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支配の目編
545.結果を出すという事
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リディアは再び石を使った『魔力』コントロールの修行を行っている。
現在エルシスとリディアが居た場所にはもう一体『魔族』が増えていた。
――その魔族とは『ユファ』であった。
シスが戻ってこない事に焦りを覚えた彼女は『漏出』まで使ってシスの居場所を探り当てた。そしてそこにリディアが居た事を知ったユファは、シスに何かしようとしているのではないかと、前回に引き続きまたもや勘違いをしてシスの前に飛び出したが、そこでシスの身体の表に出ていた『エルシス』に笑顔で首根っこを掴まれて、しっかりと説明されたのだった。
当初は激昂していたユファであったが、エルシスに笑顔のままで論理的な説明が行われて、ユファに反論の余地を与えなかった。結局最後にはエルシスに説き伏せられて、ユファは仕方なく横でじっと修行の様子を見ていたというわけである。
エルシスはリディアに『金色のオーラ』と『支配の目』を同時に使わせていたが『支配の目』を使う時間が長引けば危険だという事に至り、金色を使う瞬間にのみ発動させるようにして、後は『魔力』の流れをコントロールさせる必要がある時に『支配の目』を使わせるのだった。
最初は全てが噛み合わず『金色のオーラ』をコントロールする為の石に『支配の目』を使って破壊させてしまったり、魔力の余波をエルシスにぶつけてしまったりと、慣れない魔力の使い方に四苦八苦していたリディアだったが、今はどうにか魔力の奔流を身体で覚えられたようで、ようやく形になってきたのだった。
刀を具現化せずに『金色のオーラ』を微弱ながらに自身の周囲に纏う事までが可能となり、ようやく『金色』本来の増加量に近づける事が出来るようになっていた。
――しかし今度は『金色』を纏う時間が、刀を具現化する時よりも圧倒的に少なくなってしまい、纏える時間はおよそ数秒程となってしまった。
リディアはどうすればいいのかと悩んだが、エルシスは逆にそれでいいんだと説明を行った。どうやら今のこの状況こそが、本来の『金色の体現者』の正式な下積み段階なのだという。
遠回りをして自己流で『金色』を使ってきたリディアだが、人間の『大賢者』として最高峰の技術と戦力を兼ね揃えた天才が『指導者』として今回ついた事により、リディアは瞬く間に教えを吸収していくのだった。
ユファはしっかりと指導を行う『エルシス』と、素直に言う事を聞いている『リディア』の二人の様子を見て、自分もまた弟子であるラルフに教えを享受する者として自分も頑張ろうと、決意を新たにするのだった。
この二人に比べれば規模は小さいかもしれないがそれでもいいのだ。強くなる事への努力は、他者と比較するものではなく、一歩ずつでも確実に成長させることが出来るのであれば、それは指導として何一つ間違いではないのである。
効率だけを考えて成長出来ているのに足りないと考えさせるような、本人のモチベーションを下げる事こそが長い目で見た時に、非効率な結果へと結びつく事も珍しくはない。
努力は嘘をつかない。僅かでもいいから今より前へ。そして一歩ずつ成長していけばいいのである。ユファは根底にそういう考えが根付いており、今までも多くの者達を導いてきた。自分が面倒を見ると決めた者には絶対に彼女は、最後まで見捨てない。
――そして目の前でエルシスに教わりながら知らない事を少しずつ知っていくリディアに、陰ながら頑張れと『エール』を送るユファであった。
そして遂にリディアは金色を『支配の目』を使わずに、纏わせられるようになるのであった。
「よくやったね。さてその状態で君の特異で、ボクの魔法を斬ってみなさい」
横に立つユファを一瞥してシスの身体に居るエルシスは、そうリディアに告げる。ユファは頷きそのままその場を離れる。
「ああ。分かった」
刀に手を当てながら『リディア』は『エルシス』から距離を取り始める。そして『金色の力』を完全に引き出した状態でリディアは身体の周囲にオーラを纏わせる。
前傾姿勢をとり『抜刀』の構えを取りながらエルシスに視線を送る。
――『準備は整った』。
決意の目をしたリディアの視線を大賢者エルシスは受け取った。
「さて、君の『特異』の技はボクの魔法をも『斬れる』のかな。とても楽しみだよ」
大賢者エルシスは空をゆっくりと上がっていき、彼もまた金色の光に包まれながら更に天を仰ぎ見る。そしてゆっくりと魔法を放つ為の右手を空に翳し始めて『魔力』を込め始める。
空に浮かび光り輝くオーラを纏いながら空を指を差すその姿は、まさに神の使いである天使のようでいて見る者に神々しさすら感じさせるのだった。
大空全体にまさに神の天啓の如く、エルシスの魔法の『発動羅列』が覆い尽くすのだった。
その文字を読み解く事は適わないが、あまりにも長い羅列。その一文字一文字が光り輝き『スタック』された魔力がその『発動羅列』と重なっていき、遂には大きな魔法陣が現世に出現する。
「さぁ、それじゃいくよ?」
大賢者『エルシス』が指をパチンと鳴らした――。
――次の瞬間。
