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ミラの次なる計画編
576.狂信者達の笑み
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神聖魔法の一つである『妖精の施翼』を纏ったミラは、通常より一段階速度が上昇している。
そしてそのミラは『高等移動呪文』で一気に魔神の居た場所から、フルーフを連れて離れる事に成功した。
「私の信徒ながら念話を介さずに、ここまで私の思惑を汲み取れるとは、怖いくらいだぞルビリス」
今頃は組織の司令塔であるルビリスもヌー達を連れてかなり離れた場所へと、移動をしている事だろう。
ミラは頼れる信徒である『ルビリス』の疎通のあった行動に大満足であった。
「聖者達をぶつけてはみたが、あの魔神が相手であれば多くの時間は稼げないだろう、直ぐに始めるか」
ミラは先程の魔神が使った『時魔法』無効化の『技』を『発動羅列化』させたフルーフから情報を引き出し始めた。
これによってミラが企てた『魔神』の力を全て奪い取る計画は、全て成功と言っていいだろう。魔神の攻撃手段や防御手段。それらは神の如き領域の力であるが、フルーフという存在を利用して、全て自分の力に変える事が出来た。
この後に魔神は『ルビリス』達の方へ向かい、自分の力を利用された事には気づかずに、世界の危機を起こした『使用者』を葬る事で満足して去る事だろう。
ラテールには魔神の犠牲になってもらう他ないが、ミラはその事に後ろめたい気持ちすら抱かず、むしろ私の力になれたのだから、感謝してもらいたいとすら考えるのであった。
……
……
……
魔神が騎士の軍勢と戦っている頃、ミラと反対方向へ向かったルビリス達は、海を渡った大陸に着地するのだった。
どうやらようやくミラの狙いを理解したヌーは、不快感を露にしながら無言で『ルビリス』を睨みつけている。
「そう睨まないで下さい。全ては計画の為なのですから」
ヌーはルビリスを殺してやろうかと思っていたが、その言葉で衝動を抑える。
「これで本当に全て上手く行くんだろうな? これで駄目だったら、俺がお前ら全員を皆殺しにしてやるから覚えておけよ……」
ルビリスはヌーの殺意を一身に浴びて額に脂汗を流しながら、なんとか作り笑いを浮かべる。
「さて、それでは貴方には当初の予定通り、魔神の犠牲になってもらいますが、何かミラ様に言い残しておきたい事はありますか?」
平然とそんな事を言うルビリスに満面の笑みを浮かべながら、ラテールは頷きを見せる。
「では、このような大役の機会をこのような私にお与えくださり、ラテールは感謝をしていたと『ミラ』様にお伝え願えますか?」
「ええ、もちろんですよ。責任をもって私がミラ様に伝えておきましょう」
ラテールは司令官ルビリスの言葉に、感動で涙を流し始めた。
「気持ちの悪い奴らだ」
その様子を横で見ていたヌーは、そう感想を漏らすのだった。
「何を仰いますか。教祖様であらせられるミラ様のお役に立てたのです。当然の事でしょう?」
ルビリスがそう言うと涙を流しながらラテールは、何度も何度も嬉しそうに首を縦に振る。
「さて、それではラテールさん。もうすぐこちらに魔神が向かってくるでしょうから、最後は存分にこの大陸に極大魔法を撃ち続けなさい。まさにこの世界を壊そうとした者として、とびっきりの演技を期待しますよ?」
「お任せください。ルビリス様。利用されたとも気付かずに、最後までミラ様の手の平で踊らされる滑稽な『魔神』の姿をどうぞ御覧頂きますようにお願い致します」
「ええ。存分に笑い、そして楽しませていただきます」
ニコリと笑うルビリスとラテールを見て、やはりどこか狂っているように感じられるヌーであった。
「どうやら早速魔神が、こちらへ向かってきていますね。それではミラ様の元へ向かいましょうか」
ルビリスは表情を元に戻しながら、ヌーにそう告げる。
「ああ。俺は奴に文句の一つでも言ってやらねば気がすまん」
ルビリスは咳払いをしながら頷く。
「それではラテールさん、後は任せましたよ?」
「お任せください! このラテール、大魔王として恥ずかしくない、最後の花火を打ち上げさせていただきます」
「それは楽しみですね。遠くからじっくりと見させていただきますよ」
そう言った後に大陸を消し飛ばす為の『極大魔法』の『魔力』を『スタック』させ始めたラテールを見て、ルビリス達は移動呪文である『高等移動呪文』でミラの元へと向かっていった。
