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新魔国王編
550.狡猾な新魔国王
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この日『ラルグ』魔国の国王がソフィからレルバノンに変わり、次の新体制へと正式に変わる日を迎えた。そして『ヴェルマー』大陸中から各国の魔国王達や、その国の魔族達が『ラルグ』魔国に集うのだった。
大勢の国民に向けて壇上で喋っている男の名は『レルバノン』。
この日まで『ラルグ』魔国のNo.2として、長きに渡り国を守ってきた男である。
前『ラルグ』魔国王『ソフィ』が『組織』と戦う決意を固めて、この世界から『アレルバレル』の世界へと一時帰還を行う事となった為に、ソフィからの指名を受けて次の魔国王に『レルバノン・フィクス』が選ばれたのである。
元々先々代となる『ラルグ』魔国王『シーマ』と敵対関係となった『レルバノン』だったが、彼はその時代からラルグ魔国の『フィクス』としてこの国のNo.2であった。
この国出身の魔族で実力的にも実績的にも問題は無かったため、彼がソフィに次の王として指名された時も表立って反対をする者は誰も居なかった。満場一致でレルバノンが、この国の王となったのであった。
すでに同盟関係にある『レイズ』魔国や『トウジン』魔国には、ソフィが一時的にこの世界から離れる事や、ラルグの王がレルバノンに代わる事は『闘技場』が再開された頃に伝えてあった。
闘技場が再開されてから数ヵ月が経ち、ようやく本日正式にラルグ魔国王の戴冠式が行われるのだった。そして今、壇上で今後の決意表明や同盟各国に対する言葉を『レルバノン』新魔国王の口から説明されていた。
全ての決意表明の言葉を終えて、そろそろ時間となったその時『レルバノン』は最後に『一番重要』な言葉を口にするのであった。
…………
本日から先代となった『ソフィ』前魔国王は、頑なにヴェルマー大陸全土の王になる事を拒否していたが、レルバノン新魔国王はこの国の明確な立ち位置を示す為に、壇上で言い放った。
――それは有事の際には『この国の全ての支配権限』を、ソフィに戻すという宣言であった。
この事はすでにソフィに伝えられていた事であった。ヴェルマー大陸の今後の平和と、安寧の為には必要な事であるとレルバノンに説き伏せられたのである。
ヴェルマー大陸の歴史は戦争の歴史であり、現在は同盟国家となっている三大魔国であっても数千年に渡って戦争が続けられてきた。
ソフィ前魔国王は人間達の住むミールガルド大陸と親交もあり、龍族のターティス大陸とも同盟関係を築いている。そして何よりも、絶対的な力を持つソフィが、ラルグの魔国王としていつでも戻ってくるとなれば、勝手を働こうとする国や魔族達の抑止になると判断されたのである。
この大陸に住む者達はどの国であってもソフィであれば、大陸の王でも問題はないと認めている。ヴェルマー大陸がミールガルド大陸へ戦争を仕掛けた時の結果や、この世界の調停者達である龍族が、この大陸に仕掛けてきたときの事。そして原初の魔王レアが多くの軍勢を率いてこの大陸全土に戦争を仕掛けてきた時などに、ソフィがこの大陸を守ってきたと自分の目で見た者や、大国の王達が自国民達に知らせてきたからである。
ソフィ自身はこの大陸の王となる事を最後まで認めなかったが、この大陸に居る者達はすでにソフィを『ヴェルマー大陸全土を統治する王』なのだと認めているのである。
そしてレルバノン新魔国王は、国のトップの代替わりを果たしたとしてもいつでもソフィが、この国の王へと戻る事が出来ると告げた事により、ラルグ魔国がこれまで通り『ヴェルマー』大陸で『中心的な魔国』として君臨する事となったのだった。
――更にレルバノン魔国王は、一度王の座を退いた者を再び戻す等々の異例の取り決めを各国に形として認めるために『調印証書』を壇上で見せるのだった。