大きな魔法陣は高速回転をし始めたかと思うと、効果が発動して空はやがて光に包まれるのだった。
――神聖魔法、『聖なる滅撃』。
……
……
……
現在エルシスとリディアが居た場所にはもう一体『魔族』が増えていた。
――その魔族とは『ユファ』であった。
シスが戻ってこない事に焦りを覚えた彼女は『漏出』まで使ってシスの居場所を探り当てた。そしてそこにリディアが居た事を知ったユファは、シスに何かしようとしているのではないかと、前回に引き続きまたもや勘違いをしてシスの前に飛び出したが、そこでシスの身体の表に出ていた『エルシス』に笑顔で首根っこを掴まれて、しっかりと説明されたのだった。
当初は激昂していたユファであったが、エルシスに笑顔のままで論理的な説明が行われて、ユファに反論の余地を与えなかった。結局最後にはエルシスに説き伏せられて、ユファは仕方なく横でじっと修行の様子を見ていたというわけである。
エルシスはリディアに『金色のオーラ』と『支配の目』を同時に使わせていたが『支配の目』を使う時間が長引けば危険だという事に至り、金色を使う瞬間にのみ発動させるようにして、後は『魔力』の流れをコントロールさせる必要がある時に『支配の目』を使わせるのだった。
最初は全てが噛み合わず『金色のオーラ』をコントロールする為の石に『支配の目』を使って破壊させてしまったり、魔力の余波をエルシスにぶつけてしまったりと、慣れない魔力の使い方に四苦八苦していたリディアだったが、今はどうにか魔力の奔流を身体で覚えられたようで、ようやく形になってきたのだった。
刀を具現化せずに『金色のオーラ』を微弱ながらに自身の周囲に纏う事までが可能となり、ようやく『金色』本来の増加量に近づける事が出来るようになっていた。
――しかし今度は『金色』を纏う時間が、刀を具現化する時よりも圧倒的に少なくなってしまい、纏える時間はおよそ数秒程となってしまった。
リディアはどうすればいいのかと悩んだが、エルシスは逆にそれでいいんだと説明を行った。どうやら今のこの状況こそが、本来の『金色の体現者』の正式な下積み段階なのだという。
遠回りをして自己流で『金色』を使ってきたリディアだが、人間の『大賢者』として最高峰の技術と戦力を兼ね揃えた天才が『指導者』として今回ついた事により、リディアは瞬く間に教えを吸収していくのだった。
ユファはしっかりと指導を行う『エルシス』と、素直に言う事を聞いている『リディア』の二人の様子を見て、自分もまた弟子であるラルフに教えを享受する者として自分も頑張ろうと、決意を新たにするのだった。
この二人に比べれば規模は小さいかもしれないがそれでもいいのだ。強くなる事への努力は、他者と比較するものではなく、一歩ずつでも確実に成長させることが出来るのであれば、それは指導として何一つ間違いではないのである。
効率だけを考えて成長出来ているのに足りないと考えさせるような、本人のモチベーションを下げる事こそが長い目で見た時に、非効率な結果へと結びつく事も珍しくはない。
努力は嘘をつかない。僅かでもいいから今より前へ。そして一歩ずつ成長していけばいいのである。ユファは根底にそういう考えが根付いており、今までも多くの者達を導いてきた。自分が面倒を見ると決めた者には絶対に彼女は、最後まで見捨てない。
――そして目の前でエルシスに教わりながら知らない事を少しずつ知っていくリディアに、陰ながら頑張れと『エール』を送るユファであった。
そして遂にリディアは金色を『支配の目』を使わずに、纏わせられるようになるのであった。
「よくやったね。さてその状態で君の特異で、ボクの魔法を斬ってみなさい」
横に立つユファを一瞥してシスの身体に居るエルシスは、そうリディアに告げる。ユファは頷きそのままその場を離れる。
「ああ。分かった」
刀に手を当てながら『リディア』は『エルシス』から距離を取り始める。そして『金色の力』を完全に引き出した状態でリディアは身体の周囲にオーラを纏わせる。
前傾姿勢をとり『抜刀』の構えを取りながらエルシスに視線を送る。
――『準備は整った』。
決意の目をしたリディアの視線を大賢者エルシスは受け取った。
「さて、君の『特異』の技はボクの魔法をも『斬れる』のかな。とても楽しみだよ」
大賢者エルシスは空をゆっくりと上がっていき、彼もまた金色の光に包まれながら更に天を仰ぎ見る。そしてゆっくりと魔法を放つ為の右手を空に翳し始めて『魔力』を込め始める。
空に浮かび光り輝くオーラを纏いながら空を指を差すその姿は、まさに神の使いである天使のようでいて見る者に神々しさすら感じさせるのだった。
大空全体にまさに神の天啓の如く、エルシスの魔法の『発動羅列』が覆い尽くすのだった。
その文字を読み解く事は適わないが、あまりにも長い羅列。その一文字一文字が光り輝き『スタック』された魔力がその『発動羅列』と重なっていき、遂には大きな魔法陣が現世に出現する。
「さぁ、それじゃいくよ?」
大賢者『エルシス』が指をパチンと鳴らした――。
――次の瞬間。
大きな魔法陣は高速回転をし始めたかと思うと、効果が発動して空はやがて光に包まれるのだった。
――神聖魔法、『聖なる滅撃』。
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