――ミラ達の元へ向かうルビリスの背後では、極大魔法によって大陸が沈んでいった。
その魔法の爆音を聞きながら『ルビリス』は、邪悪な笑みを浮かべるのだった。
そしてそのミラは『高等移動呪文』で一気に魔神の居た場所から、フルーフを連れて離れる事に成功した。
「私の信徒ながら念話を介さずに、ここまで私の思惑を汲み取れるとは、怖いくらいだぞルビリス」
今頃は組織の司令塔であるルビリスもヌー達を連れてかなり離れた場所へと、移動をしている事だろう。
ミラは頼れる信徒である『ルビリス』の疎通のあった行動に大満足であった。
「聖者達をぶつけてはみたが、あの魔神が相手であれば多くの時間は稼げないだろう、直ぐに始めるか」
ミラは先程の魔神が使った『時魔法』無効化の『技』を『発動羅列化』させたフルーフから情報を引き出し始めた。
これによってミラが企てた『魔神』の力を全て奪い取る計画は、全て成功と言っていいだろう。魔神の攻撃手段や防御手段。それらは神の如き領域の力であるが、フルーフという存在を利用して、全て自分の力に変える事が出来た。
この後に魔神は『ルビリス』達の方へ向かい、自分の力を利用された事には気づかずに、世界の危機を起こした『使用者』を葬る事で満足して去る事だろう。
ラテールには魔神の犠牲になってもらう他ないが、ミラはその事に後ろめたい気持ちすら抱かず、むしろ私の力になれたのだから、感謝してもらいたいとすら考えるのであった。
……
……
……
魔神が騎士の軍勢と戦っている頃、ミラと反対方向へ向かったルビリス達は、海を渡った大陸に着地するのだった。
どうやらようやくミラの狙いを理解したヌーは、不快感を露にしながら無言で『ルビリス』を睨みつけている。
「そう睨まないで下さい。全ては計画の為なのですから」
ヌーはルビリスを殺してやろうかと思っていたが、その言葉で衝動を抑える。
「これで本当に全て上手く行くんだろうな? これで駄目だったら、俺がお前ら全員を皆殺しにしてやるから覚えておけよ……」
ルビリスはヌーの殺意を一身に浴びて額に脂汗を流しながら、なんとか作り笑いを浮かべる。
「さて、それでは貴方には当初の予定通り、魔神の犠牲になってもらいますが、何かミラ様に言い残しておきたい事はありますか?」
平然とそんな事を言うルビリスに満面の笑みを浮かべながら、ラテールは頷きを見せる。
「では、このような大役の機会をこのような私にお与えくださり、ラテールは感謝をしていたと『ミラ』様にお伝え願えますか?」
「ええ、もちろんですよ。責任をもって私がミラ様に伝えておきましょう」
ラテールは司令官ルビリスの言葉に、感動で涙を流し始めた。
「気持ちの悪い奴らだ」
その様子を横で見ていたヌーは、そう感想を漏らすのだった。
「何を仰いますか。教祖様であらせられるミラ様のお役に立てたのです。当然の事でしょう?」
ルビリスがそう言うと涙を流しながらラテールは、何度も何度も嬉しそうに首を縦に振る。
「さて、それではラテールさん。もうすぐこちらに魔神が向かってくるでしょうから、最後は存分にこの大陸に極大魔法を撃ち続けなさい。まさにこの世界を壊そうとした者として、とびっきりの演技を期待しますよ?」
「お任せください。ルビリス様。利用されたとも気付かずに、最後までミラ様の手の平で踊らされる滑稽な『魔神』の姿をどうぞ御覧頂きますようにお願い致します」
「ええ。存分に笑い、そして楽しませていただきます」
ニコリと笑うルビリスとラテールを見て、やはりどこか狂っているように感じられるヌーであった。
「どうやら早速魔神が、こちらへ向かってきていますね。それではミラ様の元へ向かいましょうか」
ルビリスは表情を元に戻しながら、ヌーにそう告げる。
「ああ。俺は奴に文句の一つでも言ってやらねば気がすまん」
ルビリスは咳払いをしながら頷く。
「それではラテールさん、後は任せましたよ?」
「お任せください! このラテール、大魔王として恥ずかしくない、最後の花火を打ち上げさせていただきます」
「それは楽しみですね。遠くからじっくりと見させていただきますよ」
そう言った後に大陸を消し飛ばす為の『極大魔法』の『魔力』を『スタック』させ始めたラテールを見て、ルビリス達は移動呪文である『高等移動呪文』でミラの元へと向かっていった。
――ミラ達の元へ向かうルビリスの背後では、極大魔法によって大陸が沈んでいった。
その魔法の爆音を聞きながら『ルビリス』は、邪悪な笑みを浮かべるのだった。
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