この日から年内の間に『ヴェルマー』大陸全ての国に、この取り決めを認めるという署名をするようにと『レルバノン』魔国王は宣言する。
この強引なやり口に同盟国以外の各国の王は驚いたが、すでにその調印証の署名欄に『レイズ』の女王『シス』の名や『トウジン』魔国の『シチョウ』王の名。そしてその三大魔国の属国となっている国々の王達の署名がされていた。
各国の王達もソフィの事を認めている事に加えて、今回の署名に特に問題が無いように感じられた事で、この日から次々と各国の王達は『調印証書』に署名を行うのであった。
……
……
……
そして『ラルグ』魔国王の戴冠式から数日が経ったある日。
レルバノンはラルグの塔で、全てのヴェルマー大陸にある国の王が署名した調印証書を確認する。
「これでいい。今後数百年から数千年後に経った時に、改めてこの『調印証書』が意味を持つ事になる」
この『ヴェルマー』大陸の平和と安寧の為に何が一番必要かと考えた彼は、こうして各国の署名が記された証書という『形』に残るモノが重要だと考えて、こうして『調印証明書』というものを現実的に作り出すのであった。
『鮮血のレルバノン』という異名がある彼だったが、彼の真に恐ろしいところは、こうした根回しや一度決めた事に対して、視野広く動き行うところであった。
この『調印証明書』の意味とは、ソフィが『アレルバレル』の世界へ戻ったとして、そこから数千年姿を消したとしても『ラルグ』魔国に大魔王ソフィが再び姿を見せれば、いつでも王になれる権利を有する事がヴェルマー大陸にある全ての国の代表によって、認められたという事であった。
今後ラルグに戦争を仕掛けようとすれば『大魔王ソフィ』が、いつこの世界に戻ってきて報復という名の蹂躙が行われるか分からない。
――幾千、幾万、幾億の魔族が攻めてこようとも、ソフィがラルグ魔国王に戻るだけでその全ての脅威を無力化出来る。たった一体の魔族であっても『ソフィ』という存在は、あらゆる兵器に勝る各国に対する『最強』の抑止力となるのである。
――レルバノンはラルグの魔国王となった日から今後数千年と続くであろう『ラルグ』魔国の確固たる立場と平和維持の力を有する事に成功するのだった。
……
……
……
大勢の国民に向けて壇上で喋っている男の名は『レルバノン』。
この日まで『ラルグ』魔国のNo.2として、長きに渡り国を守ってきた男である。
前『ラルグ』魔国王『ソフィ』が『組織』と戦う決意を固めて、この世界から『アレルバレル』の世界へと一時帰還を行う事となった為に、ソフィからの指名を受けて次の魔国王に『レルバノン・フィクス』が選ばれたのである。
元々先々代となる『ラルグ』魔国王『シーマ』と敵対関係となった『レルバノン』だったが、彼はその時代からラルグ魔国の『フィクス』としてこの国のNo.2であった。
この国出身の魔族で実力的にも実績的にも問題は無かったため、彼がソフィに次の王として指名された時も表立って反対をする者は誰も居なかった。満場一致でレルバノンが、この国の王となったのであった。
すでに同盟関係にある『レイズ』魔国や『トウジン』魔国には、ソフィが一時的にこの世界から離れる事や、ラルグの王がレルバノンに代わる事は『闘技場』が再開された頃に伝えてあった。
闘技場が再開されてから数ヵ月が経ち、ようやく本日正式にラルグ魔国王の戴冠式が行われるのだった。そして今、壇上で今後の決意表明や同盟各国に対する言葉を『レルバノン』新魔国王の口から説明されていた。
全ての決意表明の言葉を終えて、そろそろ時間となったその時『レルバノン』は最後に『一番重要』な言葉を口にするのであった。
…………
本日から先代となった『ソフィ』前魔国王は、頑なにヴェルマー大陸全土の王になる事を拒否していたが、レルバノン新魔国王はこの国の明確な立ち位置を示す為に、壇上で言い放った。
――それは有事の際には『この国の全ての支配権限』を、ソフィに戻すという宣言であった。
この事はすでにソフィに伝えられていた事であった。ヴェルマー大陸の今後の平和と、安寧の為には必要な事であるとレルバノンに説き伏せられたのである。
