体の 『大魔王』の事を指す)。
イリーガルもまたあの事件の時にこの場で控えていたならば、結果は変わっていただろう。
こちらもミラの策略によって、当時の事件の時に『ソフィ』から引き離されて、精霊族の守護に回らされていた。
全て計算された上で行われたソフィの『別世界転移計画』が、どれ程綿密に行われたかが窺い知れる。
ミラがこの計画を何千年もかけただけあって、まさに幾重にも張り巡らされた渾身の計画だったといえるだろう。
玉座の一段下では『ブラスト』が不機嫌そうに『イリーガル』を睨んで立っていた。本当はソフィの横に立ちたかったのだろう。
同じ『三大魔王』として長きに渡り、ソフィの横に控え立っていた『ブラスト』は、その位置をディアトロスに奪われたことで、少し序列が下がる位置に控える事となったのである。
不機嫌なブラストの立つ反対側に控えるは『九大魔王』の『災厄の大魔法使い』の異名を持つ『ユファ』であった。
元々はここ『アレルバレル』の世界ではなく『レパート』の世界の魔族である。
実力的には『九大魔王』どころか『アレルバレル』の世界の平均的な魔族以下の力量だが、誰よりも『魔』に対して対求心を持ち、あのフルーフが長年かけて編み出した『概念跳躍』をフルーフ本人から教わる事なく、毎日のように盗み見て独自で練習を重ね続けて扱えるようになった程で、大魔王『ユファ』はソフィが認める程の努力と研鑽の天才である。
――現在のこの立ち位置こそが、大魔王ソフィを頂点とする『魔王軍』の最高序列に位置する四人である。
今はまだ完全に戻ったとは言えないソフィの『魔王軍』だが、彼らが再びこの世界に戻ってきた以上は、現在最高勢力として魔界に蔓延る『煌聖の教団』に対抗できる勢力として、近い内に『アレルバレル』の世界にて回帰する事は間違いないだろう。
同じ『九大魔王』である『リーシャ』は、玉座に座るソフィとその横に控えている魔王軍の最高幹部達を見て興奮していた。
(カッコイイッ………! この方達と共に行動出来るアタシは、何て恵まれているのだろう。早く、早くエイネさんを探し出して、一緒にこの感動を分かち合いたい!)
同じ九大魔王であり『リーシャ』を庇って別世界へと跳ばされた『エイネ』を想い、リーシャは決意を新たにするのだった。
そして感動しているリーシャの横でレアは、ソフィの玉座に座る姿を見て過去の『レパート』の世界を思い出していた。
戦力という意味ではこのソフィ達の魔王軍には遥かに劣るだろうがそれでも、あらゆる世界を比較しても有数の戦力を誇ったフルーフの魔王軍。
自分を幼い頃に拾い育ててくれた親代わりであるフルーフが、頂点とする魔王軍もまた、横に配下達を控えさせていた。
レアは魔王軍には属してはいなかったが、幼いながらにその配下達を束ねて玉座に座っていた親のフルーフを見て、よく誇りに思っていたものだった。
(フルーフ様、貴方は今どこにいるのですか? 私はもう貴方には会えないのでしょうか?)
レアはフルーフの命令に従ってリラリオの世界を支配して、そして報告をしようと『レパート』の世界へ戻ってきたが、その時にはもう『フルーフ』の姿はなく、別の世界の魔族に『レパート』の魔王軍を牛耳られていた。
何とかその魔王軍を牛耳ろうとしていた『ヴァルテン』から『フルーフ』の世界の乗っ取りを防いだレアは、フルーフの安否を確かめる為に『アレルバレル』の世界へと向かったが、結局見つける事はかなわずに『レパート』の世界に戻る事となり、そしてそれから数千年の時が流れてしまった。
今、レアの中では少しずつ考えないようにしていた諦観の念が、少しずつ感じられてきていた。
――会いたい。でも会えない。
一度親に捨てられた記憶を持つレアは、再び親を失う事の恐怖を大きくなり、時間が経った今でも恐れているのだった。
……
……
……
長らく本来の持ち主が座る事のなかった、その王が座る玉座に、大魔王ソフィが座っていた。
まさにソフィが座る為に用意された玉座に本来の持ち主が戻ってきた事で、一層この玉座の間は厳かに感じられた。
その中央の玉座の右横には『智謀』と呼ばれる大魔王『ディアトロス』が控えている。
『智謀』は本来ここ『魔界』とは違う『人間界』の大陸にある『ダイス』王国の大臣を務めていた。
ソフィの座る玉座の横に、ディアトロスが控える事は、数千年前に『ソフィ』に忠誠を誓った直ぐの頃以来であった。
勇者マリス達が攻め込んできた時。もし人間界ではなく今のように、彼が玉座の横に控えていたならば、ソフィは『リラリオ』の世界へ『転移』させられる事はなかっただろう。
