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魔王城を奪還せよ編

556.若き日のソフィ

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 現在のアレルバレルの『世界』は、他の一般的な世界とは違い、魔族が人口の七割以上を占めている。比率で言うと魔族が七割。人間が二割。精霊族が一割。といったところである。

 かつては『アレルバレル』の世界でも魔人族や、精霊族といった種族も多く暮らして居たのだが、数千年、いや下手をすれば万を越える程昔にが台頭し始めて至る所で戦争が起きた。

 まだその頃は『ソフィ』や『ディアトロス』といった後世に影響を齎した魔族達は、表舞台には出ておらず、圧倒的だと言われる程の『魔族』を代表するような、そんな強さを持つ者は現れてはいなかったが、それでもその頃の魔族でさえ、一体一体が別世界の支配者である『イザベラ』といった大魔王と同程度の戦力値を持つ者を、程の強さを持っていた。

 アレルバレルの当時の魔人族は平均的な戦力値が二億程であり、精霊族が平均戦力値が一億程であった。

 そんな別の種族に対して、魔族達の平均戦力値は一つ二つ桁が違うのである。魔族が侵略しようと別の種族達の領土を掻っ攫えば、覇権を握るのは自明の理であろう。

 当時のアレルバレルの魔族達は戦争相手であった魔人族を一体残らず攻め滅ぼして、魔人族の全ての領土を奪い、次に『魔』に長けた種族『精霊族』を次々と手に掛けていった。

 こうしてあらゆる種族が暮らしていた筈の『アレルバレル』の世界の大陸の多くが、僅かな年月で『魔族』のモノになっていったのである。

 しかし魔人族や精霊族との戦争に勝利して『魔族』が、この世界で最強の種族になった頃。
 敵が少なくなってこの世界を獲った気でいた高慢な当時の魔族達は、今度は自分が魔族の王になると、主張する者達が現れ始めて同じ魔族同士で諍いが起き始めるのだった。

 皮肉な事ではあるが別の種族との戦争よりの方が多くの血が流れる事となった。

 力だけではなく、数も他の種族に比べて多かった魔族。そんな魔族が仲間や家族を殺されて、今度は殺された側が報復を行いやり返す。血で血を洗うような凄惨な戦争は、これまでの戦争より遥かに長く続いた。

 …………

 アレルバレルの世界の魔族達が、別の種族から奪い取った多くの領土。その至る所で魔族同士の殺し合いが、長い年月行われて居たが、唐突にその不毛な戦争が終わりを告げる事となった。

 それは魔人族達との戦争が集結してから数百年が経ち始めた頃の『アレルバレル』の出来事であった。

 このままでは魔族自体が自分達の手によって、滅びてしまうかもしれないと懸念を抱いて行動を起こそうとする者が現れたのである。

 ――その魔族の名は『』といった。

 魔族の大半が私利私欲の為に戦争を続ける者達だったが、このソフィという魔族は自分の為では無く、同じ種族同士での戦争という『』に立ち上がったのである。

 力ある者達を強引に止める為にソフィは、抑止の為に『第二形態』までの力を示して『魔王形態の変化』後のソフィをみて、中央大陸で争っていた魔族達はを察してあっさりと争いを止めた。

 中央大陸の魔族達も大魔王の領域に居る者達であり、力もそれなりに強い者達であった為に、いくら見た目が若いソフィだからといっても『力量差』を測れずに無謀にも襲い掛かってくる程、馬鹿ではないようであった。

 元々自分が一番強いのだと、周りに認めさせたいと思う魔族達が大半だったようで、ソフィの登場はそんな魔族達の争いを止めるのに時間は掛からなかったのであった。

 ソフィが行動を起こし始めた事により、ソフィに賛同する者やソフィの強さに憧れる者達も徐々に増え始めていき、中央大陸から順々に魔族同士の争いは止んでいった。

 そしてソフィがこの世界から争いを失くそうという理想に被害者側の魔族達は、最初こそ納得をしてはいなかったが、徐々にソフィが本気で取り組んでいるという事を理解していき、振り上げようとしていた手を下ろしていった。

 の勇敢な行動が荒廃した世界を少しずつ変えていったのである。
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