ヴェルマー大陸の歴史は戦争の歴史であり、現在は同盟国家となっている三大魔国であっても数千年に渡って戦争が続けられてきた。
ソフィ前魔国王は人間達の住むミールガルド大陸と親交もあり、龍族のターティス大陸とも同盟関係を築いている。そして何よりも、絶対的な力を持つソフィが、ラルグの魔国王としていつでも戻ってくるとなれば、勝手を働こうとする国や魔族達の抑止になると判断されたのである。
この大陸に住む者達はどの国であってもソフィであれば、大陸の王でも問題はないと認めている。ヴェルマー大陸がミールガルド大陸へ戦争を仕掛けた時の結果や、この世界の調停者達である龍族が、この大陸に仕掛けてきたときの事。そして原初の魔王レアが多くの軍勢を率いてこの大陸全土に戦争を仕掛けてきた時などに、ソフィがこの大陸を守ってきたと自分の目で見た者や、大国の王達が自国民達に知らせてきたからである。
ソフィ自身はこの大陸の王となる事を最後まで認めなかったが、この大陸に居る者達はすでにソフィを『ヴェルマー大陸全土を統治する王』なのだと認めているのである。
そしてレルバノン新魔国王は、国のトップの代替わりを果たしたとしてもいつでもソフィが、この国の王へと戻る事が出来ると告げた事により、ラルグ魔国がこれまで通り『ヴェルマー』大陸で『中心的な魔国』として君臨する事となったのだった。
――更にレルバノン魔国王は、一度王の座を退いた者を再び戻す等々の異例の取り決めを各国に形として認めるために『調印証書』を壇上で見せるのだった。
この日から年内の間に『ヴェルマー』大陸全ての国に、この取り決めを認めるという署名をするようにと『レルバノン』魔国王は宣言する。
この強引なやり口に同盟国以外の各国の王は驚いたが、すでにその調印証の署名欄に『レイズ』の女王『シス』の名や『トウジン』魔国の『シチョウ』王の名。そしてその三大魔国の属国となっている国々の王達の署名がされていた。
各国の王達もソフィの事を認めている事に加えて、今回の署名に特に問題が無いように感じられた事で、この日から次々と各国の王達は『調印証書』に署名を行うのであった。
……
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そして『ラルグ』魔国王の戴冠式から数日が経ったある日。
レルバノンはラルグの塔で、全てのヴェルマー大陸にある国の王が署名した調印証書を確認する。
「これでいい。今後数百年から数千年後に経った時に、改めてこの『調印証書』が意味を持つ事になる」
この『ヴェルマー』大陸の平和と安寧の為に何が一番必要かと考えた彼は、こうして各国の署名が記された証書という『形』に残るモノが重要だと考えて、こうして『調印証明書』というものを現実的に作り出すのであった。
『鮮血のレルバノン』という異名がある彼だったが、彼の真に恐ろしいところは、こうした根回しや一度決めた事に対して、視野広く動き行うところであった。
この『調印証明書』の意味とは、ソフィが『アレルバレル』の世界へ戻ったとして、そこから数千年姿を消したとしても『ラルグ』魔国に大魔王ソフィが再び姿を見せれば、いつでも王になれる権利を有する事がヴェルマー大陸にある全ての国の代表によって、認められたという事であった。
今後ラルグに戦争を仕掛けようとすれば『大魔王ソフィ』が、いつこの世界に戻ってきて報復という名の蹂躙が行われるか分からない。
――幾千、幾万、幾億の魔族が攻めてこようとも、ソフィがラルグ魔国王に戻るだけでその全ての脅威を無力化出来る。たった一体の魔族であっても『ソフィ』という存在は、あらゆる兵器に勝る各国に対する『最強』の抑止力となるのである。
――レルバノンはラルグの魔国王となった日から今後数千年と続くであろう『ラルグ』魔国の確固たる立場と平和維持の力を有する事に成功するのだった。
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