『智謀』の慧眼はミラの謀りすら見抜き、ソフィの為であったならば『根源の玉』を持ち出された瞬間に何らかの対策をとっていた事だろう。
そしてディアトロスの反対側、玉座の左側に控えるは『処刑』の大魔王『イリーガル』。
『破壊』の大魔王『ブラスト』よりも早く『三大魔王』入りを果たした『大魔王』であり、魔王軍に刃向かう愚か者達の首を切断してきた数は『九大魔王』の中で最多の剣士である。
(※三大魔王とは、九大魔王となる以前の魔王軍の最高幹部達の事であり、当時『魔界』で最も恐れられた『智謀』『処刑』『破壊』の三体の 『大魔王』の事を指す)。
イリーガルもまたあの事件の時にこの場で控えていたならば、結果は変わっていただろう。
こちらもミラの策略によって、当時の事件の時に『ソフィ』から引き離されて、精霊族の守護に回らされていた。
全て計算された上で行われたソフィの『別世界転移計画』が、どれ程綿密に行われたかが窺い知れる。
ミラがこの計画を何千年もかけただけあって、まさに幾重にも張り巡らされた渾身の計画だったといえるだろう。
玉座の一段下では『ブラスト』が不機嫌そうに『イリーガル』を睨んで立っていた。本当はソフィの横に立ちたかったのだろう。
同じ『三大魔王』として長きに渡り、ソフィの横に控え立っていた『ブラスト』は、その位置をディアトロスに奪われたことで、少し序列が下がる位置に控える事となったのである。
不機嫌なブラストの立つ反対側に控えるは『九大魔王』の『災厄の大魔法使い』の異名を持つ『ユファ』であった。
元々はここ『アレルバレル』の世界ではなく『レパート』の世界の魔族である。
実力的には『九大魔王』どころか『アレルバレル』の世界の平均的な魔族以下の力量だが、誰よりも『魔』に対して対求心を持ち、あのフルーフが長年かけて編み出した『概念跳躍』をフルーフ本人から教わる事なく、毎日のように盗み見て独自で練習を重ね続けて扱えるようになった程で、大魔王『ユファ』はソフィが認める程の努力と研鑽の天才である。
――現在のこの立ち位置こそが、大魔王ソフィを頂点とする『魔王軍』の最高序列に位置する四人である。
今はまだ完全に戻ったとは言えないソフィの『魔王軍』だが、彼らが再びこの世界に戻ってきた以上は、現在最高勢力として魔界に蔓延る『煌聖の教団』に対抗できる勢力として、近い内に『アレルバレル』の世界にて回帰する事は間違いないだろう。
同じ『九大魔王』である『リーシャ』は、玉座に座るソフィとその横に控えている魔王軍の最高幹部達を見て興奮していた。
(カッコイイッ………! この方達と共に行動出来るアタシは、何て恵まれているのだろう。早く、早くエイネさんを探し出して、一緒にこの感動を分かち合いたい!)
同じ九大魔王であり『リーシャ』を庇って別世界へと跳ばされた『エイネ』を想い、リーシャは決意を新たにするのだった。
そして感動しているリーシャの横でレアは、ソフィの玉座に座る姿を見て過去の『レパート』の世界を思い出していた。
戦力という意味ではこのソフィ達の魔王軍には遥かに劣るだろうがそれでも、あらゆる世界を比較しても有数の戦力を誇ったフルーフの魔王軍。
自分を幼い頃に拾い育ててくれた親代わりであるフルーフが、頂点とする魔王軍もまた、横に配下達を控えさせていた。
レアは魔王軍には属してはいなかったが、幼いながらにその配下達を束ねて玉座に座っていた親のフルーフを見て、よく誇りに思っていたものだった。
(フルーフ様、貴方は今どこにいるのですか? 私はもう貴方には会えないのでしょうか?)
レアはフルーフの命令に従ってリラリオの世界を支配して、そして報告をしようと『レパート』の世界へ戻ってきたが、その時にはもう『フルーフ』の姿はなく、別の世界の魔族に『レパート』の魔王軍を牛耳られていた。
何とかその魔王軍を牛耳ろうとしていた『ヴァルテン』から『フルーフ』の世界の乗っ取りを防いだレアは、フルーフの安否を確かめる為に『アレルバレル』の世界へと向かったが、結局見つける事はかなわずに『レパート』の世界に戻る事となり、そしてそれから数千年の時が流れてしまった。
今、レアの中では少しずつ考えないようにしていた諦観の念が、少しずつ感じられてきていた。
――会いたい。でも会えない。
一度親に捨てられた記憶を持つレアは、再び親を失う事の恐怖を大きくなり、時間が経った今でも恐れているのだった。
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